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あおいたんのパズルを数学しましょうか. 長月葵 @ aoi_nagatsuki aoitan@wankuma.com. はじめに. まえおき. おなまえあおいたん どうも最近数学キャラ扱いされがちだけど実はそう数学キャラでもない あおいたんはあくまでもソフトウェア工学の基礎として数学基礎論を嗜んでるだけですよ! エヴァリスト・ガロアは 読者にとって、著者がわかっていない事を明確にしている科学書がもっとも有用で、難しさを包み隠すことがもっとも有害であるということは、残念ながら余り気づかれていない。 と言いましたが今回は敢えて隠していきます
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あおいたんのパズルを数学しましょうか 長月葵 @aoi_nagatsuki aoitan@wankuma.com
まえおき • おなまえあおいたん • どうも最近数学キャラ扱いされがちだけど実はそう数学キャラでもない • あおいたんはあくまでもソフトウェア工学の基礎として数学基礎論を嗜んでるだけですよ! • エヴァリスト・ガロアは • 読者にとって、著者がわかっていない事を明確にしている科学書がもっとも有用で、難しさを包み隠すことがもっとも有害であるということは、残念ながら余り気づかれていない。 • と言いましたが今回は敢えて隠していきます • ちゃんとした話がしたい人は懇親会で • 多分質疑応答の時間は取れないので質問は休憩時間か懇親会で
おねがい • わからないことは単語でもページ数でもいいのでとにかくメモしてください • 後で質問したい場合は手元に残る何かに • わからなかったところがあおいたんのところに届けばいいならアンケートに • ページのタイトルがユニークにしてあるのでページ数がわからなければタイトルを書いてください • ほぼ間違いなくその疑問はおぼえていられないのでまずメモりましょう • メモる時間が取れるかはちょっと保障しかねます(マテ
アジェンダ1 • まずはおさらい • 第一部 解けるパズル解けないパズル • 第二部 あみだくじの足し算 • 第三部 8パズルの足し算 • まとめ • 付録
アジェンダ2 • 全部はやれない自信があります • とりあえずおさらいと第一部第二部がやれればいいと思っています • 第三部が本題ではありますが必要な道具は第二部までで揃います • 第三部に辿りつけなかったら休憩と懇親会で話しましょう • 時間が足りないので数学的にちゃんとした言葉での説明はしません • 要望があればブログに書きます
15パズル - 概要 • スライドパズルの元祖ですね • よく見る のピースの並びがひとつ欠けていてスライドさせて絵合わせするやつです • 最初は数字並べだったようです • ルービックキューブが出てくるまでパズルの王様でした
15パズル - ルール • のピースを並べたものから一つ取り除いた盤を用いる • スライドしてピースのないところと隣接するピースを交換できる • シャッフルされた状態から特定の順序に並び替えるのが目的 • 以下では数字が多いとめんどくさいので8パズルを扱います
足し算 - 基本 • a個のものとb個のものを並べて数えること (を抽象化したもの) • 2個のりんごと3個のりんごを並べて数えると5個 • と言うのを数だけ取り出してと書きましょうねと約束したものが足し算です • ちょっと頭おかしくなると集合の直和と元の数だとか関数の入れ子の数だとか0と或る数の次の数を得る操作をn回繰り返すだとかで表現しちゃうわけですが気になる人は懇親会で誰かに聞いてね
足し算 - 法則 • 足し算の並びの中に出てくる数字の種類の中で一番細かいものの範囲に収まる • 整数と整数の足し算なら整数になる • 整数と実数の足し算なら実数になる • 足し算の並びはどこから計算しても結果が変わらない • 0を足しても値は変わらない
パズルを数学しましょうか第一部 解けるパズル解けないパズル
8パズルを数字で表す • 毎度図示するのは大変なのでここからは8パズルを数字の並びで表します • 例えば出来上がりの図は • とします • 空きスペースは無視します
置換を配列で表す • 8パズルの状態をある状態から別の状態にすることを置換と呼ぶことにします • 置換を2行の数字の列で表します • 例えば出来上がりの図から一つ入れ替えると • になります • このような置換は • と書くことにします
巡回置換にする1 • ある置換 • があったとき
巡回置換にする2 • 1→8→5→7→2→1 • 3→4→3 • 6→6 • と元の数まで辿れる組を見つけられます
巡回置換にする3 • これらを • (1 2 5 7 8) • (3 4) • (6) • と書いて巡回置換と呼ぶことにします
置換の符号1 • 巡回置換の要素数を長さと呼びましょう • (1 2 5 7 8)=5 • (3 4)=2 • (6)=1 • です
置換の符号2 • この巡回置換の長さ-1の合計が偶数だったら正、奇数だったら負と言うことにします • もうちょっと数学的に書くと巡回置換の長さ-1の合計を-1の冪に乗せて • のようにして正負を得ます • これで得られた正負を置換の符号と呼ぶことにします
置換の符号は不変量 • スライドをどのように操作してもそこから得られる置換の符号は変わりません • 置換の符号は不変量です • 不変量というのは何らかの操作をしても変わらない物や値のことを言います • ここではスライド操作をしても符号が変わらないことを言っています
解けないパズル - 解けない形 • 8パズルにはどうやっても解けないダメ形があります • からは • にはできません
解けないパズル - 符号の確認 • 置換の符号を確かめてみます • 対して完成形の符号が
