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このスライドは下記の会合での発表に追加・修正を加えたものです (最終訂正:2010.2.18.). 「日本の医療を守る市民の会」特別企画第 3 弾 患者を大切にするドイツの 医療と医療事故処理 2009 年 8 月 8 日 中野サンプラザ 8 階研修室 東京医科歯科大学名誉教授 岡嶋道夫 okajimamic@hi-ho.ne.jp http://www.hi-ho.ne.jp/okajimamic/.
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このスライドは下記の会合での発表に追加・修正を加えたものです (最終訂正:2010.2.18.)このスライドは下記の会合での発表に追加・修正を加えたものです (最終訂正:2010.2.18.) 「日本の医療を守る市民の会」特別企画第3弾患者を大切にするドイツの医療と医療事故処理2009年8月8日 中野サンプラザ8階研修室東京医科歯科大学名誉教授 岡嶋道夫okajimamic@hi-ho.ne.jphttp://www.hi-ho.ne.jp/okajimamic/ 2009.8.8. 岡嶋道夫
患者を大切に扱うドイツの医療と医療事故処理2009年2月22日 日本医学協会 医療問題懇談会文京シビックセンター 学習室東京医科歯科大学名誉教授 岡嶋道夫okajimamic@hi-ho.ne.jphttp://www.hi-ho.ne.jp/okajimamic/患者を大切に扱うドイツの医療と医療事故処理2009年2月22日 日本医学協会 医療問題懇談会文京シビックセンター 学習室東京医科歯科大学名誉教授 岡嶋道夫okajimamic@hi-ho.ne.jphttp://www.hi-ho.ne.jp/okajimamic/ 2009.8.8. 岡嶋道夫
日本と異なるドイツの医療と医療審判制度30年の歩み先端技術産業戦略推進機構健康医療部会研究会2008年6月12日 虎ノ門パストラル東京医科歯科大学名誉教授 岡嶋道夫okajimamic@hi-ho.ne.jphttp://www.hi-ho.ne.jp/okajimamic/日本と異なるドイツの医療と医療審判制度30年の歩み先端技術産業戦略推進機構健康医療部会研究会2008年6月12日 虎ノ門パストラル東京医科歯科大学名誉教授 岡嶋道夫okajimamic@hi-ho.ne.jphttp://www.hi-ho.ne.jp/okajimamic/ 2009.8.8. 岡嶋道夫
内容 1.24時間、365日受診と往診が受けられる救急医療 2.開業医定員制と医師偏在解消への努力 3.地域の医療需要に対応する州病院計画 4.医師の老後に不安のない年金制度 5.手続の簡単な苦情受付と裁判外紛争処理 6.このような医療を支える医師の卒前・卒後・生涯教育 2009.8.8. 岡嶋道夫
ドイツの救急業務 • 交通事故、意識不明、身元不明、誰がみても病院へ、という患者は救急車で病院に直接搬送されるが、それ以外の救急患者は開業医が診療し、入院の必要を認めれば病院に転送する • 夜間、週末、祝日の救急患者は地域の開業医による一般救急業務が引き受ける。急性期病院は必ず内科、外科、産婦人科、放射線科が待機する 開業医の一般救急業務 • 休診日は土日、祝日、水曜午後(全国統一) • 救急当番制: 開業医は全員一般救急当番に参加する義務 がある(65歳まで、病気・妊娠育児免除) 2009.8.8. 岡嶋道夫
休診日と夜間(例19時~7時)は救急当番医が担当休診日と夜間(例19時~7時)は救急当番医が担当 • 救急当番医は総ての年齢、疾患の患者を最初に診て応急処置をする。重症であれば病院に転送する • 耳鼻咽喉科と眼科は別途に救急待機業務 • 最近は地域の救急センターで診療と連絡業務 • 開業医の開業時間は7時から19時まで • 8時半診療開始の場合はそれまでの時間、昼休みは休憩時間であるが、急患があれば診療する • 従って、患者は24時間、365日診療所での受診と往診が受けられる 2009.8.8. 岡嶋道夫
救急当番医と主治医との関係 • 自分の患者は診療時間外でも診療する義務がある • それができないときは救急当番医に依頼する • 日中は必ず連絡可能な状態: 長時間不在にするときは必ず同僚医師に連絡して承諾を得ておく(自分の患者が急患となった場合に回せるように) • 救急当番の時間内は担当地域外に出てはならない • 休暇や病気の時は同僚医師の助け合いが徹底 • 救急で診療した医師は、主治医に報告し、患者を戻さなければならない (患者は逃げないとのこと) 2009.8.8. 岡嶋道夫
