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重力波検出の 現状と将来計画. 高宇連研究会 @ JAXA/ISAS 平成 22 年 3 月 10 日 川村静児 (国立天文台). Illustration : Sora. 話の内容. 重力波とその検出 重力波検出の現状 これまでに得られたサイエンス 将来計画 LCGT DECIGO まとめ. 重力波とは?. アインシュタインの一般相対性理論により予言 潮汐的な空間のひずみが伝わっていく波. 空間のひずみ~ 10 -23 程度 ⇒まだ見つかっていない!. 重力波を出す天体現象. 中性子星やブラックホールの連星運動とその合体 超新星爆発 パルサー
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重力波検出の現状と将来計画 高宇連研究会 @JAXA/ISAS 平成22年3月10日 川村静児(国立天文台) Illustration:Sora
話の内容 • 重力波とその検出 • 重力波検出の現状 • これまでに得られたサイエンス • 将来計画 • LCGT • DECIGO • まとめ
重力波とは? • アインシュタインの一般相対性理論により予言 • 潮汐的な空間のひずみが伝わっていく波 空間のひずみ~10-23程度 ⇒まだ見つかっていない!
重力波を出す天体現象 • 中性子星やブラックホールの連星運動とその合体 • 超新星爆発 • パルサー • 宇宙初期 • 未知なる天体 重力波天文学
重力波で宇宙の始まりを観る 宇宙誕生 重力波 10 -43秒 (プランク時間) ニュートリノ 電磁波 1 秒 (陽子、中性子の形成) 38万年 (晴れ上がり) 137億年 (現在)
レーザー干渉計による重力波検出 重力波 ミラー ミラー レンズ 干渉光 ビームスプリッター スクリーン レーザー
アーム長が長いほど感度が高い 鏡 鏡 鏡 レーザー 光検出器 鏡 レーザー 光検出器
現在の世界の大型干渉計 GEO (600 m) TAMA (300 m) LIGO (4 km) CLIO (100 m) VIRGO (3 km) LIGO (4 km)
LIGO(Laser Interferometer Gravitational-wave Observatory) One interferometer with 4 km Arms, One with 2 km Arms One interferometer with 4 km Arms
LIGO Sensitivity 現在は19 Mpc遠方で起こる中性子連星合体からの重力波が検出できる
GRB 070201 • (Short) GRB 070201 was found to be originating in the direction that includes M31 • but • No GW signal was detected by LIGO • Binary merger in M31 scenario was excluded at >99% level • Significant scientific result • Start of synergy between GW • and other astronomy Abbott B, et al., Astrophys. J., 681 (2008) 1419
Crab Pulsar • Spin down rate gives the upper limit of GW emitted from Crab pulsar • No GW signal was detected by LIGO • GW energy upper limit < 4% of spin down limit • Significant scientific result Abbott B, et al., ApJLett., 683 (2008) 45
背景重力波 初期宇宙からの重力波に対する新しい上限をつけた GW < 6.9×10-6 ビッグバン元素合成や宇宙マイクロ波背景輻射から得られる間接的な限界を100 Hzにおいて上回る (超)弦理論モデルや初期宇宙進化モデルに新たな制限を付けた Abbott B P, et al., Nature, 460 (2009) 990
将来の地上干渉計の計画 第2世代検出器により重力波の初検出が期待される GEO-HF Advanced LIGO LCGT (3 km) GEO (600 m) TAMA (300 m) LIGO (4 km) CLIO (100 m) Advanced Virgo VIRGO (3 km) LIGO (4 km) Einstein Telescope (第3世代)
