340 likes | 402 Views
子ども医療費無料化は 安心して産み、育てられる社会への課題. 2011 年 10 月1日 「乳幼児医療費無料制度を国に求める全国ネットワーク」事務局 全国保険医団体連合会 事務局次長 滝本 博史. Ⅰ 国による乳幼児医療費無料制度創設の取り組みと、自治体のこども医療費無料化の現状. 1.子どもをめぐる情勢. (1) とどまらない合計特殊出生率の低下. 図1 出生数及び合計特殊出生率推移. ※ 総務省統計局資料より作成( 1万人以下を四捨五入) 2010 年は 1694 万人と推計されていたが、国勢調査で修正. (2) 若年労働者・子育て世代をめぐる状況.
E N D
子ども医療費無料化は 安心して産み、育てられる社会への課題 2011年10月1日 「乳幼児医療費無料制度を国に求める全国ネットワーク」事務局 全国保険医団体連合会 事務局次長 滝本 博史
Ⅰ 国による乳幼児医療費無料制度創設の取り組みと、自治体のこども医療費無料化の現状Ⅰ 国による乳幼児医療費無料制度創設の取り組みと、自治体のこども医療費無料化の現状
1.子どもをめぐる情勢 (1) とどまらない合計特殊出生率の低下 図1 出生数及び合計特殊出生率推移
※総務省統計局資料より作成( 1万人以下を四捨五入) 2010年は1694万人と推計されていたが、国勢調査で修正
(2) 若年労働者・子育て世代をめぐる状況(2) 若年労働者・子育て世代をめぐる状況 平成23年版厚生労働白書
(3) 経済的支援措置が少子化対策として重要(3) 経済的支援措置が少子化対策として重要 平成20年度少子化社会対策に関する子育て女性の意識調査(2009年3月:内閣府)
平成20年度少子化社会対策に関する子育て女性の意識調査(2009年3月:内閣府)平成20年度少子化社会対策に関する子育て女性の意識調査(2009年3月:内閣府) http://www8.cao.go.jp/shoushi/cyousa/cyousa20/ishiki/mokuji-pdf.html
「島根県少子化に関する意識調査」 平成2 1 年3 月 健康福祉部青少年家庭課少子化対策推進室 http://www.pref.shimane.lg.jp/life/syoushika/syoushika/genjo/statistics/H20kenminishiki.data/H20kekka-nitsuite.pdf
山口県 子育て支援・少子化対策に関する県民意識調査(2009年3月)山口県 子育て支援・少子化対策に関する県民意識調査(2009年3月) http://www.pref.yamaguchi.lg.jp/cms/a13300/chousa/20090324001.html
2.国制度創設を求める運動の到達点 (1) 乳幼児医療全国ネットの結成 乳幼児医療全国ネットは、「当面、小学校就学前の子どもを対象とする国の乳幼児医療費無料制度の創設」をめざして2001年5月に結成し、次の4つの課題に取り組んできました。 ① 会の目的に賛同する団体及び個人を広げる。 ② 請願署名活動をすすめる。署名活動等に協力をいただける団体及び個人を広げる。 ③ 政府、国会議員、政党に対して、制度創設を働きかける。 ④ 各地の乳幼児医療費助成拡充の運動と連携して活動をすすめる。
(2) 国の医療費無料制度創設を求める地方議会意見書の到達状況(2) 国の医療費無料制度創設を求める地方議会意見書の到達状況 42都道府県723市区町村(42.67%)で採択(2011年9月1日現在) (3) 国の医療費無料制度創設を求める請願署名提出数:130万筆を突破! 国による医療費無料制度創設を求める請願署名は、目標であった100万筆を突破し、1,316,258筆に達している。
(4) 国の医療費無料制度創設に賛同する国会議員(4) 国の医療費無料制度創設に賛同する国会議員 【主な賛同者】 ○小宮山洋子厚生労働大臣、○枝野幸男経済産業大臣、○中川正春文部科学大臣、 ○平岡秀夫法務大臣、 ○前田武志国土交通大臣、 ○平野達男復興対策担当大臣、 ○細野豪志原発担当・環境大臣、 ○池田元久外務大臣、 ○山岡賢次国家公安委員長、 ○藤村修官房長官 ○山口那津男公明党代表、○志位和夫共産党の党委員長、○福島みずほ社民党代表、○亀井静香国民新党代表、○田中康夫新党日本代表
