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Z 粒子の質量測定. 実験 Ⅲ 素粒子テーマ6回目. 質量測定の原理 CDF 実験の概要 Ntuple データの解析. 今日の課題. 新しいセットアップ(ストッパー=アルミニウム)に変更してデータ収集 データ収集(ストッパー=ステンレス)の停止 時刻・カウンタの計数を忘れずに記録する 前回データ収集が停止した班は、 TA と一緒にデータをつなぎ合わせる作業。 ストッパーをステンレス板に交換し,データ収集開始 ステンレスデータの解析(30分くらいで終える) バックグラウンド 2 通りは、やってみること。
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Z粒子の質量測定 実験Ⅲ素粒子テーマ6回目 質量測定の原理 CDF実験の概要 Ntupleデータの解析
今日の課題 • 新しいセットアップ(ストッパー=アルミニウム)に変更してデータ収集 • データ収集(ストッパー=ステンレス)の停止 • 時刻・カウンタの計数を忘れずに記録する • 前回データ収集が停止した班は、TAと一緒にデータをつなぎ合わせる作業。 • ストッパーをステンレス板に交換し,データ収集開始 • ステンレスデータの解析(30分くらいで終える) • バックグラウンド2通りは、やってみること。 • 発展的な解析手法は、今日Z粒子の解析を終えたあとか、次回以降にも時間を取れる。 • Z粒子の質量解析 • Ntupleデータの解析
誤差について (補足) • 実験結果には誤差を必ずつけること! • 中心値だけでは測定値としては片手落ち。 • 他の測定や理論と比べるためにも誤差は必要。
現在の素粒子物理(標準理論) 力を媒介 ハドロンを構成 単一で存在 2012年7月発見 質量の起源
μ + u u d 陽子 Z d u u 反陽子 μ - Z粒子の生成と崩壊 • Z粒子の質量は陽子の約90倍 • 大型の高エネルギー加速器でないと作れない • Z粒子はレプトン対またはクォーク対に崩壊 • 崩壊分岐比 Br(Z→μ+μ-)~3% • 崩壊幅 Γ≡1/τ~2.5 GeV • 寿命 τ~0.08 fm~3x10-25s 時間
ma mb mX 2体崩壊する粒子の不変質量(1) 崩壊によって生じた粒子が相対論的速度で運動しているときは質量は保存しない エネルギー,および運動量は保存する ⇒4元運動量は保存する 4元運動量 p0 = E p1 = px p2 = py p3 = pz ローレンツベクトル
ma mb mX 2体崩壊する粒子の不変質量(2) 4元運動量の内積はローレンツ変換の不変量 粒子の静止系(粒子が止まって見える系)では ローレンツ不変であることを使うと、 2体崩壊する前後でのエネルギー・運動量保存から、
2体崩壊する粒子の不変質量(3) • Z→μ+μ-の場合 MZに比べてMμは非常に小さいので次のように近似できる • Z→μ+μ-の崩壊においてμ粒子の運動量が測定できればZ粒子の質量が測定できる
Z→ μ -μ+事象の再構成(例) Phys. Rev. D 77, 112001 (2008).
