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知的財産分野における調査・研修・提言 – 日本での経験から得たもの N.K. ジョシー インド政府 産業政策進行部 セクション・オフィサー . WIPO 長期フェローシップ 2008 年4月 02 日 – 9月 28 日. プレゼンテーション概要. 背景説明
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知的財産分野における調査・研修・提言– 日本での経験から得たもの N.K. ジョシー インド政府 産業政策進行部 セクション・オフィサー WIPO 長期フェローシップ 2008年4月02日 – 9月28日
プレゼンテーション概要 • 背景説明 • 調査内容 • 結果の分析 • 提言
Safeguard public interest Meet International obligations India’s IPR strategy IPR Strategy Modernize IPR Administration. Undertake IP Education/ Awareness/Research Activities
知財管理体制の近代化(二つの段階) 第一段階(2002 – 07年 投資額:3,825 万ドル) 成果 インフラの整備 人員の増員 コンピュータ化 知財研修機関の設立(研修及び普及活動) 4
知財管理体制の近代化(二つの段階)….続き知財管理体制の近代化(二つの段階)….続き 第二段階(2008-12年 投資額: 7,500万ドル) インフラ増強: ISA(国際調査機関)及びIPEA(国際予備審査機関)の施設、並びに商標登記所の設立 審査官の増員 データベースの導入及び記録のデジタル化 オンライン処理用IT機器の導入 NIIPM(国立知的財産管理協会)による調査・研修・普及活動 5
Core Functions of NIIPM TRAINING N I I P M RESEARCH EDUCATION/ AWARENESS THINK TANK
Growth of Patent & TM applications Crossed 35000 mark in 2007-08 7
IPR filings in some countries (low comparative filings in India)
インドの中小企業 インド経済を牽引 企業数:1,280万社、雇用者数:3,100万人、 工業生産に占める比率:39%、輸出に占める比率:33% 知財活動は低調で関心も薄い 知財権の事業戦略としての活用には消極的 知財権に対する幅広い認識が不足 知財権の創出・保護・管理に積極的な取組みを促す施策が必要 中小企業が知財権に関する認識を深め、それに基づく意思決定を可能とさせる施策が必要
高等教育の統計 インドの高等教育制度は世界最大規模 大学: 203 校 連邦直轄大学: 18 校 準大学: 104 校 国立重点研究所: 13 機関 専門学校(カレッジ): 17,625 校 推定学生総数: 1,048 万人 博士課程進学者数: 5,500 人強(年間) 学部学生数: 47 万人 (注:2005年のデータ)
大学の知財活動に対する資金及び支援が不足 知財権及びそのメリットに対する認識が不足 大学の知財権を管理する予算及び人材が不足 産業界からの研究費援助が不足 大学が知財権を取得する系統的プロセスが未確立 特許事務所からの支援がない 大学起点の知財権流通は未だ初期段階 TLO(技術移転機関)のような機能を持つ組織がない
これまでの取組み MHRD (人材開発省)による大学・研究機関での知財権普及セミナの開催及び7大学に知財権の教育責任者を任命 TIFAC (技術情報予測評価委員会)による350回を超える知財権普及セミナーの開催 TIFAC 特許推進室の設置: 特許情報を利用し易くし、発明考案者の権利取得を支援 ICMR(医療研究協議会)、ICAR(農業研究協議会)およびエレクトロニクス部門に知財権室を設置: 知財権に関する普及活動を実施 NRDC(研究開発局)による知財権取得支援活動及び国産技術実用化のための技術移転の推進活動
