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日本物理学会第 60 回年次大会 (2005.3.24-27 、於:東京理科大野田キャンパス ). 27aZC-1. T 型量子細線中の一次元電子正孔系の 時間分解発光測定. 東大物性研、 CREST(JST) 吉田正裕 、早水裕平、秋山英文. Lucent Technol., Bell Labs. Loren N. Pfeiffer, Ken W. West. Outline 1.背景と目的 2. GaAs T型量子細線 3.細線励起による時間分解測定 4.スペクトログラフ法による細線の発光分光測定 5.まとめ. 研究の背景と目的.
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日本物理学会第60回年次大会(2005.3.24-27、於:東京理科大野田キャンパス)日本物理学会第60回年次大会(2005.3.24-27、於:東京理科大野田キャンパス) 27aZC-1 T型量子細線中の一次元電子正孔系の 時間分解発光測定 東大物性研、CREST(JST) 吉田正裕、早水裕平、秋山英文 Lucent Technol., Bell Labs. Loren N. Pfeiffer, Ken W. West Outline 1.背景と目的 2.GaAs T型量子細線 3.細線励起による時間分解測定 4.スペクトログラフ法による細線の発光分光測定 5.まとめ
研究の背景と目的 ☆半導体量子細線中の1次元電子正孔系 励起子-プラズマ転移、低次元系の多体効果 量子細線レーザー発振起源 T型GaAs量子細線の 1. cw光励起での発光スペクトル励起強度依存性 2.パルス光励起による準平衡状態からの発光の 時間分解測定 本発表では • (細線励起による時間分解発光測定) • スペクトルグラフ法による細線発光像測定(cw測定) • --- 細線発光の励起波長依存性の解明
電子正孔プラズマ 励起子分子 一次元励起子 細線発光スペクトルの励起強度依存性 (T=5 K)(これまでの報告) ・ n1D = 1.2 x 105 cm-1 (rs = 6.6 aB) ・ 励起子分子より連続的に変化 ・ 励起子発光の消失 ・ n1D = 3.6 x 103 cm-1 (rs = 220 aB) ・ 束縛エネルギー 2.8 meV Yoshita et al., cond-mat/0402526.
GaAs T型量子細線構造(レーザー構造) T型光導波路 単一量子細線構造 へき開再成長法による MBE成長 ref: 単一量子細線レーザー発振 by Y. Hayamizu et al., APL81, 4937 (2002).
ex. peak PL Intensity (arb. units) S-peak Photon Energy (eV) 時間分解発光スペクトル --- wire 励起 励起光: ps-Ti:Sa laser (pulse 2 ps , hn=1.598 eV ) 検出: 時間相関単一光子計測法 (時間分解能 0.18 ns;エネルギー分解能1.8 meV) 時間積分スペクトル 時間分解スペクトル S-peak ex. 細線励起 ・ 単一時定数 t = 0.42 ns ? 2つのピーク で同じ. cf. arm励起 ・ 時定数の長い減衰 ・ 折れ曲がり ? 低エネルギー側 ピーク(S-peak)が残る. arm QWからの 流れ込み効果
細線発光スペクトルの励起強度依存性(cw実験)細線発光スペクトルの励起強度依存性(cw実験) stem QW exc. arm QW exc. Exc. Power (mW/mm2) OD 0.2 step Eexc= 1.6939 eV Eexc= 1.6146 eV spot exc. (f=0.8 mm) 励起波長に依存した 発光ピークの出現 起源 ・ 荷電励起子?、凝縮? ・ 時間分解の結果と関連?
slit ・試料配置 細線 // スリット ・入射スリット上に 試料像を結像 スペクトログラフ法による発光分光測定 顕微PL系 空間-エネルギー分解発光像 空間分解能 0.8 mm/CCD pixel エネルギー分解能 分光器slit幅 limit 分光器 励起スポット + 発光
量子細線の空間-エネルギー分解発光像 反射像@ grating 0nm slit 1mm 励起光 S-peak ex. 励起 位置 ① E=1.696 eV ② E=1.648 eV 細線発光像に著しい違い!