2012年7月ヒッグス粒子の発見 • 下は、2012年のヒッグス粒子発見の根拠になった解析の一つ。 • 図は、h→γγ事象でmγγを再構成したもの。 • 最先端の素粒子実験でも、崩壊した後の粒子を測定し、崩壊元の粒子の質量を再構成する手法はかわらない。
素粒子物理の最前線 最高エネルギーの素粒子実験の最前線を紹介。
最近から近未来の最高エネルギー加速器 Tevatron ppbar 1.8-1.96 TeV Fermilab USA CDF実験 米国シカゴ郊外 ILC e+e- 0.5-1 TeV ? 日本が有力!! SLC e+e- 91 GeV SLAC USA トップクォーク発見 ヒッグス粒子発見 W/Zボソン発見 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 SppS ppbar 630 GeV CERN Switzerland LEP e+e- 91-209 GeV CERN Switzerland LHC pp 7-14 TeV CERN Switzerland ATLAS実験 スイス ジュネーブ郊外
現在の素粒子物理(標準理論) 力を媒介 ハドロンを構成 単一で存在 質量の起源
現在の素粒子物理(標準理論) 力を媒介 1974 1995 ハドロンを構成 1977 2000 単一で存在 1983 1975 1983 2012年7月発見 質量の起源
ヒッグス粒子の発見の歴史 1960年代初頭 自発的対象性の破れ (南部陽一郎) 1964年 ヒッグス機構 (Brout-Englert, Higgs) 1967年 電弱相互作用の統一理論(Glashaw,Weinberg,Salam) 1983年 W,Z粒子の発見 2012年 ヒッグス粒子の発見 南部陽一郎先生 2008年 ノーベル賞 アングレール・ヒッグス 2013年 ノーベル賞 グラショー・ワインバーグ・サラム 1979年 ノーベル賞
ヒッグス粒子発見の発表 2012年7月4日 LHC加速器のATLAS/CMS両実験が発見を報告 2013年 アングラール、ヒッグスがノーベル物理学賞を受賞 ヒッグス粒子・真空の構造に関する研究は始まったばかり!
ヒッグス粒子測定の最前線 • ヒッグス粒子を測定することは、真空の構造の本質的に理解することにつながる。 • ヒッグス粒子は、まったく新しい種類の粒子。新物理と強く関連がある可能性も高い。 • 現在までのところ、測定結果は標準理論とよく一致しているが、測定精度がまだまだ低い。
LHC実験 アルプス山脈 ジュネーブ市街 円周27km 陽子を7TeVまで加速して正面衝突
LHC実験 2010年 LHC加速器稼動開始 2012年 LHC加速器のATLAS/CMS両実験がヒッグス粒子を発見 CMS実験 ATLAS実験 円周27km 陽子を7TeVまで加速して正面衝突
LHC実験 2010年 LHC加速器稼動開始 2012年 LHC加速器のATLAS/CMS両実験がヒッグス粒子を発見 2014年 エネルギーを2倍(13/14 TeV)に増強 2020年 いまの10倍のデータセット 2030年 いまの100倍のデータセット 203X年 エネルギーをさらに倍増? LHC実験は始まったばかり。 新しい物理の発見が期待される!! 円周27km 陽子を7TeVまで加速して正面衝突
国際リニア・コライダー (ILC) • 標準理論の先になにがあるかは、まだまったくわからない。 • 超対称性、余剰次元、コンポジット・ヒッグス、テクニカラー、...。 (←理論家の予想はあたるのか?) • 理論家が考え付いていない新しい物理が出てくる可能性も大! • 標準理論を超えたところにある新しい物理を探る、とてもエキサイティングな時期(10〜20年?)。 次世代の最高エネルギー加速器ILCが日本に建設される公算が高い! (2025年頃?) ILC e+e- 0.5-1 TeV ? 日本が有力!! • → 日本が素粒子物理の最大のセンターになる!!
今後の素粒子物理の課題 • 現在までの素粒子実験の結果は、標準理論の予言とよく一致している(素粒子物理では、実験結果とキッチリ比較できる理論がある)。 • ヒッグス粒子の発見で、標準理論が予言していた粒子は全部発見が済んだ。 → 究極の理論が完成??
