180 likes | 264 Views
日本語構造伝達文法. 一部訂正要求の否定. [ 8-2 ]. 推断文一部訂正要求のための否定. ~んじゃない. この項目は 『 日本語構造伝達文法 』 ( 05 版) の第 33 章, の内容に基づいています。. 印刷: 1-3,5,7-17. 今泉 喜一. 2012 年 11 月. ① A: きょうは彼,いい時計してるだろ。. ② B: そうだね。. ③ A: 彼,きのう新宿へ買い物に行ってね。. ④ B: ああ,それで。. ⑤ A: あっ,ちがう,ちがう。. 。. 一部訂正要求の否定. A はなぜこう言ったのか?.
E N D
日本語構造伝達文法 一部訂正要求の否定 [8-2] 推断文一部訂正要求のための否定 ~んじゃない この項目は 『日本語構造伝達文法』(05版)の第33章, の内容に基づいています。 印刷:1-3,5,7-17 今泉 喜一 2012年 11月
①A: きょうは彼,いい時計してるだろ。 ②B: そうだね。 ③A: 彼,きのう新宿へ買い物に行ってね。 ④B: ああ,それで。 ⑤A: あっ,ちがう,ちがう。 。 一部訂正要求の否定 A はなぜこう言ったのか? A はBが推断文を作ったと思った。 Bの推断文 「彼はきのう新宿で時計を買った。」 AはBの推断文の訂正要求をしたいと思う。 そうじゃない。 a) あの時計は新宿で買ったんじゃない。 このつもりで b) あの時計は買ったんじゃない。 c) あの時計は新宿じゃない。 A「あの時計を買ったんじゃない。」 d) あの時計はきのう買ったんじゃない。 適切な訂正要求になったか? e) あの時計は彼が買ったんじゃない。 これでは不適切。違和感がある。 では,どう言えばよいのか。 推断文への訂正要求に何か規則はあるのか。
彼 新宿 彼 時計 時計 新宿 を kaw- で kaw- t- a- t- で を a- 推断文への訂正要求の規則 Bさんが作った(とAさんが思った)推断文 要素を1つ減らすために 「きのう」を省略して考える。 「彼は新宿で時計を買った。」 一部訂正要求の否定
彼 新宿 彼 時計 時計 新宿 を kaw- で kaw- t- a- t- で を a- 推断文への訂正要求の規則 Bさんが作った(とAさんが思った)推断文 「彼は新宿で時計を買った。」 一部訂正要求の否定
彼 彼 新宿 時計 時計 新宿 ka(w)- kaw- t- de o a- t- の で を a- 推断文への訂正要求の規則 Bさんが作った(とAさんが思った)推断文 「彼は新宿で時計を買った。」 「彼は新宿で時計を買ったの」 一部訂正要求の否定
彼 新宿 時計 ka(w)- t- de o a- の 推断文への訂正要求の規則 Bさんが作った(とAさんが思った)推断文 「彼は新宿で時計を買った。」 「彼は新宿で時計を買ったの」 一部訂正要求の否定
彼 新宿 時計 ka(w)- t- de o a- の (事実) の ar- de ana .k- 推断文への訂正要求の規則 Bさんが作った(とAさんが思った)推断文 「彼は新宿で時計を買った。」 「彼は新宿で時計を買ったの」 訂正要求 「彼は新宿で時計を買ったのではない。」 一部訂正要求の否定 「彼は新宿で時計を買ったんじゃない。」
彼 時計 新宿 kaw- t- で を a- 推断文への訂正要求の規則 何が訂正要求の対象となるか。 訂正要求の対象となりうるもの 主 体: 彼 一部訂正要求の否定 客 体: 新宿,時計 動属性: 買った 選択主語(~が)が最も取り換えやすい。 主題主語(~は)は最も取り換えにくい。 彼が新宿で時計を買ったんじゃない。 彼は新宿で時計を買ったんじゃない。 新宿で彼が時計を買ったんじゃない。 新宿で彼は時計を買ったんじゃない。 新宿で時計を彼が買ったんじゃない。 新宿で時計を彼は買ったんじゃない。
推断文への訂正要求の規則 可換性 要 素 可換性 選 択 主 語 4点 一部訂正要求の否定 句 ・ 節 3点 客 語 3点 2点 述 語 主題語 ・ 話題語 0点 卓立が置かれると +1.5点 点数は経験値 彼は新宿で時計を買ったんじゃない。 赤字は卓立表示 0 3 3+1.5 2 新宿では彼,時計,買ったんじゃない。 0 0 0 2
推断文への訂正要求の規則 推断文 「彼は新宿で時計を買った。」 原則1 推断構造内の1要素だけを描写すれば, それが訂正の対象となる。 (動属性の描写がないときは「~んじゃない」ではなく,「~じゃない」になる。) 一部訂正要求の否定 [4]彼が じゃない。 ( → 彼女 が である。) [3]新宿(で)じゃない。 ( →渋谷(で)である。) [3]時計(を)じゃない。 ( →靴(を)である。) [2]買ったんじゃない。 ( →拾ったのである。)
