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平成21年9月18日(金) 介護従事者研修会. 新型インフルエンザ対応について. 朝倉保健福祉環境事務所 坂本 龍彦. 研修会内容. 1.新型インフルエンザ( A/H1N1 )について -現状と今後の流行予測 -特徴(季節性インフルエンザとの違い) 2.感染経路と予防策 -具体的な対応(個人・施設) 3.質疑応答 4.その他. 新型インフルエンザについて. 新型インフルエンザとは?. ・新型インフルエンザ
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平成21年9月18日(金) 介護従事者研修会 新型インフルエンザ対応について 朝倉保健福祉環境事務所 坂本 龍彦
研修会内容 1.新型インフルエンザ(A/H1N1)について -現状と今後の流行予測 -特徴(季節性インフルエンザとの違い) 2.感染経路と予防策 -具体的な対応(個人・施設) 3.質疑応答 4.その他
新型インフルエンザとは? ・新型インフルエンザ これまで流行していたのとは別の抗原性を持つ動物のインフルエンザウイルスが、人の体内で増殖できるように変化し、人から人へと感染して起こすインフルエンザ ・季節性インフルエンザ
A型インフルエンザウイルスに感受性のある動物A型インフルエンザウイルスに感受性のある動物
(参考)季節性インフルエンザ患者数 全国約5000カ所の医療機関より報告
新型インフルエンザの大流行(20世紀) 1918年 “Spanish Flu” 1957年 “Asian Flu” 1968年 “Hong Kong Flu” 死者2000-4000万人 死者100-400万人 死者100-400万人 A(H1N1) A(H2N2) A(H3N2) 致死率:約2% 致死率:約0.5% 致死率:約0.5% 鳥由来 鳥-人由来 鳥-人由来
新型インフルエンザ(A/H1N1)経過 【世界の動向】 4月23日:CDC、豚インフルエンザウイルスの人への感染事例を報告 28日:WHOフェーズ4宣言 30日:WHOフェーズ5宣言 6月12日:WHOフェーズ6宣言 【国内の動向】 4月28日 :新型インフルエンザを感染症法上の「新型インフルエンザ等感染症」 と位置づけ (海外発生期:第1段階) 5月 8日 :検疫(成田)にて感染者の確認 16日 :国内最初の感染者の確認 (国内発生早期:第2段階) ・専用外来の設置 ・入院措置 (感染拡大→感染拡大期・まん延期へ:第3段階) 7月23日 ~全医療機関での診療開始(福岡県) 患者の全数把握の中止、集団発生サーベイランス 8月25日 ~原則的に遺伝子検査は実施しない体制へ
新型インフルエンザ感染拡大防止(現状) • インフルエンザ患者は、症状出現1日前から感染力を有する。 ー現状、感染拡大防止には限界がある。 • 感染患者の症状が軽ければ軽いほど拡がりやすい。 ー症状が軽いと発見が遅れる(特異的な症状がない)。 ー症状が軽いと患者の行動範囲も広がる。
インフルエンザ流行状況(~9/6) 国立感染症研究所感染症情報センター
福岡県インフルエンザ流行状況(~9/13) 福岡県感染症情報センターHPより http://www.fihes.pref.fukuoka.jp/~idsc_fukuoka/index.html 5.50
定点報告・流行推移グラフ 福岡県感染症情報センターHPより 第37週(~9/13現在)
新型インフルエンザ(A/H1N1)の流行シナリオ 【発症率】 (*感染率とは異なる) 全人口のうち新型インフルエンザに感染し、かつ発症する確率 【入院率】 新型インフルエンザを発症した者のうち入院を要する状態となる患者の比率 【重症化率】 新型インフルエンザを発症した者のうち、重症化する患者の比率
新型インフルエンザ(A/H1N1)の流行シナリオ 約76万人【発症者】 約4.6万人 【入院患者】
新型インフルエンザ(A/H1N1)の流行シナリオ ピーク時の医療需要の推計(10万人対) *年齢分布は考慮せず・国の中位推計に基づく ・1日あたりの発症者数のピーク 約600名 ・最大入院患者数(1人あたり約5日間入院と仮定) 約36名 ・最大重症者数(ICUへの入院等) 約4名
新型インフルエンザ(A/H1N1)の流行シナリオ 最大時点における入院患者数(10万人対)の推計
新型インフルエンザ(A/H1N1)の特徴 【感染経路】感染伝播は基本的に飛沫感染および接触感染によると考えられている。ただし、気管挿管など限られた場面においてエアロゾル発生による飛沫核感染(空気感染)をきたす可能性は否定できない。感染性のある時期は発症1日前から発症後7日までと考えられている。ただし、解熱後は感染性が低下すると考えられている。米国では白血病の10代男性が発病後1か月以上にわたりRT-PCRでウイルス遺伝子が検出された例が報告されており、小児や免疫不全者ではより感染可能期間が長い可能性が示唆されている。結膜からの感染や便を介しての感染伝播に関しては、主たる感染経路ではないものの、否定はされていない。
