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大規模地震等に対応した自衛消防力の確保. (1)大規模地震等に対応した消防計画. 消防計画において、 大規模地震などの発生時の対処について定める こととする必要がある。. (2)自衛消防組織の設置. 管理権原者が自衛消防組織を設置する こととする必要がある。. 近年、東海地震、東南海・南海地震や首都直下地震の発生の切迫性が指摘されている中で、事業所における消防防災体制を強化し、自衛消防力を確保することが喫緊の課題となっている。. 現状と課題. 対応の考え方. 多数の者が利用し、円滑な避難誘導が求められる大規模・高層の建築物 について、次の措置を講ずる必要がある。.
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大規模地震等に対応した自衛消防力の確保 (1)大規模地震等に対応した消防計画 消防計画において、大規模地震などの発生時の対処について定めることとする必要がある。 (2)自衛消防組織の設置 管理権原者が自衛消防組織を設置することとする必要がある。 近年、東海地震、東南海・南海地震や首都直下地震の発生の切迫性が指摘されている中で、事業所における消防防災体制を強化し、自衛消防力を確保することが喫緊の課題となっている。 現状と課題 対応の考え方 多数の者が利用し、円滑な避難誘導が求められる大規模・高層の建築物について、次の措置を講ずる必要がある。 消防法により、一定の利用者がいる事業所の管理権原者は、防火管理者を選任し、防火上必要な事項を定める消防計画の作成、同計画に基づく消火・通報・避難の訓練などの防火管理業務を行わせなければならないこととされている。 事業所において、大規模地震などの発生時の避難誘導や応急対策等の計画を定めることとされていない。 災害時の初動対応を行う自衛消防組織については規定がなく、その設置は各事業所の自主的取組みに委ねられている。
消防法等の一部改正 ○「消防法の一部を改正する法律」(H19.6.22公布) 東海地震、東南海・南海地震や首都直下地震の発生が切迫している状況を踏まえ、新たに一定の大規模・高層の建築物について、自衛消防組織の設置と防災管理者の選任及び火災以外の災害に対応した消防計画の作成を義務付け ○ 「消防法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令」、 「消防法施行令の一部を改正する政令」、 「消防法施行規則の一部を改正する省令」及び関連告示 (H20.9.24公布) 上記改正法の施行日を平成21年6月1日と定めるとともに、必要となる自衛消防組織の細目、防災管理者の資格等についての関係規定を整備
自衛消防組織 (法第8条の2の5) 自衛消防組織の設置 災害時の応急対策を円滑に行い、防火対象物の利用者の安全を確保するため、多数の者の出入りする大規模な防火対象物について、自衛消防組織の設置を義務付け ○ 政令による基準により設置(一定の編成、中核的な要員の配置等) ☆ その他の改正の概要 ・自衛消防組織の設置等の際の消防長等への届出義務。 ・自衛消防組織未設置の際の自衛消防組織の設置命令の新設。 ・防火対象物の使用禁止命令の要件等に、自衛消防組織の設置命令違反等を 追加。 施行期日→平成21年6月1日
自衛消防組織の設置対象 【設置対象の考え方】 多数の者が利用する大規模・高層の防火対象物など消防防災上のリスクの 大きい防火対象物 ・地上とのアクセスが構造上大きく制限される場合が多い。 ・避難時の移動距離が非常に長くなる場合が多い。 ・多数の者が存在することにより、群集心理によるパニックが生じやすい。 ・建築物等が大規模であり、高度な自衛消防活動等が要求される。 【用途】 共同住宅等((5)項ロ)、格納庫等((13)項ロ)、倉庫((14)項)を除いた 全ての用途(文化財((17)項)も含む。)、地下街 【規模等】 ・延べ面積5万㎡以上 ・5階以上で延べ面積2万㎡以上 ・11階以上で延べ面積1万㎡以上 ・1,000㎡以上の地下街 ※施行令第2条が適用される 同一の管理権原の防火対象物が、同一敷地内に複数ある場合 ○面積・・・ 個々の防火対象物の面積を合算 ○階数・・・ 最も階数の多い防火対象物の階数で全体の階数を判断