推断文への訂正要求の規則 推断文 「彼は新宿で時計を買った。」 原則2 原則1の1要素に動属性(2点)を加えても, その1要素は訂正の対象のままである。 一部訂正要求の否定 [42]彼 が買ったんじゃない。 ( → 彼女 が 買った。) [32]新宿で買ったんじゃない。 ( →渋谷で買った。) [32]時計を買ったんじゃない。 ( →靴を買った。)
推断文への訂正要求の規則 推断文 「彼は新宿で時計を買った。」 原則3 主題,話題は訂正の対象にならない(0点)。 したがって,原則1,原則2の文に主題,話題を加えても, その1要素は訂正の対象のままである。 一部訂正要求の否定 [03] 時計(は), 新宿(で)じゃない。 ( → 渋谷 ) [042]時計(は), 彼 が買ったんじゃない。 ( → 彼女 ) [032] 彼(は),時計を買ったんじゃない。 ( → 靴) [0032] 新宿で(は),彼(は),時計を買ったんじゃない。 ( → 靴) [02] 新宿で(は),買ったんじゃない。 ( → 拾った) [002] 彼(は),時計(は),買ったんじゃない。 ( → 拾った)
推断文への訂正要求の規則 推断文 「彼は新宿で時計を買った。」 原則4 主語が現れていない場合, あるいは主語が主題,話題になっている場合は, 卓立(+1.5)のある要素が訂正の対象である。 一部訂正要求の否定 ただし,述語が訂正の対象となる場合は,何か0点のものを置いて 述語を引き立てた方が自然になる。 [4.5,32]新宿で時計(を)買ったんじゃない。 3+1.5 3 2 ( → 渋谷 ) [03,4.5,2] 彼(は),新宿で時計(を)買ったんじゃない。 0 3 3+1.5 2 ( → 靴 ) [033,3.5] 彼(は),新宿で時計(を)買ったんじゃない。 0 3 3 2+1.5 ( → 拾った)
推断文への訂正要求の規則 推断文 「彼は新宿で時計を買った。」 原則5 選択主語があれば,選択主語が訂正の対象である。 一部訂正要求の否定 [4332]彼が新宿で時計を買ったんじゃない。 ( → 彼女 ) [0342] 時計は,新宿で彼が買ったんじゃない。 ( → 彼女 ) [3432] 新宿で彼が時計を買ったんじゃない。 ( → 彼女)
推断文への訂正要求の規則 推断文 「彼は新宿で時計を買った。」 原則6 構造の要素になっている一部の実体同士の結びつきや, 実体と属性の結びつきをひとまとまりの単位(句)として 扱いつつ,原則1~5に従う場合もある。 一部訂正要求の否定 実体同士の結びつき例:「彼の時計」「白い時計」「新宿での時計」 事象主語の場合……新宿で時計を[彼が買った]んじゃない。 原則1[3][彼が買った]んじゃない。(→彼女が拾った) 原則2(この場合,すでに原則1に動属性の描写が含まれている。) 原則3[03]時計は[彼が買った] んじゃない。 (→彼女が拾った) 原則4(この場合,主語は事象主語としてすでに出ている。) 原則5(この場合,主語は単独で扱えない。) 論理客語の場合……彼は新宿で [時計を買った] んじゃない。 原則1[3] [時計を買った] んじゃない。 (→映画を見た) 原則2(この場合,すでに原則1に動属性の描写が含まれている。) 原則3[03] 新宿では[時計を買った] んじゃない。 (→映画を見た) 原則4[034.5] 彼,新宿で [時計を買った] んじゃない。 (→映画を見た) 原則5 [433] 彼が新宿で [時計を買った] んじゃない。 (→彼女が買った)
推断文への訂正要求の規則 推断文 「彼は新宿で時計を買った。」 原則7 推断構造が否定構造であり,属性が訂正の対象となっている 場合,要求される訂正は動属性を別のものに取り換えること ではなく,否定属性 -(a)na.k- を外して肯定にすることである。 一部訂正要求の否定 [033,3.5]彼,新宿で時計を 買わなかった んじゃない。 彼,新宿で時計を kaw- [ ana.k-Øu=ar- ] i=t-Ø=a-Ø んじゃない。 訂正要求の内容 彼,新宿で時計を kaw- [ ] i=t-Ø=a-Ø んだ。
推断文への訂正要求の規則 推断文 「彼は新宿で時計を買った。」 ①A: きょうは彼,いい時計してるだろ。 ②B: そうだね。 ③A: 彼,きのう新宿へ買い物に行ってね。 一部訂正要求の否定 ④B: ああ,それで。 3 2 時計を買ったんじゃない。 (不適切な表現) ⑤A: あっ,ちがう,ちがう。 。 「あの時計は買ったんじゃない。」 と言いたい。 原則1から 「パソコンを買ったんだ。」等になる可能性があり, 原則6から 「パソコンを修理に出したんだ。」等になる可能性もある。 では,どうすればよいか。 「買った」 を訂正してもらいたいのだから,次のようにすればよい。 原則1[2] 買ったんじゃない。 原則3[02] 時計は買ったんじゃない。 [02] 時計,買ったんじゃない。 原則4[03,3.5] 彼は時計を買ったんじゃない。 [03,3.5] 彼,時計を買ったんじゃない。 [03,3.5] 新宿では時計を買ったんじゃない。
推断文への訂正要求の規則 一部訂正要求の否定 終わり