救急当番義務化の歴史 • 1956年に医師職業規則で救急業務を義務づけた • しかし、救急業務をしない医師が増えてきた • 1972年に行政裁判所の判決:救急業務を州の法律で義務化せよ • それにより、州医師会と州保険医協会が共同で救急業務規則を作成し実施 • 一般救急業務の能力がないと開業が許可されない • これにより総ての開業医が救急当番に参加する義務を持つ(なるべく平等に担当) 非保険医も参加義務 2009.8.8. 岡嶋道夫
開業医定員制と医師偏在解消への努力 • 1970年代には、ドイツや日本も含めて、多くの国で医師の需要増加を見越して医科大学を多数増設した • 間もなくして医師過剰現象が現われ、その調整が行われることになった。わが国でも1990年代には医師過剰を心配する声が強くなった • しかし、2000年代に入ると、ドイツでも日本でも突如として医師不足傾向が顕在化し始めた 2009.8.8. 岡嶋道夫
開業医の地域別、専門医別の定員制 • ドイツでは1993年に、開業医の過剰や集中を防ぎ、医療供給を適正にする目的で、従来の医師開業認可規則に定員制の条文を導入 • 中・長期計画としての開業医の定員制を実施 • その場合、連邦の地域開発計画資料を参考にして行政地域に準拠して医療圏(計画区域)を設定 • 医療圏ごとに専門医1名あたりの住民数を定めるという形の定員制で、住民が増減すれば、それに比例して定員数も変化する 2009.8.8. 岡嶋道夫
開業医の需要計画医療圏の分類と専門医1人あたりの住民数算出は人口密度と都市構成を基本にしている国会図書館レファレンス 平成20年11月号戸田典子から開業医の需要計画医療圏の分類と専門医1人あたりの住民数算出は人口密度と都市構成を基本にしている国会図書館レファレンス 平成20年11月号戸田典子から 2009.8.8. 岡嶋道夫
専門医1人当りの住民数(1993年) 例示 2009.8.8. 岡嶋道夫
2004年に制度改革で内科専門医の多数が家庭医に転向した。他の科では人数枠に変更なし。2004年に制度改革で内科専門医の多数が家庭医に転向した。他の科では人数枠に変更なし。 2009.8.8. 岡嶋道夫
この場合、医師過剰であった1990年の実情を算出根拠にしたが、これは現在まで続いているこの場合、医師過剰であった1990年の実情を算出根拠にしたが、これは現在まで続いている • 定員制といっても開業医の配置換えをするといった強行手段を取るのではなく、定員を超えた供給過剰の地区での新規開業を許可しないで、供給不足の地区での開業を推進しようとするものである • 定員に満たない医療圏は1996年には 29.7% であったが2008年には 8.4% に減少し、その効果が現われている 2009.8.8. 岡嶋道夫
専門医の充足度 (毎年ほとんど変化しない)人口800万のW-L地方の27医療圏(計画区域)専門医別(2007年9月)、●は充足、左端の列が家庭医専門医の充足度 (毎年ほとんど変化しない)人口800万のW-L地方の27医療圏(計画区域)専門医別(2007年9月)、●は充足、左端の列が家庭医 家庭医 麻酔 眼科 外科 産婦 耳鼻 皮膚 内科 小児 神経 整形 精神 放射 泌尿 2009.8.8. 岡嶋道夫
現在、施行後15年を経過したところであるが、充足度が150%あるいは70%という地区がまだ残っているとのことである現在、施行後15年を経過したところであるが、充足度が150%あるいは70%という地区がまだ残っているとのことである • 自分の気に入った地域で開業する自由は制限されるが、医師の間では大きな反対もなく受入れられている。規制がないと、狭い地域で限られた数の患者の奪い合い、収入の減少ということになり、医師自身にとっても不都合になる • 開業応募者の採用は委員会(保険医協会と疾病金庫から同数の委員)が行うが、選抜方法の詳細は開業認可規則で定められている 2009.8.8. 岡嶋道夫
州別、専門医別に見た開業可能な医療圏数とその医師数(医療圏は総数395) 2008年国会図書館レファレンス 平成20年11月号戸田典子から州別、専門医別に見た開業可能な医療圏数とその医師数(医療圏は総数395) 2008年国会図書館レファレンス 平成20年11月号戸田典子から 2009.8.8. 岡嶋道夫