自衛消防組織を設置する防火対象物 (令第4条の2の4) + (階数は、地階を除く) 地下街(16項の2) 延べ面積1,000㎡以上 + →共同住宅等(5項ロ)、格納庫等(13項ロ)、倉庫(14項)は含まれない。
① ② ③ 1万㎡ 11F 1万㎡ 5F 5万㎡ 1万㎡
自衛消防組織設置義務の有無について(例) 例 ① 例 ③ 例 ④ 例 ⑤ 例 ② 3F~11F 9,000㎡ 共同住宅 6F~11F 6,000㎡ 共同住宅 6F~11F 6,000㎡ ホテル 1F~11F 11,000 ㎡ ホテル 1F~11F 11,000 ㎡ 共同住宅 3F~5F 3,000㎡ 事務所 3F~5F 3,000㎡ 共同住宅 1F~2F 2,000㎡ 物販 1F~2F 5,000㎡ 物販 1F~2F 5,000㎡ 物販 5F建 延8,000㎡ 11F建 延11,000㎡ 11F建 延11,000㎡ ※該当用途無し 2F建 延2,000㎡ 11F建 延11,000㎡ 設置義務有り 設置義務無し 設置義務無し 設置義務無し 設置義務有り
自衛消防組織設置義務の有無について(例)~令2適用の場合自衛消防組織設置義務の有無について(例)~令2適用の場合 同一敷地内・同一権原 例 ① 例 ② 例 ③ 6F~11F 4,000㎡ ホテル 6F~11F 4,000㎡ ホテル 6F~11F 4,000㎡ 共同住宅 3F~5F 3,000㎡ 事務所 3F~5F 3,000㎡ 事務所 3F~5F 3,000㎡ 共同住宅 1F~2F 2,000㎡ 物販 1F~2F 2,000㎡ 物販 1F~2F 2,000㎡ 物販 1F~2F 2,000㎡ 物販 1F~2F 2,000㎡ 物販 1F~2F 5,000㎡ 物販 11F建 延11,000㎡ 5F建 延7,000㎡ 11F建 延11,000㎡ 設置義務有り 設置義務無し 設置義務有り
設置形態 ①複合用途防火対象物については、 対象用途の部分にのみ設置 (令第4条の2の5第1項) ②防火対象物の管理権原が分かれている場合は、共同設置 (令第4条の2の5第2項) (5)項ロ 共同住宅 (3)項ロ飲食店 設置義務 無し (5)項ロ 共同住宅 共同設置 設置義務 有り (4)項 販売店 (4)項 販売店
自衛消防組織の設置 1 自衛消防組織の基本目的 火災及び地震等の災害について自衛消防活動を行う。 火災発生時~消防機関の到着までの初期活動 地震等発生時~直接的な被害の応急措置、2次被害発生の防止 2 統括管理者の配置(令第4条の2の8、規則第4条の2の13) 自衛消防組織の全体を指揮する統括管理者(自衛消防隊長)を置く。 ・必要な知識等を有する有資格者をもって充てる。 ※発災時に適切に自衛消防活動が実施できるように必要な権限を与える。 (消防計画等により担保 ※地位等に具体的な制限はない。) ※専従・常駐までは要しない(不在時の対応について消防計画で定めておく) ※ 統括管理者の資格 ・自衛消防組織の業務に関する講習の受講した者 都道府県知事、市町村の消防長等、登録講習機関が実施 実技を含む内容として12時間(5年毎の再講習(6時間)を実施) ・消防職員で管理監督的な職(消防士長以上)に1年以上あった者 ・消防団員で管理監督的な職(班長以上)に3年以上あった者 ・従来の防災センター要員講習受講者で5年以内に追加講習(3時間)を受講した者 (追加講習受講後は、5年毎に自衛消防業務再講習を受講)