(5) 国制度として、こども医療費窓口負担の引き下げ(5) 国制度として、こども医療費窓口負担の引き下げ 2002年から医療保険における3歳未満児の窓口負担は2割に軽減 2008年4月から、就学前まで2割負担に軽減 これによって、全国どこでも就学前までは、少なくとも2割負担に。 乳幼児医療費助成制度を行っている自治体はその負担が軽減され、助成制度を拡充。 こうした改善は、国制度創設を求める運動と地方制度の拡充を求める運動が、政府や地方自治体を動かしてきたことによる。
3.自治体による子ども医療費無料制度の拡充を求める運動の到達点3.自治体による子ども医療費無料制度の拡充を求める運動の到達点 (1) 自治体による医療費助成制度の概要 ① 都道府県が実施主体のもの(東京都の気管支喘息医療費助成事業等)と、市町村が実施主体のものがある。 ② 子ども医療費助成制度は、市町村が実施主体だが、全ての都道府県において市町村の助成制度に補助を行っている。 ③ 都道府県制度は、都道府県条例によって定められ、市町村制度は市町村条例によって定められる。したがって、都道府県だけでなく、同一都道府県内の市町村によって医療費助成制度の対象年齢や助成範囲が異なる。 ④ 通常は、都道府県が定めた基準に、市町村が対象年齢や助成の範囲を拡充していきますので、都道府県の助成制度はその県の最低ラインになる。 ⑤ 自治体による子ども医療費無料化を拡充するためには、市町村への要請とともに、都道府県への要請が必要ですし、市町村から都道府県に意見書や要請書をあげてもらうことが肝要。
(2) 医療費助成を行った市町村国保に対するペナルティの存在(2) 医療費助成を行った市町村国保に対するペナルティの存在 ① 市町村が医療費助成を行った場合は、市町村国保の国庫負担金が減額される。 ② これは、「3割負担の場合には医療需要が抑制されるが、窓口負担を軽減すれば医療需要が増加する。窓口負担軽減を行わない市町村よりも多くなる医療需要分の国庫負担を削減しなければ不平等である」という論理に基づくもの。 ③ 本来は、国が国民の医療と健康に責任を持つべきであり、厳しい財政をやりくりして自治体が行う医療費助成制度にこうしたペナルティを課すことは、本末転倒。
(3) 市町村の子ども医療費無料制度の概要(3) 市町村の子ども医療費無料制度の概要 ① 市町村こども医療助成制度の対象年齢(厚生労働省調べより) ② 助成対象を就学前以上とする都道府県(保団連調べ)
Ⅱ こども医療費無料制度を実現させる今後の取り組みⅡ こども医療費無料制度を実現させる今後の取り組み
1.乳幼児医療全国ネットの取り組み ( 2010年5月「乳幼児医療全国ネット」5月集会確認事項 ) ① 就学前児童を対象とした国による医療費助成制度の早期創設を実現しよう。 そのために「3つの課題」に引き続き取り組もう。 ア 国会請願署名の取り組みをさらに広げましょう。 イ 地方議会意見書採択を進めましょう。 ウ 国制度創設に賛同する国会議員を増やしましょう。 ② 自治体の医療費助成制度の拡大に取り組みましょう。 ア 「高校卒業」まで助成対象に拡大する取り組みを進めましょう。 イ 少なくともすべての自治体で入院・外来とも就学前まで拡大しましょう。
2.国による医療無料制度運動の検討課題 ① 2008年度からは、3歳~就学前までの窓口負担が2割になったが、わが国の児童の医療費自己負担(3割又は2割負担)は、他の先進諸国に比べて非常に重いのが実状。 → ドイツ・イギリス・イタリア・カナダ・スウェーデンでは無料 ② 児童福祉法をもつわが国においても、児童に対する医療費負担軽減措置を市町村任せにせず、政府の責任において実施すべき。 ③ 乳幼児医療全国ネットが発足した当時は、国の制度は3割負担で、自治体による無料制度の対象も外来では3歳未満が半数を超えていた。 ④ こうした中では、「当面、小学校就学前までの子どもたちの医療費無料制度を国が創設する」ことを求めるとともに、自治体による子ども医療費無料化拡大を求めて運動を進めることが重要であった。
