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β ーラクタム系抗菌薬. 抗菌薬の国内市場( 2011 年). 抗生物質. 微生物によって生産され,微生物に対して,その発育や増殖を阻止し,あるいは死滅させる作用のある化学物質(狭義) 微生物によって生産され,微生物あるいは癌細胞に対して,その発育や増殖を阻止し,あるいは死滅させる作用のある化学物質(広義). ペニシリンの発見. Alexander Fleming (1881-1955). アオカビ Penicillium nonatum が生産する 抗ブドウ球菌( Staphylococci )物質. ペニシリン( 1928 ).
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抗生物質 微生物によって生産され,微生物に対して,その発育や増殖を阻止し,あるいは死滅させる作用のある化学物質(狭義) 微生物によって生産され,微生物あるいは癌細胞に対して,その発育や増殖を阻止し,あるいは死滅させる作用のある化学物質(広義)
ペニシリンの発見 Alexander Fleming (1881-1955) アオカビPenicillium nonatumが生産する 抗ブドウ球菌(Staphylococci)物質 ペニシリン(1928) 化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes) 肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae) 抗菌作用,毒性なし 低生産性のため単離できなかった
ペニシリンの再発見 Howard Flory (1898-1968) & Ernst Chain (1906-1979) ペニシリン研究再開(1938) ペニシリンの臨床試験(1941) ペニシリンGの構造決定(1945) a b βーラクタム ペニシリンG(ベンジルペニシリン) グラム陽性菌,グラム陰性球菌,スピロヘータに有効 経口吸収性は悪い ペニシリナーゼにより分解される
ペニシリン系抗菌薬の開発 ベンジルペニシリン 注射薬(カリウム塩) ブドウ球菌属,レンサ球菌属,肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae),腸球菌属, 淋菌(Neisseria gonorrhoeae),髄膜炎菌(Neisseria meningitidis), ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae),炭疽菌(Bacillus anthracis), 放線菌,破傷風菌(Clostridium tetani),ガス壊疽菌群, 回帰熱ボレリア(Borrelia recurrentis),ワイル病レプトスピラ(Leptospira icterohemorrhagiae), 鼠咬症スピリルム(Spirillum minus),梅毒トレポネーマ (Treponema pallidum) 経口薬(ベンザチン塩) レンサ球菌属,肺炎球菌,梅毒トレポネーマ
ペニシリン耐性菌の出現 ペニシリナーゼ (βーラクタマーゼ) ロンドンの病院内で分離されたペニシリン耐性ブドウ球菌 1946年 15% 1947年 40% 1948年 60%
ペニシリンの改良 ベンジルペニシリンの特性 グラム陽性菌,グラム陰性球菌に有効 → グラム陰性桿菌に無効 酸性で不安定 → 経口投与では無効 ペニシリナーゼによる分解 ペニシリンアシラーゼ 6-アミノペニシラン酸 (6-APA) ベンジルペニシリン
半合成ペニシリン 化学反応 or 酵素 ペニシリナーゼ 抵抗性 メチシリン 6-APA
ペニシリナーゼ耐性ペニシリン クロキサシリン 抗菌スペクトルはベンジルペニシリンと同じ ペニシリナーゼに対して安定 ペニシリナーゼ阻害活性を有する 経口で吸収される アンピシリンとの合剤で用いられる
広域ペニシリン ・ベンジルペニシリンと比較してグラム陰性桿菌へスペクトル拡大 ・経口で吸収される ・ペニシリナーゼ感受性 アモキシシリン アンピシリン 経口薬,注射薬 内服時の吸収やや悪い 経口薬 抗菌力同等 内服時の血中濃度高 ブドウ球菌属,レンサ球菌属,肺炎球菌, 腸球菌属,淋菌,髄膜炎菌,炭疽菌,放線菌, 大腸菌(Escherichia coli),Proteus mirabilis, インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae), 赤痢菌(Shigella spp.),梅毒トレポネーマ ブドウ球菌属,レンサ球菌属,肺炎球菌, 腸球菌属,淋菌,大腸菌,Proteus mirabilis,インフルエンザ菌,Helicobacter pylori, 梅毒トレポネーマ
