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建築材料からのホルムアルデヒド放散と その抑制技術. 独立行政法人建築研究所 材料研究グループ 本橋健司. 内容. 建築材料から観た、建築基準法におけるシックハウス対策 塗料及び壁紙からのホルムアルデヒド放散速度のデシケーター法による推定 化学吸着剤を配合した内装仕上塗材のホルムアルデヒド低減効果の大形チャンバー法による評価. 建築材料から観た 建築基準法における シックハウス対策. 政令で定める化学物質. クロルピリホス(防蟻剤) ホルムアルデヒド. 「ホルムアルデヒド発散建築材料」. ホルムアルデヒド発散建築材料の等級区分.
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建築材料からのホルムアルデヒド放散とその抑制技術建築材料からのホルムアルデヒド放散とその抑制技術 独立行政法人建築研究所 材料研究グループ 本橋健司
内容 • 建築材料から観た、建築基準法におけるシックハウス対策 • 塗料及び壁紙からのホルムアルデヒド放散速度のデシケーター法による推定 • 化学吸着剤を配合した内装仕上塗材のホルムアルデヒド低減効果の大形チャンバー法による評価
建築材料から観た 建築基準法における シックハウス対策
政令で定める化学物質 • クロルピリホス(防蟻剤) • ホルムアルデヒド
ホルムアルデヒド発散建築材料の等級区分 *デシケーター法が適用できるホルムアルデヒド発散建築材料は木質系材料、塗料、壁紙等に限定される。(表は塗料の場合)
ホルムアルデヒド発散建築材料に該当する塗料(現場施工)ホルムアルデヒド発散建築材料に該当する塗料(現場施工) • アルミニウムペイント、油性調合ペイント、合成樹脂調合ペイント、フタル酸樹脂ワニス、フタル酸樹脂エナメル、油性系下地塗料、一般用さび止めペイント、多彩模様塗料、家庭用屋内木床塗料、家庭用木部金属部塗料、建物用床塗料、鉛・クロムフリーさび止めペイント
ホルムアルデヒド発散建築材料ではないがJISに放散量の区分がある塗料ホルムアルデヒド発散建築材料ではないがJISに放散量の区分がある塗料 • セラックニス類、ニトロセルロースラッカー、ラッカー系シーラー、ラッカー系下地塗料、塩化ビニル樹脂ワニス、塩化ビニル樹脂エナメル、塩化ビニル樹脂プライマー、アクリル樹脂ワニス、アクリル樹脂エナメル、建築用ポリウレタン樹脂塗料、つや有合成樹脂エマルションペイント、合成樹脂エマルション及びシーラー、合成樹脂エマルション模様塗料、合成樹脂エマルションパテ、アクリル樹脂系非水分散形塗料、家庭用屋内壁塗料
18章塗装工事・一般事項 • 18.1.3(a)この章で規定する塗料を屋内で使用する場合のホルムアルデヒド放散量は、JIS等の材料規格において放散量が規定されている場合、特記がなければ、F☆☆☆☆とする。 • 上記考え方は、「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)」に共通する考え方。塗料だけでなく、木質材料、接着剤、壁紙、床材等についても同様である。
塗料及び壁紙からの ホルムアルデヒド放散速度の デシケーター法による推定
研究目的 • ホルムアルデヒド放散速度(μg/m2・h)により、ホルムアルデヒド発散建築材料の区分(第1種、第2種、第3種、規制対象外)を行う。 • 小形チャンバー法(JIS A 1901:2003) • 木質系材料や壁紙のJASやJISではデシケーター法(JIS A 1460:2001)によりホルムアルデヒド放散区分が設定されていた。 • デシケーター法によりホルムアルデヒド放散速度を推定できないか?