3 要員の配置(規則第4条の2の11) ○基本的な自衛消防業務(法令上定められているもの) ①初期消火活動 ②情報の収集・伝達、消防用設備等の監視 ③在館者の避難誘導 ④在館者の救出・救護 →各業務について、おおむね2人以上の要員の確保が必要 実際には、全体として消防計画に定める対応が実施できる体制を確保 ※消防計画作成段階における被害想定、訓練の検証結果を踏まえ決定 4 内部組織の編成 ・内部組織を編成する場合はその業務内容・活動範囲を明確にするとともに 統括者(班長)を置く。 業務内容-指揮班、消火班、通報班、避難誘導班・・・ 活動範囲-本部隊、地区隊 ・統括管理者の直近下位の内部組織(上記の基本的な自衛消防業務に係るもの) の班長には必要な教育(自衛消防組織の業務に関する講習)を受けさせる。 →基本的には本部隊の班長を想定 ※班長が、統括管理者の資格を持つときは、消防計画に定める教育で可
5 消防計画における位置付け(令第4条の2の6、規則第4条の2の10)5 消防計画における位置付け(令第4条の2の6、規則第4条の2の10) 消防計画において、自衛消防組織の業務に関する事項を定める。 (防火管理に係る消防計画及び防災管理に係る消防計画) <記載事項> ・消火活動、通報、避難誘導等の自衛消防組織が行う業務の活動要領 ・自衛消防組織の要員に対する教育訓練 →班長に対する教育(自衛消防業務講習の受講)を含む ・自衛消防組織を共同設置している場合 →自衛消防組織に関する協議会の設置運営 →統括管理者の選任 →業務を行う防火対象物の範囲 6 自衛消防組織の設置の届出(法第8条の2の5②、規則第4条の2の15) 別記様式第1号の2の2の3の3による届出書 <届出事項> ・自衛消防組織設置防火対象物の管理権原者の氏名及び住所 ・自衛消防組織設置防火対象物の所在地、名称、用途、延べ面積、階数 ・管理権原が分かれている場合の権原の範囲 ・自衛消防組織の内部組織の編成及び要員の配置 ・統括管理者の氏名及び住所 (資格を証明する書類を添付) ・自衛消防組織に備え付けられている資機材
防災管理 (法第36条) 地震災害等に対応した防災体制の整備 地震等による被害の軽減のため、大規模・高層の建築物等について、地震に対応した消防計画の作成など、地震災害等に対応した防災体制を整備するための制度を導入 ○ 防災管理者の選任と消防計画の作成・防災管理業務の実施 ○ 管理権原が分かれる建築物等における共同の消防計画の作成等 ○ 資格者による建築物等の管理状況等の定期的な点検報告制度 ○ 法令を遵守している建築物の優良認定制度 ※ 罰則についても火災に関するものを同様に適用する。
防火管理と防災管理 ※防火対策と地震対策の一元化として、防火管理及び防災管理に関する規定が併せて適用される建築物等について、以下の調整規定を設けている。 • 防災管理者に防火管理者が行うべき防火管理上必要な業務を行わせなければならない(法36条②)。 • 防火対象物点検基準及び防災管理点検基準の双方に適合した建築物等に限り、点検済表示を認める(同条③)。 • 防火対象物点検の特例認定及び防災管理点検の特例認定の双方を受けた場合にのみ、優良認定証の表示を認める(同条④) 。 ※ただし、管理権原が分かれているものにあっては、建築物その他の工作物のすべての部分が点検又は認定を受ける必要がある。
防火管理と防災管理の位置づけ ○現行の防火管理制度との並びで防災管理制度が位置付けられ、 防火管理・防災管理双方にまたがる形で自衛消防組織の制度が新設された。 自衛消防 組織 (太線は新規導入部分)
法第36条による読替え ○法第36条第1項により、第8条・第8条の2・第8条の2の2、第8条の2の3 の規定が、防災管理について準用されている。
防災管理を要する災害 (令第45条) ○地震 東海地震、東南海・南海地震、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震や首都直下地震の発生の切迫性が法改正の契機。 →被害想定に基づいた、詳細な消防計画の作成 ○毒性物質の発散その他の総務省令で定める 原因により生ずる特殊な災害(NBCR災害) N:核 B:生物 C:化学 R:放射能 その他の事故災害等についても、通報連絡や在館者の避難誘導が必要となる場合には、火災、地震における実施体制や要領等について共通する部分が多いため、対象とすることが必要。 →通報連絡・避難誘導のみ実施を求める。
