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補遺. 第 1 回目の会合における発表 “ Introduction to Regge theory and soft Pomeron” において出た質問や、説明が不十分であった点に関して、説明を補足します. Regge pole a ( t ) の複素部について. Sommerfeld-Watson 変換により角運動量を複素化し、そのとき部分波振幅が複素平面内に極を持つことを許すことで Regge 極が導入された。従って、一般には極の位置、 a ( t ) は複素数である。 しかし、高エネルギーでの断面積の
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補遺 第1回目の会合における発表 “Introduction to Regge theory and soft Pomeron”において出た質問や、説明が不十分であった点に関して、説明を補足します
Regge pole a(t) の複素部について Sommerfeld-Watson変換により角運動量を複素化し、そのとき部分波振幅が複素平面内に極を持つことを許すことで Regge 極が導入された。従って、一般には極の位置、a(t) は複素数である。 しかし、高エネルギーでの断面積の 漸近的振る舞いが sa(t)で与えられるのなら、Regge 極の複素部があると、断面積が振動するという現実には見られ ない振る舞いが出てきてしまう。どうするか? Regge極の複素部は暗に無視していた。それは、Regge軌跡を考えたときに、 a(t) = a(0) + a’ t と、実数で与えている ことからもわかる。つまり、t-channel の物理的領域ではa(t) は実数であるということを示唆している。 実際、一般にはa(t) は複素数であるが、t-channelの物理的領域では(b(t)も)実数になる、ということが議論されている。 (例えば、 Donnachie, Dosch, Landshoff, and Nachtmann, “Pomeron Physics and QCD”Cambridge 2002の29ページ) そして、だからこそ、それらのRegge極は物理的な粒子(束縛状態)として考えることが出来る。 (その簡単な議論は例えば Barone & Predazzi, “High-Energy Particle Diffraction” Springer 2002 のp99を参照)
Pomeranchukの定理について Pomeranchukの定理 (1956) 電荷の交換を伴う散乱の断面積は s infty でゼロになる。 Foldy-Peierls (1963) s infty で断面積が減少しなければ、その散乱過程は「真空と同じ量子数」 (isospin 0, charge conjugation even)の交換によって与えられる。 ポメロンを導入する際に、以下のような説明をした これは, Forshaw & Ross “Quantum Chromodynamics and the Pomeron” (Cambridge 1997)の第1章に準じたものである。 この本は概して良いtextではあるが、この部分に関しては正確ではなかった。実際、通常“Pomeranchukの定理”とされ ているものは、端的に表現すると次で与えられる。 例えば、陽子・陽子散乱と反陽子・陽子散乱の全断面積は高エネルギーで同じになる。この「定理」はPomeranchuk, Soviet Phys.JETP 7 (1958) 499で与えられている。私もそれは了解していたが、紹介した内容の「定理」の方が、直接 的にPomeronへの説明に都合がよく、Forshaw-Rossでは“Pomeranchukの定理”として書かれていたので、それも存在 するのだろうと、原論文には当たらずに紹介した。今回、改めて文献に当たってみると、実は私が紹介した内容は 1958年の論文はもとより、Forshaw-Rossが引用していた1956年の論文(Pomeranchuk, Soviet Phys.JETP 3 (1956) 306, Okun-Pomeranchuk, Soviet Phys. JETP 3 (1956) 307)にも書かれていなかった。これらの1956年の論文には、アイソ スピン対称性から、「反陽子・陽子散乱と反陽子・中性子散乱の全断面積」(第1論文)が、また「陽子・中性子散乱と、 陽子・陽子散乱の全断面積」および「正負、中性の3種のπ中間子と陽子の散乱の全断面積」とが、それぞれ高エネ ルギー散乱では等しくなる、という主張が述べられており、その結論を導く際に「アイソスピンや電荷を交換する散乱 の断面積はそうでないものに比べて無視できるだろう」ということが議論されている。実は、この定理でもない部分が、 Foldy-Peierlsではあたかも定理であるかのように引用され、それがForshaw-Rossに影響を与えていたのだろう。 ある同じtargetに対して、projectileが「粒子」である場合とその「反粒子」である 場合の全断面積は散乱エネルギーが大きい極限で一致する。
COMPETE Collab.のフィットの説明 J.R.Cudell et al. (COMPETE Collab.) Phys. Rev. D65 (2002) 074024 * Fit をしたのは、pp, ppbar, S-p, p+ p, p-p, K+p, K-p, gp, gg * 比較したのは、ポメロン項については、(1) single Pomeron, (2) single log, (3) double log など。Double logの場合は上記の断面積の表示のみ であり、さらに他の項はない(この点は私の説明は正しくなかった)。 * パラメータ d は、ポメロン項について、P(gg) = d P(gp) = d2P(pp) が成り立つ としたときに導入したパラメータ。 ポメロン項 Reggeon項 S1/2 10 102 103 104 GeV
Gribov-Regge theory とは? によると ←イントロから つまりは、(ソフト)ポメロンの 多重散乱を記述する有効理論 ということ ポメロンの3点相互作用などを 入れたものを意味しているかは (現時点では私には)不明