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地域保健対策検討会の経過と新たな基本指針について. 2012.10.24 日本公衆衛生学会自由集会「全国いきいき公衆衛生の会」 廣田洋子 ( 北海道立心身障害者総合相談所長 ・前岩見沢保健所長) (地域保健対策検討会構成員). 本日の報告内容. 地域保健法基本指針改定に向けた 全国保健所長会の調査と「提言(見直しの視点)」 検討会の経過 東日本大震災への対応の教訓 保健・医療・福祉の連携と公衆衛生 ソーシャル・キャピタルの活用 新たな基本指針の特徴. 地域保健法施行以降の地域保健を取り巻く状況変化. 保健分野では
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地域保健対策検討会の経過と新たな基本指針について地域保健対策検討会の経過と新たな基本指針について 2012.10.24 日本公衆衛生学会自由集会「全国いきいき公衆衛生の会」 廣田洋子(北海道立心身障害者総合相談所長・前岩見沢保健所長) (地域保健対策検討会構成員)
本日の報告内容 • 地域保健法基本指針改定に向けた全国保健所長会の調査と「提言(見直しの視点)」 • 検討会の経過 東日本大震災への対応の教訓 保健・医療・福祉の連携と公衆衛生 ソーシャル・キャピタルの活用 • 新たな基本指針の特徴
地域保健法施行以降の地域保健を取り巻く状況変化地域保健法施行以降の地域保健を取り巻く状況変化 保健分野では • 自治体職員数の減少 • 保健所数の減少 • 市町村保健師増 担当業務が多様化 • 市町村栄養士増 合併による組織変容 共同実施業務の減少 少子高齢化の進展 地方分権の進行 財政の逼迫 市町村合併
保健所数の変化平成6年から24年までに約4割減少保健所数の変化平成6年から24年までに約4割減少
タイプ別 保健所数の変化→県型、指定都市、特別区で減少 中核市保健所の増加タイプ別 保健所数の変化→県型、指定都市、特別区で減少 中核市保健所の増加
保健師・自治体職員数変化 • 常勤保健師数1.2倍に増加 • 伸び率 保健所設置市(2倍) >市町村>特別区>都道府県(減少) • 自治体職員数は15%減少 • 平成6年(地方公共団体総職員数) 328万2千人 平成24年 278万9千人
平成の大合併の影響 • 市町村数の変化 平成11年 47%減 平成22年 3232 1727 人口1万人未満 70%減 1537 457 (減少率は都道府県で格差) • 7割以上の保健所管内で合併あり • 保健所の組織改編にも影響
平成21年3月【全国保健所長会】基本指針見直しに関する提言平成21年3月【全国保健所長会】基本指針見直しに関する提言 提言の背景 • 健康危機管理の拠点としての保健所の役割の増大 • 地域医療連携、医師不足対策、救急医療の確保など、医療計画推進役としての保健所の役割増大 • 地域ケア整備、精神障害者の地域移行など、医療と保健福祉の連携を要する健康福祉課題が急増 • 地域保健の基盤となる組織体制の変容 (地方分権と行財政改革、市町村合併の進行) • 保健所医師など公衆衛生を担う人材の不足
(平成21年3月全国保健所長会提案)基本指針見直しの視点(平成21年3月全国保健所長会提案)基本指針見直しの視点 • 公衆衛生を基本に、国民の視点で将来ビジョンを • 市町村と連携協働した健康なまちづくりの推進 • 市町村と保健所が重層的に連携し、切れ目のない総合的な保健医療福祉システムを構築する • 住民とサービス提供者の間に立った「安心・安全」を作る役割(リスクコミュニケーション) • 健康危機管理の拠点としての一層の機能強化 • 公衆衛生の専門性を担う人材不足への対応
地域保健法基本指針改定に向けた全国保健所長会の調査と「見直しの視点」について地域保健法基本指針改定に向けた全国保健所長会の調査と「見直しの視点」について
