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資料 2. 大阪府公立病院改革に関する基本的考え方 ( 仮称 ) 【 案 】. 平成 20 年 8 月 13 日. 平成20年8月 大 阪 府. 《 目次 》. 1 はじめに 1 2 公立病院改革の必要性 3 3 公立病院の果たすべき役割 14
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資料 2 大阪府公立病院改革に関する基本的考え方(仮称)【案】 平成20年8月13日 平成20年8月 大 阪 府
《目次》 1 はじめに 1 2 公立病院改革の必要性 3 3 公立病院の果たすべき役割 14 4 一般会計負担の考え方 15 5 経営の効率化 18 6 再編・ネットワーク化 25 7 経営形態の見直し 37 8 まとめ ~具体化に向けて~ 41
1 はじめに • 公立病院については、診療報酬改定による医業収入の減少や医師不足に伴う診療体制の縮小などにより、全国の4分の3が経常赤字になっており、経営改善を図るための抜本的な取り組みが求められている。 • こうした事態を受け、総務省は平成19年12月24日に、「公立病院改革ガイドライン」を策定し、病院を開設している地方自治体に対して、平成20年度内に「公立病院改革プラン」を作成し、来年度以降3年間で経常黒字を達成し経営改善を図ること、また二次医療圏単位等での再編・ネットワーク化及び経営形態の見直しについては5年間での達成を要請している。 • 大阪府では、この「公立病院改革ガイドライン」の要請を踏まえ、「大阪府公立病院等のあり方懇談会」を設置し、有識者からのご意見を伺うとともに、改革の柱である「経営の効率化」、「再編・ネットワーク化」、「経営形態の見直し」の三つの視点について重点的に検討を行い、この度、「大阪府公立病院改革に関する基本的考え方」のとりまとめを行った。 1
公立病院改革ガイドライン ※経済財政諮問会議(19.5.15)菅議員提出資料 三つの視点に立って、公立病院改革を推進 ◇給与・定員管理の適正化 ◇経費の節減合理化 ◇病床利用率向上等による収入 確保 など ◇基幹病院とサテライト病院・ 診療所間の機能分担を徹底 地域における医療提供体制の 維持・医師確保の環境整備 ◇民間的経営手法を導入 ・指定管理者制度 ・地方独立行政法人化 ・民間への事業譲渡 など 経営効率化 再編・ネットワーク化 経営形態の見直し 各自治体において、国の示すガイドライン等を踏まえつつ、経営指標に関する数値目標を設定した改革プランを策定し、地域医療を確保 都道府県の積極的な参画 ◇関係省庁が連携して、総合的に支援 ◇総務省において、新たな支援方策を策定 するとともに、改革の実施状況を調査・公表 経営アドバイザー等の助言 2
2 大阪府における公立病院改革の必要性 • 大阪府内の公立病院では、平成16年度から経営悪化が顕著となり、平成18年度決算では、全国の不良債務の総額のうち、約2割を占めるなど、非常に厳しい経営状況となっている。 • その背景には、平成16年度から導入された新医師臨床研修制度を契機とした医師不足、また休日や夜間の時間帯に救急外来診療を利用するコンビニ受診の増加等で、医師が過重勤務となり退職していくことなどの事情がある。さらに、権限や責任が不明確な経営体制や、人件費及び減価償却費等の高コスト体質などの問題も指摘されている。 • とりわけ病院従事医師数については、府内全体では増加している中、公立病院では減少傾向にあり、こうしたことを背景に特に泉州医療圏では、休診科目を抱える病院が他圏域より多い。今後、安定した経営を行う上で医師確保は喫緊の課題であり、医師にとって、働きやすく、魅力を感じる病院づくりに重点的に取り組むことが必要である。 • 各自治体においても税収の低下など厳しい財政状況の中で、「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」の施行により、これまで以上に厳しい財政運営を求められており、病院経営に当たっては、民間医療機関等の集積など地域の現状を十分に考慮し、その役割を再度明確にするとともに、安定した経営の下で、地域における必要な医療体制を確保していくことが求められている。 3