防災管理を要する建築物その他の工作物 (令第46条) ○ 自衛消防組織を設置しなければならない防火対象物の要件に該当するもの ※ただし、複合用途防火対象物(16項)にあっては、 自衛消防組織が設置対象部分にのみ義務が課せられるのに対し、 防災管理については、用途に関わりなく全ての部分に防災管理者の選任等が義務付け 自衛消防組織 防災管理 (5)項ロ 共同住宅 (5)項ロ 共同住宅 設置義務 無し 選任等義務有り (4)項 販売店 (4)項 販売店 設置義務 有り
防災管理者の選任 (法第36条において準用する第8条、令第47条) 地震等の災害による被害の軽減のため、管理権原者は防災管理者を選任し、消防計画の作成、当該消防計画に基づく防災管理上必要な業務を実施させる。 ※法第36条第2項により、防火管理者の業務も行う。(選任手続きは別途必要) <防災管理者の資格> ①防災管理上必要な業務を遂行できる管理的又は監督的な地位にあるもの →ただし、防火管理者と同様に外部委託の規定がある。 ②必要な知識技能を有するもの ・甲種防火管理講習受講に加えて、都道府県知事・市町村の消防長等・登録講習機関 が行う講習(防災管理講習)を受講。さらに、選任後は5年毎の再講習が必要。 ・消防職員で管理監督的な職に1年以上 ・消防団員で管理監督的な職に3年以上 等 ※甲種防火対象物において、小規模テナント部分の特例により、 乙種防火管理講習の資格で防火管理者が選任されていた部分についても、 防災管理業務の対象となる場合には、甲種防火管理講習の資格が必要。
共同防災管理の協議 (法第36条において準用する第8条の2、 規則第51条の11において準用する第4条の2) 防災管理業務が義務となる防火対象物で管理権原が分かれているものは、防災管理上必要な業務について協議して定め、消防長等に届出。 ※共同防火管理の対象外でも対象となる場合がある。 <共同防災管理の協議事項> ・共同防災管理協議会の設置運用に関すること ・共同防災管理協議会の代表者の選任に関すること ・統括防災管理者の選任及び付与すべき権限に関すること (防災管理者となる資格が必要) ・全体の消防計画の作成及びその計画に基づく避難の訓練の実施に関すること ・避難口等避難施設の維持管理・案内に関すること ・地震等の災害が発生した場合の通報連絡・避難誘導に関すること ・消防隊に対する必要な情報提供・誘導に関すること ・その他協同防災管理に関し必要な事項 ※共同防火管理の協議事項と整合性を確保する必要 →同じ組織等(共同防火・防災管理協議会、統括防火・防災管理者等)とすることが望 ましい。 ※全体の消防計画については、共同防火管理の全体の消防計画と併せ一つの計画と して作成することを妨げない。また、被害想定の反映等について指導すること。
防災基準点検済証 (法第36条において準用する 第8条の2の2ほか) 防災管理点検 防災管理業務実施が義務となる対象全てが点検報告制度の対象 ※防火対象物点検の対象外でも義務となる場合がある。 <主な点検事項> ・防災管理者選任の届出及び防災管理に係る消防計画作成の届出 ・自衛消防組織設置の届出 ・防災管理に係る消防計画に基づき、防災管理業務が適切に実施されていること ・共同防災管理の協議事項の届出 ・避難施設等が適切に管理されていること ※基本的にソフト面に限定 <防災管理点検資格者> 以下の者で、登録講習機関が実施する講習(8時間)を受講したもの ・防火対象物点検資格者として3年以上実務経験を有する者 ・防災管理者として3年以上の実務経験を有する者 ・市町村の消防職員で、防災管理に関する業務について1年以上 の実務経験を有する者 等