今後の素粒子物理の課題 • 現在までの素粒子実験の結果は、標準理論の予言とよく一致している。 • ヒッグス粒子の発見で、標準理論が予言していた粒子は全部発見が済んだ。 → 究極の理論が完成?? • 標準理論の問題点 • 重力が入っていない。 • 自然界に反物質が存在しないのはなぜか? • ヒッグス機構では、力を媒介する粒子の質量は説明する、クォーク・レプトンの質量は説明がない。 • 全部基本粒子の割に、レプトンとクォークの質量のばらつきが異常に大きいのはなぜか? Mtop/Me~O(105) • なぜクォークやニュートリノが、粒子混合をしているのかの説明もない。 • なぜ3世代あるのか説明していない。現状は、元素が100種類ほどある周期表と似ている。 さらに小さいスケールで、新しい物理があるはず。
標準理論で説明できない実験事実 • 宇宙観測の結果 • 暗黒物質は確実にある。 ⇒標準理論の粒子では説明できない。 • 宇宙線のエネルギー・スペクトルが、宇宙論では説明ができない。 ⇒標準理論の粒子以外の粒子の存在を示唆? • 標準理論では宇宙の質量構成の5%しか説明できない。 標準理論を超えた物理は間違いなくある。 素粒子実験で発見することが不可欠。
自然界の力の統一 1984 1983 1919~1937:陽子・中間子 陽子崩壊? XYボゾン? 強い力 1864:Maxwell 電気力 電磁気力 磁気力 電弱力 弱い力 1911~1931:β崩壊・フェルミ理論 1687:Newton 重力=万有引力 地上の重力 統一場理論 超弦理論? 重力子? 天体間の引力
? 物質の微細構造 物質を細分化していくと何に行き着くか? それ以上分けられない物質は? ⇒ 物質の究極の構成要素=素粒子 そろそろもう一段小さい物質の構造が見えてくる? 現在の高エネルギー素粒子物理 〜TeV ×106 ×106 化学 〜eV 原子核物理 〜MeV 水の分子10-7cm 原子核10-12cm クォーク≤10-16cm ? 陽子10-13cm 酸素原子10-8cm
Tevatron加速器とCDF実験 Zボソンの質量測定は、CDF実験のデータをもらってそれを解析する。
米国フェルミ国立加速器研究所(FNAL) シカゴ郊外にある高エネルギー物理の研究所 シカゴ ~50km CDF 2km
粒子をZ粒子ができるくらいの高エネルギーに加速するためには、いくつもの加速器で段階的に加速し、世界最高レベルの粒子エネルギーを実現する。粒子をZ粒子ができるくらいの高エネルギーに加速するためには、いくつもの加速器で段階的に加速し、世界最高レベルの粒子エネルギーを実現する。 加速器チェーン 反陽子 陽子 MAIN INJECTOR DØ p,pbar:150GeV ANTIPROTON SOURCE p:8GeV TEVATRON p,pbar:980GeV BOOSTER p:8GeV CDF LINAC H-:400MeV PROTON NEUTRINO COCK CROFT-WALTON H-:750keV MESON
粒子をZ粒子ができるくらいの高エネルギーに加速するためには、いくつもの加速器で段階的に加速し、世界最高レベルの粒子エネルギーを実現する。粒子をZ粒子ができるくらいの高エネルギーに加速するためには、いくつもの加速器で段階的に加速し、世界最高レベルの粒子エネルギーを実現する。 加速器チェーン 反陽子 陽子 MAIN INJECTOR DØ p,pbar:150GeV ANTIPROTON SOURCE p:8GeV TEVATRON p,pbar:980GeV BOOSTER p:8GeV CDF LINAC H-:400MeV PROTON COCK CROFT-WALTON H-:750keV NEUTRINO MESON
粒子をZ粒子ができるくらいの高エネルギーに加速するためには、いくつもの加速器で段階的に加速し、世界最高レベルの粒子エネルギーを実現する。粒子をZ粒子ができるくらいの高エネルギーに加速するためには、いくつもの加速器で段階的に加速し、世界最高レベルの粒子エネルギーを実現する。 加速器チェーン 反陽子 陽子 LINAC H-:400MeV MAIN INJECTOR TEVATRON DØ p,pbar:980GeV p,pbar:150GeV ANTIPROTON SOURCE p:8GeV TEVATRON p,pbar:980GeV BOOSTER p:8GeV BOOSTER p:8GeV CDF LINAC H-:400MeV ANTIPROTON SOURCE p:8GeV PROTON COCK CROFT-WALTON H-:750keV NEUTRINO MESON