LCGT アーム長:3 km 低温鏡:熱雑音を下げる 地下:地面震動が小さい スケジュール(目標): 2011年度開始 2017年目標感度到達
国際競争と緊急性 現存する欧米の検出器の 到達点 LCGTの 到達点 日本における 実証ヒナ型検出器 予想される 観測数の範囲 発見ライン 年に1個以上観測 一年間で検出できる 連星中性子星合体事象数(期待値) 米国の計画 2008年度から着手 ~2015年完成予定 18
L/H+L/L+V+LCGT 50% L/H+L/L+V 50% 重力波検出器ネットワーク • LIGO(H)+LIGO(L)+Virgo+LCGT • 最高感度:+13% • 1/2最大感度の範囲: 100% • 3台稼働率: 82% • LIGO(H)+LIGO(L)+Virgo • 1/2最大感度の範囲:72% • 3台稼働率: 51% B. F. Schutz
TAMA300 超高防振システムの組み込みにより低周波の感度改善 Photo: Nikon
CLIOの感度 振り子の熱雑音と鏡の熱雑音により感度制限(世界初) 低温での熱雑音低減実証間近 振り子の熱雑音 Displacement noise 1/√Hz 以前の感度 鏡の熱雑音 現在の感度 Frequency
LCGTの組織 LCGT: hosted by ICRR under MOU with NAOJ and KEK. LCGT collaboration: 118 名 (国内:92名, 海外26名)
学術審議会および大学共同利用機関からの支持学術審議会および大学共同利用機関からの支持 平成6年に国立天文台、高エネルギー物理学研究所、宇宙線研究所で、3所長覚書を交わす、それ以後、2年毎に更新し現在にいたる。 平成12年に学術審議会宇宙科学部会報告に重力波望遠鏡が「当面は技術開発を強化しつつ、早期の着手を目指す計画として位置づける」とされた。 平成19年に宇宙線研究所統括のもとで国立天文台、高エネルギー加速器研究機構が協力して計画を推進する覚書を締結した。 23
干渉計を宇宙に持っていくともっと長くできる干渉計を宇宙に持っていくともっと長くできる • 信号が増える -重力波と光の相互作用の時間が長くなるため -ただし高周波では信号のキャンセルが起こる • ノイズが減る -地面振動や重力場の揺らぎノイズが小さい 低周波で感度がよくなる
将来の宇宙干渉計の計画 宇宙干渉計により、さまざまな貴重なサイエンスが期待される LISA DECIGO 目的:インフレーションの直接観測 ダークエネルギーの解明 ダークマターの探査 巨大ブラックホール形成のメカニズム 推進母体:日本(国際協力) 目的:巨大ブラックホールの合体 銀河内白色矮星連星 推進母体:ESA・NASA
10-18 10-20 10-22 10-24 DECIGOとは? Deci-hertz Interferometer Gravitational Wave Observatory • LISAと地上検出器の帯域のギャップを狙う • 超高感度の実現が可能! LISA 地上検出器(e.g. LCGT) Strain [Hz-1/2] DECIGO 白色矮星連星からの重力波雑音 10-4 102 100 104 10-2 Frequency [Hz]
予備概念設計 光共振器を使う アーム長:1000 km ミラー直径:1 m レーザー波長:532 nm フィネス:10 レーザーパワー:10 W ミラー質量:100 kg 干渉計3台で 1クラスター 光共振器 光検出器 光共振器 レーザー 光検出器 ドラッグフリー衛星
軌道とコンステレーション(案) 地球 背景重力波検出のため相関を取る レコード盤軌道 太陽 角度分解能を上げる
DECIGOの目標感度と得られるサイエンス 10-19 10-20 10-21 10-22 10-23 10-24 10-25 10-26 原始ブラックホール ダークマター 巨大ブラックホール形成の メカニズム解明 ブラックホール連星 (1000 M◎ z=1) ブランスディッケ・パラメタ 合体 5年前 3ヶ月前 1 クラスター ストレイン [Hz-1/2] 中性子星連星 (z=1) 2クラスター 相関解析 (3年間) 宇宙膨張の 加速度計測 ⇒ダークエネルギーの制限 インフレーション GW~210-16 合体 インフレーションの検証 10-3 10-210-11 10 102103 周波数 [Hz]
ロードマップ R&D 製作 R&D 製作 R&D 製作 DICIGOパスファインダー (DPF) Pre-DECIGO SWIM DECIGO
