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三次元地すべり解析について. 2004.3.25 群馬大学教授 鵜飼恵三. 三次元地すべり解析はなぜ必要か?. -この問いは、なぜ 2 次元解析ではダメなのかというのと同じ- 実際の斜面崩壊における 2 次元安全率と 3 次元安全率の違いは、 1.05 ~ 1.30 程度ある 3 次元形状の崩壊では、斜面の中心付近が下方に変形し、両側が引っ張られる形をとる 2 次元解析では安全率の精度が劣る 2 次元解析では対策工の設計に不満が残る. 三次元地すべり安定解析土塊イメージ図. Z. Y. X. 二次元解析での対策工の設計式 ( 例). 杭工の必要抑止力.
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三次元地すべり解析について 2004.3.25 群馬大学教授 鵜飼恵三
三次元地すべり解析はなぜ必要か? -この問いは、なぜ2次元解析ではダメなのかというのと同じ- • 実際の斜面崩壊における2次元安全率と3次元安全率の違いは、1.05~1.30程度ある • 3次元形状の崩壊では、斜面の中心付近が下方に変形し、両側が引っ張られる形をとる • 2次元解析では安全率の精度が劣る • 2次元解析では対策工の設計に不満が残る
三次元地すべり安定解析土塊イメージ図 Z Y X
二次元解析での対策工の設計式(例) 杭工の必要抑止力 • 3次元土塊の中央断面付近で取るので、断面積の小さい両側では過大になる • Fp :計画安全率 • F0 :現状安全率 • ⊿W :スライス自重 • α :すべり面傾斜角
二次元解析では、同じ規模の杭を同一間隔で配置することになる。二次元解析では、同じ規模の杭を同一間隔で配置することになる。 • 同一間隔で配置すると、中央断面に近いほうがすべり土塊は不安定なので、この付近の杭の変形が大きくなる • すべての杭がほぼ同じ負担になるよう設置するのが合理的:杭間隔は中央断面付近で狭く、両側で広くする 以上の理由から、3次元解析が必要
三次元斜面安定解析法 日本では、ホフランド法の利用が多い 問題点 ホフランド法は、力とモーメントのつり合いを全く満たしていない ホフランド法では(特に、砂質斜面) 3次元安全率<2次元安全率 という不合理な結果になることがある
ここで、 ホフランド法の三次元安全率式 すべり土塊を多数の長方形のコラム(柱)に分割して、式を導く。ホフランド法では、コラムの側面(周面)から力は働かないと仮定。すべり面の傾斜が少し大きくなるとこの仮定は無理がある。
注意! 土木研究所資料2265号に示されている次式 は、ホフランドの原式と分母が異なる。 DIPは、コラム底面(すべり面)の最急勾配角。 DIP>αyz、 なので F3(土研定義式)< F3(ホフランド原式)
ここでは、ホフランド原式をホフランド法と呼ぶここでは、ホフランド原式をホフランド法と呼ぶ すべり面上の水圧が大きいとき、ホフランド法は、安全率値を小さく見積もる。 このため、2次元の簡便分割法に対する修正簡便法と同じように、ホフランド(水中重量)法を定義する。
ホフランド法の問題点 →コラム側面に働く力を無視した仮定にある。 • それなら、コラム側面に働く力を考慮して定式化すればよい • また、2次元斜面安定解析法を3次元に拡張したほうがわかりやすい ↓ 2次元簡易ヤンブ法を拡張した 「3次元簡易ヤンブ法」の提案
水平力のつり合いから導かれる「3次元簡易ヤンブ法」の近似式は以下のようである。水平力のつり合いから導かれる「3次元簡易ヤンブ法」の近似式は以下のようである。 ここで、 • 左右両辺にF3があるので、くり返し計算(3回程度でよい)を行い収束値を求める
Z Y X くさび形三次元すべり面の計算例
計算例(くさび形三次元すべり面)砂斜面(c=0)仮定、厳密解F3=1.0ケース(2)のほうが崩壊幅が狭い計算例(くさび形三次元すべり面)砂斜面(c=0)仮定、厳密解F3=1.0ケース(2)のほうが崩壊幅が狭い