府内公立病院を取り巻く状況 • ■府の概況 • 人口密度が高い。へき地がない。 • 公共交通機関や道路網が発達し、多くの府県と比較して交通の便がよい。 • など • ■病院の分布 • 圏域によって、公立病院の設置状況が異なる。 【P.7】 • 公立病院と他の民間病院等が近接して立地している。 【P.7】 • など • ■病床数、規模 • 人口あたりの病院数・病床数は全国平均に比べて若干少ない。 【P.8】 • 公立病院の病床規模は、全国に比べて大きい。(全国平均約240床、大阪府平均約400床) • 府内全病院数に占める公立病院数の割合(4.9%)は、全国(11.7%)に比べて低い。 【P.9】 • 府内全病床数に占める公立病院病床数の割合(9.6%)は、全国(15.1%)に比べて低い。 • 【P.9】 • 多数の診療科目を標榜している公立病院が多いが、配置医師数が1~2名のみで各診療科 • の規模が小さい病院がある。 • など 大阪府内の公立病院では、総花的に診療科目を設置している病院が多い が、勤務医師数の減少により休診を余儀なくされ、経営が非常に悪化して いる。このような状況の中で、限られた医療資源を有効に活用するために は、公・民の適切な役割分担を行うとともに、公立病院の役割を明確にす る必要がある。 4
■機 能 • 地域における救急、小児、周産期医療については、公立及び民間病院等により確保されて • いるが、その割合はそれぞれの分野で異なっている。 ※公立病院の占める割合:救急…5%、小児救急…約4割、小児科入院機能…約3割、周産 期医療(分娩施設を有する医療機関)…11.4% 【P.12】 • 救急告示病院数は、平成14年から平成20年にかけて減少している。公立病院も例外ではな • いが、小児救急では民間病院の撤退が多く、結果として公立病院が果たす役割は大きくな • っている。 • ※小児科を救急告示する病院に占める公立病院の割合:H14 31.0%⇒H20 38.9%【P.13】 • 府内の臨床研修病院(単独型・管理型)の25%を公立病院が占めている。 • など • ■医師確保 • 全国、府ともに病院従事医師数及び診療所従事医師数は増加しているが、府内の公立病院 • 従事医師数は減少している。 【P.10】 • 府域全体では人口あたり医師数、病院従事医師数は全国に比べて多い。ただし、医療圏に • よっては全国平均を下回っているところがある。 【P.11】 • 南河内、堺市、泉州医療圏で、15%を超える診療所医師数の大幅な増加が見られる。 • など 【P.11】 5
■経 営 • 全国の不良債務額のうち府内公立病院が約2割を占める。〔平成18年度〕 • 府内すべての公立病院で累積欠損金(赤字)が発生している。 • 人件費比率が高い公立病院が多い。 • …公立病院と医療法人の医療従事者の給与を比較すると、全国的な傾向として、医師で • は医療法人の方が高く、看護師・事務職員では公立病院の方が高い。 • 減価償却費が高い。 • 病床利用率が低い。 • など 6
圏域によって、公立病院の設置状況が異なる。圏域によって、公立病院の設置状況が異なる。 公立病院と他の民間病院等が近接して立地している。 府内の公立病院と他の病院との位置関係のイメージ (公立病院と一般病床200床以上の病院) 7
大阪府の人口あたりの病院・病床数は、全国平均に比べて若干少ない。大阪府の人口あたりの病院・病床数は、全国平均に比べて若干少ない。 都道府県別人口10万人あたり病院・病床数 8