広域ペニシリン(第3群) バカンピシリン アンピシリンのプロドラッグ アンピシリンより経口吸収がよい
広域ペニシリン(第3群) アスポキシシリン ピブメシリナム 注射薬 グラム陽性菌に対する抗菌力やや弱い グラム陰性桿菌に対する抗菌力やや強い Bacteroidesに有効 メシリナムのプロドラッグ(経口薬) グラム陽性菌に無効 グラム陰性桿菌に対する抗菌力強い 肺炎桿菌,Citrobacter,Enterobacterに有効
広域ペニシリン ピペラシリン 注射薬 緑膿菌に有効 抗菌力はアンピシリンより弱い ペニシリナーゼにやや安定 ブドウ球菌属,レンサ球菌属,肺炎球菌,腸球菌属, 大腸菌,Citrobacter,肺炎桿菌,Enterobacter, Serratia, Proteus,Morganella morganii,Providencia, インフルエンザ菌,緑膿菌,Bacteroides,Prevotella
ペプチドグリカントランスペプチダーゼ ペニシリン結合タンパク質(PBPs) b-ラクタム
セフェム系抗菌薬 セファロスポリンC Acremonium chrysogenum ベンジルペニシリンより低毒性 ペニシリナーゼ抵抗性 ベンジルペニシリン ペニシリナーゼ抵抗性 グラム陽性菌 グラム陰性菌 経口薬 セファレキシン
(カルバペナム) オキサペナム ペナム (オキサペネム) カルバペネム ペネム (カルバセフェム) セフェム オキサセフェム (オキサセファム) (セファム) (カルバセファム)
セフェム系抗菌薬 7 7 3 3 ベンジルペニシリン セファレキシン Penicillium chrysogenum 化学反応 or 酵素 7 3 セファロスポリンC 7-アミノセファロスポラン酸 (7-ACA) Acremonium chrysogenum
第1世代セフェム(注射薬) 広域ペニシリンとの比較 ペニシリナーゼ産生ブドウ球菌,大腸菌,肺炎桿菌 ↑ 肺炎球菌,化膿レンサ球菌,腸球菌,インフルエンザ菌 ↓ ペニシリナーゼに抵抗性,セファロスポリナーゼに感受性 セファロチン セファゾリン ブドウ球菌属,レンサ球菌属,肺炎球菌, 大腸菌,肺炎桿菌, Proteus mirabilis, Providencia
第1世代セフェム(経口薬) セファクロル セフロキサジン 広域ペニシリンとの比較 ペニシリナーゼ産生ブドウ球菌,大腸菌,肺炎桿菌 ↑ 肺炎球菌,化膿レンサ球菌,淋菌,インフルエンザ菌 ↓ 腸球菌 ↓↓ ペニシリナーゼに抵抗性,セファロスポリナーゼに感受性
第2世代セフェム(注射薬) セフォチアム 第1世代セフェムとの比較・・・グラム陰性桿菌に対するスペクトル拡大 ブドウ球菌属,レンサ球菌属,肺炎球菌, 大腸菌,Citrobacter,Klebsiella,Enterobacter,Proteus, Morganella morganii,Providencia rettgeri,インフルエンザ菌
第2世代セフェム(経口薬) セフロキシム アキセチル セフォチアム ヘキセチル 第1世代セフェムとの比較・・・グラム陰性桿菌に対するスペクトル拡大
第1世代セフェム セファロチン 第2世代セフェム セファロスポリナーゼ 抵抗性強化 セフロキシム セフォチアム 阻害活性強化 外膜透過性改善 第3世代セフェム セフォタキシム
第3世代セフェム(注射薬) セフォタキシム セフメノキシム セフチゾキシム セフォジジム 第2世代セフェムとの比較・・・グラム陰性桿菌への効果拡大 大腸菌,肺炎桿菌,Proteus,Citrobacter,Enterobacter,インフルエンザ菌 ↑ Serratia,Bacteroides ↑↑ ブドウ球菌 ↓ ・・・ブドウ球菌に適応なし ペニシリナーゼ,セファロスポリナーゼに抵抗性
第3世代セフェム(注射薬) セフトリアキソン 血中持続性が改善(1 g静注時の血中半減期7.5 h) ブドウ球菌属,レンサ球菌属,肺炎球菌,淋菌,大腸菌, Citrobacter,Klebsiella,Enterobacter,Serratia,Proteus,Morganella morganii,Providencia,インフルエンザ菌,Peptostreptococcus,Bacteroides,Prevotella
