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コミュニケーション工学 B

Communication Systems Engineering B. コミュニケーション工学 B. 2011 年 1/24, 1/31, 2/7 講義分. 光ファイバー通信入門. 山田 博仁. 本講義資料のダウンロード   http://www5a.biglobe.ne.jp/~babe. 1/24 、 1/31 、 2/7 3 回分の講義内容. 1. 講義の目的 : 光ファイバー通信のしくみを理解してもらう 2. 講義内容 1 日目   ・ ブロードバンド・インターネットを支える光ファイバー通信   ・ 光通信とは ? 、電気通信との相違、光通信の歴史

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  1. Communication Systems Engineering B コミュニケーション工学B 2011年 1/24, 1/31, 2/7講義分 光ファイバー通信入門 山田 博仁 本講義資料のダウンロード  http://www5a.biglobe.ne.jp/~babe

  2. 1/24、1/31、2/73回分の講義内容 1. 講義の目的: 光ファイバー通信のしくみを理解してもらう 2. 講義内容 1日目   ・ ブロードバンド・インターネットを支える光ファイバー通信   ・ 光通信とは?、電気通信との相違、光通信の歴史   ・ レーザーとコヒーレント光、何故コヒーレント光が必要か? 2日目   ・ 光通信の要素デバイス(光ファイバー、LD、PD、光変調器、光増幅器など)   ・ レーザーの原理、半導体レーザ(LD)   ・ 光ファイバーにおける光伝搬、導波モード、分散 3日目   ・ 光伝送システム(分散管理、中継技術、信号多重化技術)   ・ 光変調方式と光多重化方式 3. 成績評価   毎回の講義中での演習レポート点を合計 (20点満点) 4. 参考書   末松安晴、伊賀健一共著、光ファイバ通信入門、オーム社   伊藤弘昌 編著、フォトニクス基礎、朝倉書店 5. 質問等 E-mail: yamada@ecei.tohoku.ac.jp、電気系2号館203号室

  3. インターネット利用者数及び人口普及率の動向インターネット利用者数及び人口普及率の動向 出展: 総務省 平成22年版 情報通信白書

  4. 国内におけるブロードバンド契約者数の推移 出展: 総務省 平成22年版 情報通信白書 ADSLはH18年度から減少に転じた それに代わってFTTHが急激に伸びている ブロードバンド契約者数の推移 DSLとFTTHの契約純増数の推移

  5. ICT 総合進展度、分野及び指標別のランキング 出展: 総務省 平成22年版 情報通信白書 我が国のICT総合進展度は25か国中第2位、内訳は、基盤(整備)が第1位、基盤(普及)が第8位、利活用が第16位

  6. ICT先進5か国の分野別及び指標別比較 出展: 総務省 平成22年版 情報通信白書 日本以外の4か国は全体的にバランスがとれている。 韓国、スウェーデンは利活用関連、デンマークは基盤(普及)関連、我が国は基盤(整備)関連の指標でそれぞれ第1位を獲得している。 言い換えると、日本は世界一進んだICTインフラを整備しているものの、それがあまり利用されていない。

  7. ネットワーク上を飛び交うデータ量の増加 国内の全インターネット トラフィックは平均で約1Tbps 1台のネットワーク基幹ノードが処理しているデータ量の推移 最近では約2年半から3年で倍増傾向 2倍/2.5~3年 データ量 (Gbit/s) 2倍/年 月/日/年 http://www.jpix.ad.jp/en/technical/traffic.html

  8. 昨日 1/23(日)のIPトラフィックの変化

  9. 海底光ケーブル網 出展  http://www1.alcatel-lucent.com/submarine/refs/index.htm

  10. 身近になった光ファイバー通信 AV機器のデジタル入出力ケーブル AV機器のデジタル入出力ケーブルとコネクタ FTTH(Fiber To The Home): フレッツ光(NTT), auひかり(KDDI)などがサービスを 出展: http://premium.nikkeibp.co.jp/ftth/part2/top_f.html 光回線終端装置(左) とルーター(右)

  11. 光Universal Bus Interface “Light Peak” Light PeakはIntelが提唱する新ユニバーサル バスインターフェースの規格 光ファイバーにより10G双方向通信を実現、5年以内に100Gへ VICSELとPIN PDをチップ実装 Light Peakの光送受信チップ 出典: Intel社White Paper