府内全病院数に占める公立病院数の割合(4.9%)は全国(11.7%)に比べて低い。府内全病院数に占める公立病院数の割合(4.9%)は全国(11.7%)に比べて低い。 府内全病院数に占める公立病院の割合 ※公立病院=公営企業法適用病院+府立病院機構 府内全病床数に占める公立病院病床数の割合(9.6%)は全国(15.1%)に比べて低い。 府内全病床数に占める公立病院病床数の割合 9
大阪府の病院従事医師数及び診療所従事医師数は共に増加している。大阪府の病院従事医師数及び診療所従事医師数は共に増加している。 一方、府内の公立病院従事医師数は減少している。 医師数及び病院従事医師数・診療所従事医師数の年次推移(大阪府) 10
全国・大阪府・二次医療圏別医師の状況 全医師数は増加傾向。 二次医療圏ごとに従事医師数にバラツキがある。(北河内・中河内・堺市・泉州 医療圏の従事医師数は人口10万対で全国平均以下) 中河内・堺市・泉州医療圏では、病院勤務医が減少。 南河内・堺市・泉州医療圏では、診療所従事医師が15%を超える大幅な増加。 (平成18年) 人口10万対 (厚生労働省「医師・歯科医師・薬剤師調査」より) 11
地域における救急・小児・周産期医療については、公立及び民間病院等によって 確保されているが、その割合はそれぞれの分野で異なっている。地域における救急・小児・周産期医療については、公立及び民間病院等によって 確保されているが、その割合はそれぞれの分野で異なっている。 救急・小児・周産期医療体制における公立病院の占める割合(大阪府) 12
救急告示病院数は平成14年から20年にかけて減少している。救急告示病院数は平成14年から20年にかけて減少している。 公立病院も例外ではないが、小児救急では民間病院の撤退が多く、結果として公 立病院が果たす役割は大きくなっている。 二次救急医療体制年次推移(大阪府) 13
3 大阪府における公立病院の果たすべき役割 3 大阪府における公立病院の果たすべき役割 • 公立病院は、地域で必要な医療を安定的に提供していくことが期待されている。とりわけ、二次医療圏において救急医療、小児医療、周産期医療などを提供すること、及び医師への研修機能の充実については、公立病院が果たすべき役割は大きい。 保健医療計画⇒4事業 (救急医療、災害医療、周産期医療、小児救急を含む小児医療) ■二次医療圏において、救急医療、災害医療、周産期医療、小児救急を 含む小児医療の提供。 ■保健、福祉、医療の連携を図るとともに、医師の研修や医療従事者の 教育の充実。 ■地域において不足する医療機能の確保。 14
4 一般会計負担の考え方 • 公立病院は、公民の適切な役割分担の下、地域において、必要な医療提供体制の確保を図る必要がある。 • そのため、一般会計からの繰入については、民間医療機関等の医療機能等を十分に把握し、公立病院の役割を明確にした上で、税負担という観点から、負担の考え方及び算定基準を明らかにすることが求められている。 • 一般会計から繰入が行われた後は、経常収支100%以上(経常黒字)の経営を目指すべきである。 算定基準の考え方 限定的な範囲で繰入を行う。 ■繰入基準が明確なものについては、基準どおりに繰入を行う。 ■繰入基準が不明確なものについては、公立病院の果たすべき役割を踏ま え、より限定的な範囲で繰入を行う。 ※各自治体で設置した算定基準については、財政事情により変動すること がないよう厳格な運用に努める。 15
