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ピクセル型光検出器( PPD )の 動作メカニズムに関する研究 Ⅲ. 東京大学素粒子物理国際研究センター 音野瑛俊、生出秀行、村瀬たくろう、山下了、吉岡瑞樹 他 KEK 光センサーグループ. Pixelized Photon Detector とは. From the 2008 Review of Particle Physics. by PDG Physics Letters B667 , 1 (2008). 1600 pixel MPPC. 各国で開発が進められている PPD. MPPC (Multi-Pixel Photon Counter) ,
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ピクセル型光検出器(PPD)の動作メカニズムに関する研究Ⅲピクセル型光検出器(PPD)の動作メカニズムに関する研究Ⅲ 東京大学素粒子物理国際研究センター 音野瑛俊、生出秀行、村瀬たくろう、山下了、吉岡瑞樹 他KEK光センサーグループ
Pixelized Photon Detector とは From the 2008 Review of Particle Physics. by PDG Physics Letters B667, 1 (2008) 1600 pixel MPPC 各国で開発が進められているPPD MPPC (Multi-Pixel Photon Counter), SiPM, MRS-APD, SPM,MPGM APD, AMPD, SSPM, GM-APD, SPAD, ………
イントロダクション • PPDの動作メカニズムの研究が必要な理由 • 開発の停滞
低温下での諸特性の測定 (2007年秋 日本物理学会@北海道大学) 直接MPPCを冷やした。 • 測定に用いたMPPC • 1600pixel (1mm x1mm) • 測定に用いた温度 • ドライアイス(200K) • 液体窒素 (77K) • 測定項目 • - 波形 • - クェンチング抵抗値 • - p-n結合の静電容量 • - ブレイクダウン電圧 • - ノイズレート • - クロストーク • アフターパルス • リカバリー 77K スパイク Proceedings of international workshop on new photon-detectors PD07, PoS(PD07)007
増倍と収束のメカニズム 従来の研究では、増倍層の電圧が瞬時にVbreakdownまで低下し、増倍が終了するとしていた。 この場合、印加電圧(Voperation)とゲインの線型性は保証される。 収束までのシナリオ 1、増倍の開始 2、誘導電流の増加 3、増倍層の電圧低下 4、増倍の収束 Voperation Rq 増倍層の電圧 =Voperation 増倍層の電圧 Vbreakdown
動作原理の再構築の必要性 (2008年春 日本物理学会@近畿大学) 低温下でのパルス 従来のモデルから 予想される電圧値 有意な違い 実測された電圧値 ブレイクダウンは印加電圧がVbreakdown以上の時に起こるが、 始まった増倍が終了する際の増倍層の電圧はVbreakdownである必要はない。 増倍層の電圧が瞬時にVbreakdownまで低下するとした従来のモデルを改善し、 過渡的変化をシミュレーションすることで増倍の収束の再現を目指す。
増倍の収束の再現 増倍層の電場の変化をシミュレーションすることで、自発的な収束を目指した。 αe (電子) Rq αh (正孔) 衝突イオン化係数 α 逐次的に2つの微分方程式を解くと増倍が収束した。
スパイクの再現 酸化シリコン層 Cq 酸化シリコン層の寄生容量を考慮する。 ( C. Piemonte et.al ) P+ P N+ 空乏層 Cd スパイクも再現した。
スパイクの発生のメカニズム 酸化シリコン層の寄生容量を考慮する。 ( C. Piemonte et.al ) Rq I Vop
回路の周波数特性 Ampの帯域は1.5GHzまで Lemo コネクタの帯域は1.4GHzまで
波形との比較 300K Cd=20fF 200K Cq=2fF 77K
