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パルサー星雲のスペクトル進化. 宇宙進化グループ・ M2 田中 周太 2009.2.9. 修士論文発表会. パルサー星雲. かに星雲に代表されるパルサー星雲は、パルサーの回転エネルギーを磁場や相対論的電子陽電子のエネルギーに変換し輝いている。 電波 ‐X 線領域・・・シンクロトロン放射、特性放射 γ 線領域・・・逆コンプトン散乱. 電波、可視光などでは、フィラメント構造を伴うまゆ状の構造。一方 X 線ではトーラス状の構造とジェット構造。 かに星雲は膨張も観測されていて、 膨張速度は約 1500km/s.
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パルサー星雲のスペクトル進化 宇宙進化グループ・M2 田中 周太 2009.2.9.修士論文発表会
パルサー星雲 かに星雲に代表されるパルサー星雲は、パルサーの回転エネルギーを磁場や相対論的電子陽電子のエネルギーに変換し輝いている。 電波‐X線領域・・・シンクロトロン放射、特性放射 γ線領域・・・逆コンプトン散乱 電波、可視光などでは、フィラメント構造を伴うまゆ状の構造。一方X線ではトーラス状の構造とジェット構造。 かに星雲は膨張も観測されていて、膨張速度は約1500km/s Gaensler & Slane Annu. Rev. Astron. Astrophys. 2006. 44:17
パルサー星雲のスペクトル Atoyan & Aharonian,96 に代表されるようにパルサー星雲のSEDは、与えられた非熱的電子の分布からのシンクロトロン放射と、宇宙マイクロ波背景放射、シンクロトン放射などを種光子とする逆コンプトン散乱を考える。 シンクロトロン 逆コンプトン散乱 平均磁場 ~300μG γ線 可視光 X線 電波 磁場の値は、左のスペクトルの可視光付近の折れ曲がりを再現するために、観測的に示唆されたもの。 電子陽電子の分布はスペクトルを再現するように手で与える。 Log(光度) Log(振動数) Aharonian, F.A. & Atoyan, A.M., 1998, nspt.conf, 439A
目的 • パルサー星雲の形成時からの電子陽電子分布の進化を追って、パルサー星雲の現在のスペクトルを再現したい。 (Atoyan & Aharonian ’96は進化を追っていない) • パルサー星雲のスペクトル進化を調べて、進化という面で観測的に示唆を与えたい。 (特に、高エネルギーγ線観測について何か言える事がないか)
パルサー星雲中の電子陽電子分布関数の進化(Zhang et al. 08との比較) 連続の方程式 電子陽電子の分布関数 電子陽電子の冷却 電子陽電子の注入 近似式 Zhang et al. 08では、近似式を用いて解いている。 電子陽電子の冷却過程としては、シンクロトロン放射、逆コンプトン散乱、断熱膨張を考える。
仮定 • パルサー星雲を一様球で仮定。 • インナーリング半径の球から一定の速度で膨張する。 • 各時刻でパルサーの回転エネルギーを非熱的粒子と磁場のエネルギーに比“η”で分け与える。 • 非熱的粒子は折れ曲がったベキ分布でパルサー星雲に注入される。 • 非熱的粒子は、放射と膨張で冷える。
電子陽電子の冷却項 逆コンプトン散乱による粒子のエネルギー変化 シンクロトロン放射による粒子のエネルギー変化 断熱膨張による粒子のエネルギー変化 Zhang et al. ‘08では、粒子の逃げ出しとして扱っている。 逃げ出しとして扱うということは、大きさを固定されたパルサー星雲を考えることに相当。 ただし、パルサー星雲は膨張している。
かに星雲のスペクトルの再現 本研究のモデルの範囲で、観測されているかに星雲のスペクトルの再現に成功した。 高エネルギー成分では、主にシンクロトロン自己コンプトン散乱が支配的であることが必要。 青四角:観測点 赤線:シンクロトロン放射 青線:逆コンプトン散乱(シンクロトロン) 緑線:逆コンプトン散乱(CMB) 桃線:全放射
電子陽電子分布の時間発展 電子陽電子分布関数の進化。 低エネルギー側の粒子数が劇的に増加していくのがわかる。 冷却項の進化を見るとわかるように、高エネルギー側では主にシンクロトロン冷却、低エネルギー側では主に断熱膨張による冷却が支配的。
スペクトルの時間発展 本研究のモデルでのパルサー星雲のスペクトル進化。 時間とともに磁場が小さくなるために、シンクロトロン成分、シンクロトロン自己コンプトン散乱成分は小さくなる。 ただし、宇宙マイクロ波背景放射の逆コンプトン散乱は、粒子の冷却と数の増加の関係で、ほどんど変化がない。 ~10TeVγ線 若い方が上、年を取るとともに光度は減少
パルサー星雲のVHE観測<~数10TeV The Crab Nebula PSR J1826-1334 Age ~ 11kyr Distance ~ 200pc ~1° The Vela X Nebula Albert et al. 2008, ApJ, 674, 1037 Aharonian et al. 2006, A&A, 460, 365 Age ~ 1kyr Distance ~ 2kpc Age ~ 21kyr Distance ~ 4kpc Aharonian et al. 2006, A&A, 448, L43
まとめと課題 • パルサー星雲の簡単なモデルを立てて、スペクトルの時間発展を追った。 • シンクロトロン成分は、磁場の減少により小さくなる。 • 逆コンプトン成分は、宇宙マイクロ波背景放射の成分に限り、ほとんど変化しない。 • 本研究のモデルの範囲で、年老いたパルサー星雲も高エネルギーγ線で観測できる。 • 磁場発展のモデル。 • パルサー星雲の空間構造を考える。 • 他のパルサー星雲に対する適用。 • 他天体への応用。