  12. USB3.0 vs Light Peak 次世代ユニバーサル シリアルバス規格の比較 USB3.0 Light Peak (Intel) 伝送媒体 シールド銅線 光ファイバ ケーブル径 ϕ6mm ϕ125μm(4本) 最大データ転送速度 5Gbps, 全二重 10Gbps, 全二重 伝送距離 3m 100m 電力伝送 5V, 900mA 不可 後方互換性 USB1.1やUSB2.0 なし 出荷開始時期 2009年に市場投入済 2011年? or 2012年? * USB機器の現在の出荷台数:年間約30億台

  13. 適用分野が広がりつつある光通信 サーバーの筺体間データ通信は、今や電気から光へ Active optical cable (光トランシーバー) サーバーのBackplane

  14. 通信とは Alice Bob 情報の搬送媒体 情報の送り手 情報の受け手 搬送媒体を送る 情報を搬送媒体に載せる 搬送媒体から情報を取り出す 搬送媒体 送る手段 手紙を書く 便箋、はがき 郵便システム 手紙を読む マイクロフォン 電流、電波 電話 イヤフォン、スピーカ 情報を送り手から受け手に伝えること

  15. 波動を用いる各種通信方式 ? テレパシー 情報搬送媒体 (carrier) 導波機構の有無 通信方式 用途 音波 伝声管 船内、潜水艦内通信 糸電話 教材 機械振動 有線 電流(電磁波) 電気通信 電話、インターフォン 光(電磁波) 光ファイバー通信 FTTH デジタルAV機器 (導波機構有) 海底光ケーブル 音波 会話 携帯電話 航空・船舶無線 電波(電磁波) 無線通信 アマチュア無線 衛星通信 無線 狼煙 腕木通信 手旗信号 光(電磁波) 光通信 衛星間光通信 (導波機構無、 自由空間伝搬) 重力波 重力波通信 腕木通信塔

  16. 自由空間伝搬による光通信 http://www.icsa.gr.jp/system/index_03.htm ビル間光通信 レーザ光通信システム (Canon) 大学キャンパス内 衛星間光通信 実験衛星「きらり」による衛星間光通信実験に成功 (H18年3月) NICT 小金井本部の光地上局

  17. 衛星間光通信 ガウスビーム波 強度分布 w0:ビームウエストサイズ r ガウスビーム波の広がり角 λ:光の波長 2w0 2Δθ Ex.) 波長1μmのレーザー光を、直径1mのビームにして月に送った    場合、月面でのビーム径はどのくらいになるか?    ただし、月までの距離は約38万kmである 答 直径約 240m

  18. レンズ焦点でのビームスポット径 2wf 2w0 qf θf < θ 焦点でのビーム径 レーザー光は、波長程度のビームスポット径にまで絞ることができる レンズの開口数 (Numerical Aperture: NA) a q f 波面 n f : 焦点距離 a : レンズの有効半径 n : 媒質の屈折率 (空気中の場合は1) Ex.) 波長1μmのレーザー光を、NA=0.5のレンズの有効径を    フルに活用して絞った場合、どの程度まで絞れるか? 答 直径約1.3μm

  19. 電気通信のしくみ 搬送波: 情報搬送の担い手 電気信号 搬送波を作る 搬送波に情報を載せる 搬送波から情報を取り出す 伝送路 発振器 変調 復調 電線 同軸ケーブル 情報の送り手 情報の受け手

  20. 光ファイバー通信の構成 xxxx 電気信号 光デバイス 光信号 xxxx 電子デバイス /回路 伝送路 LN変調器 EA変調器 フォトダイオード(PD) APD 搬送波は光 光源 光変調 光検出器 復調 電子回路 光ファイバー レーザー LED、電球 情報の送り手 情報の受け手

  21. 電磁波の波長 光ファイバー通信には、波長 1μm前後の近赤外域を使用 可視光域

  22. 光ファイバー通信の特長 1.広帯域 (高速、大容量通信が可能)    シリカ光ファイバーの伝送帯域 >100 THz (THz = 1012Hz) 1本の光ファイバーで、数十Tbps(Tbpsは1012bit/secのこと)以上の    高速伝送が可能。最近、69.1Tbps, 240kmの光伝送にも成功 (NTT)    参考) 同軸ケーブルの帯域:最大でも10GHz程度 2.長距離伝送が可能    中継間隔     同軸ケーブル:数km ~ 10km     光ファイバー:100km以上の無中継伝送も可能 3.漏話が少ない、電磁誘導の影響を受けない    光ファイバーは非導電性であるため、外部からの電磁誘導ノイズ    の影響を受けない。また、光ファイバー自体からの電磁波の放射も    無いので、光ファイバー間の信号干渉が少ない。 4.多重化が容易    光ファイバーが細く軽量のため、多芯化、長尺化が可能 171Gbpsの信号を432波長多重

