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第 487 回 碧南市医師会医学研究会. 急性冠症候群 - 専門医へ送るタイミング -. ばんぶんたね. 藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院 循環器内科 野村雅則. 増加する虚血性心疾患. ( 人 ). 60. 死亡率(人口 10 万人対). 男. 女. 30. 0. 1960 年. '65. '70. '75. '80. '85. '90. '91. '92. '93. '94. '95. '96. '97. '98. 厚生省大臣官房統計情報部 「 人口動態統計 」. 虚血性心疾患. 突然死. 心筋梗塞. 狭心症.
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第487回 碧南市医師会医学研究会 急性冠症候群- 専門医へ送るタイミング - ばんぶんたね 藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院 循環器内科 野村雅則
増加する虚血性心疾患 (人) 60 死亡率(人口10万人対) 男 女 30 0 1960 年 '65 '70 '75 '80 '85 '90 '91 '92 '93 '94 '95 '96 '97 '98 厚生省大臣官房統計情報部「人口動態統計」
虚血性心疾患 突然死 心筋梗塞 狭心症 不整脈 心筋虚血 冠動脈硬化
急性冠症候群 不安定 狭心症 突然死 心筋梗塞 不整脈 心筋虚血 (血栓形成) 冠動脈硬化 (プラークの破綻)
動脈硬化の進展 A 正常血管 B 脂肪斑 C 線維化 D カルシウム沈着
冠動脈狭窄病変の進行 100 % 狭窄 ? 粥腫の成長 動脈硬化の進行 正常血管
心筋梗塞発症前の冠動脈狭窄度 ( Falk E. et al , Circulation 92 , 1995 )
種々の冠動脈病変 不安定型 安定型 (堀江俊伸:急性冠動脈症候群,医学書院,1997)
冠動脈内血栓 閉塞性血栓 壁在血栓 (堀江俊伸:急性冠動脈症候群,医学書院,1997)
血栓溶解療法後の冠動脈内残存血栓 J.M. 56 y/o M AMI
急性心筋梗塞における責任病変 近位部 遠位部 M.I. 64y/o M, AMI RCA #2 フラップ 最狭窄部
急性心筋梗塞の責任病変 粥腫の破裂による急性心筋梗塞の発症 50歳代 男性 急性心筋梗塞
プラーク破裂 血栓形成 正常血管 プラーク成長 分化 貧食 酸化 動脈硬化の進展
血管内皮細胞の役割 正常内皮細胞 内皮細胞機能異常 血管拡張作用 血管拡張の減少,収縮 抗血栓作用 血小板凝集亢進 血栓形成 抗炎症作用 白血球接着・遊走 血管壁内炎症細胞活性化 抗増殖作用 血管壁増殖の活性化 動脈硬化
血管内皮機能の変化を惹起する因子 血管壁に対する 物理的刺激 高LDL血症 高レムナント血症 免疫複合体など クラミジア ヘリコバクターピロリ サイトメガロウイルス エンドトキシン など 高血糖 高インスリン血症 酸化LDL タバコ 血管内皮細胞
加齢 家族歴 肥満 冠動脈疾患の危険因子 糖尿病 高脂血症 喫煙 高血圧
わが国における血清総コレステロール値と 虚血性心疾患の合併率 (%) 虚血性心疾患の合併率 10 5 0 400~ ~200 ~240 ~280 ~320 ~360 ~400 (mg/dL) 血清総コレステロール値 厚生省「原発性高脂血症」調査研究班:1986
