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温暖化問題と観測所のありかた. 近藤 純正. 地上気温の世界平均値は0.6~1℃ / 100yr 程度で上昇していると言われている。 この値は、観測所周辺が 都市化の影響 を受けており、過大評価である。 田舎の観測所データを用いて再評価した。. 彦 根. 木之本. 彦根と田舎観測所・木之本における年平均気温の経年変化の比較. 長 野. 飯 山. 長野と田舎観測所・飯山における年平均気温の経年変化の比較. 気象官署. いなか観測所. 8 箇所の 気象官署 と いなか観測所 における年平均気温の経年変化. 1.温暖化の問題点
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温暖化問題と観測所のありかた 近藤 純正 地上気温の世界平均値は0.6~1℃/100yr 程度で上昇していると言われている。 この値は、観測所周辺が都市化の影響を受けており、過大評価である。 田舎の観測所データを用いて再評価した。
彦 根 木之本 彦根と田舎観測所・木之本における年平均気温の経年変化の比較
長 野 飯 山 長野と田舎観測所・飯山における年平均気温の経年変化の比較
気象官署 いなか観測所 8箇所の気象官署 と いなか観測所における年平均気温の経年変化
1.温暖化の問題点 2.最低気温極値の上昇傾向(都市化、除雪効果) 3.陽だまり効果 4.移転による気温急変の例(広島) 5.都市気温上昇と年平均風速の関係 6.まとめ(気温上昇の原因、観測所のありかた) 付録1.都市化の説明 付録2.温室効果の基礎知識
2100年の推定値 南極氷床ヴォストーク・コアから明らかになった過去約40万年間の大気中の二酸化炭素濃度の変化.破線は現在と同じような経済活動が続いたと仮定したときの将来の予測(小野有五,2001,科学,p.1158-1160,より引用) 二酸化炭素濃度 (ppmv) 現在(2001年) 年代 (現在からの過去年)
黒実線:中都市の気象観測所に基づく実況 ①現在の公表されている予測の例 ②③今後の改良計算による予測
気象要素に及ぼす都市化の影響 年最低気温(極値)は上昇(放射冷却の弱化による)平均風速 は 減少(粗度の増加による) 陽だまり効果(露場風速の弱化による) 平均気温の上昇 無次元パン蒸発量 は 減少 地温・気温差は 増加 (注) 無次元パン蒸発量 =パン蒸発量 / 新ポテンシャル蒸発量
年最低気温(℃) ー28℃,1990年 年 ー41℃,1902年 都市化の例 旭川における年最低気温(極値)の上昇傾向 注:旭川周辺の田舎では今でもー36~ー38℃ の低温が観測されている。
1950-2000 年最低気温上昇率と年平均気温上昇率の関係。1対1の点線よりはずれた地点ほど、冬期における都市化の影響が大きい。
滝宮:樹木生長 多度津:宅地化 (上)多度津と滝宮における年平均気温の差 (下)滝宮における年平均気温の経年変化
横浜測候所 1910年頃の横浜港(横浜開港資料館所蔵)
年平均気温の経年変化、東京(上)と横浜(下)関東大震災1923年後の横浜の変化に注目年平均気温の経年変化、東京(上)と横浜(下)関東大震災1923年後の横浜の変化に注目
滋賀県の今津と木之本における年平均気温の差の経年変化。1979年以前の陽だまり効果が時代とともに大きくなった。滋賀県の今津と木之本における年平均気温の差の経年変化。1979年以前の陽だまり効果が時代とともに大きくなった。
移転にともなう年平均気温の急変 新庁舎へ移転 1988年1月1日
東京 大阪 京都 札幌 福岡 名古屋 横浜 都市気温上昇量と高度50mの年平均風速の関係
まとめ(1) 気温上昇の原因 都市化によるローカルな気温上昇 広域都市がもたらす都市周辺の気温上昇 温室効果ガス増加によるグローバルな気温上昇
まとめ(2) 観測所のありかた 1.地球規模の気候変動観測所 農業気象観測所などを含め整備 露場近辺の環境を一定に保つよう管理 2.天気図作成・防災用の気象観測所 各県に1~2ヶ所 3.地域気象観測所(生活環境の観測所) 現在の都市内観測所など
都市化 人工熱の増加、蒸発散量(緑地)の減少 天空率の減少 →放射冷却の弱化、吸収日射量の増加 熱的パラメータ・・・・除雪の効果 混合作用(プラス マイナス) 陽だまり効果
