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適応信号処理技術. 1.信号推定・判定の基礎. 時系列信号. 時系列とは 不規則 に変動する物理過程の観測値を 時間の順 に並べたもの 時系列の処理 予測 時系列における過去の観測値から将来の値を推定すること 推定 雑音に乱された受信信号系列から,その中に含まれる意味のある信号を抽出すること(フィルタリング) 波形の推定 送信データの推定(判定). 推定と判定. 信号の推定(アナログ/ディジタル通信共通) 雑音に埋もれた信号の検出 ひずみを受けた信号の補償 Wiener フィルタ, Kalman フィルタ 信号の判定(ディジタル通信固有)
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時系列信号 • 時系列とは • 不規則に変動する物理過程の観測値を時間の順に並べたもの • 時系列の処理 • 予測 • 時系列における過去の観測値から将来の値を推定すること • 推定 • 雑音に乱された受信信号系列から,その中に含まれる意味のある信号を抽出すること(フィルタリング) • 波形の推定 • 送信データの推定(判定)
推定と判定 • 信号の推定(アナログ/ディジタル通信共通) • 雑音に埋もれた信号の検出 • ひずみを受けた信号の補償 • Wienerフィルタ,Kalmanフィルタ • 信号の判定(ディジタル通信固有) • M源情報源(M個のシンボルで構成される情報源)の判定 • ベイズの理論,最尤推定,MAP推定
線形自乗推定に基づく信号の推定 • 推定理論に適用されるシステム方程式が線形 • 雑音は白色・ガウス雑音 • 白色:電力スペクトル密度が一様 • 時系列データの変化の速度に関する規定 • 変動幅に関する情報は含まれない • ガウス:電圧変動の確率密度関数がガウス分布 • 時系列データの変動幅に関する規定 • 時系列データの変化の速度に関する情報は含まれない • 広義定常(平均と相関関数が時刻に無関係) • 最小二乗規範 • 推定誤差の分散を最小化
^ ^ 推定値 s(t) 推定値 s(t) ^ h(t) 最小自乗推定に基づく信号推定 【フィルタリング】 雑音 n(t) 信号 s(t) 受信信号 y(t) 適応 フィルタ + + 推定誤差 e(t) + - 参照信号 (理想的にはs(t)) 【補償】 雑音 n(t) 受信信号 y(t) ひずみ の発生 (伝搬路) 信号 s(t) ひずみ補償器 (フィルタ) + + 推定誤差 e(t) h(t) + - ひずみの推定 (伝搬路推定) 参照信号 (理想的にはs(t))
複素信号表示(1)ー送信信号(数式表現)ー複素信号表示(1)ー送信信号(数式表現)ー 変調された信号:
複素信号表示(2)ー送信信号(回路表現)ー複素信号表示(2)ー送信信号(回路表現)ー 複素 送信信号 実際の送信信号 z(t) Re[ ] 複素モデル 回路 zI(t) + p/2 zQ(t)
複素信号表示(3)ー復調(回路表現)ー 複素 受信信号 複素モデル 回路 zI(t) LPF p/2 zQ(t) LPF
等価低域系表現(信号波形) (フーリエ変換) U(f) A(f) (1/2)U*(-f-fc) (1/2)U(f-fc) f f -fc fc
等価低域系表現(伝送路特性)(1) B(f)=U(f)H(f) A(f) (1/2)B(f-fc) =(1/2)U(f-fc)H(f-fc) (1/2)B*(-f-fc) =(1/2)U*(-f-fc)H*(-f-fc) f f -fc fc ? ゼロ
等価低域系表現(伝送路特性)(2) G(f) H(f) H(f-fc) H*(-f-fc) f f -fc fc
帯域系と等価低域系の関係 【帯域系】 【等価低域系】
^ s(t) 線形フィルタ理論(アナログ表記)(1)ーモデルー s(t) + n(t) h(t) 【平均自乗誤差】 最小化
線形フィルタ理論(アナログ表記)(2)ー直交原理(自乗平均誤差の最小化)ー線形フィルタ理論(アナログ表記)(2)ー直交原理(自乗平均誤差の最小化)ー s(t) e(t) =s(t)-ay(t) a.y(t) y(t) 【問題】 y(t)からs(t)を推定する 【手法】 y(t)をa倍してs(t)に近づける(aの最適化) 【判定基準】 |e(t)|2を最小化 |e(t)|2が最小となるのはay(t)とe(t)が直交する場合
線形フィルタ理論(アナログ表記)(3)ー最適線形フィルタの算出ー線形フィルタ理論(アナログ表記)(3)ー最適線形フィルタの算出ー の最小化 上式ではすべてのy(a) (-∞<a<∞)の値を活用してs(t)を推定 y(t-a)とe(t)が直交化 Wiener-Hopfの方程式