危険因子除去の重要性 リスクファクター重複が冠動脈疾患リスクにおよぼす影響(Framingham Study) 60.2 60 虚血性心疾患発生頻度 (8年間/1000人あたり) 50 40 34.6 30 23.2 20 10 3.9 0 335 コレステロール (mg/dL) 185 + + + 耐糖能異常 収縮期血圧 195 195 195 + + 喫煙 + 左室肥大 Kannel WB et al.:Ann Intern Med 90:85,1979
高感度CRPと心筋梗塞リスクの相関 P Trend < 0.001 P < 0.001 3 P < 0.001 相対リスク P = 0.03 2 1 0 1234 ≦0.0550.056~0.1140.115~0.210 ≧0.211 (mg / dl) 高感度CRP値による4分割 Ridker PM et al : N Engl J Med 336 : 973,1997
不安定狭心症とは 狭心症の分類 1.病態からみた分類 器質性狭心症 冠れん縮性狭心症(異型狭心症) 冠血栓性狭心症(急性冠症候群) 2.発作の誘因よりみた分類 労作狭心症 安静狭心症 労作兼安静狭心症 3.経過からみた分類 安定狭心症 不安定狭心症 4.無症候性心筋虚血
不安定狭心症 ①AHA分類(1975年) 発作が3週間以内に始まり、最後の発作は1週間以内に起き、 急性心筋梗塞を示す心電図変化や血清酵素の上昇がなく、 次に挙げる三つの基準のうち一つ以上を満たすもの。 a. 初発労作狭心症(new angina of effort): 発作の初発か、 6ヶ月以上無症状の後,再発したもの。 b. 増悪型(changing pattern): 発作の頻度、強度、易誘発性、放散の増悪、および nitroglycerinに対する反応が低下してきた労作狭心症。 c. 初発安静狭心症(new angina at rest): 発作が 15分以上持続したり、nitroglycerinにより寛解しない こともある。しばしば一過性のST変化やT波の陰転を伴う。
不安定狭心症 ②. ISFC/WHOの分類 (1979年) a. 新規労作狭心症 b. 増悪型労作狭心症 c. 自発性狭心症(安静狭心症) ③.Canadian Cardiovascular Societyの分類 (1976年) a. 1週間以内に発症した安静狭心症 b. 2ヶ月以内に発症したCCSCⅢ-Ⅳ度の新規狭心症 c. CCSCⅢ-Ⅳ度の増悪型狭心症 d. 異型狭心症 e. 非Q波心筋梗塞症 f. 発症24時間以降の梗塞後狭心症
カナダ心臓病学会の狭心症重症度分類 Ⅰ度 Ⅱ度 Ⅲ度 Ⅳ度 日常の歩行や階段の昇りでは狭心症を生じない.仕事やレクリエーションで急に激しい運動をしたり長く運動を続けると狭心症を生じることがある. 日常の身体活動にわずかに 制限がある.急ぎ足,階段 を昇る,食後,寒冷下での 労作で症状がでる.平地を 2ブロック(200m)以上,1階 以上の階段を昇ると発作が 起こる. 日常の身体活動が著しく 制限され,普通の速度の 平地1〜2ブロックの歩行 や1階の階段の昇りで 発作が起こる. 無症状に活動すること ができない.安静時に すら狭心症状をみるこ とがある. (Campeau L, Circulation,1976)
不安定狭心症 ④Braunwaldの重症度分類 (1989年) Class Ⅰ a. 最近の2ヶ月以内に発症した重症の初発労作狭心症 b. 1日に3回以上発作が頻発するか、わずかな労作にても 発作が起こる増悪型労作狭心症。安静狭心症は認めない。 ClassⅡ 最近の1ヶ月以内に発症した安静狭心症で、48時間以内に 発作のないもの(亜急性型) ClassⅢ 48時間以内に発作を認めた安静狭心症(急性型)
心外性因子あり 心外性因子なし 心筋梗塞発症 (二次性) (一次性) 2週間以内 (心筋梗塞後) (Ⅰ)労作性狭心症の初発 あるいは増悪:安静 狭心発作なし (Ⅱ)48時間以内の安静 狭心発作なし (亜急性型安静狭心症) (Ⅲ)48時間以内の安静 狭心発作あり (急性型安静狭心症) 不安定狭心症の分類 ⅠA ⅠB ⅠC ⅡA ⅡB ⅡC ⅢA ⅢB ⅢC
