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J-PARC に設置した中性子捕獲反応研究用装置及び 原子力分野で現在進行中の研究の紹介 Zr-93 の中性子捕獲断面積測定. 本報告は、特別会計に関する法律(エネルギー対策特別会計)に基づく文部科学省からの受託事業として、北海道大学が実施した平成 21 年度「高強度パルス中性子源を用いた革新的原子炉用核データの研究開発」の成果を含みます。. 宇宙核物理連絡協議会主催 第 3 回研究戦略ワークショップ 「 J-PARC 中性子ビームラインでの宇宙核物理研究及び関連する研究」 2010/11/4 日本原子力研究開発機構システム計算科学センター 7 階大会議室.
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J-PARCに設置した中性子捕獲反応研究用装置及び原子力分野で現在進行中の研究の紹介Zr-93の中性子捕獲断面積測定J-PARCに設置した中性子捕獲反応研究用装置及び原子力分野で現在進行中の研究の紹介Zr-93の中性子捕獲断面積測定 本報告は、特別会計に関する法律(エネルギー対策特別会計)に基づく文部科学省からの受託事業として、北海道大学が実施した平成21年度「高強度パルス中性子源を用いた革新的原子炉用核データの研究開発」の成果を含みます。 宇宙核物理連絡協議会主催 第3回研究戦略ワークショップ 「J-PARC中性子ビームラインでの宇宙核物理研究及び関連する研究」 2010/11/4 日本原子力研究開発機構システム計算科学センター7階大会議室 京大炉 ○堀 順一、高宮 幸一、福谷 哲、藤井 俊行 原子力機構太田 雅之a)、大島 真澄、北谷 文人、木村 敦、 金 政浩、小泉 光生、後神 進史b)、藤 暢輔、 中村 詔司、原田 秀郎、古高 和禎、 東工大井頭 政之、片渕 竜也、水本 元治 北大加美山 隆、木野 幸一c)、鬼柳 善明、平賀 富士夫、 古坂 道弘 a)現阪大 b)現北大 c)現KEK
研究の背景 革新的高速炉システム技術開発のためには革新炉用核データの整備が必要 特に、高レベル放射性廃棄物の核変換処理による環境負荷の低減化を図るためには、マイナーアクチニド(MA)、長寿命核分裂生成核種(LLFP)の核データが重要 科学技術振興機構(JST)公募 原子力システム研究開発事業 「高強度パルス中性子源を用いた革新的原子炉用核データの研究開発」 (平成17~21年度 統括機関:北海道大学) 高強度中性子源(J-PARC)、革新的検出器(4pGe)を用いた中性子捕獲断面積測定を系統的に実施 測定対象核種: MA:Cm-244 等 LLFP:Tc-99, Zr-93, Pd-107 等 Zr-93 半減期 1.53×106年 長 核分裂収率(U-235の場合)6.39% 大 重要なLLFP核種の一つ
Present status of 93Zr capture cross section sth (熱中性子捕獲断面積) ・Pile oscillator ・Prompt gamma の2件 eV~keV region ・TOF ORELA (1985) (a pair of C6D6) の1件 報告されているデータは3件のみ 熱中性子領域に差が見られる。 TOF実験は1件のみ 実験データは質・量共に不十分である。
何故LLFP核種の実験データが不足しているのか?何故LLFP核種の実験データが不足しているのか? • 高品質サンプルの入手が困難 使用済み核燃料から化学分離プロセスを経てLLFP核種を抽出 :高価、国内での製造不可、正確な同位体組成データ無 放射性不純物を含む:バックグラウンド 増大 Tc-99以外のLLFP核種:同位体純度 低 ⇒ 少量で同位体純度の低いサンプルしか用意できない。 • 放射化法が使えない場合がある。 93Zrの中性子捕獲反応で生成される核種は安定同位体 解決策 ①サンプルの分析を含めた独自のサンプル整備 ②不純物の影響を受けない新たな解析手法の適用 ③即発ガンマ線計測による中性子捕獲断面積測定
①サンプル整備 REDC/ORNLから入手 化学形:ZrO2 酸化物粉末の重量 : 3.31 g、容器: Al 同一成分のZr-93酸化物粉末に対して TIMS(表面電離型質量分析器)を用いた独自の分析を京大炉にて実施 バックグラウンドの要因となる崩壊γ線を放出する不純物Sb-125(T1/2=2.76y) 12MBq(約330ng)含有 サンプルの同位体組成と粉末重量から、Zr-93の正味の重量を導出