平成21年度保健所機能調査(地域保健総合推進事業)の結果から 平成21年度保健所機能調査(地域保健総合推進事業)の結果から 目的:基本指針の見直しに向けて、現在の保健所の組織、有している機能、市町村との関係等を把握し、問題点を抽出する 対象:①全保健所(地域保健) 回答率 86.7% ②都道府県(本庁) 回答率 100.0% ③市町村600カ所(無作為抽出、 保健所政令市を除く)回答率 68.0% ④全保健所(精神保健業務) 回答率 80.8% 調査時期:平成22年1月
保健所の位置付け3割強が県の地方組織に組み込まれていた保健所の位置付け3割強が県の地方組織に組み込まれていた
保健所の形態6割が福祉や環境部門と統合されていた保健所の形態6割が福祉や環境部門と統合されていた
圏域医療連携推進協議会2割の保健所が圏域連携の会議に参加していない圏域医療連携推進協議会2割の保健所が圏域連携の会議に参加していない
医療計画(圏域版)の策定圏域版の医療計画策定をした保健所は他保健所への協力も含めて54%であった医療計画(圏域版)の策定圏域版の医療計画策定をした保健所は他保健所への協力も含めて54%であった
保健所機能発揮にあたっての問題 半数の保健所で「職員の減少や集中配置により業務に支障が出ている」と回答
保健所業務の位置づけ医療安全や地域医療連携には多くの保健所が関与保健所業務の位置づけ医療安全や地域医療連携には多くの保健所が関与 「保健所主体で実施」「支援的かかわり」「関与なし」
保健所調査のまとめ • 保健所組織形態の変化が大きい • 県型保健所と政令市保健所で異なる問題を抱えている • 医療計画・医療連携に関わっていない政令市保健所が多い • 保健所の統廃合や人員削減、保健所長権限の不透明化により保健所機能を発揮しにくい • 県型保健所と市町村の関係に課題~保健所の専門性に対する誤解があり役割分担が固定化
市町村に対する調査市町村と保健所の連携について市町村に対する調査市町村と保健所の連携について • 600市町村抽出調査で68%の回答率であった • 保健所との関係では39%が「保健所と密接な関係がある」と回答、「市町村から支援を求める」「主に保健所の方から連絡」が共に3割であった • 人口が5千人未満の市町村で連携が密接 • 中国四国では「密接な連携がある」が49% • 保健所の管轄市町村数が少ないほど、連携が密接な傾向があった • 保健所の市町村担当窓口が決まっている場合 42%が「連携が密接」と回答(決まっていない場合は30%)
基本指針に基づく業務 • 基本指針を「知っている」と回答した市町村は 59%であった (知っていると回答した内) • 基本指針に基づく業務をしている 50% していない 5% どちらともいえない42% 人口5万人以上10万人未満の市町村ではしているが59%と最も高く、1万人以上2万人未満が29%と最も低かった
市町村が保健所の役割として期待するもの(複数回答)情報提供、調整、専門的立場からの支援・ 助言を求めている市町村が保健所の役割として期待するもの(複数回答)情報提供、調整、専門的立場からの支援・ 助言を求めている
市町村調査まとめ • 市町村主体の業務と保健所主体の業務は「縦割りの業務分担」が目立つが、健康づくりや新しい課題には双方が取り組んでいた • 保健所への期待は高いが必ずしもうまく連携できていない • 権限委譲や保健所の組織改編による問題では「人材確保・資質の向上」「実習受け入れ」「健康危機への迅速な対応」で2~3割の市町村が「問題があり解決が難しい」としていた
どちらも自分が主体であると考えている業務 市町村が主であると市町村が回答した割合 どちらも保健所が主体であると 考えている業務 どちらも自分以外(市町村の場合は保健所)が主体であると考えている業務 保健所が主と管轄保健所が回答した割合
事業実施の棲み分けとミスマッチ • 次世代育成の他、高齢者対策、健康日本21は市町村が主体で、精神保健相談は保健所主体で実施されていた • 市町村課題の抽出の6割はお互いに自分が主体と認識 • 圏域連携推進会議は6割の保健所で設置しているが政令市保健所の半数が参加も関与もしていない • 健康課題への重層的な取り組みが必要! • 公衆衛生的視点での地域の広域的調整は保健所の重要な役割 話し合いの欠如? 専門性の誤解 ある程度棲み分けができている→ 縦割りの業務分担 圏域内での 政令市の位置?