解けないパズル1 • もしスライド操作でダメ形から完成形にできるとしたら • スライド操作では符号は変化しないので • ダメ形の符号=完成形の符号 • になるはずです
解けないパズル2 • 上の等式をそれぞれの符号で置き換えると • -1=1 • になって矛盾する • なのでスライド操作でダメ形から完成形にできるは成り立たちません • まとめると8パズルが解けるためには符号が1でなければならないわけです
パズルを数学しましょうか第二部 あみだくじの足し算
あみだくじ1 • 8パズルもパターンが多いのでまずはパターンが足し算できることをあみだくじでみていきましょう • ここからはあみだくじを数字で表していきます • 縦線三本のあみだくじを扱います • 今後あみだくじ3と書きます • スタート位置に1,2,3と番号を振ります • ゴール位置にも1,2,3と番号を振ります
あみだくじ2 • 1 2 3 • |-| | • | |-| • |-| | • 1 2 3 • という形があったとき1から3、2から2、3から1に行くので • と書きます
あみだくじ3の結果のパターン • あみだくじ3の結果には以下のパターンがあります
あみだくじ3のパターンの省略 • あみだくじのパターンは無限にありますね • でも結果のパターンは有限です • あみだくじ3の結果のパターンは前ページの6通りです • なので結果が同じものはその結果になる最小のパターンまで端折ることにします
あみだくじ3の足し算 • あみだくじのパターンは並べることで行き先を変えられます • 1 2 3 • |-| | = (2 1 3) • 1 2 3 • + • 1 2 3 • | |-| = (1 3 2) • 1 2 3 • = • 1 2 3 • |-| | • | |-| = (3 1 2) • 1 2 3
もう一度おさらい - 足し算の法則 • 足し算の法則は • 足し算の並びの中に出てくる数字の種類の中で一番細かいものの範囲に収まる • 足し算の並びはどこから計算しても結果が変わらない • 0を足しても値は変わらない • なのであみだくじが足し算できるならこれらができるはずです
あみだくじ3の足し算の法則1 • あみだくじ3の足し算はどうでしょう • 足し算の並びの中に出てくる数字の種類の中で一番細かいものの範囲に収まる • あみだくじの結果のパターンをどう並べてもあだくじの結果のパターンに収まります
あみだくじ3の足し算の法則2 • 足し算の並びはどこから計算しても結果が変わらない • あみだくじの結果のパターンの並びはどこの並び二つを取ってその結果に置き換えても最終的な結果はかわりません
あみだくじ3の足し算の法則3 • 0を足しても値は変わらない • あみだくじの結果のパターンには何もしない並び • があるので0のような動きになります
パズルを数学しましょうか第三部 8パズルの足し算
8パズルのパターン • 沢山あります • 8!ぐらいあるので並べません • ただしこの中には解けないパターンがあるので都度置換の符号を確かめましょう
8パズルの足し算 • 8パズルのパターンはそれに必要なスライド操作を続けて行うことで結果が変えられます • 1 2 3 • 4 5 6 = 初期配置 • 7 8 • 1 2 3 例) 1 2 3 1 2 3 1 2 3 1 2 3 1 2 3 • 4 6 7 4 6 8 4 6 8 6 7 8 6 7 4 6 7 • 5 8 7 5 7 5 4 5 4 5 8 5 8 • = 初期配置+(1 2 3 5 6 4 7 8) • 1 2 3 • 6 7 4 = 初期配置+(1 2 3 5 6 4 7 8)+(1 2 3 5 6 4 7 8) • 5 8
8パズルの足し算の法則1 • 8パズルの足し算の法則も確認しましょう • 足し算の並びの中に出てくる数字の種類の中で一番細かいものの範囲に収まる • 8パズルの結果のパターンをどう並べても8パズルの結果のパターンに収まります
8パズルの足し算の法則2 • 足し算の並びはどこから計算しても結果が変わらない • 8パズルの結果のパターンの並びはどこの並び二つを取ってその結果に置き換えても最終的な結果はかわりません
8パズルの足し算の法則3 • 0を足しても値は変わらない • 8パズルの結果のパターンには何もしない並び • があるので0のような動きになります
まとめ • これまで見たように置換で動きを表現できるパズルはすべて置換の足し算で表現できます • 今回見た内容をちゃんとやると対称群と言う概念になります • 群論は構造を整理する強力な道具なので一度勉強してみると世の中が楽しく見えるかもしれないですよ
対称群と15ゲーム • 平成21年度 数学特別講義I • 対称群と15ゲーム • 佐垣 大輔 • http://ocw.tsukuba.ac.jp/25a0-v-1-65705b66985e/65705b66727952258b1b7fa9i/300c5bfe79f07fa430681530fc30e0300d30b930e930a4-pdf30d530a130a430eb • -第一部の内容はこのPDFを参考にしました
数学ガール - ガロア理論 • 数学ガール ガロア理論 • 結城浩 • http://www.amazon.co.jp/dp/4797367547/aoiroyozora-22 • 第二部の内容はこの本の第一章と第三章を参考にしました
群論の味わい • 群論の味わい -置換群で解き明かすルービックキューブと15パズル- [単行本] • David Joyner (著), 川辺 治之 (翻訳) • http://www.amazon.co.jp/dp/4320019415/aoiroyozora-22 • 群によるパズルの表現と全体の構成はこの本の第一章、第三章、第五章、第八章以降を参考にしました