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核化学夏の学校2003. ニュートリノ物理学と JHF n 長基線ニュートリノ振動実験. 2003年8月5日. 大山 雄一 (KEK). @茨城県大子町やみぞ. (1)ニュートリノとは?. (2)カミオカンデ、スーパーカミオカンデ、 K2K. (超新星ニュートリノ、太陽ニュートリノ、ニュートリノ振動). (3) JHF n 長基線ニュートリノ振動実験. (我々は何をしたいのか、何を作りたいのか?). (4)おまけ. ニュートリノとは ……. 中 性微子 neutrino = neutr + ino. 中 性の. かわいいもの.
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核化学夏の学校2003 ニュートリノ物理学とJHFn長基線ニュートリノ振動実験 2003年8月5日 大山 雄一 (KEK) @茨城県大子町やみぞ (1)ニュートリノとは? (2)カミオカンデ、スーパーカミオカンデ、K2K (超新星ニュートリノ、太陽ニュートリノ、ニュートリノ振動) (3)JHFn長基線ニュートリノ振動実験 (我々は何をしたいのか、何を作りたいのか?) (4)おまけ
ニュートリノとは…… 中性微子 neutrino =neutr + ino 中性の かわいいもの 物質を形づくる素粒子のひとつで、電子と同じレプトン(軽粒子) の仲間。電子型、ミュー型、タウ型の3種類がある。 電気的に中性であることから名づけられた。 ほかの粒子とはほとんど反応しないため、非常に観測しにくく、 「幽霊粒子」とも言われる。
H O H n p n p p n n 物質は何でできているか? すべての物質は分子からできている。 ● 分子はいくつかの原子の集まりである。 ● 原子は原子核とその周りをまわる電子から構成されている。 ● 原子核は陽子と中性子でできている。 ● 私たちが目にするすべての物質は陽子(p)、 中性子(n)、電子(e)でできている。 陽子 電子 原子核 原子 原子核 中性子 水の分子
ニュートリノと電子、陽子、中性子の関係 ( ) p 陽子と中性子のペア(核子) n ( ) n ニュートリノと電子のペア(レプトン) e 似ているものをペアにしている → 一歩進んで 「1種類の粒子の2つの異なった状態」と考える 素粒子の統一理論
ニュートリノ反応の例(1) 陽子と電子が結合して中性子とニュートリノになる (星の中での反応) ( ) ( ) ( ) ( ) n p n p ⇒ e p n n → → + + + + e n e n 「最初レプトンは電子の状態で、核子は陽子の状態で 存在していた。レプトンが“下側の状態であること”を放出し てニュートリノの状態になり、核子は“下側の状態であること” を受け取って中性子になった。」
ニュートリノ反応の例(2) 飛んできたニュートリノが中性子と反応して電子と陽子になる。 (大気ニュートリノを観測するときの反応) ( ) ( ) ( ) ( ) n p n p ⇒ n n e p → → + + + + e n e n ニュートリノ反応の例(3) 飛んできたニュートリノが電子と反応して自分が電子になる。 (太陽ニュートリノを観測するときの反応) ( ) ( ) ( ) ( ) n n n n ⇒ n e e n → → + + + + e e e e
ニュートリノ反応の例(4) 単体の中性子は15分ほどで電子と陽子と反ニュートリノ に崩壊する。 反ニュートリノは未来から過去に走るニュートリノと同じ ⇒ × - - n e p n n e p n n → → + + + + + ( ) ( ) ( ) ( ) n p n p ⇒ → + + e n e n 1930年頃パウリはこの反応からニュートリノの存在 を予言した。
W粒子と弱い相互作用 p e n n → + + ( e- n → W+ + e n n p+ W+ → + もしくは W ( p+ n → W- n p + e- n W- → + ⇒ “上側の状態” 、“下側の状態”はW±粒子 ⇒ W±粒子は短距離しか飛べないので、レプトンと核子 (もしくは他のレプトン)が「ニアミス」した時しか反応しない。 すなわち稀にしか反応しない。 ⇒ ニュートリノは弱い相互作用しかしない粒子 ニュートリノは何でも突き抜ける。
物質を構成する粒子と力を媒介する粒子 e- n → W+ + ( ) ( ) ( ) p e n n → + + 0 1 0 1 = e 1 n 0 0 0 p+ n W+ → + W ( ) ( ) ( ) n p 0 1 1 0 = 0 1 0 0 物質を構成する粒子(核子、レプトン)は2×1行列 ● 力を媒介する粒子は2×2行列 ● ( ) ( ) 0 0 0 1 W- = W+ = 1 0 0 0