(全国所長会基本指針見直し提言資料:田上)重層的な関係の正しい理解(全国所長会基本指針見直し提言資料:田上)重層的な関係の正しい理解 保健所業務 福 祉 医 療 市町村支援 保 健 難病対策・その他 健康づくり 精神保健福祉 結核・感染症 母子保健 職域保健 老人保健 年齢別 疾病別 重層的な関係 縦割り思考 保健所 市町村 難病対策・その他 精神保健福祉 結核・感染症 健康づくり 母子・老人保健 市町村 支援 身近なサービス 専門技術的なサービス
基本指針改定(H24)に向けた地域保健対策検討会再開の背景と経過基本指針改定(H24)に向けた地域保健対策検討会再開の背景と経過 • H21年3月 全国保健所長会で「見直し提言」 • この年は新型インフルエンザ発生で厚労省の動きなし、 • 秋から保健所長会で保健所と市町村の調査スタート • H22年3月 調査報告書 • H22年7月 第1回検討会で基本指針改定予定と説明 • 市町村合併の進展や健康危機管理事案の発生など、近年の地域保健を取り巻く状況の変化に対応し、地域住民の健康の保持増進並びに地域住民が安心して暮らせる地域保健の確保を図る検討を行う(開催要項) • 厚労省内の検討で5ヶ月間中断 • H23年2月再開直後に東日本大震災~中断~10月再開 • H24年3月 報告書 東日本大震災で問われたこと ○健康危機管理体制 ○地域保健のあり方
検討会の経過 • 東日本大震災への保健所の対応と今後の課題について • 保健医療福祉の連携について
地域保健対策検討会 構成員 地域保健における対物保健サービス検討 ワーキンググループ構成員 ( ○:対物ワーキンググループ長 )
地域保健対策検討会での検討課題 • (市町村と保健所の連携について) • (地域における医療計画との関わりについて) • 地域の自立に基づいた地域保健対策の推進について • 健康危機管理のあり方について • 市町村における質の高い保健福祉サービス提供体制について • 社会福祉などの関連施策との連携などについて • 快適で安心できる生活環境の確保について • 地域保健に係わる人材確保・育成及び資質の向上等について • 地域保健に関する調査研究について • 評価及び優先度に基づいた地域保健計画等の策定と推進について • 住民ニーズの多様化・高度化に対応した地域資源とのかかわりについて (下線部分が当初の課題、赤字は最終段階で追加)
<第5回検討会でのプレゼンテーションより>東日本大震災で市町村や保健所の災害対応上、何が問題だったのか<第5回検討会でのプレゼンテーションより>東日本大震災で市町村や保健所の災害対応上、何が問題だったのか • 想定外の大災害に、既存の防災計画に基づく危機管理システムが機能不全に陥った (被災した保健所の半数以上がマニュアルが活用できなかったとしている) • 地域保健法施行後の組織体制上の諸問題が、市町村と保健所の災害対応のハンデになった
想定外の災害に既存の防災計画に基づく危機管理システムが機能不全に陥った想定外の災害に既存の防災計画に基づく危機管理システムが機能不全に陥った • 行政自らの被災に通信・交通の遮断が重なり、情報共有・指揮命令の混乱が続いた • 市町村や保健所の被災を想定した防災計画や支援の仕組みがなかった • 本庁が機能不全になった時を想定した防災計画や支援の仕組みがなかった • 受援側の指揮命令を前提とした保健師派遣はあったが、司令塔を支援する仕組みがなかった • 健康危機管理ガイドラインが大規模自然災害に対応できるものになっていなかった
釜石・大船渡保健所の取組み ○ 発災後の初動体制における大きな問題点 通信手段の遮断(頼みの綱 衛星携帯×) 交通手段の遮断 災害拠点機関の施設及び職員の被災 ライフラインの被害 地域防災計画の機能不全 保健所(地域)が自らの意思決定により行動住民の生命の維持及び健康水準の低下を最小限にするため 岩手県釜石・大船渡保健所 鈴木所長作成資料を一部改変