  23. 光ファイバー通信の歴史 年 代 人または機関 事  項 1930年代 Lamb(独)、関(日本) 石英ファイバー(ロッド)による光伝送 Townes(米), Schawlow (米), Basov(ソ)ら 1955年 光メーザーの着想 1957年 渡辺, 西澤(東北大) 半導体による超短波増幅・発振のアイデア 1960年 Maiman(米), Javan(米) ルビーレーザ, He-Neの発振 1962年 IBM, GE, MIT(米) 半導体レーザの発振 Charles K. Kao 1966年 Kao, Hockham(英) 低損失シリカ光ファイバーの可能性示唆 1968年 川上,西澤(東北大) Graded-index型光ファイバーの発明 林, Panishら(米) 1970年 AlGaAs半導体レーザ室温連続発振 NEC, 電電公社, 日立, 三菱(日), Bell研(米), STL(英) 1970年代 半導体レーザの長寿命化、発振安定化 1976~79年 電電公社, 藤倉電線(日) シリカ光ファイバー伝送損失が0.2dB/kmに 1980年代 NEC, 富士通, 日立, 東工大他 通信用半導体レーザの開発と高性能化 1990年代 Southampton大(英), NTT(日) 光ファイバー増幅器の発明と実用化

  24. 光ファイバー通信の要素デバイス デバイス 役 割 イメージ 光ファイバー 光信号を導く伝送路 搬送波としてのコヒーレントな光を発生させる。さらに、搬送波に情報を載せるための光変調も可能 半導体レーザー 搬送波に載っている情報を電気信号として取り出す 光検出器(PD, APD) 伝送中に減衰などで弱くなった光信号を光のまま増幅する 光増幅器 光合分波器 光スイッチなど 光信号を分配したり、光の経路を切り換えたりするもの

  25. 光ファイバー 通信用シリカ光ファイバー  伝搬損失 < 0.2dB/km@λ=1.55 μm 光ファイバーの伝送損失 光ファイバー低損失化の歴史 住友電工http://www.sei.co.jp/news/press/02/prs221_s.html

  26. 光ファイバーの構造 ナイロン繊維で被覆 1本 石英ガラス or プラスチック シリコン樹脂で被覆 コア クラッド 光ファイバー素線 光ファイバー 光ファイバー芯線 3000心光ケーブル クラッド コア n1>n2 n2 n1 光ファイバー 屈折率分布

  27. 光ファイバーの製法 出展 : Wikipedia 母材製造(プリフォーム) VAD(Vapor phase axial deposition: 気相軸付け)法

  28. 光の強度 光の強度 光の電界 光の電界 t t f又は λ f又は λ コヒーレント光 インコヒーレント光 (コヒーレントでない) レーザーとコヒーレント光 光搬送波になるべく多くの情報を乗せるためには、コヒーレントな光が望ましい コヒーレントとは、波の位相が揃った状態。高スペクトル純度、良好な収束性を有する 空間的コヒーレンス 時間的コヒーレンス 自然界に存在する光は全てインコヒーレント光  例: 太陽光、炎から出る光、蛍の光、白熱電球、蛍光灯、LED コヒーレントな光を人工的に発生させる装置がレーザー

  29. 何故コヒーレント光が望ましいのか 1896年マルコーニ(Marconi)は、ヘルツの電磁波発生器にアンテナとアースを付けて2.5kmの無線電信に成功 出展: http://www.geocities.jp/hiroyuki0620785/intercomp/wireless/transatrananticexp.htm 軍艦三笠に搭載の三六式無線電信機は、明治36年(1903)旧制二高の木村駿吉教授が開発。送信機は火花放電、受信機はコヒラー検波器を使ってコイル駆動で記録紙に出力するもので、80海里(約150km)以上の通信到達距離を達成 出展: http://blog.zaq.ne.jp/rootakashi/article/163/ インコヒーレントな電磁波を用いた初期の通信 電磁ノイズによる通信 1887年ヘルツは誘導コイルによる火花放電式電磁波発生器を発明 1905年日本海海戦において、ロシア・バルチック艦隊の発見が「敵艦見ユ」と無線電信で通報され、日露戦争の勝利を導く糸口となった その後真空管が発明されて、コヒーレントで強力な電磁波が発生できるようになり、通信距離が比較的に延びることとなる

