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2009.4.14. TENTI 主催 於:明治大学. ODA 光と影. ODA を供与する資格要件が 日本に備わっているのか 佐川雄一. ODA 誰が、誰のために、何をするのか. 誰が: 援助先進国(二国間援助):日本、 EU 、アメリカ、カナダ、豪州、他 多国籍機関:国連( UN), 世銀、アジア開発銀行、 EDRB, 他 NGO, 民間企業 誰のために: 途上国政府 途上国市民 何をするのか: 途上国政府の 自主性( Ownership) を促し、協調と自立、民主主義、
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2009.4.14 TENTI主催 於:明治大学 ODA光と影 ODAを供与する資格要件が 日本に備わっているのか 佐川雄一
ODA 誰が、誰のために、何をするのか • 誰が: 援助先進国(二国間援助):日本、 EU 、アメリカ、カナダ、豪州、他 多国籍機関:国連(UN), 世銀、アジア開発銀行、EDRB, 他 NGO, 民間企業 • 誰のために: 途上国政府 途上国市民 • 何をするのか: 途上国政府の 自主性(Ownership)を促し、協調と自立、民主主義、 ガバナンスの整備を求める 社会・経済基礎インフラを充実し、農業開発、貿易・投資の促進、紛争の予防・解消を通して、持続可能な成長と貧困削減に寄与する
日本のODAの理念・援助形態・対象セクター・対象地域日本のODAの理念・援助形態・対象セクター・対象地域 資料:ODA大綱改定 2003年 8月
日本のODAの基本方針と重点課題 資料:ODA大綱の改定 2003年 8月
日本の援助実施体制 2008 年10月からODAの三つの手法(技術協力、円借款、無償資金協力)を新JICAが一元的に実施、調査・ガイドライン・実施主体の窓口が新JICAに一本化した。 2008年 9月末まで2008 年10月から 技術協力(旧JICA) 技術協力(新JICA) 円借款(旧国際協力銀行) 円借款(新JICA) 無償資金協力(外務省) 無償資金協力(新JICA)
2007年(暦年)のODA実績(形態別援助額) 資料:JICA
2005-07年の DAC諸国のODA実績 注:DAC (Development Assistance Committee-開発援助委員会、 OECDの下部機関) 2007 年の日本の ODAは、アメリカ、ドイツ、フランス、英国に続く第5位
援助先進国に求められる資格要件日本は資格要件を備えているのか援助先進国に求められる資格要件日本は資格要件を備えているのか • 民主主義、法体制、法の秩序、ガバナンス • 多様性 • 財政基盤 • 途上国支援に必要なハード・ソフトノーハウ • 自国の外交政策 • 持続可能なコミットメント • 政官産のトップ・幹部の行動規範
日本のODAを取り巻く問題点 • 曖昧・焦点を欠くODAの理念、 • 法体制の欠如 (閣議決定) • 国民参加の議論が不在 • JICA, コンサルタンツ、コントラクター(商社・ゼネコン・ • 機器メーカ) 間の癒着構造 • 倫理観を欠く公共事業の海外輸出 • 企業統治と行動規範の未整備
なぜ!公共事業に賄賂・献金が必要なのか PCI: ホーチミン市東西高速道路建設施工管理に絡む 現地政府高官に 対する賄賂供与 西松建設: バンコック都市圏排水トンネル工事に絡む現地政府高官への賄賂供与 西松建設: 東北地方の公共工事受注工作資金として民主党・自民党有力議員への献金。 当該議員曰く;特定企業への便宜は一切与えていない、政治資金規正法に基づき、献金を受けただけ。にもかかわらず なぜ!企業は献金を続けるのか ODA: ODA受益国で締結される契約には賄賂供与が常識化している(業界筋) 問題点: 税金を財源とする国内外の公共事業に、なぜ!賄賂・献金が容認されるのか!