胸痛の原因疾患(急性の心電図変化を生じるもの)胸痛の原因疾患(急性の心電図変化を生じるもの) 1.心臓、大動脈疾患 狭心症、急性心筋梗塞 急性心膜炎、心筋炎 心臓弁膜症(MVP、AS) 急性大動脈解離 2.呼吸器疾患 自然気胸 肺梗塞 胸膜の細菌性炎症 3. 皮膚、骨、軟骨、肋軟骨、関節、 筋肉、神経疾患など 帯状疱疹 4. 消化器疾患 逆流性食道疾患(GERD) 食道潰瘍、食道癌 胃・十二指腸潰瘍 胆道疾患、膵臓疾患 5. 精神的原因
胸痛発作が頻繁に起きるようになった男性 50 歳代 男性 半年前から労作時に胸痛(痛みはしびれるような感じで、 持続は数秒から5分ほどの長さ)が出現。胸痛は1日に2回起きることもあれば、1週間まったく無いこともあった。1ヶ月前から、この症状が度々起きるようになり、近医を受診した。トレッドミル運動負荷試験で負荷直後に胸痛と心電図変化が出現した。翌日に行ったホルター24時間心電図記録の中で本人の気づかないうちに午前3時から5時半の間に異常が認められ、精査治療の目的で当院を紹介された。 冠危険因子 : 喫煙 10本/日 30年間
睡眠中に記録された心電図 ホルター 心電図 CM5誘導 NASA誘導 5 :16 AM 50 歳代 男性
トレッドミル運動負荷試験で誘発された心電図変化トレッドミル運動負荷試験で誘発された心電図変化 負荷前 トレッドミル運動負荷試験後 50 歳代 男性
薬剤による冠れん縮誘発試験 コントロール 薬剤負荷時 硝酸薬使用後 50 歳代 男性
59歳 男性 高熱、呼吸困難 ⅠⅡ ⅢaVRaVLaVF V1V2 V3 V4 V5 V6 LVEF 30%、 CK 517、トロポニンT (+)、 CRP12 → 心筋炎
59歳 男性 5日後 10日後
36歳 男性 発熱、呼吸困難 LVEF 50%、 CK 238、トロポニンT (+)、 CRP 18.8
36歳 男性 (5日後の心電図) 診断名→心筋炎
47歳 男性 前胸部痛 Ⅰ V1 Ⅱ V2 Ⅲ V3 aVR V4 aVL V5 aVF V6 5:00 12:00 16:005:00 12:00 16:00
意識消失発作を起こした女性 40歳代 女性 起床直後に喉から前胸部にかけて突然、絞めつけられる感じが出現し、嘔気、めまいを伴った。その後、トイレに行こうとした時に意識を失い倒れてしまった。すぐに夫に起こされて気がついた。近医を受診し安静時心電図では異常を指摘されなかった。 しかし、同日からのホルター24時間心電図記録中にも発作が起き、当院へ紹介された。 • 冠危険因子 喫煙 10本/日(20年間) • 高脂血症 総コレステロール 294 mg/dl • 中性脂肪 178 mg/dl • 糖尿病 血糖 189mg/dl、HbA1c7.8 %
意識消失発作を起こした時のホルター心電図 16 : 12
冠動脈造影検査で冠れん縮性狭心症の診断が確定冠動脈造影検査で冠れん縮性狭心症の診断が確定
59歳 男性 意識消失 V1 Ⅰ V2 Ⅱ V3 Ⅲ V4 aVR V5 aVL V6 aVF 入院時 8日後 入院時 8日後
WBC 4500 /μl CK(50~230) 63 mU/ml CK-MB ( < 24 ) 17 mU/ml TnI (< 0.1) 0.18 ng/ml ↑ 胸痛で救急外来を受診した59歳男性 55-08-99-1
胸痛で救急外来を受診した59歳男性 Ⅰ V1 Ⅱ V2 Ⅲ V3 aVR V4 aVL V5 aVF V6
急性冠症候群におけるマーカーの役割 急性冠症候群 = 急性心筋梗塞 + 不安定狭心症 1) 急性心筋梗塞の診断 2) 胸痛患者の来院時アルゴリズム 3) 再灌流の評価