Tevatron加速器 • シカゴ郊外のフェルミ国立研究所。 • 2008年まで世界最高エネルギー。2011年に実験終了。 • 陽子・反陽子衝突。 • Run I (1992-1996) • Ep,pbar=900 GeV • √s = 1.8 TeV • 積分ビーム輝度 ~110 pb-1 • Run II (2001-2011) • Ep,pbar=980 GeV • √ s = 1.96 TeV • Two multi-purpose detectors • CDF, DØ 2km
y z x CDF検出器 極座標(r,θ,φ)を使って 解析することが多い η=-ln tan(θ/2)
CDF実験 • Tevatron加速器の陽子・衝反陽子突点にCDF検出器を置いて素粒子反応のデータを取った。 大きさ ~10×10×10m 重量 3000トン
粒子の同定,電荷・運動量の測定 ミューオン検出器 最小電離作用のみ ハドロンカロリメータ 横方向消失エネルギー 電磁シャワー 電磁カロリメータ ソレノイド電磁石 粒子飛行時間測定器 ハドロンシャワー ドリフトチェンバー シリコン飛跡検出器 衝突点
粒子検出に用いられる技術(例) プラスチックシンチレータ 光電子増倍管 微弱な光を電気信号に変換する。 左のシンチレータと組み合わせて荷電粒子をとらえる。 荷電粒子の通過に伴い微弱な光を出す ワイヤーチェンバー 荷電粒子の通過した位置を数十ミクロン間隔で埋め込まれた電極により測定 シリコンマイクロストリップセンサ 荷電粒子が通ると充満されているガスが電離してワイヤーに信号を残す
ドリフトチェンバー 荷電粒子 ガス(Ar+C2H6など) 陽極ワイヤー ガス増幅(電子雪崩)
読み出し電極 ~ シリコンマイクロストリップセンサー
吸収層 カロリメータ カスケードシャワーを利用し,入射粒子のエネルギーを測定する検出器 物質に入射した粒子が生成する二次粒子群は, さらに二次粒子を生成する.この過程は新たな粒子を生成できるエネルギーを下回るまで続き,粒子数が指数関数的に増大する • 全吸収型カロリメータ • 吸収体=検出体 • 全エネルギーを測定分解能に優れる • コストが高い • サンプリング型カロリメータ • 吸収体と検出体を交互に組み合わせた積層型 • エネルギー分解能は全吸収型に劣る • 低コスト
カロリメータ • 電磁カロリメータ • 鉛/シンチレータのサンプリングカロリメータ • ハドロンカロリメータ • 鉄/シンチレータのサンプリングカロリメータ 入射粒子
y z x ミュー粒子検出器 プラスチックシンチレータ センスワイヤー ドリフトチェンバーセル
ジェット クォーク間のポテンシャル • クォークは単独に取り出せない • ある程度離れると真空からq-qbar対を作ったほうがエネルギー的に得 • ある程度離れるとバラバラに千切れる • クォークはハドロン粒子群(ジェット)として観測される
Event Display • トップクォーク対生成事象の候補 CDF検出器による事象再構成の様子
μ Isolation • μ粒子が周りの粒子からどのくらい「孤立」しているか • η-φ平面内でΔR=√(Δη2+ Δφ2)<0.4のコーンの中に入ってくるエネルギーの内μ粒子の分を除いたもの,η=-ln tan(θ/2) • Isolation が大きい場合 • ジェットの中に含まれるハドロンをμ粒子と間違えた • ジェットの中に含まれるハドロンが崩壊してμ粒子となった
Ntupleデータを使った解析 • μ粒子の候補を二つ含む事象を集めたデータ • 事象ごとに様々な変数を持つ • 衝突点のZ座標 • μ粒子候補1の運動量 • μ粒子候補1の電荷 • μ粒子候補2の運動量 • などなど • どんな変数が使えるかは,テキストの表を参照のこと. • 変数名の大文字・小文字に気をつけること.
解析の流れ(myZmass.C) • Ntupleデータから1事象分もってくる • 信号事象( Z→μ+μ-)か雑音事象か取捨選択(カット)する(CUTというbool型変数) • μ粒子候補1と候補2の2体の不変質量mμμを計算する(massという関数の中身を正しいものに変更する). • ヒストグラムにmμμの値を1事象分積む • 次の事象に移る