防災基準点検済証 防災基準点検済証 <防災基準点検済証> (規則第51条の12第2項において準用する第4条の2の4第1項) ・点検の結果基準に適合しているものについて、点検済表示ができる。 ・防火対象物点検・防災管理点検の両方が義務となる防火対象物は、両方の表示の要件を満たしている場合にのみ、その旨の表示をすることができる。 ※経過措置として、最初の点検の結果が判明した日又は点検を実施しなければならない期日が経過した日のいずれか早い日までの間は、適用しない。 点検の実施期間 防災管理 点検 対象物 この間に1回点検を実施 この間に1回点検を実施 基準日 (平成21年6月1日) 基準日から1年後 (平成22年6月1日) 基準日から2年後 (平成23年6月1日) 経過措置 (改正令附則第2条第2項) 防火・防災基準点検済証 防火 対象物 ・ 防災管理 点検 対象物 最初の点検の結果が判明した日まで 最初の点検 の結果が判明 施行日 (平成21年6月1日) 施行日から1年後 (平成22年6月1日) 点検を実施しなければならない期日が経過した日 防火・防災基準点検済証
防災管理点検の特例認定 (法第36条において準用する 第8条の2の3ほか) 防火対象物点検と同様に、過去3年以内の点検結果が優良等の条件により、点検報告の義務を3年間免除する特例認定制度 <認定基準> ・管理を開始した時から3年以上経過 ・過去3年において、以下の命令を受けたことがない (又はされるべき事由がない) 法第5条、第5条の2、第5条の3、第8条、第8条の2の5、 第17条、 法第36条において準用する法第8条 ※火災予防上の命令も欠格条件になる (一方で、防災管理の命令は防火対象物の特例認定の欠格にはならない。) ・過去3年において、防災管理の特例認定取り消しを受けていない ・過去3年において点検報告未実施未報告・基準不適合がない ・検査の結果、特例認定の基準(=防災管理の点検基準)に 適合している。 ○ただし、経過措置により法施行後3年間は、認定をすることはできない。
防災基準点検済証 防災基準点検済証 防災基準点検済証 <防災優良認定証> ・特例認定を受けたものは表示ができる。 ・防火対象物点検・防災管理点検の両方が義務となる防火対象物は、 両方の特例認定を受けている場合にのみ、その旨の表示をすることができる。 ※経過措置として、3年間は防火優良認定証のみの表示を認める 特例認定 (改正令附則第2条第1項) 防災管理 点検 対象物 3年間は、認定を受けられない 基準日 (平成21年6月1日) 基準日から1年後 (平成22年6月1日) 基準日から2年後 (平成23年6月1日) 基準日から3年後 (平成24年6月1日) 経過措置 (改正令附則第2条第1項) 防火 対象物 ・ 防災管理 点検 対象物 施行日 (平成21年6月1日) 施行日から1年後 (平成22年6月1日) 施行日から2年後 (平成23年6月1日) 施行日から3年後 (平成24年6月1日)
防災管理に係る消防計画の作成 ○ 地震等の災害による被害の軽減のため、管理権原者の指示を受けて、防災管理者 が作成する(令第48条・規則第51条の8)。 防火に係る消防計画(法第8条に基づき作成)とは、概念上別の計画 ※ただし、両方の規定を満たすように一つの「消防計画」として作成することを妨げない。 ※体制等については共通する内容が多く、また実際の応急活動の面からは、整合性の とれた一体的な運用が確保されることが必要。 ⇒ 一つの消防計画として作成することが効率的である。 <特徴> ○地震発生時の被害の想定及びその対策について盛り込むこと。 ・火災については、建築構造・消防用設備等においてその局限化が織り込まれている。 ・地震については、建築物等全体で同時多発的にその影響が生じることから、その被 害を事前に想定して対策(業内容、実施体制)を検討することが不可欠 ○訓練結果等を検証して消防計画を見直すことを明文化 ・PDCAサイクルにより、よりベターな体制を構築していくことが重要 ○地震については被害を軽減させるための予防対策も含め計画 ○NBCR災害については、関係機関への通報及び避難誘導実施を求める。
消防計画に係る規則事項の整理表 規則第3条 規則第51条の8 規則第4条の2の10 規則第51条の10