小形チャンバー法 温湿度計 排気 捕集管 OUT 混合器 捕集用ポンプ 放散試験チャンバー 排気 IN 恒温槽 湿度制御システム 空気清浄装置
P1 フタル酸樹脂エナメル P2 合成樹脂調合ペイントA P3 合成樹脂調合ペイントB P4 合成樹脂エマルションペイントA P5 合成樹脂エマルションペイントB P6 合成樹脂エマルションペイントC にホルムアルデヒドを添加したもの P7 P8 塗料
塗料試験結果 -は検出限界未満を示す。(1.0μg/m2・h未満)
塗料試験結果 -は検出限界未満を示す。(0.1 mg/L未満)
壁紙 A群 W1 紙壁紙A W2 オレフィン壁紙A W3 織物壁紙A W4 化学繊維壁紙A W5 無機質壁紙A B群 W6 ビニル壁紙A W7 ビニル壁紙B W8 ビニル壁紙C W9 紙壁紙B W10 紙壁紙C W11 オレフィン壁紙B W12 オレフィン壁紙C W13 織物壁紙B
結果のまとめ • 壁紙、塗料とも汎用品を試験体としたものは放散速度、デシケータ値とも低い値を示した。 • 壁紙、塗料とも 小形チャンバー法の放散速度とデシケータ値に 高い相関性が認められた。 • 結果はJIS及び建築基準法に反映され、壁紙、塗料ともデシケーター法によるホルムアルデヒド放散等級の区分が可能となった。
化学吸着剤を配合した内装仕上塗材のホルムアルデヒド低減効果の化学吸着剤を配合した内装仕上塗材のホルムアルデヒド低減効果の 大形チャンバー法による評価
研究目的 • シックハウス問題に対応してホルムアルデヒドの化学吸着剤を配合した内装仕上塗材が出現している。 • (財)日本建築センターにおける新建築技術認定制度による評価、JIS原案検討中 • このような内装仕上塗材を利用した場合のホルムアルデヒド濃度の低減効果をラージチャンバーを用いて、実験的に確認した。
試験体 • ホルムアルデヒド発生源:第1種ホルムアルデヒド発散建築材料に相当する合板(FC2相当:0.9m×0.9m) • 内壁モデル試験体:亜鉛めっき鋼製架台にせっこうボード(910mm×1820mm)をねじ止めし、その上に内装仕上塗材を2回塗り(塗付量合計1.0Kg/m2) • 内装仕上塗材:内装薄塗材W(じゅらく)のJIS適合品及び同製品に化学吸着剤を添加したもの
ホルムアルデヒド化学吸着剤 • アミノ基を有する化合物、ヒドラジン系化合物、ヒドラジド系化合物など • アミノ基(R-NH2 +H2CO→R-NHCH2OH:メチロール化反応) • ヒドラジン系化合物(R-NH-NH2+H2CO→R-NH-N=CH2+H2O脱水メチレン化反応) • ヒドラジド系化合物(R-CO-NH-NH2+H2CO→R-CO-NH-N=CH2+H2O 脱水メチレン化反応) • 対象とした化学吸着剤1gで0.3g~0.4gのホルムアルデヒドを吸着する。(化学吸着剤塗付量6g/m2)
亜鉛メッキ鋼製架台 1820 石こうボード 薄塗材W 2回塗り 910 アルミテ-プ 内壁モデル試験体
清浄空気 採取 採取 大形チャンバー 試験体搬入後のチャンバー内部
吸気口 2.7m 内壁モデル試験体 合板 4m 排気口 シリーズ1及び2における試験体配置
支柱 5m 合板 内壁モデル試験体 4m シリーズ3における試験体配置
結果のまとめ • 化学吸着剤を配合した内装薄塗材W(じゅらく)によるホルムアルデヒド低減効果を大形チャンバー法により確認した。 • 実験条件下では、大形チャンバーの壁面の53%に内装薄塗材W(じゅらく)を使用することにより、ホルムアルデヒド濃度を120~150μg/m3から50~110μg/m3に低減できた。 • 化学吸着剤の効力持続性、妨害物質の影響評価、酸・アルカリ・光等による影響の有無等を検討する必要がある。
まとめ • 「建築部材に含まれる室内空気汚染物質の放散メカニズム(平成14~16年度)」では建築材料・部材から化学物質が放散されるメカニズムの研究及び抑制技術の評価等を実施してきた。 • 研究成果は学術的成果として公表されるとともに、建築基準法におけるシックハウス対策や関連するJIS原案の基礎資料として利用されている。
おわり。 ご静聴ありがとうございました。