インドの大学が認識する重要課題(知財権の現状に関する大学アンケート調査)インドの大学が認識する重要課題(知財権の現状に関する大学アンケート調査) 知財権及びそのメリットに対する認識不足 費用が高すぎる 大学の知財権を管理する予算と人材不足 コンピュータ化及び情報通信設備の不足 大学での研究開発の資金援助に産業界が消極的 IIT(インド工科大学)又はCSIR(科学産業研究評議会)の研究室など一部の研究機関に偏る
Outline of the Presentation Background information Research study Research analysis Recommendations
今回の調査対象 JPOの審査官研修制度 知財権意識の醸成と知財権執行のための日本の対策 知財分野の教育・研修・調査に対する日本の取り組み 日本における産学連携
調査方法 次の手段による情報収集 JPO総務部及び東工大産学連携推進本部へのアンケート及び個人面談 報告書、雑誌、論文等の調査 APIC(アジア太平洋工業所有権センタ)及びAOTS(海外技術者研修協会)の研修会への参加 産業界へのアンケート配布
調査報告内容 • 今回の調査結果を以下の順で報告する。 • 概要 • JPO審査官の研修制度 • 知財教育及び普及活動に対する日本政府の取り組み • 知財に関する研修・調査・普及に携わる日本の各団体の役割と機能 • 日本における産学連携 • アンケート結果、まとめ、提言
Outline of the Presentation Background information Research study Research analysis Recommendations
Trend in Patent Applications and Examination Request in Japan/performance level of JPO examiner’s Data Source: JPO Annual Report 207 Data pertains to year 2005 Source: JPO Annual Report,2007
JPO審査官研修の重要な特徴 • 審査官研修のための独立機関INPIT(工業所有権情報・研修館)を設置 • JPO内の研修委員会が研修方針を策定 • 研修プログラムの計画・実行段階でJPOとINPITが密接に協力 • 新規採用の審査官(審査官補佐)は4年間に3回の主要研修を受講し、試験合格後に審査官に昇任 • 着任後 6年目と 8年目の2回、審査官研修を受講 • 審査官は着任後10年目に必修とされる研修を受講し、試験合格後に審判官に昇任 • 英語の語学研修が必修 • 特別研修制度あり • 国内及び海外の組織における研修制度あり
知財教育及び普及活動に対する日本政府の取り組み知財教育及び普及活動に対する日本政府の取り組み • 小学校から大学まで年齢層別に教科書を配布 • 上記の教科書を使用して、小学生から大学生及びその教員を対象とする支援セミナーを全国各地で開催 • 大学及び民間研究機関の研究者を対象とするセミナーを開催。研究開発における戦略的出願申請、権利の取得及び利用、特許情報の活用について指導。 • 中小企業・ベンチャー企業向けのセミナーを開催。ビジネスツールとしての知財の活用について指導 • ベンチャー起業家あるいは知財管理又は知財技術コンサルタント(実施許諾、共同研究、対抗特許係争を扱う)のような知財専門家の養成セミナーの開催 • 知財に関する知識の普及及び意識向上を目的として産業界の新人から知財利用者に至る幅広い層に対する説明会の開催。法改正に伴う説明会の開催
知財教育及び普及活動に対する日本政府の取り組み(続き)知財教育及び普及活動に対する日本政府の取り組み(続き) • 偽造及び著作権侵害への対抗手段 • 偽造品の購入防止を呼び掛ける広告やポスターを使った啓発活動による偽造防止キャンペーンの実施 • 偽造対抗手段に関する民間企業向けマニュアルの作成 • 一般市民啓発用の偽造品に関する冊子、ちらし類の作成 • 国内の執行機関、警察、税関からの問い合わせに対する協力 • 権利登録確認用の税関及び警察署に対するIPDL(特許電子図書館)サービスの提供 • 税関職員向けセミナーへのJPOからの講師派遣