消防計画作成ガイドライン 「予防行政のあり方に関する検討会」において、「消防計画作成ガイドライン等検討WG」を設置し、消防計画作成ガイドラインについて検討。 平成19年12月に中間報告としてとりまとめ。 →政省令の公布に併せて通知 地震災害等に対応した消防計画の作成及び自衛消防組織の整備に係る共通的な内容を中心に、作成手順や基本構成、災害対応上のポイント等をまとめたもの。 必要な応急対策の内容やそれを実施するための体制は、個々の防火対象物により異なるため、個々の対象物ごとの用途、規模、構造、利用形態等を勘案し、適切なレベルの災害を想定し、必要な応急対策の内容や実施体制を具体的に検討することにより、当該防火対象物の実情に応じた消防計画を作成する必要があるもの。 「大規模地震等に対応した消防計画作成ガイドラインについて」 (平成20年10月21日消防予第272号)
被害想定に基づいた消防計画の作成 一定の規模の地震が発生した場合の建築物等及びその在館者・収容物品等の被害を想定する。 ・共通的に、少なくとも震度6強程度の地震は想定する。 ・地域防災計画や建築基準法の耐震設計で具体的に想定されている地震があればそれも考慮する。 ・発生する時間帯、自然条件は最も大きな被害が想定される時間・条件とする。 ・上記規模に達しない場合でも特異な事案を生じる可能性に留意(長周期地震動によるエレベータ停止等) ◇ ガイドラインにおいて、簡便のため、「標準的な付与条件」を示す。 ◇ 合理性が客観的に認められるものである場合には、「標準的な付与条件」と異なる 手法で評価することができることとする。 ◇ 建物構造や避難施設が大きく損壊するおそれがある場合には、必要強度の確保が 合理的な計画作成の前提として必要となることに留意すべき。
火災及び大規模地震発生時の被害事象等の相違点火災及び大規模地震発生時の被害事象等の相違点 火 災 大規模地震 被害事象 建物内の 被害の形態 通常、火元は一ヶ所 また、自動火災報知設備等により比較的覚知しやすい 火災だけでなく、建築構造・設備の損壊や機能停止、落下物・転倒物による被害が発生 被災箇所が同時多発的で広範囲 時間変化 通常、火元から徐々に拡大し、深刻な被害を生ずるまでに一定の時間を要する また、防火区画、防火設備、排煙設備により、火災の影響範囲は限定的 発災直後に一瞬で被災 また、出火した場合には、防火区画等の被災により、急激に延焼拡大するおそれ ライフラインや 周辺の被害 建物内の停電等は想定されるが、限定的 建物内のほか、地域全体で停電、断水、通信障害、交通障害が発生 また、被災地域では、建物倒壊や火災が多数発生 応急活動の内容 初期消火、通報連絡、避難誘導、救出救護など 通常の火災時に必要な対応に加え、 人手による全体の被災状況の確認、停電・余震などによる不安や恐怖感の排除(パニック防止) 、転倒物等からの救出救護、エレベータ停止に伴う閉込め対応、出火した場合の迅速な初期消火、広範囲に危険が及ぶ場合の全館避難 事業所における初動対応 応急活動の手段 消防設備、避難施設、非常用エレベータ等を活用 消防設備、避難施設、非常用エレベータ等が損壊や機能停止により使えない可能性がある 停電、断水等のため、上記施設・設備や照明器具等が機能しない可能性がある 従業者等の召集 夜間休日の場合でも、比較的駆け付けが容易 夜間休日の場合、指揮者・隊員の駆け付け困難 活動時間 消防機関は、通報による火災覚知後、速やかに現場へ到着し、消火や救助、救急搬送等を実施 消防機関の迅速な活動を期待できない可能性がある → 事業所単独の対応が長期化
地震発生時の対応行動フロー 地震の発生 自身の安全確保 身の回りの人命救助 <火災発生のケースと同じ> 震度5弱、5強 震度6弱以上、 または建物機能の停止(停電など) 震度4以下 職場内の点検 建物・付帯設備や職場内の点検 被害状況の確認 火災の覚知 初期消火 火災現場確認 緊急対応※ 緊急対応※ Yes 避難が必要か Yes 異常の有無等を担当部署へ報告 初期消火可能か No No 異常対応 一時待機 全館避難・避難誘導 通報・連絡 日常業務へ移行 一時避難場所 情報収集 <緊急対応> ◇ 救出・救護 ◇ 二次災害防止 ◇ エレベータ閉じ込め対応 ◇ 居室閉じ込め対応 ◇ 避難設備・消防設備の損壊対応 ◇ 応急復旧(漏水対応、障害物除去 など) ◇ 館内放送 ◇ 活動資機材確保 など 広域避難場所 帰宅または残留(帰宅困難者)