②不純物の影響を受けない新たな解析手法の適用②不純物の影響を受けない新たな解析手法の適用 基底遷移法 : 基底状態に遷移するガンマ線生成断面積を足し合わせることにより断面積を決定する手法 熱中性子捕獲断面積測定では適用例有り K. Furutaka, et al., J. Nucl. Sci. Technol., 41, 1033-1046 (2004). S. Nakamura, et al., J. Nucl. Sci. Technol., 44, 21-28 (2007). c.s. s(En): 中性子捕獲断面積 Ijg: 残留核の低励起準位(j)から基底状態(g)への カスケードガンマ線(Ejg)ピークの正味の計数率 e(Ejg):Ejgのg線に対する絶対検出効率 f(En):中性子束、n:サンプル厚さ [ /cm2] 利点 ・核種弁別によるバックグラウンド成分の除去が可能 ・断面積の絶対測定が可能 ③ ② ④ n ① ただし、本手法をTOF実験に適用するためには 高検出効率・高エネルギー分解能検出器と大強度中性子源が必要不可欠である。 g.s.
③即発g線計測による中性子捕獲断面積測定 中性子源:J-PARC/MLF 3GeV陽子 spallation 、ビーム条件:120kW, 25Hz パルス幅:100ns(double bunch)、Zr-93の測定時間:52h ビームライン:BL04、飛行距離:21.5m、ビームサイズ:本影3mmΦ、半影18mmΦ Cluster Ge (7×2 = 14 crystals) Coaxial Ge ( 8 crystals ) with BGO anti-Compton shield 本研究ではCluster Geのみを使用 オートサンプルチェンジャーの写真 ANNRIの外観 (Accurate Neutron-Nucleus Reaction measurement Instrument) 4p Geスペクトロメータの外観
Absolute efficiency of 4pGe spectrometer Sb-125対策:検出器前面を鉛で遮蔽(最大15mm)、ディスクリレベル700keVに設定 Sb-125からの崩壊g線 熱中性子捕獲g線の相対強度が既知の天然塩素測定⇒相対検出効率曲線 標準線源測定⇒規格化
TOFスペクトル Cluster2の方が検出効率大 高エネルギー側で逆転 デッドタイムの影響 大きな共鳴の左側にdip
デッドタイム補正 ランダムパルサ事象に対するTOFから導出
デッドタイム補正後のTOFスペクトル(拡大) 不純物の影響が多く見られる!! 150eV以上の共鳴はダブルバンチビームの影響で二山に分かれている。 TOFの共鳴領域にゲートをかけて、核種毎のP.H.スペクトルを導出 G2 G1
P.H.Spectra gated by TOF regions 黒線:Zr-93共鳴 赤線:Zr-91,96共鳴 緑線:非共鳴
黒線:Zr-93共鳴 赤線:Zr-91,96共鳴 緑線:非共鳴
Zr-93に対して、 12本の一次g線(赤) 13本のカスケードg線(黒) 5本の基底遷移g線(青) を同定した。 観測した基底遷移ガンマ線の相対強度 90%以上の中性子捕獲反応事象は919keV, 1671keVの基底遷移ガンマ線の発生を伴う。
基底遷移ガンマ線(919keV)にゲートをかけて得られた正味のTOFスペクトル基底遷移ガンマ線(919keV)にゲートをかけて得られた正味のTOFスペクトル Zr安定同位体不純物の共鳴 Zr同位体以外の共鳴も多数観測されている。 Zr安定同位体、その他の不純物の寄与の大部分を取り除くことに成功
サンプル位置での中性子フラックス 10B(n,ag)反応からの即発g線測定から求めた。
中性子捕獲断面積の導出法 Ijg(En):基底遷移ガンマ線計数 基底遷移ガンマ線に対するTOF e:絶対検出効率 塩素の即発ガンマ線測定 n:サンプル厚さ 同位体分析 Φ:中性子フラックス 10B(n,ag)反応からの 即発ガンマ線に対するTOF 補正 ・デッドタイム補正 ・捕獲事象の数え落としに対する補正 ・サンプル中での中性子自己遮蔽、多重散乱に対する補正 ・ビーム形状に対する補正 ・中性子ビーム変動に対する補正 誤差 ・統計誤差 ・系統誤差 サンプル厚さ、検出効率、B.G.評価、等