細線発光像の励起波長依存性 S-peak ex. peak (励起子) P=1mW 励起位置での ピーク強度変化 ex. S-peak(low energy side)
10% ≃ arm (cladding) 81.1 meV 78.7 meV arm (core) wire 1.644 eV(Eg) (1.656 eV(11%)) 細線試料構造のバンドダイアグラム 電子のエネルギー 実験での共鳴ピークとなる 励起エネルギー 1.652 eV 正孔のエネルギー
細線試料構造のバンドダイアグラム X-発光 電子の共鳴トンネル ① 電子のエネルギー e ② 光生成された電子が共鳴的にarmQWにトンネルし、細線に注入される。 光励起 ① X-発光 1.652 eV h ② 細線中に光励起されたe-hと 荷電励起子X-形成 光励起e-h + e 正孔のエネルギー (励起位置近傍でのみ)
まとめ 1. T型量子細線の時間分解発光測定 • 細線励起による時間分解発光測定を行い、 一次元励起子 • の発光寿命を測定した。 • 説明の付かない発光スペクトルの変化。 • ・ 弱励起でも低エネルギー側発光ピークが観測される。 • ・ 励起子と同じ発光寿命を示す。 2. T型量子細線のスペクトログラフ発光分光測定 • 細線発光の励起波長依存性を測定し、 cw励起での励起強 • 度依存性で出現した発光ピークの原因を解明。 • その起源は、電子の共鳴的なトンネルによる細線中での荷 • 電励起子の形成による。 • 今後の課題 • 細線励起によるスペクトログラフ発光測定 • 時間分解発光測定による一次元系の多体効果の解明
時間分解発光測定 - 励起強度依存性 - 励起光: ps-Ti:Sa laser (pulse 2 ps , hn=1.652 eV ) 検出: 時間相関単一光子計測法 (時間分解能 0.18 ns;エネルギー分解能1.8 meV) 時間積分PLスペクトル 時間分解PLスペクトル 励起強度 I0 = 5.6×107 photons/pulse 0.6 ns
量子細線の空間-エネルギー分解発光像 反射像@ grating 0nm slit 1mm 励起強度 細線方向 励起光 発光スペクトルの 空間分布 レーザー励起位置 ・ 大きなキャリア拡散 ・ キャリア密度に分布
細線発光スペクトルの励起強度依存性 (T=4 K) 点励起: スポットサイズ: 0.8 mm 励起光エネルギー: 1.6146 eV (arm井戸励起) 検出: CCD binningを利用して、励起位置での発光のみを観測 空間分解能: 細線長手方向:0.8 mm (CCD pixel limit) 細線垂直方向:0.8 mm (スリット幅 limit) キャリア拡散効果の除去
発光スペクトルの解析(I) 積分PL強度 サイドピーク発光 vs. 励起子発光 pl pl+ex biex+ex
発光スペクトルの解析(II) 発光ピーク位置、発光線幅 pl pl+ex biex+ex
バンド端発光の励起強度依存性(T=30K) ▼:プラズマ発光の低エネルギー端 “excited”: 励起子の励起状態(1.589 eV) “onset”: 励起子の高次励起状態と連続準位 ▼:励起子の連続状態端 (計算 by Itoh)
発光スペクトルの特徴 above 5×10-2 mW (higher density regime): High • 電子正孔プラズマ発光 (励起子発光の消失) around 2-5×10-2 mW (high density regime): • 発光線幅の増大 • 励起子分子から電子正孔プラズマへ • 励起子発光が共存 ・・・ 強いクーロン相関 励起強度 around 10-2 mW (intermediate regime): • 低エネルギー側に新たな発光ピークの出現 • 励起子分子発光 ・・・ 束縛エネルギー 2.8 meV • ・・・ superlinearに増加 below 10-4 mW (low density regime): low • 単一の発光ピーク(1.582eV) ・・・1次元励起子発光
励起子から高密度プラズマへの移り変わり • 自由励起子から電子正孔プラズマへは、励起子分子を介してクロスオーバー的に移り変わる。 (1) 励起子分子の形成 n1D = 3.6 x 103 cm-1 (rs = 220 aB) 束縛エネルギー 2.8 meV (2) 電子正孔プラズマの形成 n1D = 1.2 x 105 cm-1 (rs = 6.6 aB) 励起子分子の発光エネルギー位置から出現 • 1D 電子正孔プラズマの特徴 (1) 発光ピーク位置のシフトがほとんどない( < 2meV ) (2) キャリア密度に依存した発光線幅の増大 (3) 非対称な発光形状(しかし、1D-DOSとは類似していない) 強くクーロン相関した電子正孔プラズマ ( 特に、強い励起子分子相関 )
バンド端発光のキャリア密度依存性 • 励起子連続状態発光 (▼) エネルギーシフトしない・・・キャリア密度に無依存 • プラズマ発光の低エネルギー端 (▼) • (1) レッドシフト ・・・ BGR効果か? • cf. ピーク位置 --- no energy shift • 励起子分子の発光エネルギー位置より出現。 • (3) 励起子連続状態のバンド端とは連続的に接続しない。 • 中間密度領域では、2つのバンド端が共存している。