知財に関する研修・調査・普及に携わる日本の各種団体の活動内容知財に関する研修・調査・普及に携わる日本の各種団体の活動内容 国全体の発展に貢献するとの観点から、 JIPA, JPAA, JIII, APIC, IIP, AIPPI-Japan の各団体がJPOの普及活動と連携 • JIPA(日本知的財産協会)- 業界団体 (加盟1,178社) • 会員各社の従業員を対象に各社のニーズに応じた研修プログラムを策定 • 利用者の立場で知財調査を実施する際の各種問題を解決する専門委員会を設置 • JPAA(日本弁理士会)- 特許弁理士の統括組織 • JPAA会則の下で弁理士及び付記弁理士 (trail attorney)の研修をおこなう自前の研修機関を保有 • 知財権の国内・国際係争又は特許弁理士に関する問題を調査する知財に関する中心的な調査機関
知財に関する研修・調査・普及に携わる日本の各種団体の活動内容(続き)知財に関する研修・調査・普及に携わる日本の各種団体の活動内容(続き) • JIII (発明協会)– 最古の団体(100年以上) • 発明の奨励、独創力の育成、知財制度の普及を目的とする最大の組織 • 主に民間企業を対象とした研修プログラムを策定 • 小企業による知財制度の利用に関する調査を実施 • APIC (アジア太平洋工業所有権センタ)– JIIIの下部組織として設立 • 主にアジア太平洋地域諸国に対する研修機会の提供による人材育成 • IIP(知的財産研究所)及びAIPPI-Japan(日本国際知的財産協会) • 知財権に関する共通課題や基本的な問題、又は知財に関する国内の課題、国際的な課題にかかわる調査の実施
産学連携 • 1990年の不況(バブル崩壊)による日本経済に対する危機感が契機 • 大学を技術革新及び経済低迷の解決策の重要な供給源と位置付け • 産学連携を推進させる政府の取り組み • 科学技術基本計画(1996) ・産学共同研究の推進の重要性を強調 • TLO法(大学技術移転推進法) - 1998 • 産業活力再生特別措置法(日本版バイ・ドール法)- 1999 • 国立大学法人法 - 2006
産学連携(続き) • 発明考案から技術供与に至るまでの大学に対する政府(JPO/INPIT)からの支援 • 知財アドバイザの派遣(知財管理組織の設立支援) • セミナー開催(研究開発における戦略的出願申請、権利取得、特許情報活用) • 審査の早期化 • 審査請求手数料及び特許年間手数料の減額又は免除 • 新規性欠如の免除(アカデミックグループとして指定を受けた大学が対象) • 特許流通アドバイザの派遣 • 特許流通データベースへの無料アクセス(約 59, 000件の流通可能な特許)
産学連携(続き) • 大学の知財戦略 – 東京工業大学の場合 • 主に二種類の研究プログラム(CR 及びSR)を運用 • 産業界との共同研究に重点 • 産学連携推進本部を設置 – 知財管理及び対業界窓口業務の一元管理(知財管理事務局とTLOの機能を統合) • 産業界との技術供与及び共同研究実施のための15名の流通コーディネータを配置 • 成果: • SR (2000年の214件から2007年の294件) • CR (2000年の114件から2007年の422件) • 公表済みの発明( 2000年の286件から2007年の312件)
産学連携(続き) • 特許(国内)申請( 2000年の117件から2007年の217件) • ライセンス供与( 2000年の17件から2007年の26件) • ライセンスフィー( 2000年の2170万円から2007年の6160万円) • 知財権流通活動に関する産業界(23社)へのアンケート調査結果 • 特許流通アドバイザーの助言を受けたのは13%のみ、その助言の効果があったと回答したのはわずか7% • 大学からライセンス供与を受けた企業は7%のみ(5件未満) • 実用化に成功したのはゼロで、年間の収益に対する知財権の貢献も特に報告されていない。 • 大学からの知財権技術供与に関しては70%の企業が好意的である。 (大学は業界ニーズに基づいた研究に重点をおいて取り組む必要があると思われる)
Questionnaire survey of Japanese Industries to asses IP awareness level, activities for IP training & awareness and licensing of IPRS from Universities.