第3世代セフェム(注射薬) セフォペラゾン 緑膿菌に有効 ブドウ球菌への適応なし セファロスポリナーゼにやや不安定 レンサ球菌属,肺炎球菌,大腸菌,Citrobacter,Enterobacter, Klebsiella,Serratia, Proteus,Morganella morganii,Providencia rettgeri, インフルエンザ菌,緑膿菌,Bacteroides,Prevotella
第3世代セフェム(経口薬) 第1世代セフェムとの比較・・・グラム陰性桿菌に対する効果拡大 ブドウ球菌に適応なし セフィキシム セフテラム ピボキシル セフチブテン グラム陽性菌に適応なし
第3世代セフェム(経口薬) 第1世代セフェム → グラム陰性桿菌に対する効果拡大 セフポドキシム プロキセチル ブドウ球菌に適応あり
第3世代セフェム(経口薬) 旧第3世代セフェム → ブドウ球菌に対する抗菌力改善 セフジニル セフカペン ピボキシル
第3世代セフェム(経口薬) セフジトレン ピボキシル ブドウ球菌属,レンサ球菌属,肺炎球菌,淋菌, 大腸菌,Citrobacter,Klebsiella,Enterobacter,Serratia,Proteus, Morganella morganii,Providencia,インフルエンザ菌,百日咳菌, Peptostreptococcus,Bacteroides,Prevotella,アクネ菌
(第4世代)セフェム(注射薬) 第3世代セフェムとの比較・・・緑膿菌に適応拡大 ベタイン構造を有する セフタジジム セフェピム セフピロム
(第4世代)セフェム(注射薬) 第3世代セフェムとの比較・・・緑膿菌,腸球菌に適応拡大 ベタイン構造を有する チアゾール → チアジアゾール セフォゾプラン ブドウ球菌,レンサ球菌,肺炎球菌,腸球菌,Moraxella catarrhalis,大腸菌,Citrobacter,Klebsiella,Enterobacter,Serratia,Proteus,Morganella morganii,Providencia,インフルエンザ菌,Pseudomonas,緑膿菌,Burkholderia cepacia,Stenotrophomonas maltophilia,Acinetobacter,Peptostreptococcus,Bacteroides,Prevotella
セファマイシン系抗菌薬 セファマイシンC (1971) Streptomyces clavuligerus β-ラクタマーゼに極めて安定
セファマイシン系抗菌薬(注射薬) セフメタゾール セフミノクス 第1世代セフェムとの比較 グラム陰性桿菌に対する抗菌スペクトル拡大 グラム陰性桿菌に対する抗菌力改善 グラム陽性菌に対する抗菌力低下
オキサセフェム系抗菌薬(注射薬) ラタモキセフ フロモキセフ グラム陰性桿菌(緑膿菌を除く)に有効 大腸菌,Citrobacter,Enterobacter,Klebsiella,Serratia,Proteus,Morganella morganii,Providencia, インフルエンザ菌,Bacteroides,Prevotella グラム陽性菌,グラム陰性菌に広く有効 ブドウ球菌属(軽度耐性MRSAを含む), レンサ球菌属,肺炎球菌,淋菌,Moraxella catarrhalis,大腸菌,Klebsiella,Proteus,Providencia,Morganella morganii, インフルエンザ菌,Peptostreptococcus,Bacteroides,Prevotella
モノバクタム系抗菌薬 スルファゼシン(1981) SQ26823 (1981) Pseudomonas acidphila Agrobacterium radiobacter アズトレオナム(注射薬) 好気性グラム陰性菌に対して選択的に優れた抗菌作用を示す
カルバペネム系抗菌薬 チエナマイシン(1976) Streptomyces cattleya 強力な抗菌活性 広い抗菌スペクトル 腎デヒドロペプチダーゼ I → 分解物の腎毒性 1 : 1 デヒドロペプチダーゼ I阻害薬 イミペネム・シラスタチン(注射) グラム陽性菌全般(含腸球菌),グラム陰性菌全般(含緑膿菌,Bacteroides) 副作用:痙攣,意識障害などの中枢神経系障害と腎機能障害 併用禁忌:バルプロ酸ナトリウム(抗てんかん薬)・・・血中濃度低下
カルバペネム系抗菌薬 有機イオン輸送抑制薬 パニペネム 1 : 1 ベタミプロン 腎デヒドロペプチダーゼ Iに対する安定性の強化 注射薬