電弱相互作用 ⇒ 力を媒介する粒子の2×2行列の他の独立な成分は? ( ) 1 0 物質の種類をかえずにエネルギーだけ伝える弱い相互作用 Z0= ● n n 0 -1 中性カレント相互作用 Z 理論的に予言され1974年に発見 n p+ ( ) 0 0 p- photon γ= ● 0 1 n e e γ は反応しない γ + 電磁相互作用 → + ⇒ 電磁相互作用と弱い相互作用の統一 GWS理論 ● 電磁相互作用と弱い相互作用の違いはW,Zとγの質量の違い ⇒ ● Higgs mechanism
現在の素粒子像(標準模型) p=uud n=udd
ニュートリノ反応の例(5) 荷電パイ中間子とそれに続くミュー粒子の崩壊 (大気ニュートリノ及び加速器ニュートリノの発生原理) m+ nm p+ - → + p+ = ud - nm e+ ne + + → ⇒ - u d m+ nm u m- d nm (1) → → + + + + ⇒ ne e- nm m- m+ ne - nm e+ → (2) → + + + +
神岡関連のニュートリノ実験の歴史 1983年: カミオカンデ開始 1987年: カミオカンデ・超新星爆発からのニュートリノの観測 1989年: カミオカンデ・太陽からのニュートリノの観測 1996年: スーパーカミオカンデ開始 1998年: スーパーカミオカンデ・ニュートリノの質量の発見 1999年: K2K・世界初の長基線ニュートリノ振動実験の開始 2001年: カムランド実験開始 2002年: 小柴昌俊先生ノーベル物理学賞
カミオカンデ 岐阜県神岡町地下1000m 3000トン水チェレンコフ 20インチPMT約1000本 1983~1995
超音速 → ソニックブーム θ • 超光速 → チェレンコフ光(水中の光速 = c/n = c/1.33) e チェレンコフ光の発生原理
カミオカンデにおけるニュートリノの観測原理カミオカンデにおけるニュートリノの観測原理 たくさんのニュートリノのうちごく少数か反応する。 e, m n タンクの中で荷電粒子が発生したように見える。
星からのニュートリノ 星の進化(1) さらに大きく重い 宇宙空間の水素が 核融合を起こし 原子核へ 重力で集まる ヘリウムができる ⇒ ⇒ e p ne n → + + 4 12 3 He → C 4 (4H →2ne He) 2 6 + 2 太陽ニュートリノ 4 16 4 He → O 2 8
星からのニュートリノ 星の進化(2) 超新星爆発 鉄より重い安定な 元素はない ⇒ ⇒ 4 12 いっせいに 3 He → C e p ne n 2 6 → + + 超新星ニュートリノ 外側の物質は宇宙空間へ
カニ星雲 中性子星 超新星爆発の中心に残った中性子だけの巨大原子核 半径~10kmに太陽ぐらいの質量 中性子星 10~100Hzで回転 ~1012gaussの強磁場 もっと重い場合はブラックホール
超新星SN1987A 爆発前 爆発後
カミオカンデにおけるSN1987Aニュートリノの観測カミオカンデにおけるSN1987Aニュートリノの観測 13秒に11ニュートリノイベント 初めての超新星爆発からの ニュートリノの観測
スーパーカミオカンデ 岐阜県神岡町地下1000m 50000トン水チェレンコフ 20インチPMT約12000本 1996~
n e e n → + + 太陽ニュートリノの観測 data +0.016 = 0.465 ±0.005 (stat.) (syst.) -0.015 SSM スーパーカミオカンデの観測は予想値の約47% → ニュートリノ振動の兆候? qsun 22400イベント
ニュートリノ振動とは……….. ニュートリノに質量があると別の世代のニュートリノに遷移する現象 質量の固有状態 世代の固有状態 ニュートリノは“世代の固有状態”で生成し“質量の固有態”で飛行する。 質量が違えば飛行が違うので反応時はいくつかの世代の混合状態になる。 反応 飛行 生成
p, He Atmosphere p± m± nm 大気ニュートリノの生成 m+ nm p+ → + - e+ nm ne + + → Super-K nm : ne = 2 : 1 e± ne Earth
大気ニュートリノを用いたニュートリノ振動の検証大気ニュートリノを用いたニュートリノ振動の検証
電子ニュートリノとミューオンニュートリノの識別電子ニュートリノとミューオンニュートリノの識別 (99%の識別能力) ne e- nm m- N N’ N N’ → → + + + +
スーパーカミオカンデの大気ニュートリノの観測結果スーパーカミオカンデの大気ニュートリノの観測結果 1289 日分のデータ 振動なし 振動あり (ベストフィット) Dm2=2.5×10-3eV2 e (low energy) m (low energy) sin22q=1.0 長距離飛行したnmは減少 したがneは変わらない。 nmと ntの間の振動 e (high energy) m(high energy)
スーパーカミオカンデの事故と実験の再開 2001年11月12日水面下のほとんどのPMTが破損。残った半分のPMTにcoverをつけて2002年12月に実験再開。 Super-Kamiokande-II
K2K長基線ニュートリノ振動実験 250 km 1999 ~ 2005(?)