  30. インコヒーレント通信とコヒーレント通信の違いインコヒーレント通信とコヒーレント通信の違い インコヒーレント通信 コヒーレント通信 変調周波数 << 搬送波のスペクトル線幅 変調周波数 > 搬送波のスペクトル線幅 数Hz 搬送波スペクトル 搬送波スペクトル 単一周波数による振幅変調 変調後のスペクトル 変調後のスペクトル (殆ど変化していない)

  31. 何故コヒーレント光が望ましいのか コヒーレントな電磁波を用いる利点 コヒーレントな電磁波はスペクトル純度が高い(つまり、単一周波数)ので、受信機において、周波数同調(選択)を行い、狭帯域の信号増幅を行うことにより、微弱な信号でも受信できる。(長距離伝送が可能) スペクトル純度が高い(単一周波数)ので、狭帯域の指向性アンテナなどを用いることができ、特定の方向にのみ強く信号を送ることができる。つまり、伝送の指向性が高い。(長距離伝送が可能) スペクトル純度が高く搬送波の位相が揃っているので、より早い速度での変調が可能。また、位相や周波数を変調することも可能となり、高い伝送レートでの信号伝送が可能。(送れる情報量が多い) スペクトル純度が高く、占有スペクトル幅が不必要に広がらないので、同一周波数帯を多くのチャンネルで共用できる。(周波数利用効率が高い) このように、コヒーレントな電磁波を用いる通信は、インコヒーレントな電磁波を用いる場合に比べて多くの利点を有している。従って、白熱電球やLEDのようなインコヒーレント光を用いるよりも、レーザのようにコヒーレント光を用いる方が望ましい。

  32. コヒーレントな電磁波の発生法 電磁波の呼び名 周波数 コヒーレント電磁波の発生法 低周波 ~ 数十kHz 長波 数十kHz ~ 数百kHz 真空管やトランジスタによる発振器 中波 数百kHz ~ 数MHz 電  波 短波 数MHz ~ 数十MHz 超短波 数十MHz ~ 数百MHz Gunnダイオード マイクロ波 数百MHz ~ 数GHz クライストロン、マグネトロン ミリ波 数十GHz メーザー THz波 数百GHz ~ 1013 Hz パラメトリック発振器 量子カスケードレーザー 赤外光 1013 Hz ~ 3.8×1014 Hz 3.8×1014 Hz      ~ 8×1014 Hz 可視光 光 各種レーザー 紫外光 8×1014 Hz ~ 1018 Hz 1018 Hz ~ SOR (synchrotron orbital radiation) X線

  33. 本日(1/24)のレポート問題 • 以下について述べよ。(本日の講義後に提出) (6点満点) • 日本のブロードバンド インターネットサービスの品質は、世界的に見るとどのくらいのレベルにあるのか?また課題はあるのか? • 波長1μmのレーザー光を、直径1mのビームにして月に送った場合、月面でのビーム径はどのくらいになるか? • 電気通信と光ファイバー通信との構成上の違いは何か? • 光ファイバー通信にはどのくらいの波長の光が使われるのか?またその理由は? • コヒーレント光とはどのような性質の光なのか?また(光)通信にはどうしてコヒーレント光が望ましいのか?

  34. レーザー 正帰還回路 光の正帰還回路 光増幅媒体 Amp. + 鏡 電気の発振器 レーザー 物質(原子系)と光との相互作用 以下の3つの課程が同時に起きている 電子など E2 減衰 増幅 発光 入射光 出射光 入射光 出射光 E1 二準位系 (原子など) 光の吸収 誘導放出 自然放出 レーザとは、光の発振器 光増幅媒体とはどのようなものか?