カルバペネム系抗菌薬 4-メチル基の導入により,デヒドロペプチダーゼⅠに対する安定性獲得 メロペネム(注射) ビアペネム(注射) ドリペネム(注射) 副作用:腎障害,中枢神経障害 併用禁忌:バルプロ酸ナトリウム
セフェム(セフォゾプラン) vs カルバペネム(メロペネム) ブドウ球菌属,レンサ球菌属,肺炎球菌,腸球菌属,Moraxella catarrhalis, 大腸菌,Citrobacter,Klebsiella,Enterobacter,Serratia,Proteus,Morganella morganii,Providencia,インフルエンザ菌,Pseudomonas, 緑膿菌,Burkholderia cepacia,Stenotrophomonas maltophilia,Acinetobacter,Peptostreptococcus,Bacteroides,Prevotella ブドウ球菌属,レンサ球菌属,肺炎球菌,腸球菌属,髄膜炎菌, Moraxella catarrhalis,大腸菌,Citrobacter,Klebsiella,Enterobacter, Serratia,Proteus,Providencia,インフルエンザ菌,Pseudomonas, 緑膿菌,Burkholderia cepacia,Bacteroides,Prevotella
カルバペネム系抗菌薬(経口) テビペネム ピボキシル 黄色ブドウ球菌,レンサ球菌属,肺炎球菌,Moraxella catarrhalis,インフルエンザ菌 小児用細粒10%・・・肺炎,中耳炎,副鼻腔炎 併用禁忌:バルプロ酸ナトリウム
ペネム系抗菌薬 ファロペネム(経口) ブドウ球菌属,レンサ球菌属,肺炎球菌,腸球菌属,Moraxella catarrhalis,大腸菌,Citrobacter,Klebsiella,Enterobacter,Proteus mirabilis, インフルエンザ菌,Peptostreptococcus,Bacteroides,Prevotella,アクネ菌 Serratiaに対する抗菌力は弱く,緑膿菌には無効 β-ラクタマーゼに対して安定
b-ラクタマーゼ阻害薬 b-ラクタマーゼ 不可逆的阻害 アモキシシリン クラブラン酸 Streptomyces clavuligerus
b-ラクタマーゼ阻害薬配合b-ラクタム 2 : 1 アモキシシリン・クラブラン酸(経口) ペニシリナーゼ産生ブドウ球菌,Klebsiella,Proteus vulgaris,Bacteroidesに適応拡大 レンサ球菌属,肺炎球菌,腸球菌属,Helicobacter pylori,梅毒トレポネーマは適応外
b-ラクタマーゼ阻害薬配合b-ラクタム 2 : 1 アンピシリン・スルバクタム(注射) ブドウ球菌属,大腸菌,Proteus,インフルエンザ菌 スルタミシリン(経口) 生体内エステラーゼによりアンピシリンとスルバクタムに解離 アンピシリンの経口吸収性改善
b-ラクタマーゼ阻害薬配合b-ラクタム ペニシリナーゼ耐性ペニシリン 1 : 1 アンピシリン・クロキサシリン(経口)
b-ラクタマーゼ阻害薬配合b-ラクタム 1 : 1 セフォペラゾン・スルバクタム(注射) ブドウ球菌属,大腸菌,Citrobacter,Klebsiella,Enterobacter,Serratia, Proteus,Providencia rettgeri,Morganella morganii,インフルエンザ菌,緑膿菌,Acinetobacter,Bacteroides,Prevotella
b-ラクタマーゼ阻害薬配合b-ラクタム 4 : 1 ピペラシリン・タゾバクタム(注射) ブドウ球菌属,レンサ球菌属,肺炎球菌,腸球菌属, Moraxella catarrhalis,大腸菌,Citrobacter,Klebsiella,Enterobacter, Serratia, Proteus,Providencia, インフルエンザ菌,緑膿菌,Acinetobacter
β-ラクタムの構造活性相関 β-ラクタマーゼに対する安定性の増強 セフロキシム セフォタキシム セフチブテン セフカペン セフメタゾール フロモキセフ クロキサシリン グラム陰性菌に対する抗菌力の増強 セフォチアム セフォタキシム セフォゾプラン
生体内で代謝され 一部不活性化 抗緑膿菌活性 グラム陰性菌に対する抗菌力の増強 血清タンパク結合率の低下 セファロチン セフォタキシム ラタモキセフ フロモキセフ 生体内で代謝されにくく安定 嫌アルコール作用 (アンタブース反応) 経口吸収率の改善 殺菌力の増強 セフォペラゾン ピペラシリン アモキシシリン セファドロキシル セフェピム セフォゾプラン セフォペラゾン セフメノキシム