地方公営企業法第17条の2、3(経費の負担の原則)地方公営企業法第17条の2、3(経費の負担の原則) ① その性質上当該地方公営企業の経営に伴う収入をもって充てることが適当でない経費 (公企法17の2①) ・公的必要性から看護師養成所等のように厳密にいえばその性質上一般行政事務であるものが、たまたま企業 経営とあわせて行われている場合もある。 ◆看護師確保のための養成事業経費 ◆救急の医療を確保する経費 ◆集団検診、医療相談等保健衛生に関する行政として行われる事務経費 ② 当該地方公営企業の性質上能率的な経営を行ってもなおその経営に伴う収入のみを もって充てることが、客観的に困難であると認められる経費 (公企法17の2②) ・地方の基幹病院として高度の医療機器による治療等を必要とするものもあり、その設備費と医療需要を勘案し た場合、全く採算のとれないものも行わなければならない場合もある。 ◆地域における医療水準の向上をはかるため必要な高度(※1)又は特殊な医療(※2)で採算をとることが困難 であると認められるものに要する経費 ◆当分の間、病院及び診療所の建設又は改良に要する経費 ※1高度 高度な器機、設備、技術等によって行う医療で患者数等からみて採算をとることが困難であるが、地方公共団体の経営する病院として行わざるを得ないものをいうものであり、この医療に要する経費には、その運営費のほか、建設改良に要する経費が含まれるものである。何が高度な医療であるかは病院の所在する地域の実情によって異なり、個々の具体的な実情をもって勘案して判断しなければならないものである。(基本通達) ※2特殊(1)リハビリテーションその他の先駆的医療、(2)未熟児収容部門における医療その他特殊の看護を要する医療、(3)その立地条件からみて患者数に対応して施設の縮小転換がただちに困難と認められる結核病院における医療、(4)病理解剖等いずれも採算をとることは困難であるが、地方公共団体の経営する病院として行わざるを得ないものをいうものであり、その運営費のほか、建設改良に要する経費が含まれる。(基本通達) ③ 地方公共団体は災害の復旧その他特別の理由により必要がある場合には、一般会計又 は他の特別会計から地方公営企業の特別会計に補助をすることができる。(公企法17の2①) 16
府内公立病院 一般会計繰入金の状況 ※公立病院→公営企業法適用病院 ※地方公営企業年鑑等(総務省)より 17
5 経営の効率化 • 大阪府では、公共交通機関や道路網の発達により、病院へのアクセスが比較的容易であるとともに、公立病院と民間病院等が近接して立地している。 • 病床数についても、人口10万人あたりでは全国平均を下回っているものの、いずれの二次医療圏でも基準病床数を超え過剰状態となっている。 • このような特性がある中で、公立病院は、地域における役割が何かということを今一度確認し、それをしっかり担うとともに、安定した経営の下で、地域に必要な医療を提供していく責務がある。 • また、「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」の施行に伴い、健全度を測る新たな指標が導入されたことにより、自治体はこれまで以上に健全な財政運営を求められることになる。今回、連結実質赤字比率などの健全性を示す指標に公営企業会計も対象範囲に位置づけられたことから、現在の厳しい病院経営が自治体全体の財政破綻を招く恐れもある。そのため、各自治体は、病院について、病床規模、医療機能や人員体制等の実情を踏まえ、平成23年度までに経常収支100%以上(経常黒字)の達成を目指す経営目標を設定して、早急に経営の効率化を図る必要がある。 18
大阪府内公立病院の経営状況 ※公立病院→公営企業法適用病院 経常収支比率 • 全国的に下落傾向にある。 • 府内公立病院は全国平均より低い。 ※経常収支比率(%) =経常収益÷経常費用×100 病床利用率(一般) • 全国的に下落傾向にある。 • 府内公立病院 15年度は黒字病院並み⇒16年度以降差が開いている。 ※病床利用率(%) =年延入院患者数 ÷年延許可病床数×100 平均80%割る ※地方公営企業年鑑(総務省)より 19