⑤ いま、国制度は就学前まで2割負担。また、ほとんどの自治体が就学前までの医療費無料化を実現し、中学卒業までの無料化が広がっている。⑤ いま、国制度は就学前まで2割負担。また、ほとんどの自治体が就学前までの医療費無料化を実現し、中学卒業までの無料化が広がっている。 ⑥ 保団連では、数年前から「中学卒業までの子どもの医療費無料化」を国に求めている。 ⑦ こうした中で、「就学前までの医療費無料化」署名等が進まなくなっている。(国による制度創設を求めるという大きな意義があるが、署名が進まない) ⑧ こうしたことから、「就学前までの医療費無料化を直ちに実現させる」とともに、「中学卒業までの医療費の無料化を目指す」ことを要求内容にする必要があるのではないかと、事務局団体では考えている。 ⑨ ただし、要求内容を変更するためには、事務局団体と呼びかけ人の合意が必要となる
乳幼児医療全国ネットの改組に向けたスケジュール(私案)乳幼児医療全国ネットの改組に向けたスケジュール(私案) 【目標】 (1)「こども医療全国ネット」に改組し、①就学前までの医療費無料化を直ちに実現させるとともに、②中学卒業までの医療費の無料化を国に求める。 【スケジュール】 (2)乳幼児医療全国ネット事務局団体と呼びかけ人に、これまでの運動の到達点と「こども医療全国ネット」への改組を承諾いただき、引き続き事務局団体、呼びかけ人になっていただく。あわせて、新たな団体、個人に呼びかけ人をお願いする。 (3)上記については、9月30日に事務局団体で打ち合わせをし、10月中に呼びかけ人に文書を送るとともに、あらためて呼びかけ人を募集し、年末から来年早々には、乳幼児医療全国ネットのまとめを行い、子ども医療全国ネットへの改組をする。 (4)現在全国ネットで募集している署名などの集約は12月に行い、提出しきる。 (5)「こども医療全国ネット」は、乳幼児医療全国ネットの運動と成果を受け継ぎ、①中学卒業までの国の医療費無料制度創設を求める地方議会意見採択、②中学卒業までの国の医療費無料制度創設を求める請願署名の取り組み、③中学卒業までの国の医療費無料制度創設に賛同する国会議員の賛同にあらためて取り組みとともに、地方自治体での子ども医療費助成制度拡充の運動を進めることとする。
【国による医療費無料化に必要な予算】 就学前の子ども医療費を無料化するのに必要な財源は年間約3000億円 (2010年3月1日の衆議院予算委員会で長妻厚生労働大臣が答弁) ① 中学卒業までの医療費無料化を国が負担する場合には、数倍の費用が必要だが、全国の多くの自治体では厳しい財源の中で子育て支援のための費用を捻出し、中学卒業までの医療費無料化を実現している。 ② しかし、子育てに対する費用負担の削減は、全国どこでも実現すべき課題で有り、生まれ、住む地域によって費用に差があるべきではない。 ③ こうしたことから、国による制度創設によって、全国どこでも中学卒業までの医療費無料制度を実現すべき。
3.地方制度拡充の今後の課題 (1)18歳未満までを助成対象に ① 児童福祉法第2条では、「国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う」と規定しており、児童とは18歳未満を指す。 ② 2010年4月1日現在、助成対象を「中学校卒業」以上とする市区町村は、通院で511(29.2%)、入院で715(40.86%)になっています。 (実現のためには) ① 市区町村に対する要請 ② 都道府県に対する要請 ③ 国による無料制度創設を求める運動
(2)所得制限や自己負担を止めさせる 一部の自治体で、対象年齢拡大と引き換えに、所得制限や自己負担を新設する動きがある。 ① 所得の額はその時点での収入で判断されるため、生涯賃金が変わらなくても、両親が比較的高齢で出産された場合は、所得制限に該当しやすくなる。 ② 例え200円でも、週1回受診をする患者さんであれば、年間52回の受診で1万円を超える負担となる。2箇所に受診しなくてはならなければ2万円を超える。例え1回200円でも受診抑制が発生する可能性がある。 ③ そもそも、子どもの受診の際には、仕事を休んで付き添ったり、交通費がかかるなど、窓口負担が無料であっても保護者の負担はかさむ。 ④ 子どもは、成長期にある。受診抑制によって取り返しのつかない事態を生じさせてはならない。