インフルエンザの感染経路 感染経路 飛沫感染 接触感染 ①感染した人が、口を手で覆って咳やくしゃみをする(ウイルスが手に付着) ①感染者が咳やくしゃみをする ②手を洗わないままドアノブやスイッチ等に触れる ②ウイルスを含む「飛沫(咳・くしゃみ)」が飛散 ③健康な人がその部分に触れる ③健康な人が鼻や口から吸い込む ④その手で自分の鼻、口、目を触る 飛沫感染 接触感染
新型インフルエンザ(A/H1N1)の特徴 【潜伏期間】 潜伏期間は1~7日と考えられているが、2009年5月の大阪事例の調査ではより短い2~4日程度であり、米国CDCも恐らくは1~4日としている。 【伝播力(感染力)】 基礎再生産率(R0) 一人の感染者から何人に伝播させるか ・メキシコの初期:1.4~1.6 ・日本:2.0~2.4 ・ニュージーランド:1.96 (参考) ・季節性インフルエンザ:1.2~1.4
新型インフルエンザ(A/H1N1)の特徴 【臨床症状】 新型インフルエンザの臨床症状は、現状のところ、通常のインフルエンザとほぼ同等と考えてよい。ほとんどの患者に発熱、咳、咽頭痛がみられ、1割程度に消化器症状を認める。多くは5日間程度の経過で軽快するが、まれに、急性呼吸不全、筋炎、脳症、多臓器不全の報告がみられる。
新型インフルエンザ(A/H1N1)の臨床症状 症状からは、季節性インフルエンザと区別できない 大阪府、神戸市における新型インフルエンザの臨床像(第2報)
特に注意が必要な方 (基礎疾患:治療の経過や管理の状況にもよる) • 慢性呼吸器疾患 • 慢性心疾患 • 糖尿病などの代謝性疾患 • 腎機能障害 • ステロイド内服などによる免疫機能不全 (その他) • 妊婦 • 幼児 • 高齢者 状況に応じて予防内服(濃厚接触者) 感染が疑われる場合は、早めに受診すること!
注意すべき症状 (子供) • 呼吸が速くなる、あるいは息苦しい等の訴えがある • 顔色が悪い(青白い、ないし土気色) • 水分摂取が十分できない • ひどい、あるいは持続する嘔吐 • 意識がない、あるいは意思疎通ができない • いらいらする、怒りっぽいなどで安静が保てない • インフルエンザ症状が一旦軽くなったあとで、再び発熱や咳がひどくなった。 (大人) • 呼吸困難または息切れ • 胸部または腹部の痛み、圧迫感 • 突然のめまい • 意識混濁・錯乱 • ひどい、あるいは持続する嘔吐 速やかにかかりつけ医等に相談すること!
新型インフルエンザ(A/H1N1)の特徴 【治療・ワクチン等】 ●感染したほとんどの方は比較的軽症のまま数日で回復 -治療薬(タミフル・リレンザ)が有効 -アマンタジンには耐性 ータミフル耐性ウイルスの報告(限定的) -現在の季節性インフルエンザワクチンは有効でない ●基礎疾患を有するもの、妊婦等で重症化するおそれ -濃厚接触者における予防内服の検討 -有症状時の早めの受診
タミフル・リレンザの備蓄量 1.タミフル 国備蓄 約2680万人分 県備蓄 約1415万人分 計 約4095万人分 2.リレンザ 国備蓄 約268万人分 県備蓄 約224万人分 計 約492万人分 *国備蓄については、H21年8月末現在数 *県備蓄については、H21年8月末までの見込み数 *この他に、通常流通用の在庫がある
新型インフルエンザと季節性インフルエンザ *致死率=一定期間における当該疾病による死亡者数/一定期間における当該疾病の罹患者数
留意点 • 感染拡大防止策の徹底はもちろんであるが・・・ 感染力が強い 多くの人が感染する 業務継続について検討しておく必要性がある! ・優先業務の検討 ・サービス停止時の代替策の検討 ・事業者間、行政との連携 等
新型インフルエンザワクチン優先接種対象者と理由新型インフルエンザワクチン優先接種対象者と理由
新型インフルエンザワクチン接種スケジュール新型インフルエンザワクチン接種スケジュール
季節性インフルエンザに対するワクチンの効果季節性インフルエンザに対するワクチンの効果
インフルエンザの感染経路 感染経路 飛沫感染 接触感染 ①感染した人が、口を手で覆って咳やくしゃみをする(ウイルスが手に付着) ①感染者が咳やくしゃみをする ②手を洗わないままドアノブやスイッチ等に触れる ②ウイルスを含む「飛沫(咳・くしゃみ)」が飛散 ③健康な人がその部分に触れる ③健康な人が鼻や口から吸い込む ④その手で自分の鼻、口、目を触る 飛沫感染 接触感染
飛沫感染と飛沫核感染(空気感染) 水分 空調は不要 空調が必要 飛沫 重いのですぐに落下 サージカルマスク 飛沫核 軽いので長時間空中を浮遊 個室管理 N95マスク
徹底すべき感染伝播予防策 <主に飛沫感染予防として> *咳エチケットの徹底 ◎ 対人距離の保持・人ごみを避ける ◎ マスクの着用(感染源にならないためにも) <主に接触感染予防として> ◎ 手指衛生 *自分の顔を触らない! <施設として> ◎ 職場の清掃・消毒 ◎ 職員・利用者・入所者等の健康管理・指導 ◎ 面会者・業者等の出入りの制限等(感染源対策) ◎ 患者発生時の適切な対応 個人個人の心がけが重要!