職員給与費対医業収益比率 • 全国の黒字公立病院の比率は下がっているが、府内公立病院は上昇。 • 医業収益は減少しているが、職員給与費は上向き。 • 委託化は進んでいるが、職員給与費は上向き。 ※職員給与費対医業収益比率 =職員給与費÷医業収益×100 職員給与費と委託費の合算 ※(職員給与費+委託費) 対医業収益比率 =(職員給与費+委託費) ÷医業収益×100 ※地方公営企業年鑑(総務省)より 20
不良債務 • 不良債務額が年々増加している。 ※大阪府内公立病院の不良債務の合計額 ※不良債務額 =貸借対照表(3月31日現在)に おいて、流動負債の額が流動資産 の額を超える額 流動負債-(流動資産-翌年度へ 繰越される支出の財源充当額) (億円) (%) ※不良債務比率(%) =不良債務額÷医業収益×100 (事業数) 大阪府 197.6億円 (全国の約20%) (19事業中、9事業で発生) 21 ※地方公営企業年鑑(総務省)より
大阪府内の公立病院では、上記資料のとおり、平成16年度から経営悪化大阪府内の公立病院では、上記資料のとおり、平成16年度から経営悪化 が顕著となり、年々厳しくなっている。このような状況の中で、各自治体が 病院の経営効率化を図るためには、現状分析を行い、経営目標を設定した上 で、今後、どのような課題に重点的に取り組んでいくべきかを方向付けする ことが重要である。 (1)現状分析 ■ 自病院の現状を分析し、「強み」、「弱み」を把握する。 財務分析、診療科別損益計算、ベンチマーキング分析 などの手法を 用い現状分析を行う。 (2)経営指標の目標数値(民間病院並の効率性) • ■「公立病院改革ガイドライン」が指定している指標 • 経常収支比率 100%以上 【平成23年度までに】 • 職員給与費対医業収益比率 経常収支100%以上 • 病床利用率 の目標を前提とした比率 • ■不良債務の解消について • 資金不足比率 不良債務の解消年度を明らかにする目標設定 • ・改革プラン策定に当たっては、不良債務を早期に解消する必要があり、その時期を明確に • する。また、新たな不良債務を発生させないよう単年度収支の均衡を図る健全化が必要。 • ⇒不良債務の解消時期は5年以内を目標とする。 22
(3)重点的に取り組むべき課題とその対策(例)(3)重点的に取り組むべき課題とその対策(例) • ■深刻な経営悪化につながる医師不足への対応 • 働きやすく、魅力ある病院づくり • 負担軽減 • ・医師が行っている業務の負担を軽減する。 • ⇒ 医療クラークの配置…診断書等の文書作成補助、カルテ記録の代行、診療データの整理な • どの事務処理を行い医師をサポートする。 など • スキルアップ • ・新しい技術の習得等に必要とする研修・研究時間を確保する。 • 勤務形態の柔軟性 • ・地方公務員法による兼業禁止などの制約は、医師確保を困難にしている一つの要因 • となっていることから、柔軟な勤務体制の検討が必要である。 • ⇒独立行政法人化(非公務員型)、指定管理者制度導入の検討 • ■経営責任の明確化 組織体制の再構築 • 経営責任者のリーダーシップ • ・経営責任者は、経営改善に対する明確な方針を示し、経営の効率化に向けた積極的 • な取り組みを行うなど、強いリーダーシップが求められている。 • 人材育成 • ・経営部門の中心的な役割を果たす事務職については、診療報酬などの専門的な知識 • が必要であるため、人材育成を計画的に行い、安定した経営を行うことができる組 • 織体制の構築を行う。 • 外部人材の登用 • ・幅広いものの考え方や多様な意見を反映することが必要なことから、外部からアド • バイザー等を登用し、組織の活性化を行い体制の強化を図る。 23