t0 線形フィルタ理論(アナログ表記)(4)ー因果律ー 【因果律】 回路の出力は,信号が入力された後でないと発生しない (負のインパルス応答は物理的にありえない) h(t) h(t) 遅延 (t0) + = t t 0 0 応答は 有限時間 現実 (因果律は満足される) 理論上 (因果律は満足されない)
線形フィルタ理論(アナログ表記)(5)ーWiener-Hopfの方程式の解ー線形フィルタ理論(アナログ表記)(5)ーWiener-Hopfの方程式の解ー
4.ウィーナフィルタのディジタルフィルタへの展開4.ウィーナフィルタのディジタルフィルタへの展開
線形フィルタ理論(ディジタル表記)(1)ーディジタルフィルタの応答ー線形フィルタ理論(ディジタル表記)(1)ーディジタルフィルタの応答ー 出力 入力 時刻 x(t) t = 0 x(0)Dth(t) x(0)Dt t = Dt x(Dt)Dth(t-Dt) x(Dt)Dt t = 2Dt x(2Dt)Dth(t-2Dt) x(2Dt)Dt t . . . . . . . . . x(kDt)Dt t = kDt x(kDt)Dth(t-kDt) x(kDt)Dt t kDt h((n-k)) (アナログフィルタ) (ディジタルフィルタ) Dt=T, t = nT, Dt→0, kDt→t t kDt
線形フィルタ理論(ディジタル表記)(2)ーディジタルフィルタの構成ー線形フィルタ理論(ディジタル表記)(2)ーディジタルフィルタの構成ー ・インパルス応答の応答時間を有限とする ・遅延を許容して負のインパルス応答を実現する xn-(N-1) xn+N-1 xn-N xn+1 xn xn-1 xn+N Data Vector T T T T T h-N+1 h0 hN-1 hN h-1 h1 h-N Tap Vector フィルタ遅延が計算可能 + フィルタ外の現在 (フィルタ内の時計) 過去 未来 現在
線形フィルタ理論(ディジタル表記)(3)ーディジタルフィルタのベクトル表記ー線形フィルタ理論(ディジタル表記)(3)ーディジタルフィルタのベクトル表記ー Data Vector Tap Vector フィルタ出力 フィルタ hn yn xn
線形フィルタ理論(ディジタル表記)(4)ー適応フィルター線形フィルタ理論(ディジタル表記)(4)ー適応フィルター フィルタ h (最適フィルタ?) フィルタ出力 推定誤差 |e|2が最小となるようにhを設定
線形フィルタ理論(ディジタル表記)(5)ー最適タップ利得の導出ー線形フィルタ理論(ディジタル表記)(5)ー最適タップ利得の導出ー とすると emin Non-negative
線形フィルタ理論(ディジタル表記)(6)ー適応フィルタアルゴリズム(最終形態)ー線形フィルタ理論(ディジタル表記)(6)ー適応フィルタアルゴリズム(最終形態)ー フィルタ h (最適フィルタ?) ディジタル型Wiener-Hopfの方程式
5.広帯域伝送における周波数選択性フェージングの影響5.広帯域伝送における周波数選択性フェージングの影響
周波数選択性フェージング伝送路モデルー送信機ー周波数選択性フェージング伝送路モデルー送信機ー 送信シンボル系列 送信ベースバンド信号 送信フィルタ cT(t) 送信信号
周波数選択性フェージング伝送路モデルー伝搬路ー周波数選択性フェージング伝送路モデルー伝搬路ー 伝搬路 送信信号 受信信号 等価低域系における処理により 送信フィルタと伝搬路の合成インパルス応答
周波数選択性フェージング伝送路モデルー受信機ー周波数選択性フェージング伝送路モデルー受信機ー 受信ベースバンド信号 受信フィルタ cR(t) y1(t) 受信信号 y(t)
周波数選択性フェージング下の伝送路モデル a(t) y(t) 送信フィルタ cT(t) 伝搬路 cB(t) 受信フィルタ cR(t) 総合インパルス応答に含まれるもの ・送受信フィルタの特性(伝搬路特性の分解能を決定) ・伝搬路そのものの特性 ・検波による位相ひずみ 等化器は全てのひずみを一括して補償する技術
判定帰還型等化器 等化フィルタ部 FF (Feed Forward)フィルタ FB (Feedback)フィルタ yn+N-1 yn+1 yn yn+N T T T T T h0 h-1 h1 . . . + タップ利得制御部 誤差 推定部 硬判定器 既知信号an
等化メカニズム(1) 伝搬路特性(直接波>遅延波) 受信信号 0 Ts h0のタップ (h0 = 1) h0yn = yn = an + (1/2)an-1 0 Ts Ts h1のタップ (h1 = -(1/2)) 0 他のタップはゼロ 等化出力