1D励起子-プラズマ転移の物理的描像 励起子Mott転移の描像 本研究の結果 電子正孔密度増加に伴い、 • 励起子のバンド端(連続状態) はエネルギーシフトしない。 ・ バンド端のred-shift (BGR) ・ 励起子束縛エネルギー減少 • プラズマ発光の低エネルギー端は 励起子分子位置より出現し、BGR を示す。 eg. D. W. Wang and S. Das Sarma, PRB 64, 195313 (2001). • プラズマバンド端と励起子準位は エネルギー交差しない。むしろ、 共存している状態がある band edge exciton level ↓ 励起子モット転移の描像では 説明できない。
10% 細線試料構造のバンドダイアグラム arm (cladding) 電子のエネルギー arm (core) wire エネルギーレベル計算結果 正孔のエネルギー GaAsの伝導帯、価電子帯底より測った値
細線構造のバンドダイアグラム バンドの図 エネルギーレベル計算結果 arm (cladding) arm (core) wire GaAsの伝導帯、価電子帯底より測った値
時間- エネルギー分解発光スペクトル 励起: ps-Ti:Sa laser, hn=1.652 eV 6.2×107 ph./pulse 励起子発光 減衰が遅れて始まる 時定数の長い減衰 低エネルギー側ほど早い減衰 プラズマ発光 0.33 ns
時間分解発光測定結果 発光スペクトル 時間分解の結果 弱励起 一次元自由励起子 (1.582 eV) 励起子発光寿命 0.6 ns @5K cf. stem, arm量子井戸 0.2 ~0.3 ns 強励起 励起子分子 電子正孔プラズマ 発光の出現 プラズマ発光 早い減衰0.33 ns 励起子発光 ・ プラズマ、励起子分子発光と共存 ・ 時定数の長い減衰 ・ 減衰の立下りに時間遅れ 励起強度依存性 の結果と一致 stem, arm井戸からのキャリア流れ込み 細線の電子状態の飽和?
細線発光の温度依存性 T=30Kで 荷電励起子(?) からの発光の消失
Intensity 顕微発光画像計測による発光ピークの同定 波長分解PL像(uniform exc., T=5K) uniform exc. T=5K
時間相関単一光子計測法 励起光:ML Ti:Sa Laser (パルス幅 ~2 ps) 検出:時間分解能 0.18 ns (レーザー反射光) エネルギー分解能 1.8 meV マクロ測定 量子細線発光の時間分解測定 目的: 1. 励起子から電子正孔プラズマへの移り変わりを時間領域で観測 2. 発光線幅の起源 ・・・ 発光線幅 3. 1次元励起子発光寿命 ・・・ 次元性を反映した温度特性 プラズマ発光 10 meV 励起子発光 1.3 meV Theory: Citrin, PRL 69, 3393 (1992). Exp.: Akiyama et al., PRL 72, 924 (1994). Gershoni et al., PRB 50, 8930 (1994). 実験:
量子細線の時間分解発光 発光スペクトル 時間応答 弱励起 一次元自由励起子 (1.582 eV) 励起子発光寿命 0.6 ns @5K cf. stem, arm量子井戸 0.2 ~0.3 ns 線幅1meVは放射寿命による ものではない 強励起 励起子分子 電子正孔プラズマ 発光の出現 プラズマ発光 早い減衰 励起子発光 ・ プラズマ、励起子分子発光と共存 ・ 時定数の長い減衰 ・ 減衰開始に時間遅れ 励起強度依存性 の結果と一致 近接量子井戸からのキャリア流れ込み 細線の電子状態の飽和?
sub ps 10 meV 100 ueV 10 ps wire 励起 時間分解スペクトルのフィッティング結果
高密度状態で形成されるものは電子正孔プラズマ?高密度状態で形成されるものは電子正孔プラズマ? ヒーティングによるブロードニング? 励起子分子 散乱の増大 励起子分子-励起子(励起子分子)散乱 励起子分子-フォノン 発光スペクトル形状 対称、Lorentzian not inversed Fermi distribution not one particle 1D DOS 励起子分子ではない。 粒子間の相関が強い状態。 強くクーロン相関した電子正孔プラズマ
単一量子細線レーザー Probability of Photon Cavity length500 mm Probability of Electron Hayamizu et. al. APL 81, 4937 (2002)
スペクトログラフ法による分光測定 細線発光の空間-エネルギー分解発光像測定 顕微PL系 試料配置 細線 // スリット 入射スリット上に試料像結像 スリット縦方向: 発光の空間分布 空間分解能 ~ 0.8 mm/pixel
日本物理学会第60回年次大会(2005.3.24-27、於:東京理科大野田キャンパス)日本物理学会第60回年次大会(2005.3.24-27、於:東京理科大野田キャンパス) 27aZC-1 T型量子細線の発光スペクトログラフ測定 (改題) 東大物性研、CREST(JST) 吉田正裕、早水裕平、秋山英文 Lucent Technol., Bell Labs. Loren N. Pfeiffer, Ken W. West Outline 1.背景と目的 2.GaAs T型量子細線 3.スペクトログラフ法 4.細線発光の空間-エネルギー分解発光スペクトル 1) 励起強度依存性 2) 励起波長依存性 ・・・電子共鳴トンネルによる荷電励起子形成の観察 5.まとめ