■人件費の見直し 民間医療機関との均衡を考慮■人件費の見直し 民間医療機関との均衡を考慮 • ・公立病院の医師の報酬は、民間医療機関等に比べて低いことが統計からも指摘されて • るところであり、報酬をはじめ処遇の改善を行う。 • ・また、その他の職種についても、公立病院の役割を踏まえ、民間医療機関等との均衡 • を図るように努める。 • ■建設費の適正化 民間医療機関並の水準として計画作成 • ・公立病院は、民間医療機関に比べ多額の施設整備を行っていることが多い。しかし計 • 画どおりの収入が確保できないために、結果として、収入に対する減価償却費の割合 • が高くなり、経営の悪化に至っている。今後、施設整備を行う自治体は、1床当たり • の建設費を民間医療機関並みの水準として施設整備の計画を作成する必要がある。 • ■職員の意識改革 住民ニーズの把握、情報の共有、経営への参画 • ・住民ニーズを把握するとともに、情報の共有化や意見交換の場を設定し、職員間 • の連携を強化することにより、職員一人ひとりが、経営に参加する体制を整備す • る。 • ■公立病院の役割における目標設定 公・民の適切な役割分担 • ・救急、小児、周産期医療等について、その役割を十分に果たすために、地域の実情を • 踏まえた目標を設定する。 • ■住民啓発の推進 医療の安全性、継続性を重視する視点への理解 • ・これまで公立病院は、住民から「安全でかつ高度な医療を提供し、さらに身近で便利 • であること」が求められてきた。しかし、深刻な医師不足等により、病院の継続自体 • が危ぶまれている状況では、利便性を多少犠牲にしても、医療の安全性と継続性を重 • 視すべきであるという視点への住民理解を求めていく必要がある。 24
6 再編・ネットワーク化について (1)再編・ネットワーク化の必要性 府内公立病院は、地域で必要な医療を安定的に提供していくことが期待されている。 とりわけ、二次医療圏において、 ・救急医療、周産期医療、小児医療などを提供すること ・医師への研修機能の充実 について、公立病院が果たすべき役割は大きい。 しかし、以下の課題により、その役割を十分には果たせなくなりつつある。 1)医療提供機能の低下 ・総花的な診療科目 ・勤務医師数の減少 ・診療科目の減少・休診 ・医師にとっての魅力低下 2)赤字の定着 ・高い人件費比率 ・高い減価償却費 課 題 医師をはじめとした医療資源が限られ、市町村財政が逼迫している現状において、病院 単独での課題解決には限界があり、公立病院としての役割を果たすため、「病院の再編 ・ネットワーク化」を図ることも課題解決の手段の一つである。 25
(2)再編・ネットワーク化に必要な視点 再編・ネットワーク化の目的は、「医療提供機能の強化」であり、それを確実に進める ためにも「提供する医療機能に見合った経営形態」「住民の理解促進~利便性より安全 性、継続性~」の視点も不可欠である。 視点1 医療提供機能の強化 ○ 働きやすい環境作りを通じた医師確保 ・休暇、当直回数等の勤務条件の改善、給与面での配慮 ・研修・研究機能の充実 など ○ 新しい医療機能の創設 ・「小規模・総花的診療科目」から地域で必要とされる医療機能を分担して提供 ・住民に対してこれまで以上に、安全・安心な医療提供が可能 ・今まで提供できなかった医療機能の提供 ・医師にとっても魅力的な医療機関となり医師確保も期待できる 視点2 提供する医療機能に見合った経営形態 ○ 多様なパターンが想定される再編・ネットワーク化を図るには、実態に即した経営形態の模索が必要 視点3 住民の理解促進~利便性より安全性、継続性~ ○ 下記の点について住民の理解を得ることが必要 ・公立病院の存続が危ぶまれている状況では、利便性と専門性・安全性は並存しない ・再編・ネットワーク化は、公立病院が医療サービスを提供する上で、安全性を向上させたり、継続性を 担保するために有効な手段 26