等化メカニズム(2) 伝搬路特性(直接波<遅延波) 受信信号 0 Ts h-1のタップ (h-1 = 1) h-1yn+1 = yn+1 = (1/2)an+1 + an -Ts 0 -Ts -2Ts h-2のタップ (h-2 = -(1/2)) h-3のタップ (h-3 = (1/4)) -2Ts -3Ts 等化出力
等化メカニズム(3) • 直接波が強い→遅延波をキャンセル • 遅延波が強い→直接波を抑圧 • 等化後の信号レベルが高くなるようにタップ利得を設定すると,パスダイバーシチ効果が得られる 最適タップ利得は? (線形自乗推定)
カルマンアルゴリズム タップデータ タップ利得 【初期化】 【出力と推定誤差の計算】 【タップ利得の更新】 nの更新
カルマンアルゴリズムとWiner-Hopfの方程式の関係カルマンアルゴリズムとWiner-Hopfの方程式の関係 カルマンアルゴリズムにおける逐次更新式を変形すると,以下の関係が得られる(説明略) D. Godard, “Channel Equalization using a Kalman Algorithm for Fast Data Transmission,” IBM J. Res. Develop., Vol. 18, No. 3, pp. 267-273, May 1974. l: 忘却係数 Wiener-Hopfの方程式
判定帰還型等化器の特徴 • 任意の変調方式に適用可能 • 演算量が変調多値数にほとんど依存しない • 判定値に誤りがあると特性が劣化 • FBタップで遅延波が増幅される • 伝搬路変動への追随性はλに依存する
7.フレーム化された信号に対するディジタル信号処理7.フレーム化された信号に対するディジタル信号処理
【アナログ信号】 Frequency Time 【時間波形の離散化】 fs = 1/Ts サンプル間隔:Ts . . . . . . . . Frequency Time 【スペクトルの離散化】 f0 = 1/T0 T0 Frequency Time 連続信号と離散信号の関係 (1)
周波数窓 時間窓 連続信号と離散信号の関係 (2) 【時間波形とスペクトル両者の離散化】 . . . . . . . . t f FFTが対象とする時間領域 FFTが対象とする周波数領域 ディジタル信号処理をする上での前提条件 【時間波形】 ・処理対象の波形は時間窓で抽出された波形 ・抽出された波形は時間窓を周期とする周期関数 【スペクトル】 ・処理対象は周波数窓で抽出される波形 ・スペクトルは離散スペクトル ・スペクトル間隔は時間窓の逆数 ・スペクトルは周波数上で繰り返される波形 ・スペクトルの繰り返し周期はサンプル間隔の逆数
Cyclic Prefixの意義-CPがない場合- 1-frame Previous frame FFT window . . . . . . . a0 an-1 a2 an-2 a-1 a-2 a1 直接波 直接波 . . . . . . . a-1 a-2 a0 an-2 an-3 a1 遅延波1 遅延波1 遅延波2 . . . . . . . a-2 an-1 a0 an-3 an-4 遅延波2 0 Ts 2Ts この部分に周期性がない 1-time slot進むごとにフレーム信号を再定義し,最適フィルタを構成しなければならない
Cyclic Prefixの意義-CPがある場合- 1-frame cyclic prefix FFT window 直接波 . . . . . . . a0 an-1 a2 an-2 an-1 an-2 a1 直接波 遅延波1 . . . . . . . an-1 an-2 a0 an-2 an-3 a1 遅延波1 遅延波2 . . . . . . . an-2 an-1 a0 an-3 an-4 遅延波2 0 Ts 2Ts この部分は(a0, a1, …, an-1)で構成される 周期関数と見なせる 離散スペクトル(FFT)
Cyclic Prefixの意義-フレーム信号の表現- 1-frame cyclic prefix FFT window h0 . . . . . . . a0 an-1 a2 an-2 an-1 an-2 a1 h0 直接波 h1 . . . . . . . an-1 an-2 a0 an-2 an-3 a1 遅延波1 h1 h2 遅延波2 . . . . . . . an-2 an-1 a0 an-3 an-4 h2 0 Ts 2Ts
巡回行列の性質 (1) H …..
巡回行列の性質 (2) 周波数0の成分抽出用行ベクトル 【フーリエ変換行列】 周波数(1/N)の成分抽出用行ベクトル 周波数(N-1/N)の成分抽出用行ベクトル ディジタル信号処理における周波数は規格化周波数 基本 周波数に相当 ここは本来のDFTでは1/Nとなるが,このあとDFT行列をユニタリ行列として利用するため,この係数のみ,本来のDFTと異なるものを用いている