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一般化された体系における cut 除去定理の成立条件. 2007/09/19 SLACS. 目次. 1. イントロダクション 体系を一般化し、 cut 除去の条件を与えたい. 2. 各種性質の定義 essential cut 除去 reductive weakly substitutive. 3. 証明の流れ rank と degree による二重数学的帰納法. 4. 体系の拡張 右辺が複数の体系. 様々な体系における cut 除去定理. 体系を一般化. 成り立つ. 成り立たない. 古典論理. LK. 直観主義論理. LJ. FL ce.
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一般化された体系におけるcut除去定理の成立条件一般化された体系におけるcut除去定理の成立条件 2007/09/19 SLACS
目次 • 1. イントロダクション • 体系を一般化し、cut除去の条件を与えたい • 2. 各種性質の定義 • essential cut除去 • reductive • weakly substitutive • 3. 証明の流れ • rankと degreeによる二重数学的帰納法 • 4. 体系の拡張 • 右辺が複数の体系
様々な体系におけるcut除去定理 体系を一般化 成り立つ 成り立たない 古典論理 LK 直観主義論理 LJ FLce FLe FL FLc 部分構造論理 FLw FLew FLwe FLcw 線形論理 LL MALL 様相論理 K KT S4 S5
体系の定義 始式 推論規則 cut規則 構造規則 論理規則 ※1. 英字は変数を、ギリシャ文字は変数列を表す ※2. ★は任意の論理記号を表す。 ※3. は X1,…,Xnが★で結合された論理式を表す。(例 ∧(X ,Y))
推論規則の条件 1. 仮定の左辺に現れる変数は全て結論の左辺にも現れる(右辺も同様) 2.左辺と右辺に共通する変数はない 例 ○ ○ ○ × × ○
論理規則の条件 1. 主論理式以外の変数について、構造規則と同じ条件が成り立つ 2. X1,…,Xnは結論では主論理式の中以外には現れない 3. X1,…,Xnは仮定では高々1回ずつしか現れない 4. 1つのシークエントに同じ変数が2つ以上現れることはない 例 ○ □ ○ □ × ○ ○
照井, Ciabattoni(2006)の結果 右辺が単数の体系 (論理規則はsubstitutive) reductiveかつ weakly substitutive essential cut除去 reductive cut除去 coherent かつ propagating 右辺が複数の体系 (exchange規則を持つ) reductive かつ essential cut除去 modular cut除去 weakly substitutive
目次 • 1. イントロダクション • 体系を一般化し、cut除去の条件を与えたい • 2. 各種性質の定義 • essential cut除去 • reductive • weakly substitutive • 3. 証明の流れ • rankと degreeによる二重数学的帰納法 • 4. 体系の拡張 • 右辺が複数の体系
essential cut除去 cut除去 ここに入る体系を考える essential cut除去 FLew LK FLce LJ FL FLw MALL 全ての論理規則がreductive 全ての推論規則がweakly substitutive FLc FLcw
( は使う機会がないため) cut除去が異質な形で成り立つ例1 体系 L 1 … 始式 および以下の推論規則 A∧B A∧B B B A A ? しかし、L 1ではcut除去が成り立つ
A A∧B A A∧B cut除去が異質な形で成り立つ例2 体系 L 2 … 始式 および以下の推論規則 Z etc Z A A A A A∧B しかし、L 2ではcut除去が成り立つ
essential cut除去の準備 1. 前提集合A … 原子論理式のみからなるシークエントの集合 ・ cut規則について閉じている。すなわち、 右のような証明図が存在するとき、 Tは前提集合 {S1,...,Sn } から導出可能という 2. 論理階数Ω … 証明図中の論理規則をある法則に従って数えた数 Tが始式または前提集合の要素の場合 D (I)が構造規則の場合 (I)が論理規則の場合 (I)が(cut)の場合
essential cut除去 体系L において、任意の論理式S0について次の2条件が成り立つとき、 L はessential cut除去を満たす、という。 1. S0が前提集合A から導出可能ならば、S0はA から(cut)なしで導出可能 S1 …… Sn S1 …… Sn (cut) (cut) S0 S0 2. S0が前提集合A から導出可能かつcut論理式が全て原子論理式ならば、 S0はA から(cut)なしで論理階数が増えないように導出可能 S1 …… Sn S1 …… Sn (cut) 原子論理式 (cut) D1 S0 論理階数 D2 S0
essential cut除去2 前述の2つの例ではcut除去は成り立つが、essential cut除去は成り立たない 前述の例(L1) A∧B A∧B B B A A ? 前提集合として をとると essential cut除去の条件1を満たさない。 (条件1. S0が前提集合A から導出可能ならば、S0はAから(cut)なしで導出可能)
essential cut除去3 前述の2つの例ではcut除去は成り立つが、essential cut除去は成り立たない 前述の例(L2) A A A 下の変型は論理階数が増加しているため、条件2を満たさない 条件2. S0が前提集合Aから導出可能かつcut論理式が全て原子論理式ならば、 S0はAから(cut)なしで論理階数が増えないように導出可能
essential cut除去 cut除去 L2 L1 essential cut除去 FLew LK FLce LJ FL FLw LL 全ての論理規則がreductive 全ての推論規則がweakly substitutive FLc FLcw
性質1. reductive がreductiveである の主論理式をcutしたシークエントを論理規則なしで もとの仮定から導出可能 例 はreductiveである