(3)大阪府における再編・ネットワーク化のパターン(案)(3)大阪府における再編・ネットワーク化のパターン(案) 総務省の改革ガイドラインが示すパターン例は、必ずしも大阪府に合ったものではない ため、府内二次医療圏ごとの特性を踏まえ、実現可能性があるパターンを作成した。 本パターンは、再編・ネットワーク化について、地域における自主的な議論に資するた め、あくまで“一つのたたき台”として提案するもの。 今後、本提案をきっかけとして、これ以外の選択肢も含め、地域医療に必要かつ適切な 方策について、病院設置者をはじめ、地域の関係者による活発な議論を期待するととも に、府としては、それを支援していく。 ■ 機能分担(ネットワーク化) パターンⅠ 診療科による分担 (例)産科と婦人科、消化器内科と循環器内科 パターンⅡ 病状期による分担 (例)急性期と 回復期(亜急性期) ■ 機能統合(再編・集約) パターンⅢ 複数の病院の機能を一つに集約して、新病院を建設 パターンⅣ 機能・病床の全部又は一部を既存のいずれかに集約化 ■ その他 パターンⅤ 廃止(民間等への譲渡を含む。) パターンⅥ 現状の機能を維持 27
大阪府における再編・ネットワーク化のパターン(案)と検討に適する地域の状況大阪府における再編・ネットワーク化のパターン(案)と検討に適する地域の状況 28
7 経営形態の見直し (1)経営形態の見直しの必要性 • 公立病院が、安定した経営を行い、地域に必要とする医療を提供するためには、医師確保をはじめ、収支改善、職員の意識改革など様々な課題を解決していく必要がある。 • とりわけ、経常収支100%以上(経常黒字)の経営目標を達成するためには、人事・予算等に係る実質的権限・責任を一本化し、効率的・効果的な経営体制を整備することが不可欠である。 • そのため、現行の経営形態について、諸課題の整理を十分に行い、地域医療の確保、経営目標の達成には、どのような経営のあり方が適切なのか、抜本的に見直すことが求められている。 経営形態 地方公営企業法全部適用、地方独立行政法人化、指定管理者制度、民間等への譲渡 37
(2)経営形態の見直しに必要な視点 ■独立行政法人化、指定管理者制度への移行も含めた経営形態の見直しが望ましい 各病院では、まず第一に喫緊の課題である経営の効率化に取り組むべきであるが、その中でどの ような経営形態が望ましいか検討を行う必要がある。 地方公営企業法の全部適用については、人事・予算等の権限が付与され自立的運用を行うことは できるが、現在適用している公立病院の状況等からは、医師確保や経営改善を図る上で、必ずし も有効な方法と言えるものではない。 そのため、より自立的、弾力的な経営を行える地方独立行政法人化(非公務員型)や、指定管理者 制度への移行を検討する必要がある。 しかし、独立行政法人等への移行は、経営計画の策定に時間を要することや、職員の身分などの 様々な問題を解決していく必要があり、移行に一定の時間を要するため、早急に検討を始めるべ きである。 また、「民間にできることは民間に委ねる」という考え方に立てば、地域の医療事情から見て、 民間の医療機関等に経営を委ねることが可能な公立病院については、民間医療機関等へ譲渡する ことも検討の対象とすべきである。 • ■再編・ネットワーク化と経営形態の見直しとの関連性 • 再編・ネットワーク化を進めるに当たっては、採算面や医師確保の難易等において病院間に差が 生じる可能性もあり、これを個別の協議や負担金等によって解消する方法もあるが、より根本的 には、共同で独立行政法人化や同一の指定管理者に委託するなど、「経営主体の統合」によりス ケールメリットと自立性・柔軟性を備えることが有効な手段である。 • 従って、統合に伴う「経営形態の見直し」についてもしっかりと見据えることが望ましい。 38
経営形態別の課題等 39
大阪府内公立病院の法適用状況 ※地方公営企業年鑑より 40