他国から見習いたいと敬われる公共工事文化が日本に育たない背景他国から見習いたいと敬われる公共工事文化が日本に育たない背景 清濁併せ飲む伝統的な商慣習が今尚、健在 (全員参加型癒着構造) 失敗に学べない国民性(侵略戦争、バブル経済の崩壊) 違反者に対する刑罰の軽重 日本の例;罰金が少なく資格停止期間も短い(1 ~ 24ヵ月) 世界銀行の例: インドの大手IT software 企業;Wipro 社 4 年、Satyam Computer社 8年 Siemens 社の例: ドイツでEuro 596 m, アメリカでUS$805mのペナルティを払う(2008年)
失敗の事例に学ぶ決意と勇気が問われる産業界(I)失敗の事例に学ぶ決意と勇気が問われる産業界(I) 2008年、ドイツ、アメリカ、日本の産業界に起きたスキャンダル から、当該企業が真摯に反省し、新たなる飛躍に向け、社会に示した不退転のコミットメントを検証する。 Siemens社の例: 2006年通信機器の途上国向け輸出で政府高官への賄賂の供与が 発覚。その後、全面的に捜査当局への協力を約束。 Siemensは2008年 12月 15日、賄賂の供与と汚職行為を認め、 ドイツでEuro596m, アメリカでUS$805mのペナルティを払うことに合意。 その間、同社は抜本的な社内改革を実施し、世界第一級の企業統治と 行動規範を整備する。トップ自ら、 Siemensがいかに変革したか、 社内外に公表、“改革”の実態については利害関係者がアクセスできる 仕組みを作る。 Siemensは、この事件を契機に再生したと市場の評価を得る。
失敗の事例に学ぶ決意と勇気が問われる産業界(II)失敗の事例に学ぶ決意と勇気が問われる産業界(II) 三井物産の例: 2002年モンゴル政府高官への賄賂支払が発覚、爾来徹底した社内改革 を実施、コンサル企業と商社の癒着構造から完全に離脱。 日本の産業界では稀有の実践例。なぜ!三井物産は実践できたのか。 PCI社と西松建設の例: PCI社の社員・商権を譲り受けた“オリエンタル・コンサルタンツ” (オリコン)、PCI の親会社PCKK,バンコックと東北地方の公共工事で スキャンダルを起こした“西松建設”、 これらの企業はスキャンダルを契機に 『企業統治と行動規範』の大胆な 改革に取組んでいるのか、それとも 『清濁併せ呑む』 業界の商慣習に 決別できずに現状維持の姿勢で歩み続けるのか、苦衷の選択を迫られ ているものと解す。
「国民は国の財政をどうみているか」 日本の対GDP比国国家債務は170%,G7ではダントツに高い 朝日新聞(2008. 7.24)「社会保障世論調査―質問と回答」
先進国の格付け (自国通貨建長期債務格付け) 資料:国際投信投資顧問 出所:Bloomberg, 2008 年6月 17日現在
JICA(国際協力機構)宣言 私たちの使命(理念) 私たちは、日本と開発途上国の人々をむすぶ架け橋として、互いの知識や経験を活かして協力をすすめ、平和で豊かな世界の実現をめざします。 私たちの誓い(社会への約束) 情熱をもって 誇りをもって 日本の人々と 世界の人々と 未来のために JICA宣言 2003年10月
大国のODA取り組み方針 EU: 存在感を増す拡大EU(27カ国が加盟)を梃にして文化・歴史・貿易・人の移動で緊密な関係がある旧植民地との連携を図り、EUの影響力拡大を狙う。特にアフリカとの戦略的な提携関係強化に腐心。 アメリカ:9/11事件を契機にODAの増額にコミット。民主主義・テロとの戦い・貧困削減に焦点を当て、外交政策に裏打ちされた援助方針を貫く。 中国:この分野ではニューカマー、自国の外交政策を前面に打ち出し、援助方針においてもEU,アメリカとは一線を画する。資源確保とセキューリテイに焦点を置いた援助方針の積極的な展開。 日本:長期的な経済の低迷と指導者の不在により、マイナープレーヤーの道を辿っている。ODAの理念・関連法・ガバナンス・人材の育成強化等に取り組み、国民参加による実質的・効率的なODA戦略の策定が望まれる 共通項:援助国側の国益を巧みに織り交ぜ、援助の企画・実践をおこなっている
欧州連合(EU)の開発援助実施体制 • EUは開発援助政策を途上国との関係強化の中核に置き、その中でも貧困削減を最優先課題に掲げ、EU加盟国とともに全力投球をおこなっている。 • 欧州議会、欧州連合理事会、欧州委員会が責任部署 • The European Consensus on Development(EU開発援助のコンセンサス) • EU加盟国27ヵ国と欧州連合(EU) • 加盟国独自のODA政策と、EUと加盟国メンバーによる調整 • Partnership Agreement ACP – EC • 対象地域:アフリカ、カリブ海、太平洋諸島 (79ヵ国) • 貧困削減、 • 健全・持続的な成長 • ACP諸国の段階的な世界経済への統合支援 • European Union Strategy for Africa • アフリカー欧州: 不可分の同盟
アメリカの開発援助体制と重点志向分野 実施機関: The United States Aid for International Development – The USAID (米国国際開発庁) , 国務長官に直属 開発の基本方針: 災害復興・貧困削減・民主主義の普及を優先課題に掲げ、長期間に 亘り均等な経済成長の達成を支援する。 ①経済成長・農業開発・貿易拡大、 ②グローバルな視点に立った保健・医療の改善と、 ③民主主義の発展と紛争抑止・人道支援 に取り組み、米国対外政策の具現に努める。 議会の承認: 援助対象国、事業案件、予算の執行は議会の承認が条件。 援助の是非・中味を巡り、真剣な議論が毎年繰り返しおこなわれる。