性質2. weakly substitutive(構造規則) がweakly substitutiveである 結論の任意の変数に変数列Φを代入したシークエントは、 仮定の同じ変数にΦを代入したシークエントから構造規則のみで 導出可能 例 の結論の X に Y,Zを代入した場合を考える (c)は (sc)または (e)を持つ体系では weakly substitutive である
X X∧Y X X∧Y 性質2. weakly substitutive(論理規則) がweakly substitutiveである 結論の主論理式以外の任意の変数に変数列Φを代入した シークエントは、仮定の同じ変数にΦを代入したシークエントから 構造規則と縦に高々1回の (★,l)のみで導出可能 例 Z の Z に空列を代入した場合を考える Z (∧l)を縦に2回使っているため、weakly substitutive でない。 (★,r )のweakly substitutiveの定義も同様
目次 • 1. イントロダクション • 体系を一般化し、cut除去の条件を与えたい • 2. 各種性質の定義 • essential cut除去 • reductive • weakly substitutive • 3. 証明の流れ • rankと degreeによる二重数学的帰納法 • 4. 体系の拡張 • 右辺が複数の体系
十分性の証明 • cut規則を拡張したn-cutを定義 • 構造規則が自由に使えないため、mix規則のように大きい拡張はできない • degreeとrankの2重数学的帰納法による • ゲンツェンによるcut除去と同様、degreeと rankを定義 • n-cutの制限と前提集合A の存在により、複雑な手順が必要 • essential cut除去を示すためには、論理階数も考慮 全ての論理規則がreductive essential cut除去 全ての推論規則がweakly substitutive 証明の手法
degreeと rank degree … 論理式中の論理結合子の数 例 の degreeは 4 l-rank … cut論理式が左上に連続して出現する最大の段数 r-rank… cut論理式が右上に連続して出現する最大の段数 rank = l-rank + r-rank 例 X∧Z X∧Z X∧Z l-rank = 1 r-rank = 2 rank = 3
n-cut • 証明図中の(cut)を全て(1-cut)に書き換える • 証明図中で最も上にある(1-cut)に着目 • degreeと rankによる2重数学的帰納法 • 1. 1-cut のままl-rankを下げる • 2. l-rank =1 となったら、r-rankを下げる(この過程でnが増加) • 3. l-rank = r-rank = 1 となったら、 • degreeが下がり、1-cutのみになる。 1.へ戻る • そのまま除去できる • degree = 1 のときは論理階数が増加しないことも確認する cut規則を拡張した以下の規則を用いる ただし、l-rank > 1 ならば n = 1 証明の手順
C∧D C∧D 具体例(手順 1. l-rankを下げる) weakly substitutive (結論に代入したものは仮定に代入したものから導出可能) C∧D C∧D C ∧ Dに Eを代入
C∧D C∧D C∧D C∧D,C∧D 具体例(手順 2. r-rankを下げる) weakly substitutive C ∧ Dに Aを代入
C∧D C∧D C∧D C∧D C∧D C∧D,C∧D 具体例(手順 2. r-rankを下げる) weakly substitutive C ∧ Dに Aを代入
C∧D C∧D C∧D C∧D C∧D C∧D C C 具体例(手順 3. cutを除去もしくはdegreeを下げる) weakly substitutive C ∧ Dに Aを代入 reductive
C C C C 具体例(手順 4. degreeを下げて手順1から繰り返す) weakly substitutive 前提集合はcut規則について閉じている Cに Aを代入 これも前提集合に含まれる essential cut除去が成立!
目次 • 1. イントロダクション • 体系を一般化し、cut除去の条件を与えたい • 2. 各種性質の定義 • essential cut除去 • reductive • weakly substitutive • 3. 証明の流れ • rankと degreeによる二重数学的帰納法 • 4. 体系の拡張 • 右辺が複数の体系
右辺が複数の場合への拡張 • essential cut除去、reductive、weakly substitutive などの定義は、今までのものをほぼそのまま拡張 • 前提集合の定義に条件を1つ追加 体系の定義 推論規則 cut規則 論理規則(右) 条件の定義
体系の定義 始式 推論規則 cut規則 構造規則 論理規則 • essential cut除去、reductive、weakly substitutive などの定義は、今までのものをほぼそのまま拡張 • 前提集合の定義に条件を1つ追加
右辺が複数の場合の十分性の証明 cut規則を拡張した以下の規則を用いる 前提集合の要素に応じて、nl-cutとnr-cutに優先順位を付ける。 それに応じて変型を行えば、essential cut除去を示すことができる。
まとめと今後の課題 • まとめ • cut除去の一般的な特徴づけを行った • 統語論的な証明を行った • exchange規則を仮定しなくてもよいように • 条件を加えて essential cut除去 とした • weakly substitutive の定義を多少変更した • 今後の課題 • 様相論理を含むように拡張 • 定義をシンプルに改良
主な参考文献 • A. Ciabattoni and K. Terui. "Towards a semantic characterization of cut-elimination". Studia Logica. Vol. 82(1). pp. 95 - 119. 2006. • A. Ciabattoni and K. Terui. "Modular Cut-Elimination: Finding Proofs or Counterexamples". Proceedings of Logic for Programming and Automated Reasoning (LPAR'2006), LNAI. Phnom Pehn, November 2006.