地震発生時の避難方法の特徴 地震発生 館内情報 強い余震の危険 複数回同時出火 危険物・ガスの漏出 等 火災の発生 室内散乱等による負傷の危険 等 周辺の都市火災の発生 等 倒壊危険 その他危険 周辺の危険 階避難の必要性 重要な構造の損壊等 No No No Yes Yes Yes Yes 全体に 危険及ぶか Yes 防火区画・設備の損傷 等 情報の逐次提供 必要階への避難情報の連絡 等 No 情報の逐次提供 被災状況等から階の優先度を判断 予期しない一斉避難行動等のパニック的行動の抑制 等 通常階避難 全館一斉避難 全館逐次避難
事業継続計画(BCP)との関係 防災管理に係る消防計画と、BCPとは似て非なるもの BCP→緊急事態に対して事業の損害を最小限にとどめ、事業の継続・早期復旧を行う ための計画(法令上の安全確保義務は大前提) 消防計画:防火対象物の管理権原者が災害の発生の予防・被害の軽減を行うための 計画 →ただし、発生時にまず 人命安全の確保 二次被害の防止 を図るという点は共通 ○緊急時に実際の活動現場にお いて応急活動が的確に講じられ るように、訓練等を実施を通じて 適切に調整を図っておく。 ○災害想定等の検討については、 共通する要素もあり、相互に成 果の活用を図ることが効率的
地域防災との関係 ○ 地域の地域防災計画等との整合性を確保することが必要 ・地域防災計画における地域全体の防災計画との整合性 →被害の想定、地域全体の対応方針(広域避難等、防火対象物の外部での対応) ・地域防災計画における役割との整合性 →避難場所に指定されている場合や災害拠点病院など ○ 防火対象物において整備されている自衛消防組織や資機材を活用して、地域の 防災力を高めることが望ましい。 →ただし、防火対象物における応急対応を行う体制が確保されていることが前提で あり、地域での活用のためには、予め転用できる人的・物的資源の特定や意思決 定方法等のプロセス等を明確化しておくことが必要 転用可能な資源の特定 地域防災への協力 被災状況の把握 防火対象物内で必要な人的・物的資源の特定
自衛消防業務新規講習(12時間)の内容 防火管理・防災管理に関する一般知識 (3時間) ○防火管理制度・防災管理制度の概要 ○火災、地震災害の現象についての一般知識 ○建築物の防災計画・基本的な考え方 等 自衛消防組織、統括管理者・要員の役割と責任 (3時間) ○自衛消防組織の役割と重要性 ○統括管理者、班長の果たすべき責務 ○防災センター等の役割と指揮命令方法 ○自衛消防組織の構成員への教育訓練方法 等 防災設備等に関する知識と その取扱い訓練 (2時間) ○消防用設備等の概要・取扱い方法 ○防火避難施設の概要・取扱い方法 ○その他の活動資機材・取扱い方法 等 自衛消防組織の統括管理者・要員の災害時対応総合訓練 (4時間) ○自衛消防組織の統括管理者・要員の災害時対応の総合訓練 ・火災及び地震を想定 ・発災時から初期対応~避難誘導~消防隊到着までの経過を想定 ・指揮本部である防災センター等を活用 再 講 習:5年毎に再講習(総合訓練を中心に6時間) 追加講習:防災センター要員講習受講者は、追加的要素の講習(3時間)で資格を認める
防災管理再講習と防火・防災管理再講習 ※ 防災管理新規講習を受講した場合は、甲種防火管理再講習の受講期限が、その後 5年以内に延長(受講期限が1年以内の場合を除く) → 以後は防火・防災再講習を受講 <防災管理者の業務> ※基本的に防火管理者と並びの規定ぶり ・防災管理に係る消防計画の作成 ・消防計画に基づき、避難の訓練の実施その他防災管理上必要な業務を実施 →避難訓練を年1回以上実施(防災管理義務対象物全て) 基本的に防火管理における消火・避難訓練とは別物。 ただし、同日に続けて実施する等を妨げない。