咳エチケット ○ 咳が出る場合には、不織布製マスクを着用する ○ 咳・くしゃみの際は、ティッシュなどで口と鼻を押さえ、他の人から顔をそむけて1メートル以上離れる ○ 鼻汁・痰などを含んだティッシュはすぐに専用のゴミ箱に捨てる ○ 手はよく洗う
Cover your mouth and nose with a tissue when you cough or sneeze or cough or sneeze into your upper sleeve, not your hands You may be asked to put on a surgical mask to protect others Wash with soap and water or clean with alcohol –based hand cleaner
咳、くしゃみ、会話による飛沫発生量 • くしゃみ 1,940,000 個 • 咳 900,765 個1 • 5分間の会話でも、咳と同じ程度の飛沫を発生させる。2 1Gerone PJ et al. Bacteriol Rev 1966;30:576-88 (taken from Viral Infections of Humans, and numbers in text were possibly wrong, but they make the point) 2Bates JH, Stead WW. Med Clin NA 1993;77:2105-17.
マスクについて • 熱や化学的な作用によって接着させたことで布にしたマスク。市販されている97%が不織布製マスクである。 サージカルマスク:医療用の不織布製マスク
不織布製マスクの使用方法 (1)咳・くしゃみなどの症状のある人が使用する場合 咳・くしゃみなどの症状のある人は、周囲の人に感染を拡大する可能性があるため、可能な限り外出すべきではない。また、やむを得ず外出する際には、咳・くしゃみによる飛沫の飛散を防ぐために不織布製マスクを積極的に着用することが推奨される。 (2)健康な人が不織布製マスクを使用する場合 環境中のウイルスを含んだ飛沫は不織布製マスクのフィルターにある程度は補足される。しかし、不織布製マスクを着用することで飛沫を完全に吸い込まないようにすることはできない。よって、咳や発熱がある人に近寄らない、手指を清潔に保つといった感染予防策を優先して実施することが推奨される。
マスクの着用 特にマスク着用が望まれる者 1. 患者 2. 濃厚接触者 患者・濃厚接触者と接触する者 (接触を最小限にすることが第一) 3.その他 *まん延期においては、すべての者が感染する可能性があり、また、感染源となることがあると考えられるためマスクを着用することが望ましい。
不織布製マスクの着用方法 説明書に従って行う。 1)鼻、口、顎を覆う (特に、鼻と口の両方を確実に覆うこと) 2)可変式の鼻部分を鼻梁にフィットさせる 3)ゴムバンド/ひもで頭にしっかり固定する 4)フィットするよう調節する
不織布製マスクの着脱方法 1)(ゴムバンド式)後頭部のゴムの部分を持ち、上方へ移動する 2)(ひも式)下のひもをほどく、それから上のひもをほどく 3)顔から外す 4)廃棄する :表面に触れないようにビニール袋に入れて口を閉じて廃棄する、もしくは、蓋のついたゴミ箱に入れるなどして廃棄する。廃棄後は、すぐに手洗いや消毒用アルコール製剤による消毒を行う。
手 指 衛 生 ●インフルエンザウイルスには、アルコールが有効
衛生的手洗い手順(石鹸と手洗い) ① ② ③ 手掌を合わせて良く洗う 手掌で手の甲を洗う 指先・爪の間を入念に洗う ④ ⑤ ⑥ 指の間を入念に洗う 手首も忘れずに洗う 親指と手掌のねじり洗いをする