このように、現在多数の地域並びに大多数の専門において定員は充足されているが、充足度のもっとも低いのは家庭医(一般医学の専門医資格がないと開業できない)。EUでは家庭医として開業を始める医師は、1995年より最低2年間の家庭医としての卒後研修が必須このように、現在多数の地域並びに大多数の専門において定員は充足されているが、充足度のもっとも低いのは家庭医(一般医学の専門医資格がないと開業できない)。EUでは家庭医として開業を始める医師は、1995年より最低2年間の家庭医としての卒後研修が必須 医師偏在の抑止 • ドイツの地形は比較的単純、専門医制度が確立していて、定員を定めやすい、といった事情が日本と異なるが、開業医の定員制という大胆な制度を作っている精神には学ぶべきものがある 2009.8.8. 岡嶋道夫
ドイツ: 州の病院計画 • 病院の運営は州の病院計画による • 病院計画委員会に参加するのは下記4団体 病院協会 疾病金庫州連合体(各種公的医療保険団体) 民間医療保険協会 自治体州連合体 • 毎年州全体の医療需要の統計を作成、地域にあわせて各病院の予算を決定 • 病院は任務により格付、ネットにより相互の連携 • 行政の支出: 病院の建物の補修費・衛生設備・特殊機器といったインフラ費用、十分ではない 2009.8.8. 岡嶋道夫
病院の収入 • 病院が医療保険から支払われるのは◆診療行為に対して保険点数できめられた額◆入院に対する支給基準額=入院1人1日当り の額 • 後者の額は部局の診療レベルに応じて決まる 大学病院は最高の診療をするので最高の額 高度の診療をしない病院はそれに相応の額 • 最近は包括払いに移行 • これらを一括して、医師以下の人件費、物件費などに当てて病院を運営 2009.8.8. 岡嶋道夫
予算と将来計画 • 病院計画では全病院の診療や経理内容を把握 • それに基づいて病院の予算や将来計画を決定 • 診療科の拡大、縮小、廃止、最新治療設備の設置なども州全体の総合的見地で決められる • 各病院は医療の質の確保、費用対効果、節約などにより効率的な病院運営に努力 • 患者が予算より少ない場合:予算返却の計算式 • 患者が多くて予算超過: 次年度の予算で充当 2009.8.8. 岡嶋道夫
医療政策 • 病院計画に自治体州連合体(例えば市町村連合体)が入っているので、州の医療政策を推進する場にもなる • 患者は州をこえて受診する。これに対応し州の間での調整も行われる • 教育病院に認定されると、スタッフ医師の何パーセントかに当る研修医を教育する基準義務があり、研修医は通常の医師として勤務 2009.8.8. 岡嶋道夫
ドイツの病院で使われている質保証のためのスタンダード報告用紙/患者事故発生の場合のリスク・マネージメントドイツの病院で使われている質保証のためのスタンダード報告用紙/患者事故発生の場合のリスク・マネージメント 全ての患者に対して入院時から退 院までの間に起った副作用、院内 感染、事故的なものを全部記入。 何もなければ「事故なし」をチェック。 4枚のカーボンコピーの宛先は 患者記録 質のマネージメント係 看護業務指導部 家庭医 事故が起ったときだけ報告すると いうのではない。 2009.8.8. 岡嶋道夫
医師年金保険制度 • 1960年ごろ各州医師会は医師年金保険を創設 • 医師免許取得者は全員州医師会へ強制加入、同時に 州医師会の年金保険へも加入が義務づけられた • 公的年金と同じ賦課方式なので4,5年後には老齢年金の給付が開始された 2009.8.8. 岡嶋道夫
保険料は高いが、受け取る年金の額も高くなるので、医師としての誇りの持てる老後の生活が保障される保険料は高いが、受け取る年金の額も高くなるので、医師としての誇りの持てる老後の生活が保障される • 勤務医も一般勤労者の年金保険(厚生年金のような)に加入しないで、医師会の年金保険に加入するように義務づけられる • 65歳から支給開始60歳から(減額支給)、65歳以後に(増額支給)上限あるが保険料上乗すれば支給額も増える 2009.8.8. 岡嶋道夫
保険医の68歳定年 • 1999年より68歳を超えると保険医資格がなくなる定年制度ができた • 開業できなくなるが、反対は殆どなかった • 責任の重いきつい医師業務から開放されるということで、むしろ歓迎されたという • その大きな理由は、このような年金制度が確立しているからであった 2009.8.8. 岡嶋道夫
保険料を1ヶ月でも納めていると、病気などで働けなくなった場合、就労不能者年金が支給され、子供には育児手当が支給65歳に達すると老齢年金に移行する保険料を1ヶ月でも納めていると、病気などで働けなくなった場合、就労不能者年金が支給され、子供には育児手当が支給65歳に達すると老齢年金に移行する • 保険数学によって算出される期待権が本人に毎年通知される • 年金保険は保険の専門家と医師によって運営され、監督官庁の監視を受ける 2009.8.8. 岡嶋道夫