熱エネルギーの目安 太陽定数=1,360 W/m2年平均日射量=130~160 W/m2(日本の地上) 人工熱(東京都心部)= 100 W/m2 (住宅地)= 10 W/m2 晴天の正午前後1平方mにつき 約1kW 1MJ d-1m-2 =11.57 W/m2
アルベド低下の模式図(日中、赤破線)と ビル街における放射冷却模式図(夜) アルベド低下の模式図(日中、赤破線)と ビル街における放射冷却模式図(夜)
白鳳丸(3,200トン)による海上気象の観測 1979年5月1日~6月9日白鳳丸(3,200トン)による海上気象の観測 1979年5月1日~6月9日
観測船上に形成されたヒートアイランド(点線)と風上側で観測した海面上の気温、15日間の平均(近藤、1994、図7.12)観測船上に形成されたヒートアイランド(点線)と風上側で観測した海面上の気温、15日間の平均(近藤、1994、図7.12)
温室効果とは? 温室が高温になる理由①ビニールやガラス板 は太陽放射を透過するが、②温室内から出る赤外放射(目には見えない)を吸収し、外へ出るのを防ぐ。 ③ビニールやガラス板 は、その温度に応じた赤外放射量を出し温室内を温める。 ④防風効果により、風を防ぎ冷気を入れない。 地球(地表面、大気)の平均温度=-19℃①大気は太陽放射量の大部分を透過する。②大気中の 水蒸気、 二酸化炭素など は地表面から出る赤外放射を吸収する。 ③同時に、水蒸気、二酸化炭素など は地表面に向かって赤外放射(大気放射)を出し、地表面を温める。 結果として大気は低温に、地表面付近は高温になる。
地球の温度の決まり方 太陽放射 自転なし 昼半球の平均=58℃
地球へ入るエネルギー 太陽放射紫 外 線 可視光線 赤 外 線 地球から出るエネルギー 赤外放射(遠赤外線)
自転する地球の平均温度は? 太陽放射を反射しない地球 5℃ 太陽放射の30%を反射(現在) -19℃ 実際の平均温度は15℃である。-19℃より高温なのはなぜか?
温室効果ガスが増えると 地上付近の気温→より上昇 高層大気の温度→より低下温室効果ガスが増えると 地上付近の気温→より上昇 高層大気の温度→より低下 地表面
二酸化炭素 0.03ー0.04% 窒素 78%酸素 21%アルゴン 1% 他に オゾン メタン フロン など微量 水蒸気 0.5% 大気の成分の割合 (注意)地球の基本的な温度を決めているのは水蒸気。 二酸化炭素などは二次的な役割りをしている。
温室効果のまとめ 地球大気の上端での入力日射量 昼夜平均値=240W/m2→ 地球の温度=-19℃ 温室効果+対流効果 -19℃→15℃ (地上の気温) (注)地球・大気の温度(平均的な温度:有効温度)は不変
近藤純正 「温暖化問題と観測所のありかた」 近藤純正 「温暖化問題と観測所のありかた」 要約 地上気温の世界平均値は、この100年間に0.6~1.0℃程度の割合で増加しているといわれている。しかし、こうしたデータの大部分は、周辺が都市化された観測所で得られたものである。都市化の影響を含まないデータを用いて、より正しい気温変動の実態を知ることが緊急の課題である。 ①田舎観測所のデータでは、100年間に0.2℃程度の上昇傾向である。②小都市であっても、風通しがわるい露場をもつ観測所では「陽だまり効果」によって平均気温が高く観測される。 ③横浜では関東大震災によって測候所周辺一帯が焼失し約0.8℃の低下があった。 ④積雪地域の都市では、微風晴天夜に生じる年最低気温の上昇傾向が顕著である。特に除雪の効果が大きいと考えられる。⑤観測所周辺の環境変化にともない風速と気温が同時に変化する。多度津測候所では北側の海が埋め立てられ住宅の建設とともに風速が弱まり、同時に平均気温が上昇した。⑥気温上昇量は、大都市ほど大きいが、年平均風速とともに小さくなる。⑦最近、気象官署の都市中心部への移転に伴って気温が急上昇する傾向が見られる。 ⑧気象観測所は目的別に、(A)気候変動観測用、(B)天気図・予報用、(C)都市・地域用にわけて整備し、気候変動を正しく監視していくことが重要となる。 付録として都市化と、温室効果の基礎を学ぶ。
赤外放射 238ワット/m2 太陽放射 (1360×0.7)÷4=238 ワット/m2 30%反射 全面積平均温度=ー19℃宇宙から実際に観測される昼夜平均の地球の温度
(-19℃に観測) 238W 太陽光の30% 43W 195W 238W 大気 -25℃ 433W 195W 238W 地表面 22℃ (例)大気が赤外線を10%透過する場合
年平均風速の経年変化 (上)富山 (下)伏木
年平均気温の差の経年変化 (網走)-(各地点) 網走における年平均風速の経年変化