前置検出器 ビームダンプ 崩壊パイプ ターゲットステーション 12GeV PS 陽子ビームライン
Pion Monitor K2Kニュートリノビームライン Alターゲット ターゲットステーション Target Station 前置検出器 崩壊パイプ ビームダンプ 12GeV陽子ビームライン
ニュートリノビームの生成 m+ p+ Al P nm ターゲット 崩壊パイプ 電磁ホーン ビームダンプ 前置検出器 m+ nm p+ → + ~1% - nm e+ ne + + → ビームダンプで吸収(~99%) 平均エネルギー1.3GeV、純度99%のnmビーム
K2K前置検出器 ファイングレイン検出器 1kt ミニカミオカンデ検出器
ファイングレイン検出器のニュートリノイベントファイングレイン検出器のニュートリノイベント
スーパーカミオカンデのニュートリノイベントスーパーカミオカンデのニュートリノイベント GPS KEK Kamioka 1.5ms GPS TSK
ニュートリノ振動の解析(1999~2001) ニュートリノが振動しているのならばスーパーカミオカンデでは…. (1)ニュートリノ事象数は予想より少ない。 +6.2 期待値 80.1 に対し測定値 56 -5.4 (2)ニュートリノのエネルギースペクトラムが歪む。 データ 事象数 振動なし 振動あり ニュートリノ振動がない可能性は1%以下 En(GeV)
JHFn長基線ニュートリノ振動実験 東海村の大強度陽子加速器施設(J-PARC) ● から神岡にニュートリノビームを打ち込む。 ビーム強度はK2Kの100倍
J-PARC計画全体図 Life & Material Science (Neutron, Muon, RI) Particle Nuclear Physics 3 GeV Synchrotron Linac 400 MeV normal linac 400-600 MeV superconducting linac 50 GeV Synchrotron Neutrino Nuclear Transmutation
JHF大強度陽子加速器とニュートリノビームラインJHF大強度陽子加速器とニュートリノビームライン
JHFニュートリノ実験のキーワード (K2K実験との違い) (1)大強度陽子ビーム (K2Kの~100倍) (2)nm→ ne振動の探索 (3)off-axis ビーム (4)2km前置検出器
nm→ne振動の探索 nm→nt振動に加えて1%程度以下のnm→ne振動の可能性 ● ⇒ ニュートリノ振動についてのより深い理解 m+ nm p+ → + ● - nm e+ ne 1%のバックグラウンドne + + → バックグラウンドneを減らすため崩壊パイプを短くする ● 200m → 110m (JHFn) (K2K) neの割合は0.2%程度 ●
ニュートリノビームのエネルギー ニュートリノエネルギーは弾性散乱を用いて決定するが、 ● n m nm p → + + 非弾性散乱ではpができるためエネルギーの測定が困難 N’ N m nm p’s → + + + エネルギーが高いほど非弾性散乱が多い。 ニュートリノの散乱断面積 nm →nt振動が大きいのは ● エネルギーが0.5~1.0GeV 0.5~1.0GeVのニュートリノ ビームが望ましい。 弾性散乱
SK ビームライン q Off Axis Beam ビームの中心をスーパーカミオカンデの方向から ● 2~3°ずらす。 ニュートリノビームの強度は減るが エネルギーの低くてそろったビームになる。 ずらす角度は他の実験待ち ● → 可変にしておく 1° 2° 3° 0°
SK ~10km HK ビーム方向と崩壊パイプの形状 神岡鉱山近辺 Beam eye 断面が縦長の崩壊パイプ
SK ビームライン q ● 2km検出器 水チェレンコフを作りたいがビームラインの近くでは ● ニュートリノビーム強度が強すぎる。 崩壊パイプの長さ(110m)よりも十分離れている必要 ● 十分離れたところに水チェレンコフを中心とした前置検出器 ● ⇒ 2km検出器 を作りたい。
2km検出器と候補地 2km ターゲット このあたり
スケジュール 2002 2004 2006 2008 2010 JHF-n construction physics run SK rebuild SK-half SK-full MINOS 2yr OPERA 5yr