ドイツの医師年金ノルトライン医師会(人口970万人)における2004年の実績ドイツの医師年金ノルトライン医師会(人口970万人)における2004年の実績 2009.8.8. 岡嶋道夫
大学病院医師給与 月額 ユーロ (週42時間勤務)2008年1月1日より大学病院医師給与 月額 ユーロ (週42時間勤務)2008年1月1日より 年収は月給の13倍 ドイツでは勤務者は1か月分のボーナスが支給される 2009.8.8. 岡嶋道夫
自治体病院医師給与 月額 ユーロ (週40時間勤務)2006年8月より自治体病院医師給与 月額 ユーロ (週40時間勤務)2006年8月より 2009.8.8. 岡嶋道夫
www.hi-ho.ne.jp/okajimamic/t601/t606.ppt 2009.8.8. 岡嶋道夫
医療事故と裁判外紛争処理 ドイツでは1975年から1978年にかけて、各地の州医師会は鑑定委員会/調停所を設置して裁判外紛争処理(Arbitration調停)を始めた この制度は米国で考案されたものであるが、ドイツでは成功し、患者や医師の信頼を獲得する成果を挙げている その状況は配布資料に示したとおりで、医療過誤の訴えの30%が認められている 制度の詳細は畔柳達雄、我妻学が紹介している 2009.8.8. 岡嶋道夫
米国の裁判外紛争処理(Arbitration 調停) 裁判外紛争処理は1970年代に、増大する医療過誤をめぐる裁判の負担を軽減するために米国で考え出された制度。 色々な種類がある (Arbitration, Mediationなど)現在日本ではMediationが試みられている ここで述べる Arbitration は、米国では半数の州で始められたが、数州を除いて廃止、あるいは成果をあまり挙げていない結果となったしかしドイツでは成功した 2009.8.8. 岡嶋道夫
諸外国との比較 私の知識は浅薄であるが、スウェーデンが1975年から始めた医療事故補償制度は、その基本はドイツと類似、成果をあげているフランスも同様の制度を作った 日本は医療事故調査委員会を作る計画を立てて議論をしているが、進展がない。成立したとしても、莫大な経費、解剖に限定された医学鑑定では限界がある、などの理由で大変懸念される。 ドイツやスウェーデンを眺めてほしい 2009.8.8. 岡嶋道夫
ドイツの裁判外紛争処理の実際 申請手続は簡単なので苦情を訴えやすい 手続は無料 必要資料は委員会が取寄せる(診療記録、検査記録など、必要であれば当該医師の前後に診療した医師の記録なども)患者が集める必要はない 証拠保全は不必要 医師が資料提出に協力して成立するのが裁判外紛争処理、したがって平和的解決と言われる 医師はコピーを作ってから提出 2009.8.8. 岡嶋道夫
書面審理:口頭審理は一部を除き行われない 当事者が出頭することは通常ない 医学鑑定は数多く行われ重要な判断基準となる 裁判外紛争処理の決定は裁判所の判決と異なり拘束力がない、不満であれば民事裁判に 弁護士費用は当事者が負担、低所得者には公費補助、弁護士を頼まなくて済む場合が多い 運営経費は医師会が負担 委員は無報酬(名誉職=ボランティア) 2009.8.8. 岡嶋道夫
委員会は医療過誤の有無のみを判定する 委員会が医療過誤を認めると、患者は保険会社と損害賠償・慰謝料の額について折衝する 金額は事例集を参考にして決められる 保険会社のペースに巻き込まれないために、患者はこのときに初めて弁護士を依頼することが多いという 医療過誤/説明不足が認められただけで満足し、賠償や慰謝料を請求しない人がかなりいる= 23.4%(毎年このくらいいる) 2009.8.8. 岡嶋道夫
鑑定委員会・調停所 年間受理件数ドイツ全体 (畔柳、我妻、Berner、連邦統計 から)鑑定委員会・調停所 年間受理件数ドイツ全体 (畔柳、我妻、Berner、連邦統計 から) 医療過誤の民亊裁判は11,500件(2007年)で3年前より18%増加している 2009.8.8. 岡嶋道夫
裁判外紛争処理は民事裁判になる数を著しく減少させている = 約10%に減少裁判外紛争処理は民事裁判になる数を著しく減少させている = 約10%に減少 民事裁判に持ち込まれた場合、裁判所の判決の90%は鑑定委員会の決定に沿った結論 ∽ ∽ ∽ ∽ ∽ ∽ ∽ ∽ ∽ 鑑定委員会、調停所が医師会の中に作られたとき、費用は医師会負担、オフィスは医師会内、医師会の職員を使うというので、医師に有利な判断をするのではないかと心配されたが、委員と鑑定人が中立の立場を守り、公平な判断を下してきたので、現在は患者も医師も信頼している 2009.8.8. 岡嶋道夫