Deduced Neutron Capture Cross Sections of Zr-93 Preliminary 熱中性子捕獲断面積 Present(Preliminary) :(Lower limit:0.58±0.07 ),estimated 0.70±0.08b Nakamura et al.(2007) :(Lower limit:0.63±0.02),estimated 0.76±0.13b JENDL-4 :2.239 b, ENDF-B/VII : 0.695 b
共鳴毎の中性子捕獲γ線スペクトルの比較110eV(s-wave, J=2), 225eV(p-wave, J=4) 93Zr gnd.5/2+ 2846(2846→0) 919(919→0) 1589(2366→919) 1139(2058→919) 1671(1671→0) 1233(2151→919) 2908 (2908→0) 1411(2330→919) B.G. 2238(3156→919) 2141(3059→919) 2492(3562→1470) 6067(c.s.→2151) 4441(c.s.→3776) 4494(c.s.→3725) 6161(c.s.→2058) 5528(c.s.→?) 5851(c.s.→2366) 5887(c.s.→2330) 4808(c.s.→3411) 5372 (c.s.→2846) s.e. s.e. 6543(c.s.→1671) 7298(c.s.→919) s.e. 5709(c.s.→2508) d.e.
共鳴毎の一次遷移γ線強度の比較 93Zr gnd.5/2+ 110eV s-wave resonance(2+) 225eV p-wave resonance(4-) 2+,4+,1- 準位への遷移が観測された。 225eV共鳴のJは4-ではなく3-なのではないか?
まとめ • 高エネルギー側でデッドタイムの影響が顕著に見られたが、ランダムパルサーを用いたデッドタイム測定によって、適切に補正が行われていることを確認した。 • Zr-93の中性子捕獲断面積の絶対値を基底遷移法を用いて導出した。 (E=0.01eV~5keV) • 熱中性子捕獲断面積については、原子炉で即発g線測定を行った中村氏のデータ(下限値)と誤差の範囲内で一致しており、本手法の妥当性を示すことができた。また、今回の結果はJENDL-4.0の値の約1/4であった。 • 14eVに未報告の共鳴を発見した。 • keV領域のMacklinのデータとは誤差の範囲内で一致した。 • 110eV s波共鳴と225eVp波共鳴からの一次ガンマ線強度比に顕著な差が観測された。225eV共鳴に対する捕獲ガンマ線スペクトルから、共鳴のスピン決定に有益な情報が得られた。
今後の課題 • ダブルバンチビームの影響を考慮した共鳴解析を実施 • 統計精度の向上を図り、ガンマ線遷移強度について詳細な解析を実施
参考資料 他施設との中性子束の比較
評価済み核データ 共鳴パラメータ比較 最も大きな違いは、JENDL-4.0ではNegative resonanceを考慮していること
ビーム形状の補正 IPで測定したビームプロファイル
捕獲収率の比較 デッドタイム補正と捕獲収率の導出の妥当性を検証
基底遷移ガンマ線の正味のTOFスペクトル導出法基底遷移ガンマ線の正味のTOFスペクトル導出法 919keV近傍にはZr-91からの935keVとB.G.の930keVのピークがある。935keVと930keVの成分が混ざらない領域にR2のゲートを設定した。R2のバックグラウンドは他にピークが存在しないR1とR5の領域から概算した。
1671keV近傍には他のγ線ピークは観測されなかったので、1671keV領域にフォアグラウンドゲート(R7)を設定し、R7の両側のR6とR8の領域からバックグランド成分を概算した。1671keV近傍には他のγ線ピークは観測されなかったので、1671keV領域にフォアグラウンドゲート(R7)を設定し、R7の両側のR6とR8の領域からバックグランド成分を概算した。
パイルオシレーター法 • 原子炉中において測定試料を機械的に振動させることによって周辺の中性子束を変化させ、その振動的変化の振幅から試料の中性子吸収断面積を測定する方法