(3)国保国庫負担金減額調整廃止を求めよう(3)国保国庫負担金減額調整廃止を求めよう ① 乳幼児・母子家庭などに対し、現物給付で助成することを理由に減額調整をすることは、政府の少子化対策とも矛盾するもの。 ② 乳幼児医療費無料化を実施している自治体に対する国保のペナルティの廃止について、3月1日の衆議院予算委員会で鳩山総理は「旧政権からの課題だ。そのような認識の中で、前進ができるように努力してみたい」と答弁。 これを実現するためには、地域から大きな声が寄せられることが重要。 減額調整の廃止を国に求める意見書の提出を、市町村議会に働きかけを
(4)国保料滞納世帯の子どもに短期証交付 …この成果を実行あるものにするためにも医療費無料化が必要 ① 国民健康保険料(税)を1年間滞納した場合は、国民健康保険証の返還が義務づけられ、代わりに被保険者資格証明書(「資格書」)が交付される。 ② 2010年7月からは高校世代以下のこどもについては、保険料滞納があっても市区町村が有効期間6か月の短期保険証を交付することとなった。 ③ これにより、こども医療費無料化の対象となる子どもは、家庭の状況にかかわりなく無料で必要な医療が受けられるようになった。 ④ しかし、こども医療費無料化の対象でない子どもは、保険証があっても一部負担金があることで受診できない状況が残されている。 こども医療費を無料にし、受診抑制をなくすことが何よりも求められている。
Ⅲ.その他 子ども医療費が無料化になっても小児慢性特定疾患は申請を
医療費助成制度があることで、小児慢性特定疾患の申請をしない事例がありますが、併用の場合は下記の扱いになりますので、入院予定の場合は申請の検討を 医療費助成制度があることで、小児慢性特定疾患の申請をしない事例がありますが、併用の場合は下記の扱いになりますので、入院予定の場合は申請の検討を 1 小児慢性特定疾患とこども医療費助成制度との適用の原則 小児慢性特定疾患とこども医療費助成制度との併用は、次の順位で負担を補完する。 ① 小児慢性特定疾患は、健康保険の窓口負担に対して適用するが、入院時の食事の負担額について優先的に給付をする。 ② ただし、小児慢性特定疾患において自己負担がある患者の場合であって、医療保険の一部負担が小児慢性特定疾患の自己負担限度額を下回る場合に限り、入院時の食事の負担額からも徴収する。 なお、こども医療費助成制度が「医療費負担+食事負担を全額現物給付する」場合は、小児特定疾患の申請をしても患者さんの負担は変わらず、小児特定疾患の申請のための診断書料金がかかる。
こども医療費助成制度が「医療費負担のみ全額現物給付するが、食事は適用外」の場合は、小児特定疾患の申請をしていれば、食事負担(最大で1カ月24180円)がかからなくなる。ただし、医療保険の一部負担金が小児特定疾患の一部負担金を下回る場合は、窓口負担が発生する場合がある。 こども医療費助成制度が「医療費負担のみ全額現物給付するが、食事は適用外」の場合は、小児特定疾患の申請をしていれば、食事負担(最大で1カ月24180円)がかからなくなる。ただし、医療保険の一部負担金が小児特定疾患の一部負担金を下回る場合は、窓口負担が発生する場合がある。 (小児特定疾患が11500円の自己負担のケースの例) ① 医療保険の一部負担金が11500円を超える場合 11500円を超える部分と食事負担が小児特定疾患で公費負担となり、窓口では11500円の医療費負担が残る。 ただし、11500円についてこども医療費助成制度が適用されるため、この場合の負担はゼロ円となる。 ② 医療保険の一部負担金が11500円未満の場合 医療保険の一部負担金と食事療養の標準負担額の合計が11500円になるよう、負担を求められる。 ただし、実際にかかった医療保険の一部負担金と食事療養の額が11500円未満となる場合は、その額を上限に徴収される。