経過措置 【施行日前講習】(改正令附則第3条、改正省令附則第2条及び第3条) ①施行日前においても、自衛消防組織の業務に関する講習、防災管理に関する講習又は防災管理点検資格者講習で、消防庁長官が定めるものは、法令に基づく講習とみなす。 →市町村及び登録講習機関が実施した講習は、施行日前後に消防庁告示により消防庁長官が定めるものとして指定する予定。 ②施行日前においても、上記の講習に係る総務大臣の登録を受けようとする法人は申請ができるものとし、当該申請があった場合には登録をすることができる。 ③施行日前においても、上記の講習を実施した場合には、修了証又は免状を交付することができる。発行された修了証又は免状は、施行日において正規のものとみなす。 【甲種防火管理再講習の受講期間の特例】(平成20年消防庁告示第17号附則第2項) 防火管理者が、防災管理新規講習の課程を修了した場合は、当該講習を受講してから5年以内に甲種防火管理再講習を受講すればよいこととした。 防火管理者 防火・防災管理者 防災管理 新規講習 防火管理 再講習 防火・防災管理 再講習 防火管理 再講習 18.6.1 21.4.1 23.6.1 26.4.1 5年 5年 この期間再講習を猶予
甲種防火管理再講習に係る経過措置の例外 ※全ての場合で、甲種防火管理再講習に係る経過措置が適用されるわけではない。 参考 平成16年消防庁告示第2号 甲種防火管理再講習について定める件 第1号 消防法施行令第4条の2の2第1号の防火対象物の部分に係る防火管理者に定められた日の4年前までに講習 の課程を修了した防火管理者にあっては防火管理者に定められた日から1年以内に、それ以外の防火管理者に あっては最後に講習の課程を修了した日から5年以内に再講習の課程を修了しなければならない。 簡単に2例を挙げると 例1 1年以内 4年以上 ▲ ★ ▲or◎ ● 5年以内 ○ ☆ △or◎ 5年以内 例2 4年以上 ★ 1年以内 ● ▲ 5年以内 ▲or◎ ☆ ○ △or◎ 5年以内 ●:甲種防火管理新規講習の課程を修了した日 ○:防災管理新規講習の課程を修了した日 ☆:防災管理者に選任された日 ★:防火管理者に選任された日 △:防災管理再講習の課程を修了しなくてはならない期限日 ▲:甲種防火管理再講習の課程を修了しなくてはならない期限日 ◎:防火・防災管理再講習の課程を修了しなくてはならない期限日
おわりに 今回の消防法の改正は、大きな転換点 ○ 建築物の大規模・高層化が進む中、建築物に対する防火中心の対策から地震 を含む幅広い災害対策に転換が図られた。 ○ 防火・防災管理業務全体において、これまでその管理目標レベルが必ずしも明 確に示されてきたわけではなく自主的な判断に委ねられてきたものが、自衛消防 組織の設置要件の明確化や消防計画作成ガイドラインによる災害想定に基づく 消防計画の作成などにより一定のレベルが示された。 → 大規模・高層建築物等の自衛消防力の一層の向上を期待 大規模地震発生に対する潜在危険性の高まりが危惧されている今、大規模・高層建築物等の防災対応力の向上を一刻も早く図るために、対象建築物等関係者、消防関係者等の早急な取り組みが強く期待される。
○○事業所 消防計画 法改正により変わること(平成21年6月1日~) 消 防 機 関 防災管理者 防災管理者の選任届出 • 防火管理・防災管理に関する講習を修了等の一定の資格者から選任 防災管理に係る消防計画の作成届出 • 地震発生時の被害を想定 • 家具固定等の被害軽減措置 • 地震発生時の応急措置 • その他の災害時の避難誘導等 大規模地震に対応した 消防計画 自衛消防組織の設置届出 • 自衛消防業務に関する講習を受講等の一定の資格者を統括管理者とする • 業務毎に一定の要員 • 管理権原が分かれている場合は共同で設置 自衛消防組織 防災管理点検報告 • 防災管理業務の実施状況について1年に1回資格者による点検・報告 大規模・高層防火対象物等 防災管理 点検資格者