アメリカにおけるガバナンスの指標と汚職に対する罰則アメリカにおけるガバナンスの指標と汚職に対する罰則 • 良いガバナンス: • 関係者が履行すべき業務が“正常な状態で機能する”。 • 汚職について; • ODAに絡む「汚職」の定義 • 民間企業が公的資金を不正に濫用し、不当なる利益を確保する行為、 • 官僚自らが盗みや不当利得にからむ行為、 • 官民が共謀して自らの影響力を活用した脅迫・詐欺・不当利得等にからむ行為 • 罰則規定: • 不当行為を行った企業に課せられる課徴金・罰則期間は日本と比べると • 格段に厳しい。SEC(米国証券取引所)がSiemens社に課したペナルティUS$805m。(2008年)
EU市民の生活満足度 資料:Eurobarometer Survey (2006), Key facts and figures about Europe and the Europeans , 対象;25ヵ国
ミレニアム開発目標、2015 (I)(The Millennium Development Goals by 2015) 2009 年9月、189ヵ国が一同に会し、国連ミレニアム・サミットがニューヨークで開催され、21世紀の国際社会の目標となるミレニアム宣言が採択された。 同宣言に基づいて、人間開発の推進にあたり最も喫緊の課題に対し、国際社会が共有すべき重要な目標として、8つの ミレニアム開発目標(MDGs)が取りまとめられた。 MDGsは貧困削減、教育、ジェンダー、保険医療、環境などに関するもので、明確な数値目標と達成期限(2015年)が定められている。
ミレニアム開発目標(2015) (II)The Millennium Development Goals by 2015 8っのMDGs (Dignity and justice for all of us) 1. 極度の貧困と飢餓の撲滅 2. 普遍的初等教育の達成 3. ジェンダーの平等の推進と女性の地位向上 4. 乳幼児死亡率の削減 5. 妊産婦の健康の改善 6. HIV/AIDS, マラリアおよびその他の疫病の蔓延防止 7. 持続可能な環境の確保 8. 開発のためのグローバル・パートナーシップの推進
日本がこれまでに途上国の発展に寄与してきた分野・実績日本がこれまでに途上国の発展に寄与してきた分野・実績 経済インフラ(幹線道路、橋梁、地下鉄、鉄道、発電所、 地方電化、港湾、空港、通信、上下水、他)の整備、 地域開発、災害援助、資源開発、稲作、農林、水産、医療・保険、初頭教育、他 ミレニアム開発ゴール(貧困削減、基礎教育、水・電力、感染症、女性の地位向上、人材育成、他) 人材交流、人づくり、研修 海外青年協力隊、シニアー・ボランティアー
ODAの成功事例 デリー地下鉄事業 第一期 (1998-2005) : 65 km (56駅) 第二期 (2006-2010: 128 km(80駅) 計 (1998-2010): 193 km (136駅) 僅か13年間で東京メトロと都営地下鉄合わせたネットワーク(185 km)を完成 予算、工期、品質、安全で当初の目標を総てクリアー、「インド・インフラの奇跡」 と高い評価を得ている 賄賂、談合、癒着、その他非倫理的行為の根絶 デリー地下鉄と施工管理コンサルタンツ(日米印企業)の相互信頼に基づく絆
デリー地下鉄第二期工事建設現場 高架部架設鋼台デリー地下鉄第二期工事建設現場 高架部架設鋼台
インド 西ベンガル州石炭火力発電所西ベンガル州電力事情・電力普及率の改善インド 西ベンガル州石炭火力発電所西ベンガル州電力事情・電力普及率の改善 West Bengal State, Bakreshwar Thermal Power Plant
ODA事業の惨劇南ヴェトナム カントー橋の崩落ODA事業の惨劇南ヴェトナム カントー橋の崩落 2007年 9月 26日、南ヴェトナム カントー市郊外で施工中の長大橋の 橋桁が崩落。死者54人、負傷者80人を出したODA史上、最大級の事故 事故調査国家委員会は、通常の設計では予測困難な不等沈下が崩落 の原因であるとして施工業者・施工管理業者に対する責任追及は撤回し、その後工事は同じ業者の下で再開された(2008 年8 月) 問題点: 日本で起こったとしてもメディアのトップ・ニュースになる大事件であるにもかかわらず、事故直後、メディアに報道される頻度が極端に少なかった。情報開示・説明責任が欠落した公共工事のモデル例と揶揄されている。
なぜ!ODAから汚職・不正行為が根絶できないのかなぜ!ODAから汚職・不正行為が根絶できないのか 「公正・透明な入札評価制度反対」、「不正行為の容認」、「OBの天下り賛成」とは誰も 公に言える状況にはないが、 「不正行為が発覚しても罰則規定(罰金、資格停止期間」が欧米とくらべ軽く、実施機関の職員・OBが罰せられるケースは稀有であり、 実施機関ーコンサルタンツ、コンサルタンツーコントラクター(商社、ゼネコン、メーカー)の不正行為・癒着を発見しても通報する第三者機関がない、 途上国の市民を蔑視する伝統が残念ながら今尚、日本の業界には残存する。賄賂の供与はその典型例である、 皮肉なことに、業界のトップ企業には不正・非倫理的行為を実践し容認する傾向が暗黙裡に確立されている、 明日の日本を担う若者たちのために、我々が、今成すべきことがあるのではないか!