安全率の定義を再考する “安全率とは、ある任意のすべり面に沿って斜面が極限平衡状態になるように、せん断強度定数を減少させる因数である” つまり、斜面の強度定数 をFで割り、 Fを徐々に大きくして行き、斜面が破壊したときのFを安全率と定義する(せん断強度低減法の考え方)。
対策工の設計式では、異なる2つの式が定義されることがある対策工の設計式では、異なる2つの式が定義されることがある 簡単のため2次元簡便法を例にする 杭工の抑止力をPuとする せん断強度低減法による場合(合理的) • 地すべり鋼管杭設計要領の式 • 道路土工指針に示される式の考え方
杭がないときの現状安全率をF0とすると杭工の必要抑止力は次式で表される杭がないときの現状安全率をF0とすると杭工の必要抑止力は次式で表される • せん断強度低減法による場合(合理的) • 道路土工指針に示される式 Pu(せん断強度低減法)<Pu(道路土工指針) となる
三次元計画安全率と二次元計画安全率の関係 3次元計画安全率をいくつにすれば良いかという質問がよく聞かれる。これは、仮定によって異なる。ホフランド法を用いる場合の1例を示す。 ホフランド法の2次元安全率式(簡便法の式と同じ): ここで、
仮定 1.斜面が不安定な状態にあるとする。 2.初期安全率をF0とし、 3次元、 2次元ともに同じ値であると仮定する。 • 検証 計画安全率をF3p、F2pとすると、杭の必要抑止力Pu3、Pu2は、 ここに、Lは地すべり領域の幅である。 Pu3=Pu2と仮定すると、 一般に、 L∑⊿W2sinαyz> ∑∑⊿Wsinαyzだから F3p>F2p もし、L∑⊿W2sinαyz/ ∑∑⊿Wsinαyz=1.5で、F0=1.0,F2p=1.2ならF3p=1.33
三次元斜面安定解析法のまとめ 1.安全率の式 • ホフランド法: • ホフランド(水中重量)法: • 3次元簡易ヤンブ法:
2.強度定数cとtanφの逆算 • cが与えられてtanφを逆算のケース • tanφが与えられてcを逆算のケース の2通りがある。 通常と同じように計算する。詳細は省略。
3.三次元計画安全率と二次元計画安全率の関係3.三次元計画安全率と二次元計画安全率の関係 • ホフランド法とホフランド(水中重量)法: もしくは、 • 3次元簡易ヤンブ法: 少し、式が複雑になる。省略。
4.杭工の必要抑止力の計算 • ホフランド法とホフランド(水中重量)法: せん断強度低減法による場合(合理的) 道路土工指針に示される式 • 3次元簡易ヤンブ法: c、tanφは、現状3次元安全率F0に対応して逆算された値を用いる
5.有効抵抗力の計算 • ホフランド法とホフランド(水中重量)法: 有効抵抗力 =(すべり面上で発揮されうる最大せん断抵抗力) -(滑動力のすべり面方向成分) • 3次元簡易ヤンブ法: 有効抵抗力 =(すべり面上で発揮されうる最大せん断抵抗力の水平成分) -(滑動力の水平方向成分) y=一定の断面について、有効抵抗力の総和をとる
三次元地すべり安定解析土塊イメージ図 Z Y X
i、j番目のコラム Ri,j Ri-1,j Nij′tanφ+cJΔA Nij′=Nij-Uij i、j番目のコラムに作用しうる有効抵抗力i=y、j=x ΔTij=ΔWijsinαyz ΔTij αyz
有効抵抗力の式 • ホフランド法 (∑は、j(x方向)について取る) ゆえに (外側の∑は、1からi番目までとる) • 他の方法については省略
ま と め • 3次元地すべり解析法の基本事項について説明した。3次元解析法を利用するだけでも、従来の2次元解析法より相当進歩する。 (より高度な3次元解析法に向けて) • 対策工の3次元配置をより精度よく行うには、3次元弾塑性FEMを利用するとよい。このような方法で土と杭の相互作用を解析しないと、杭に作用する土圧の計算は難しい。