DECIGOパスファインダー 目的 • 技術実証 • レーザー安定化システム • 光共振器の制御 • 衛星のドラッグフリー制御 • クランプ機構 • 低周波での重力波観測 • 銀河内BH合体 • 地球重力場観測 スコープ • 衛星1台 • 光共振器 • 地球周回 Local Sensor Actuator Thruster
DECIGOパスファインダー(DPF) ドラッグフリー(東大新領域) 安定化レーザー(電通大) スラスター(ISAS) 安定化システム センサー アクチュエーター スラスター 鏡 レーザー バス(ISAS) 干渉計センサー(地震研) ハウジング (国立天文台) 光計測 (国立天文台)
R&DおよびBBMの開発 Test mass module Frequency-stabilized laser Electrostatic sensor/ actuator Drag-free model Interferometric sensor Thruster
SWIM launch and operation Tiny GW detector module Launched in Jan. 23, 2009 Photo: JAXA In-orbit operation TAM: Torsion Antenna Module with free-falling test mass (Size : 80mm cube, Weight : ~500g) Test mass ~47g Aluminum, Surface polished Small magnets for position control Coil Photo sensor Reflective-type optical displacement sensor Separation to mass ~1mm Sensitivity ~ 10-9 m/Hz1/2 6 PSs to monitor mass motion
DECIGO暫定組織 代表: 川村 (国立天文台) 副代表: 安東 (京大理) 運営委員会 川村 (国立天文台),安東 (京大理),瀬戸 (京大理),中村 (京大理), 坪野 (東大理),佐藤 (法政大工),田中 (京大基研),船木 (JAXA/ISAS), 沼田 (Merryland),神田 (阪市大理),井岡 (KEK),高島 (JAXA/ISAS) Pre-DECIGO 佐藤(法政大工) 検出器 沼田 (Merryland) 安東 (京大理) サイエンス・データ 田中 (京大基研) 瀬戸 (京大理) 神田 (阪市大理) 衛星 船木 (JAXA/ISAS) デザインフェーズ DECIGO パスファインダー リーダー: 安東 (京大理) ミッションフェーズ 検出器 上田 (国立天文台) レーザー 植田 (電通大) 武者 (電通大) ハウジング 佐藤 (法政大工) ドラッグフリー 森脇 (東大新領域) 坂井 (JAXA/ISAS) スラスター 船木 (JAXA/ISAS) バス 高島 (JAXA/ISAS) データ 神田 (阪市大理)
研究協力等 • LISA • 第1回LISA-DECIGOワークショップ開催(平成20年11月) • Strong support letter • Stanford Univ. • 帯電制御、ドラッグフリー技術その他で共同研究 ⇒ MOU • NASA Goddard • ファイバーレーザーの共同研究 ⇒ 検討開始 • JAXA誘導制御グループ • フォーメーションフライトの共同研究 • 東大ビッグバンセンター • DECIGOがメインテーマの一つとなる • UNISEC(大学宇宙工学コンソーシアム) • 研究協力の検討 • 国立天文台・先端技術センター • DPFの推進母体となる可能性についての検討中
最近の進展、会議等 • ISASの小型科学衛星シリーズ • DPFが2号機の最終候補の2つに残る • 残念ながら不採択 • 第7回DECIGOワークショップ(2009年4月) • 関連分野(CMB、ダークエネルギー、巨大ブラックホール)との融合の試み • DPFサイエンス検討会(2009年11月) • 地球重力場測定の可能性検討 • 物理学会:DECIGO関連で10講演
日本の将来計画(LCGTとDECIGOの関係) 時間 • LCGTとDECIGOの違い: • 目的 • タイムスケール • 狙う重力波源 重力波の周波数 LCGT 高い 重力波天文学の創成 DECIGO 低い (準備期間) 重力波天文学の発展
まとめ • 重力波は21世紀の天文学に多くの貴重な新しい情報をもたらす重要な観測手段である • すでに、意義のある上限値を与えるなどの成果が出始めている • 第2世代検出器により重力波の発見がなされると期待される • さらにスペース重力波アンテナにより重力波天文学の一層の発展が期待される