8 まとめ ~具体化に向けて~ • 公立病院改革の最大の目的は、改革を通じ、公・民の適切な役割分担の下、地域において必要な医療提供体制の確保を図ることにある。 • そのため、今後、総務省の「公立病院改革ガイドライン」と、この「大阪府公立病院に関する基本的な考え方」を踏まえ、各自治体は、既存の計画等について必要な見直しを行うとともに、「公立病院改革プラン」を策定することが求められる。 • また、改革の柱である「再編・ネットワーク化」、「経営の効率化」と「経営形態の見直し」については、相互に密接な関係にあるため、必要に応じて、課題や方向性を共有しながら、検討していくことが重要である。 41
(1)各自治体における検討 • ①検討に当たって • 各自治体における「公立病院改革プラン」の策定作業を通じて、行政側と病院側 • との十分な意思疎通が必要。(医療の質の確保と経営改善は車の両輪) • ②主な検討課題 • 経営の効率化 ⇒ 給与・定員管理の適正化、経費の節減合理化、病床利用率向上 • 等による収入確保 • 経営目標の設定と達成に向けた具体策 • (目標数値) • ・経常収支比率、職員給与費対医業収益比率、病床利用率、不良債務解消 • (具体策) • ・医師不足への対応…働きやすく、魅力ある病院づくり(給与、勤務時間、研修) • ・経営責任の明確化…組織体制の再構築 • ・人件費の見直し…民間医療機関との均衡を考慮 • ・建設費の適正化…民間医療機関並みの水準として計画作成 • ・職員の意識改革…住民ニーズの把握、情報の共有、経営の参画 • ・公立病院の役割における目標設定…公・民の適切な役割分担 • ・住民啓発の推進…医療の安全性、継続性を重視する視点への理解 • 経営形態の見直し ⇒ 改革を効果的に進めるための経営形態の見直しの方向性 • 独立行政法人化、指定管理者制度への移行も含めた経営形態の見直し。 • 「経営統合」に伴う「経営形態の見直し」についてもしっかりと見据える。 ■ 各自治体では、後述の再編・ネットワーク化に向けた検討と並行して、「経 営効率化」、さらには「経営形態の見直し」に向けた取組みを推進。 42
(2)各圏域における検討 • ①検討に当たって • 大阪府は、連携の方向性について、関係者の基本的コンセンサスが得られるよう、 • 保健所を通じた意向把握や地域での検討など、コーディネーターとしての役割を • 果たす。 • 地域での検討は、保健医療協議会の活用、既存の病院間の場の拡大・活用、新たな • ワーキンググループ等の設置など、地域の実情や検討フェーズに応じて選択。 • ②主な検討課題 • 地域の現状等の把握(マーケティング調査) • ⇒医師など医療資源の状況、患者ニーズ、利用状況、病院の経営状況等 • 再編・ネットワーク化の方向性 • ⇒各地域の医療資源や公立病院としての役割等を踏まえた、地域として確保 • すべき医療のあり方 ■ 再編・ネットワーク化に向けては、各市域を超えた広域的な調整が必要となる ため、二次医療圏等での検討が必要。 43
(3)大阪府の役割 • ①広域的な調整機能の発揮 • 圏域での検討をコーディネートするとともに、その過程で、重点的に取り組むべき • ケースについては、再編・ネットワーク化のモデルとして、当該自治体や大学を • 含め、積極的に調整に努めるなど、広域自治体としての役割を果たす。 • ②病院経営にかかる助言等 • 各自治体の「改革プラン」策定を通じて、病院の経営効率化や、一般会計負担のあ • り方について適切な助言などを実施。 • ③その他の支援、国への要望 • 医師確保のための奨学金制度の創設など、地域における医療体制確保に向けた支援 • 策の検討と併せ、抜本的な医師確保策、診療報酬制度の改善、再編・ネットワー • ク化等への財政支援の充実など、必要な事項について国に働きかける。 • 府民に対して、病院設置市と連携して医療の安全性・継続性を重要する視点への • 理解促進を図る。 44
〒540-8570 大阪市中央区大手前2丁目 総務部市町村課 健康福祉部保健医療室医療対策課 TEL06(6944) 9112 / ファックス06(6944) 6098 TEL06(6944) 6692/ ファックス06(6944) 6691平成20年8月発行