病理学実習 2 ：女性生殖器 Ⅱ 卵巣の疾患・絨毛性疾患

1. 病理学実習2：女性生殖器Ⅱ卵巣の疾患・絨毛性疾患病理学実習2：女性生殖器Ⅱ卵巣の疾患・絨毛性疾患 20190417 器官病理学　野坂加苗 特に断りが無い限り，本プレゼンテーションの図表は自作もしくはRobbins and Cotran, Pathologic basis of Disease, Professional edition,9eからの引用である

2. 今回の実習で学ぶ疾患 明細胞癌 Clear cell carcinoma 粘液性腫瘍 Mucinous tumor 高異型度漿液性癌 High-grade serous carcinoma 顆粒膜細胞腫 Granulosa cell tumor 未分化胚細胞腫　 Dysgerminoma 絨毛癌 Choriocarcinoma 奇形腫 Teratoma 卵黄嚢腫瘍 Yolk sac tumor

3. 実習課題 1．#22,33 Germ cell tumorについて 19歳の女性，突然の激烈な腹痛を自覚し，救急車で来院した．CTで右子宮付属器に捻転を示唆する所見を認め，緊急手術で付属器が摘出された．#22はこのとき摘出された病変の一部である． • #22を診断せよ • #22で識別しうる組織を列挙せよ（例：甲状腺） • #22と#33の違いを述べよ • #33についてGradeを推定せよ

4. 未熟奇形腫のGrading • 未熟な神経上皮（≒神経管構造）の出現比率 • NorrisのGrading：卵巣外進展，生命予後を反映 • Grade1：成熟組織に富み，疎な間葉組織に少数の核分裂像，幼若な軟骨，歯牙原基を含むもの • Grade2：より未熟で核分裂像を伴う神経上皮が4弱拡視野/プレパラート未満で出現 • Grade3：細胞密度の高い間質に溶け込む神経上皮が多数出現し，プレパラートあたり4弱拡視野以上

5. 実習課題 2．#12, 30Ovarian tumor について 2経妊2経産の38歳女性．4年前の乳癌術後のフォローアップCTで卵巣腫瘍を指摘された．精査の結果，卵巣癌と診断され，子宮および両側付属器の摘出が行われた． • #30を診断せよ。 • この患者で検出される可能性が高い遺伝子変異は何か。 • 上記の遺伝子変異を有する症例では，予防的に卵巣だけでなく卵管も切除されることがある。卵管が切除されるのはどのような理由によるものか。

6. 実習課題 3. #29 Ovarian tumorについて 64歳女性．腹部腫瘤を自覚し受診．MRIで左卵巣腫瘍を指摘され，左側の子宮付属器が摘出された．卵巣は径30cmに腫大していた． • #29を診断せよ（悪性度も含め） • この切片には悪性度の異なる成分が含まれている • 良性に相当する部分を少なくとも1箇所示せ • 中間悪性に相当する部分を少なくとも1箇所示せ • 間質浸潤を示せ

7. 実習課題 4．#34,35Germ cell tumorについて 8歳女児．急激に増大する腹部腫瘤と腹痛を主訴に来院した．診察で腹部に成人手拳大の腫瘤が触知された．血液検査では「A」が異常高値を示した． • #34を診断せよ • #35は#34と同一の組織を「A」に対する免疫染色で染めたものである．「A」とは何か． • 血管周囲を腫瘍細胞が取り囲む独特の構造は「B」と呼ばれている．Bはどれか．また，このような構造が形成されるのは腫瘍のどのような性質と関連しているか．

8. 実習課題 5．#21Ovarian tumorについて 55歳女性．月経困難症の既往あり．癌検診で右卵巣の腫大を指摘され，精査の結果，卵巣腫瘍として両側付属器・子宮全摘が行われた． • #21を診断せよ • #21の腫瘍細胞は「C」を模倣しているといわれる．そのため，細胞質には多量の「D」が含まれており，これは「E」で赤紫に変化する． • #21の腫瘍細胞はしばしば核が上極に飛び出すような特徴的な構造をとり，これは「F」構造と言われる．F構造は標本上どこにあるか．