  35. 熱平衡状態 Maxwell-Boltzmann分布 E k:ボルツマン定数 T: 媒質の温度 n2:励起状態の原子数 E2 誘導放出 E1 吸収 吸収 吸収 P(E) 熱平衡状態では、励起準位の原子数は基底準位の原子数よりも少ない n1>n2 n1:基底状態の原子数 A: アインシュタインのA係数 自然放出の起きる確率 = An2 B: アインシュタインのB係数 吸収の起きる確率 = Bn1 I 誘導放出の起きる確率 = Bn2 I I: 入射光の強度 正味では減衰 Bn1I > Bn2I 熱平衡状態では、吸収の確率 > 誘導放出の確率となり、入射光は減衰して出てくる

  36. 反転分布 反転分布 Tが負(負温度状態) E n2:励起状態の原子数 E2 誘導放出 誘導放出 E1 吸収 誘導放出 P(E) 励起準位の原子数が基底準位の原子数よりも多い状態を反転分布という n1:基底状態の原子数 n1<n2 正味では増幅 Bn1I < Bn2I 反転分布では、誘導放出の確率 > 吸収の確率となり、入射光は増幅されて出てくる レーザーとは、何らかの方法で反転分布を作り出し、放射の誘導放出(Stimulated emission)を用いて光を増幅する装置

  37. 電子 へき開面(鏡面) ホール n型 p型 半導体レーザー 半導体レーザー (Laser Diode: LD) 光を増幅する媒体が半導体からなり、 pn接合への電流注入により、電子の反転分布状態を作り出せる 特徴: ・ コンパクト (チップ本体は0.3mm角程度)     ・ 取り扱い容易 (乾電池2本程度で動作可能)     ・ 直接変調で数Gbpsの高速変調が可能     ・ 高信頼性 (通信用のInGaAsPレーザは100万時間以上の寿命に)     ・ 安価 (FTTH用LDはチップコストで数百円、CD用LDは数十円に) チップの構造 出展: www.phlab.ecl.ntt.co.jp/master/04_module/002.html

  38. 半導体レーザの発振特性 へき開面(鏡面) Fabry-Perot (FP)共振器レーザー 2枚の平行に向き合った鏡によるFP型光共振器によって正帰還が得られ発振するレーザー 縦多モード発振 発振波長間隔 Δλ l λ0 : 発振波長の中心値 neff : 実効屈折率 L : 素子長 λ0 発振スペクトル FPレーザーの構造 分布帰還(DFB)型レーザー 回折格子 回折格子によるBragg反射により、光の分布帰還が得られ、 Bragg波長近傍の単一波長で発振 発振波長 単一縦モード発振 Λ : 回折格子の周期 neff : 実効屈折率 l DFBレーザーの構造 発振スペクトル 出展: www.matsuoka-lab.imr.tohoku.ac.jp/purposes.html

  39. 光変調器 光変調器 半導体レーザの直接変調 電界吸収(EA)型光変調器 化合物半導体などのpn接合に逆バイアスを印加すると、印加電界によって光吸収特性が変化し、これを利用して光の強度変調を行うもの 光信号 光出力 40GbpsEA変調器(沖電気) LiNbO3 (LN)によるMZI型光変調器 LNは、電圧を印加すると屈折率が変化する電気光学(E-O)効果を有している。 LNによる光導波路によってMach-Zehnder(MZ)型 電流 の光干渉計を構成し、屈折率変化による光の位相変化を強度変化に変換して光変調を行うもの 変調信号(電気) 半導体レーザの電流-光出力(I-L)特性 LiNbO3(LN)光変調器 (住友大阪セメント)

  40. p+ 光 光電流 電子 電極 i ホール p+ i n+ n+ 電極 光検出器 PINフォトダイオード(PIN-PD) 逆バイアスされたpn接合に光が照射されると強度に比例した光電流が取り出せる 光 逆バイアス状態の半導体pin接合 アバランシェ フォトダイオード(APD) 基本的にはPINフォトダイオードと同じであるが、アバランシェ効果により、光電流を増倍するしくみを有している (高感度)

  41. 無反射加工 無反射加工 半導体レーザーチップ Er添加光ファイバー増幅器 コアに、エルビウム(Er3+)などの希土類を添加 波長980nmなどの光で励起すると 波長1.54 μm付近に光増幅利得発生 Er3+の準位 光増幅器の構成 ラマン増幅器 光ファイバに非常に強い励起光を入射すると、石英ガラスの分子振動エネルギーに対応して、励起光波長より100 nm程度長い波長域に光利得が得られる 光増幅器 半導体光増幅器 半導体レーザーの両端面に無反射膜を形成するなどして、光共振器をなくしたもの (光の正帰還がかからなくなるのでレーザー発振はしない) 光ファイバー増幅器