地域保健法施行後の組織体制上の諸問題が 市町村や保健所の災害対応のハンデになった地域保健法施行後の組織体制上の諸問題が 市町村や保健所の災害対応のハンデになった • 保健所 • 保健所再編統合により所管区域が広域化 • 人員不足:保健所長兼務、保健師等の人員削減 • 福祉事務所との統合により、平素から保健所長の権限が弱体化していた • 仙台市では、市町村保健センターと福祉事務所と保健所が統合された組織であり、保健所業務より市町村、福祉事務所業務が優先された • 市町村 • 市町村内の縦割り・業務分担が進み、全体を見て地域の資源調整したり、行政内部の横の連携を取る機能が弱まっていた
津波被害を受けた沿岸部を所管する保健所の保健師数は平均以下(保健師1人当たり受け持ち人口の比較)津波被害を受けた沿岸部を所管する保健所の保健師数は平均以下(保健師1人当たり受け持ち人口の比較)
保健所長も充足されていなかった(被災3県の保健所長充足率)平成23年3月時点保健所長も充足されていなかった(被災3県の保健所長充足率)平成23年3月時点
平時と災害保健活動時の組織体制 東部保健福祉事務所 災害時保健活動組織体制 平時組織体制 保健所の職員は保健所長1人であり、保健所の業務は保健福祉事務所の職員が行うことになっている。 宮城県石巻・登米保健所 大久保所長作成資料を一部改変
釜石保健所に求められた活動 • ○医療救護活動及び医療提供体制の確保 • 医療救護活動:県内の活動チーム数 128(約1,200) • 統括・調整:DMAT⇒災害拠点病院 • 医療救護チーム⇒保健医療圏ごと • (保健所、医師会、災害対策本部) • 支援の形:避難所滞在型・巡廻診療型・後方支援型 • ★課題:統括・調整機能の確保 救護所運営の調整 • 災害拠点病院を拠点とした医療体制再構築 • (岩手県釜石・大船渡保健所 鈴木所長作成資料を一部改編) H19年から釜石医療圏の病院、県の保健所、消防、海上保安庁が協力して震度6強相当の地震で大津波が来たという想定で訓練を行ってきた (県立釜石病院 遠藤院長:月刊地域医学)
今後のあり方提言(危機管理と組織体制) • 県、市町村の防災計画に保健所の役割を明記して関係者で共有。 (平時から合同訓練を実施) • 健康危機管理ガイドラインの見直し(大規模自然災害版も含めて) • 被災地の災害時受援システムと公衆衛生版DMATのシステムづくり • 被災保健所への支援の仕組みづくり • 受援側、支援側の人材育成(研修、訓練) • 地域毎(保健所管内単位)の災害保健医療システムを検討する場の設置と訓練の実施 • 保健所の組織体制のあり方と健康危機管理に関する検証を行うべきである • 健康危機管理に関する保健所長権限 • 想定外の健康危機に対応できる組織と機能が必要! • 保健所長兼務による危機対応上の問題 • 同時多発災害に対応できる保健所の所管区域の広さ • 平時の保健医療福祉のシステム構築(顔の見える関係性)と有事の危機対応の関係 • 上記と人口当たりの保健所職員数(保健師数)の関係の検証
今後のあり方提言(平時対応) • 平時にできないことは有事にはできない! 平時からの顔の見える関係づくりが重要! • 市町村との重層的な連携協働 • 市町村の求めに応じてではなく、地域住民の求めを把握する段階から市町村と保健所が重層的に連携協働する中で市町村の求めを確認する仕組み • 圏域単位の保健医療福祉の連携システム • 圏域単位の保健と医療、医療と介護・福祉の連携調整の要としての保健所の役割強化 • 平時の医療計画に基づく圏域協議会と災害医療対策会議(仮称)を表裏一体で機能させること
圏域協議会と災害医療対策会議(仮称)は表裏一体圏域協議会と災害医療対策会議(仮称)は表裏一体 ○地域保健の推進に関する基本的な指針 ・2次医療圏においては、保健、医療、福祉のシステムの構築に必要な社会資源が概ね確保されていることから、保健所等は、これらを有効に活用したシステムの構築を図るための検討協議会を設置すること ○H19.7.20健康局総務課長通知(医療計画の作成及び推進に関する保健所の役割について) ・地域の保健、医療、福祉のシステムの構築、医療機関の機能分担と連携、地域における健康危機管理の拠点としての機能の強化等について企画及び調整を推進すること ・医療計画の作成指針において、・・・・「保健所は、地域医師会等と連携して圏域協議会を主催し、医療機関相互または介護サービス事業所との調整を行うなど、積極的な役割を果たすものとする」と記載されており、この点に留意すること ・従来通り、保健所は、EMISが未整備又は機能していない場合においては、電話、FAX若しくは自転車・バイク等を利用して直接医療機関に出向いて情報把握又は当該医療機関におけるEMISでの情報発信の支援を行うこと。 ・災害時に保健所・市町村等の行政担当者と、地域の医師会、災害拠点病院の医療関係者、医療チーム等が定期的に情報交換する場(地域災害医療対策会議(仮称))を設ける計画を、事前に策定しておくこと。 ・地域災害医療対策会議(仮称)は保健所管轄区域や市町村単位等に設置することとし、災害時に地域の医療ニーズを的確に把握し、救護班等の派遣・調整を行うコーディネート機能が十分に発揮されるような体制を備えておくこと。 第3回災害医療等のあり方に関する検討会資料より抜粋
望ましい保健医療福祉連携のあり方 (第6回検討会「社会福祉施策などとの連携について」でのプレゼンテーション) • 保健所が保健医療福祉連携のコーディナーターとなっている事例の紹介 • 高知県中央東福祉保健所 7市町村、人口12万6千人 • 島根県松江保健所 2市、人口25万人
高知県中央東福祉保健所における保健医療福祉連携の取り組み(1)高知県中央東福祉保健所における保健医療福祉連携の取り組み(1) • 市町村が重点的に取り組むターゲット(脳卒中対策)を明確化 (死亡統計や医療費、介護給付費などのデータ分析) • 高血圧対策における効果的な介入方法の情報提供と助言 • 市町村内の組織横断的な体制整備を支援 (市長に助言、国保や介護保険の担当課を推進組織に加える) • 脳卒中予防対策に関する行動計画策定の支援 • 地元医師会を巻き込んだ対策の推進 (個別健診導入へ地元医師会協力を依頼、医師会代表、専門医 を含む健康づくり推進委員会専門部会に保健所長が参加) 生活習慣病予防(高血圧対策)
高知県中央東福祉保健所における保健医療福祉連携の取り組み(2)高知県中央東福祉保健所における保健医療福祉連携の取り組み(2) • 保健所管内の市町村を地域特性から2つに分けて「保健医療福祉推進会議」を設置 • 医師会・歯科医師会・薬剤師会・看護協会・福祉事務所・ケアマネ協議会・市の高齢者担当課などの組織と住民代表により、各組織の取り組みと今後の行動計画を情報共有 ※保健所の側面的支援でケアマネ協議会を設立 • 訪問看護ステーション、在宅介護支援事業所、医療機関の在宅機能調査などを行い情報提供 • 医師会に対し県の地域包括体制整備の補助金の活用を働きかけ、多職種連携のための研修会を開催 地域包括ケア体制の整備・推進
島根県の保健所活動 圏域計画を立て、圏域ごとに検討組織をおき、 保健所が計画推進の役割を担っているのが特徴 <松江保健所における検討の場> ◎は圏域計画あり ◎保健医療対策会議 ◎健康長寿しまね推進会議(心、たばこ、食、運動、歯科部会) ◎地域リハビリテーション松江圏域会議、脳卒中予防検討会 ○松江圏域がん対策推進協議会(普及啓発、がん診療連携、緩和ケア) ○精神障がい者地域生活移行支援圏域会議 ○精神科救急医療体制整備圏域連絡調整会議 ◎松江圏域自殺総合対策連絡会 ○松江圏域周産期医療連絡協議会 ◎母子保健推進検討会議 ○難病患者在宅療養支援事業検討会 ◎働きざかりの健康づくり推進連絡会 ◎歯科保健連絡調整会議
市町村との連携(松江保健所管内:松江市、安来市)市町村との連携(松江保健所管内:松江市、安来市) 1.地域全体の課題を解決するための検討の場を設置し、取り組みを推進 2.市との協議の場等の設定 (1)事業検討の場の設定 市の担当課長を含めた年度当初の事業検討会 事業ごとのスタッフ会、検討会 (2)健康課題や取り組みの進め方についての検討会開催 (3)個別事例検討会の開催 (4)会議や検討会への積極的参画 (5)研修会の開催 保健師や栄養士のタイムリーな研修 地域リーダーの研修
