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参加とリーダーシップ・   自立とパートナーシップ

参加とリーダーシップ・   自立とパートナーシップ. 立命館大学経済学部 松尾 匡. 目次. 「国家」か「市場」かの常識 第三の領域の発見 市民事業の変質と四つの社会原理 アソシエーションの目指し方──市場と共同体の間の軸足の交代 参加とリーダーシップの問題 自立とパートナーシップの問題 まとめにかえて. I 「国家」か「市場」かの常識. 冷戦時代の対決軸. 55 年体制 1955 年保守合同→自由民主党成立 1955 年社会党左右両派の合同 保守側 ( 右派 ) 自由民主党、財界 ( 大企業 ) 、アメリカ 企業が自由に活動できる市場経済を

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参加とリーダーシップ・   自立とパートナーシップ

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Presentation Transcript


  1. 参加とリーダーシップ・  自立とパートナーシップ参加とリーダーシップ・  自立とパートナーシップ 立命館大学経済学部 松尾 匡

  2. 目次 • 「国家」か「市場」かの常識 • 第三の領域の発見 • 市民事業の変質と四つの社会原理 • アソシエーションの目指し方──市場と共同体の間の軸足の交代 • 参加とリーダーシップの問題 • 自立とパートナーシップの問題 • まとめにかえて

  3. I「国家」か「市場」かの常識

  4. 冷戦時代の対決軸 • 55年体制 • 1955年保守合同→自由民主党成立 • 1955年社会党左右両派の合同 • 保守側(右派) • 自由民主党、財界(大企業)、アメリカ • 企業が自由に活動できる市場経済を • 革新側(左派) • 社会党・共産党、労働組合 • 国家が市場を抑えて労働者の生活を守れ

  5. 革新側(左派) 「大きな政府」にして福祉拡充を 国有化、規制強化 アメリカから自立(自給自足志向) 保守側(右派) 福祉削減して「小さな政府」を 民営化、規制緩和 アメリカとの協調(自由貿易推進) 55年体制での「国家vs市場」 国家側 市場側

  6. 冷戦世界の「国家vs市場」 アメリカ陣営 ・市場中心・営利企業 国家側 市場側 ソ連陣営 ・国家中心・国有、指令経済

  7. 国家から市場への流れ • 1980年代の新自由主義路線 • 規制緩和、民営化、市場自由化 • レーガン(米)、サッチャー(英)、中曽根(日) • ソ連・東欧体制の崩壊(1989-1991) • EU統合(1992) • その後、市場化・グローバル化進展

  8. 雇用の流動化 日本型雇用慣行 「構造改革」路線 日本でも市場化が進行 • 株主資本主義 • 企業系列集団 • 規制緩和 • 規制による保護 • 民営化・財政削減 • 国営・財政支出 • 介護保険 • 家族介護 • グローバル化 • 国民経済の自立 身内集団原理 市場原理(開かれた取引)

  9. 市場原理 個人の自立 わりきった取引 各自は自分のため→市場の自動調整 開放性 身内集団原理 上位者が意識してコントロール ヒトによるヒトの支配 関係の持続 弱者はイジメられるが身内である限り保護される ヨソ者は排除 • 弱肉強食の「格差社会」 • 長時間労働・自由な解雇 • コミュニティ崩壊・環境破壊 市場化がもたらしたもの 小さな政府 大きな政府 国家から市場へ

  10. では逆戻りができるか? • 国家介入・身内集団原理の行き詰まり ↓もう後戻りはできない

  11. ではどうすればいいのか

  12. II 第三の領域の発見

  13. 市場や大企業経営者の独断に従うか 政治家や官僚達の独断に従うか 国家も市場も同じ穴のムジナ 手の届かない所からの支配 ギャップ 暮らしや労働の現場の事情

  14. こういうのを「疎外」と言う • 詳しくは、松尾匡著『「はだかの王様」の経済学』(東洋経済新報社、税込み1995円)をお読み下さい。

  15. そこで、なるべく疎外のない暮らしを作っていくためにそこで、なるべく疎外のない暮らしを作っていくために • 個々人によって自由にコントロールできる経済関係を、個々人の手の届く所から作っていこう。 前期見た事例:NPO、労働者協同組合、NGO等々(これを「市民事業」と呼ぼう)の作る経済。

  16. 市場・営利企業セクター NPO・協同組合・コミュニティ つまり「第三の領域」の発見 行政セクター

  17. 例:事業形態はどんなのがいいか • 資本主義企業:株式会社や有限会社。 • 国有・公有企業。 どっちも、現場の従業者や利用者に主権がない。 → 勝手なクビ切り、パワハラ、低賃金・無保障、過労・・・

  18. 労働者管理企業の登場 • 前期お話しいただいた労働者協同組合「ワーカーズコープタクシー」ワーカーズコープタクシー福岡(労協連HPより) • 世界最大の事業「成功例」:スペインの「モンドラゴン協同組合」フルハシ環境総合研究所HPのU21Cレポート00年7/17. 11/8ブログ「低気温のエクスタシーbyはなゆー」04年1/22モンドラゴン基本原則『協同の發見』00年9月協同総研HP(大きくなりすぎて問題も)

  19. 労働者管理企業の登場 • ワーカーズコレクティブと名乗るケース(消費生協の組合員の女性が多い) • ワーカーズ・コレクティブ ネットワーク ジャパンhttp://www.wnj.gr.jp/ • 東京ワーカーズ・コレクティブhttp://www.tokyo-workers.jp/ • 自主生産と名乗るケース(倒産後の会社を従業員が引き継いで生産) • パラマウント製靴共働社(前身倒産1977年,設立87年)が最も有名なケース。http://www.para.co.jp/