動作原理の考察 印可電圧とゲインの線型性 ∵Vminは定数 ゲインの線型性が保障されていないため、 この線型性が再現するかチェックする必要がある。
ゲインの線型性の再現 このモデルではゲインの線型性は仮定していないため チェックする必要がある。 実際線型になった。
- Cq = 2fF - Cq = 4fF -Cq = 6fF -Cq = 8fF
まとめ • PPDはすごく単純な出力しか出さないが、 出力波形一つをとっても半導体物理からの 理解が必要だった。 とりあえず、波形やクエンチの問題はひと段落したと考える。
MPPCの表面の構造 4mm 入射面 1mm 3mm アルミニウム 導線 1mm クエンチング抵抗 クエンチング抵抗 アルミニウム導線 1.4mm 入射窓外壁
TCADのPPDへの応用へ向けた戦略 TCAD 動作原理の修正と トイモンテカルロでのクエンチの再現 PPDの構造から 電場分布を計算 抵抗のない系での ブレイクダウンの再現 電圧とゲインの 線型性再現 動作原理の未理解 抵抗のある系での クエンチングの再現 動作原理の検証 TCADへの実装 電圧とゲインの 線型性再現
内部構造と電場分布 C ポリシリコン抵抗 アルミ導線 電場の強さ[105 V/m] 0 1 2 3 SiO2 ++ 拡散層 P 衝突イオン化 - - P 吸収層 ガードリング N ++ Si コントロール層 P - 増倍層 P ++ 基盤 N 衝突イオン化 強電場で加速された電子がシリコンの 共有結合電子をイオン化し、電子正孔対を作る アバランシェ増幅 連鎖的に衝突イオン化が起き、 電子が鼠算式に増加 アバランシェ増幅 増倍層 基盤 吸収層
増倍のメカニズム : 電子 : 正孔 107 106 衝突イオン化係数 [1/m] 正孔が増倍を起こす電場を印加 (ブレイクダウン電圧V0以上) V0 < V 電子 時間 正孔 1mmの増倍層で1回以上 衝突イオン化を起こす 2 3 4 5 6 7 E [105 V/cm] 正孔が増倍に寄与することで 収束せず暴走状態になる。 =ガイガーモード S.L. Miller 1957
収束のメカニズム 増倍電荷の移動に誘導された電流I[A]が R[Ω]のクエンチング抵抗に流れ込む V - IR >V0 IR I[A] I0[A]に増加 1nsec V - I0R =V0 I0R 誘導電流がクエンチング抵抗で電圧を落とすことで増倍層の電圧が下がり暴走が収束する。
低温下での波形の変化 Pixelized Photon Detectorの液体窒素温度での振舞いを測定し、特性変化について半導体物性の見地から考察を与えた。 (日本物理学会第62回年次大会@北海道大学) 低温下でのパルスの変形 温度が低下するにつれて常温では 隠れていたスパイクが顕在化する。 300K 半導体物性に原因がない 200K スパイク 等価回路による現在の理解は不十分 内部電場の動的な変化の理解が必要 77K スパイク
キャリア移動度と正孔衝突イオン化係数 V [cm/sec] 正孔の衝突イオン化係数 [1/cm] 105 104 103 102 107 106 電子 • 102 103 104 • E[V/cm] V [cm/sec] 107 106 正孔 1 234 1/ E [10-6 cm/V] • 102 103 104 • E[V/cm] ( 10 53.32.5 ) E [105 V/cm]
既存のモデル ゲイン、電圧の線型性 特徴的な波形 を現象論的に説明するために 色々なものをもってきたし、なにか不自然
ショックレー・ラモの定理 photon Q -Q h v v e E j Finally, エネルギー保存則から導出するが、抵抗がある系では使えない
シミュレーターの導入 • TCAD(半導体テクノロジーズ) 半導体メモリなどの設計に用いられている。 3次元電場計算、衝突イオン化、回路方程式が実装済み、 複雑なものは複雑なものとして解こう APDのシミュレーション例 出力波形 電子の分布 100 psec 200 psec 300 psec 500 psec PPDへの応用を目指した
断念 衝突イオン化係数 計算が発散 I-V Curve 電子、正孔の 衝突イオン化を考慮 電子のみ 電場大 正孔のみ 抵抗を実装すると発散が収束するはずだが 計算が収束せず、クエンチが再現しない 断念