保健医療福祉連携のための 保健所の役割(共通点)保健医療福祉連携のための 保健所の役割(共通点) • 保健事業や地域包括ケアのため必要な情報の収集と提供 市町村などでの活用を促進 • 調査研究の推進(データ活用や市町村との共同研究含む) • 企画調整機能 関係機関、特に医療機関・医師会とのパイプ 「医療」と「福祉」をつなぐ役割 県(本庁)との補助金などの調整 複数の市町村の横断組織、圏域内調整、 連携会議などの設置(広域の機能) • 人材育成機能 専門職・地域保健関係職員・ヘルパー研修会 市町村と連携して地区組織のリーダーを育成 高知県や島根県では、保健所と市町村の友好関係の継続、丁寧な意見交換や役割分担の確認により、「重層的な連携」ができている
地域保健対策検討会で紹介された保健福祉連携や地域医療連携、まちづくり事例 地域保健対策検討会で紹介された保健福祉連携や地域医療連携、まちづくり事例 • 医療連携における「普及啓発」について (東京都南多摩保健所)<第2回> • 総合的な保健事業の取り組み(静岡県駿河郡小山町)<第6回> • 高知県中央東福祉保健所における保健医療福祉連携の取り組み <第6回> • 「協働」をテーマにした地域活動について (愛知県尾張旭市)<第8回> • 住民(地域コミュニティ)主体の健康なまちづくり事例 (島根県安来市) <第8回> • 災害時要援護者支援プラン策定に向けた地区組織との協同の事例 (北海道A市) <第8回> 赤字は構成員のプレゼンテーション
最終報告に向けての議論 • ソーシャル・キャピタル活用の意義はわかるが、言葉としてなじみが薄い。具体的な例を挙げるなど、工夫が必要。 • ソーシャル・キャピタルが担う自助、共助の役割と、それを育成する自治体の責務を指針に位置づけるべき。 • ポピュレーションアプローチの必要性を入れるべきである。 • 医療連携における保健所の役割を入れてほしい • 災害時の保健所の役割の明確化を。 • 「重層的な連携強化」の所で「保健所は市町村の求めに応じて」とあるが、求めがなくても支援すべきではないか?
地域保健対策検討会報告書の概要(厚生労働省)地域保健対策検討会報告書の概要(厚生労働省) 【地域保健を取り巻く社会的背景】 ○ 人口構造の急激な変化 ○ NCD(非感染性疾患)の拡大 ○ 関連する制度改正等の動き ・食育基本法 ・がん対策基本法 ・高齢者医療確保法 ・自殺対策基本法 等 ○ 住民生活スタイルの多様化 ○ 科学技術の進歩、経済活動の広域化等の 一層の進展に伴う健康リスクの増大 ○ 健康危機管理事案の変容 地域保健対策の方向性 平成6年 平成24年 学校や企業等との積極的連携 地域保健 の役割 保健サービスと福祉サービスとの 一体的提供 ソーシャル・キャピタルの活用 自助及び共助支援としての公助 個人を対象とした公助 方向性実現のための手段 政策課題 ○ 国民ニーズの質的変化(多様化及び高度化) への対応 ○ 保険者による保健施策や医療・介護福祉施策 との一体的な展開 ○ 健康危機管理事案への対応 ○ 健康に関する地域格差の縮小に向けた対応 ○ 地域保健対策の新たな課題に対応できる人材 の育成 【地域保健対策業務全般】 ○ 地域資本(公的・民間/人的・物的・社会的(ソーシャル・キャピタル等))の ベストミックスによる国民ニーズへの対応 【個別事業活用のあり方】 ○ 医療・介護福祉等関連領域の事業等を含めた施策の総合的推進 【組織間連携のあり方】 ○ 事案の緊急性や重篤性に応じた国・都道府県・市町村連携の強化 (役割分担型 → 重層連携型) 【情報の取扱い】 ○ 地域保健情報の標準化及び評価・公表による可視化、目標や 改善策の共有等を通じた地域でのPDCAサイクルの構築及び推進 【地域保健人材のあり方】 ○ 目標達成のために必要な資質の向上及び能力の育成 (事業こなし型・活動目的型 → 目標達成型)
検討会報告書の内容 ○地域保健担当部門は、地域のソーシャル・キャピタルに立脚した活動を展開し、多様化・高度化する住民ニーズに即した取組みを推進する ○特に、ソーシャル・キャピタル形成の場である学校・企業等と積極的に連携するとともに、その「核」となる人材を発掘し、育成する ○保健所・市町村保健センターは学校保健委員会への参加等を通じて、学校との連携を推進するとともに、国における企業活動の評価のあり方の検討等を踏まえ、企業活動の評価を実践するとともに、その活動内容の住民への周知を推進する。 1.住民主体の健康なまちづくりに向けた地域保健対策の構築