インド産業界へのアンケート 知財研修と普及、知財権流通といった領域での活動に関して、インドと日本の業界の比較検討ができるように、同様のアンケート調査を二つの業界団体を通してインド産業界に送付した。残念ながらインド産業界からの回答をもらうことはできなかった。
Outline of the Presentation Background information Research study Research analysis Recommendation
提言 1.審査官の育成 • 審査官が各キャリアで必要とする研修ニーズを抽出し最適な研修プログラムを策定するため、政府がIP庁内に研修委員会を設立する。 • 知財分野における必要スキルを習得するとともに最新技術を学ぶため、研修を散発的なものとせず継続的なプロセスとする。 • 科学技術の進歩によって新しい分野での出願申請が増加する。そのためIP庁審査官に民間企業での研修を受けさせ、研究開発に利用される最先端技術を学ぶ機会を与える。 • 審査官に専門スキルを身に付ける実務的な研修を受けさせるため、国内研究機関、大学、民間企業などの研修を利用する柔軟性が求められる。
提言(続き) 2. 知財教育・知財意識の向上 • 政府がインドの教育機関に知財教育を導入する際、日本の教育機関における知財の基礎知識と実務スキルの教育用としてJPOが作成したテキストを参考書として活用する。 • 知財に関する国民の認識を高めるために、テレビ・新聞等のメディアを有効なツールとして活用したい。各分野の著名人の参加を得て、知財権とそれが経済成長に及ぼす重要な影響について活発な議論を形成させる。 • 学校で学ぶ生徒達の間に創造性と知財意識を育むため、発明・技術革新に関する展示会や表彰式を開催し、技術革新及び知財の重要性を若いうちから認識させる。 • 中小企業に対してグローバル化に直面する競争力強化戦略の一環として知財権の活用を促すため、IP庁の支援の下、中小企業向け研修会及びセミナーを開催する。
提言(続き) • 偽造及び著作権侵害は繰り返し起こる問題であり、独創性を尊重する気持ちを若い頃から育成することが大切である。独創性の重要さを教え、偽造品を防止するため、業界団体の支援の下で、小規模研修会、講演会、発表会などを中学高校及び専門学校において開催する。 • 税関による輸出入検査は、偽造及び知財権抵触を防止する有効なツールである。知財権登録の確認、本物と偽造品の識別などの効果的な輸出入検査に必要と思われる支援をIP庁から税関当局に対して提供する。
提言(続き) 3. 産学連携の推進 • インドの高等教育制度は世界有数の規模を誇り、350を超える大学や高等教育機関がある。大学を技術革新活動の中心に据え、知財権とりわけ特許の一大供給源と位置付ける。 • 大学は業界のニーズに基づいた研究に重点を置く。 • 大学の研究者に技術革新活動を奨励するため、政府の資金援助を受けて取得した知財権も自らの名義で保有し、結果的に使用料の一部を報酬として受け取ることを可能にするバイ・ドール法に似た法律を制定する。 • インドには、TLO(技術移転機関)又はTTO(技術移転局)のように大学の研究者が新技術を保護し活用する手助けをする技術移転のための機構がない。そのような機構を、適切な財政支援を受けた大学管理下の一つの管理部門又は独立法人組織としてUGC(大学認定委員会)を介して設立する。
提言(続き) • 大学の研究者を対象に、研究テーマの設定、戦略的な出願申請、権利の取得及び活用に役立つ特許情報の活用、といったテーマでセミナーをIP庁が開催する。 • 大学での知財活動を促進させるため、大学が発明した特許の出願手数料及び大学が出願申請して登録された特許の年間手数料に対し、減額あるいは免除措置を政府が講じる。 • 大学及び民間研究機関が保有する流通可能特許のデータベースを産業界がアクセスしやすいように構築する。このデータベースには企業の流通可能な特許も含めることもでき、さらにIP庁のホームページ上で一般の人も閲覧可能としてもよい。
IP戦略のわずかな差が しばしば国の競争力の大きな差となって表れる。 荒井寿光氏の最新刊「知的財産革命」から引用