  42. クラッド コア 0.5 mm 0.5 mm Si 基板 50 mm l1 l2 lN 光合分波器 光を波長によって分ける (分光器あるいは分波器)/多波長の光を束ねる(合波器) Arrayed Waveguide Grating この一本一本がこのような光導波路からなる 石英光導波路 スラブ導波路 Arrayed Waveguide Grating (AWG) AWGの動作原理

  43. 光スイッチ 電気制御-光スイッチ (光の経路を切り換えるが、ON-OFFの制御は電気で行う) スイッチング機構 特 徴 出力ファイバー メカニカル (MEMS) Port1 mSオーダーの遅い切換え速度 安価 Port2 入力ファイバー 入力1 出力1 mS~mSオーダーの切換え速度比較的安価 熱光学(T-O)効果 ヒーター 入力2 出力2 + nSオーダーの高速切換え高価 - 電気光学(E-O)効果 電界印加 その他に、磁気光学(M-O)型、音響光学(A-O)型などもある 光制御-光スイッチ (光-光スイッチ or All光スイッチ) ON-OFF制御も光でやる 現在研究開発中 将来の全光信号処理システムに使われるかも?

  44. 光導波路の構造 n1> n2 n2 n1 屈折率分布 コア クラッド スラブ導波路 コア クラッド n1> n2 n2 n1 光ファイバー 屈折率分布

  45. 光導波路が光を導くメカニズム n1< n2の場合 n1> n2の場合 入射波 反射波 入射波 反射波 φ1 φ1 φ1 φ1 全反射 n1 n1 qc n2 n2 Snellの法則 φ2 j2 屈折波 屈折波 臨界角 n2 放射モード 全反射 全反射 qc n1 全反射 n2 n1> n2 2θmax 光が伝搬可能な入射角度の範囲 開口数:NA= sin(θmax)

  46. 全反射角 コアとクラッド界面での全反射角θcは、前スライドの臨界角より で与えられるが、 ここで、        と置いたが、Δは比屈折率差と呼ばれている 従って、n1と n2との差が小さい時、全反射角 θcは以下の式で与えられる さらに、導波路が受け入れることのできる受光角(2θmax)は、 また特に、 を開口数(Numerical Aperture)という

  47. 導波路内での光伝搬 光が伝搬方向に伝わる速度は、 であり、vgを群速度(Group Velocity)という (cは光速度) クラッドへの光の浸み出し ϕ: Goos-Hänchen Shift n2 ϕ ϕ a k0n1 k0n1sinθ n1 コア θ -a k0n1cosθ n2 n1> n2 ϕ 真空中での伝搬定数: k0=2π/λ(λ:波長)、媒質中では k0n1 光の伝搬方向の伝搬定数成分 βは、 β = k0n1cosθ 光の伝搬と垂直方向の伝搬定数成分 (k0n1sinθ)に対して、以下の式が成り立つ時、光伝搬と垂直方向に定在波ができる N: モード番号 (0, 1, 2 ‥‥)

  48. 導波モードと定在波 E N = 0 Δϕ = 0 E N = 1 2π E N = 2 4π モード番号N は、横方向の強度分布における節の数を表す

  49. 入射角度 光伝搬と垂直方向での定在波条件の式より、モード番号Nに対する入射角度θNは、 ここで、 Goos-Hänchen Shiftの値 ϕNは一般的には入射角度 θNの関数になるが、 θNが全反射角 θcよりも十分に小さい場合には、      と近似できる。 従って、モード番号 Nに対する入射角度 θNは、 モード番号がある値よりも大きくなると、全反射条件が満たされなくなり、伝搬できなくなる。つまり、伝搬可能なモードは、以下の条件を満たす。 従って、導波路内を伝搬可能なモード番号の最大値 Nmaxが存在し、以下の条件を満たす。

  50. モードの数 導波路内を伝搬可能なモード番号の最大値 Nmaxは以下の式で与えられる。 ここで Vは、Vパラメータ或いは規格化周波数と呼ばれている Nmaxよりも大きなモード番号のモードは伝搬できないので、カットオフにあると言う N=3 カットオフ領域 (放射モード) N=2 群速度 ω/c (k0) 1/n2 曲線の傾きはvg/cで 、群速度に対応 N=1 1/n1 モードによって群速度の値は異なる N=0 β 単一モード条件: V < π /2 導波路の分散関係

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