  20. 例:公共事(医療・福祉・教育・環境等)を誰が担うのか例:公共事(医療・福祉・教育・環境等)を誰が担うのか • 資本主義企業の営利ビジネスに。→消費者に選択の自由。ニーズに合う。効率的。 おカネのない人のニーズは軽視、目先の利益にならない事業は過小に。 • 国や地方公共団体が公共のために担う。 非効率・官僚主義・多様なニーズ無視・財政悪化

  21. 新型協同組合 • 80年代末から出現、90年代に広まる • 医療生協 • 地域住民が出資しあって診療所を作り、自分たちで医療・保健活動をする • 日本生協連医療部会HPよりhttp://www.jhca.coop/whats/index.html • 高齢者福祉生協 • 日本高齢者生協連合会HPよりhttp://kourei.roukyou.gr.jp/01_nakama/topix_1.htm

  22. 新型協同組合 • 保育・教育・文化の協同組合も出現 • 黄柳野高校(日本最初の市民立高校)http://www.tsugeno.ac.jp/

  23. NPOの活躍例 • 年間収入1億円を超える福祉NPO北九州あいの会http://www.npo-ainokai.org/ • 湧水の清流を復活させ、まちづくりにとりくむグラウンドワーク三島公式HP http://www.gwmishima.jp/「三助のまちづくりのページ」より http://www.mii.kurume-u.ac.jp/sanken/matidukuri/sansuke/grand01.html • 犯罪のないまちのために丸腰で取り組むガーディアンエンジェルス公式HP http://www.guardianangels.or.jp/

  24. III 市民事業の変質と四つの社会原理

  25. しかし、このような市民事業にも、いろいろな問題が!しかし、このような市民事業にも、いろいろな問題が!

  26. 原因は閉鎖性 市民事業の変質の例テキストp.194-195のケース • Y福祉会事件幹部に逆らった者への、「補講教育」という名の監禁・つるし上げ、処分の頻発。→ 争議に。綱領廃棄・総括。被害者への謝罪。http://www.fukuho-tokai.jp/topics/080430-154118.html • I生協事件ワンマン副理事長が私物化。告発職員を処分。→ 争議に。理事会総交代、被害者への謝罪。http://www006.upp.so-net.ne.jp/pisa/hanketsu030618.html(しかしこの後、公然と営利路線化したという声も)

  27. 市場・営利企業セクター NPO・協同組合・コミュニティ 第三の領域は二分される • 身内共同体ではなくアソシエーションを 行政セクター

  28. 市場・営利企業セクター アソシエーション 身内共同体 第三の領域は二分される • 身内共同体ではなくアソシエーションを 行政セクター 開放的 閉鎖的 個人の自立 個人の埋没

  29. 身内共同体だとどうなるか • 市場活動の「必要悪」視   ↓ • 「競争に勝つため」低所得で酷使 • 取引相手の手段視→不祥事 • 異論や内部告発への抑圧 ↑ 身内集団倫理によって正当化(忠誠・身内優先・裏切りは悪)

  30. 社会関係原理は四種類ある

  31. 身内共同体原理 集団への個人の埋没ヨソ者は排除身内は優遇しあう対等な相互束縛

  32. ヒエラルキー 上位者への服従と下位者の保護ヨソ者は排除

  33. 市場 自立した個人の対等な関係匿名で開放的・流動的自由競争・自己責任市場変動に支配される

  34. アソシエーション 自立した個人の対等な関係開放的・流動的だが匿名ではない合意に基づく関係 これがメジャーになるよう

  35. IV アソシエーションの目指し方──市場と共同体の間の軸足の交代

  36. しかし、アソシエーションはまだマイナー 他の既存三原理に依拠しながら、アソシエーション的側面を増やしていくしかない。

  37. 市民社会論的アプローチ 市場原理に軸足を置いてアソシエーションを目指す。 →開放社会の側面をのばす。  開放性、個人の自立、創意革新、  節約、公明・公正・・・

  38. 市民社会論的アプローチ 市場原理に軸足を置いてアソシエーションを目指す。 →しかし市場の疎外社会的変質の危険。  拝金主義、拡張路線の行き過ぎ等

  39. コミュニタリアン的アプローチ 身内共同体原理に軸足を置いてアソシエーションを目指す。 →関係者一人一人の合意を充実。  一般関係者の主体的日常的参加・運営

  40. コミュニタリアン的アプローチ 身内共同体原理に軸足を置いてアソシエーションを目指す。 →しかし閉鎖社会的変質の危険。  タコツボ化、相互束縛、マンネリ化等

  41. よって軸足の交代が必要 最初は市場原理に軸足を置いて開放社会的側面をのばすが、 やがて市場的疎外の弊害が目立ってきたら、

  42. よって軸足の交代が必要 身内共同体原理に軸足を置きかえて、関係者の民主的合意の充実を図る。 やがて閉鎖集団化の弊害が目立ってきたら、

  43. よって軸足の交代が必要 また市場原理に軸足を移しかえる、

  44. よって軸足の交代が必要 これを繰り返す。

  45. よって軸足の交代が必要 これを繰り返す。

  46. よって軸足の交代が必要 これを繰り返す。

  47. よって軸足の交代が必要 軸足の交代を繰り返すうちに、長い目で見てアソシエーションの側面が発展していけばよい。

  48. ただし注意 市場原理と身内共同体原理のマイナスの側面が相互促進的に働く力もあるので注意。

  49. V 参加とリーダーシップの問題

  50. 最初は市場原理に軸足をおく それぞれの市民事業にせよ、まちづくりにせよ、最初は市場原理に軸足を置いたものから出発する場合が多い。なぜか。

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