ODAのあり方について(I) • 簡潔・明快なヴィジョンを作る; 誰のために、何をするのか、そして援助が日本の • 国益といかなる関連があるのか、国民に対する説明責任が問われている • 国民参加の議論を経て国民にわかりやすい“理念”の構築 • 法体制(ODA法)の整備 • 日本が貢献できる国際競争力を備えたセクターと優先援助国の選定 • 他国、他機関との協調 (取り組むべきセクターと地域の棲み分け) • ODAの成果を図るために、日本企業・専門家がこれまで培ってきた • キャパシティ・ビルデングの実態をレビューする • ハード・インフラ案件継続是非の議論要(プラス・マイナス要因の再評価) • 情報開示、説明責任の徹底、談合・癒着・非倫理的行為の根絶 • 実施機関と関連企業に求められるガバナンスと行動規範の整備
ODA のあり方について(II) 有償資金協力(途上国に返済義務を課す援助形態)の見直し 大きく為替が振れると受益国の財政負担を圧迫する。 援助の流れが最貧国に流れず、返済履行可能な財政優等国に向かう結果を 招く(何のための援助か!)。 ハード・インフラの必要性を訴える声が業界内にあるが、誰のために必要 なのか、利害関係者の間の徹底した議論が必要である。 一方、日本の国益を満たし、途上国から高い評価を得、日本企業の存在感が 認められるハード・インフラの事業案件があるので、これらのプラス要因も 含めた総合評価が求められる。 人的交流を通して顔の見える援助に援助形態を転換する 人と人の交流が正常・健全・相互に信頼し合う二国間関係の礎となる
ODA のあり方について(III) 援助形態の転換: 有償資金協力を減額し贈与を増額する。 但し、財政負担軽減のため援助総額は減らす。 透明性を確保した無駄のない効率・効果的な援助。 ハード・インフラから人と人の交流にODA政策の転換: JICA宣言で謳われているとおり、情熱と誇りをもって、日本の人々と世界の人々をパートナーとして途上国の社会と経済の自立・発展を支え、未来のために希望に満ちた明日を作る。この崇高な目標遂行(二国間関係の強化)のための最適手法は効率・効果的な人的交流にあると考える。 但し、ハード・インフラをゼロにせよと言っているわけではない。 ばら蒔き援助志向の再考: 首相:IMFへの1,000億ドルの融資表明(2008年) 首相:アジア向けに2.2兆円のODA供出を表明(2009 年4月)
Commitment to the Rule of Law Then it was my turn. Hillary stood to my left, holding our family Bible. With Chelsea on my right, I put my left hand on the Bible, raised my right hand, and repeated the oath of office after Chief Justice Rehnquist, solemnly swearing to faithfully execute the office of the President and tothe best of my ability, preserve, protect and defend the Constitution of the United States, so help me God. 私は大統領の職務を忠実に遂行し、全力を尽くして合衆国憲法の順守ならびに保護し、守ることをここに誓約する。神のご加護があらんことを。 資料: My Life (P476), Bill Clinton
最後に 市民には納税の義務があります。 政府には、無駄をなくして効率・効果的に税金を使う義務があり、使途については説明責任と情報開示が求められています。 ODAについても市民参加の議論を通して我々市民には、ODA事業を検証する義務があります。