追加事項2009年8月27日のドイツ医師会雑誌ニュースレターによると連邦法務大臣チプリースZypriesは以下のように述べている追加事項2009年8月27日のドイツ医師会雑誌ニュースレターによると連邦法務大臣チプリースZypriesは以下のように述べている • 医療過誤に対する民事裁判と裁判外紛争処理が増加している • 民事裁判: 2007年は11,500件以上、3年前にくらべて1,700件多い • 裁判外紛争処理:2008年:10,9672007年:10,4322006年:10,280頻度は病院:診療所=7:3 病院では外科と災害外科、診療所では家庭医と整形外科が多い 2009.8.8. 岡嶋道夫
損害賠償と慰謝料の額 2000年のケースノルトライン医師会(人口950万地区) 178件損害賠償と慰謝料の額 2000年のケースノルトライン医師会(人口950万地区) 178件 *3件の額: 1,000;320;250 千マルク 2009.8.8. 岡嶋道夫
アメリカ人から見たドイツのADR • 米国の研究者が1995年にドイツの裁判外紛争処理ADRを詳しく調査、1996年に発表した論文で: • 米国では医療過誤における ADR(arbitration)は、a few statesでは positive であったが、多くの州ではそうでなかった。5つの州では違憲とされるなど、多くの州では negative な経過と結果になった • ドイツの制度は米国のアイデアで作られたが、positive results を得て、多数のケースが解決している。Curiousなことだ、と述べている 2009.8.8. 岡嶋道夫
さらに以下のような印象を述べている: • ドイツ人は米国人より裁判が好きではない • 医師への尊敬度は米国より強い • ドイツでは敗者は勝者の費用を払うので裁判所は遠い。米国はそれにくらべると裁判所の門が開かれている • 米国では陪審に聞いてもらえるし、自分の鑑定人を持てる (日本では法廷での鑑定人合戦) • 反対にドイツでは、裁判所が証人や鑑定人を選ぶ 2009.8.8. 岡嶋道夫
米国と異なり、損害が公的医療保険の医療費で、また廃疾になっても社会保障がある。米国では医療費や生活費も含むので賠償が高額になる(日本は?)米国と異なり、損害が公的医療保険の医療費で、また廃疾になっても社会保障がある。米国では医療費や生活費も含むので賠償が高額になる(日本は?) • 米国では小さなケースは訴えない(日本も?) • 弁護士の半数以上は、賠償額50,000ドル以下のケースを受付けたがらない • 訴訟で痛めつけられている米国の医師は、ドイツ式を導入したら、さらにクレームが多くなると思って受け入れないだろう • 米国は文化と法制度が違うので真似できないがドイツのモデルは刺激となり、興味深い 2009.8.8. 岡嶋道夫
医療過誤とはドイツ医師会のパンフレットから医療過誤とはドイツ医師会のパンフレットから 医療過誤は次のような診断あるいは医学的侵襲の 場合に起る、 • それは医学的に適応していなかった、 • または、医学的知識及び医療実務の認識からみると、その時その時の状況に応じて必要とされる慎重さが事実上顧みられなかった、 あるいはこの基準に照らすと医学的に提供される べき侵襲が不履行であった。 2009.8.8. 岡嶋道夫
スウェーデンの医療事故保障制度スウェーデン医療傷害保険公社最高責任者Kai Essinger氏の講演(2009.2.7)から主催:「医療の質・安全戦略」研究班(上原鳴夫教授) • 医師個人の責任追及はしない • 医師の過失または過誤・惚怠があったかの証明は要しない。「なぜ起こったのか?」を追求し、「誰がやったのか」は追及されない • 有害事象が回避可能だったかどうかを顧問医師が客観的に判断 • 医師は淡々と臨床経過を記録すればよい 2009.8.8. 岡嶋道夫
スウェーデン苦情申し立ての方法(3種類)人口 900万人スウェーデン苦情申し立ての方法(3種類)人口 900万人 • 金銭的補償 約10,000件の請求 45%が補償を受けられる • 医療従事者の処分 懲戒請求約4500件 300人の医療従事者(医師・看護師など)が警告・勧告(戒告?)などの処分(うち20件が免許取消)医療事故による刑事訴訟は極めて稀、年に1件未満 • 苦情相談 年間受付 約25,000 2009.8.8. 岡嶋道夫