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Closed String Field Theory with Dynamical D-branes. 京都大学 大学院 人間・環境学研究科 人間・環境学専攻 阪上研究室 博士課程 小林 晋平. JHEP0310 (2003) 023 共同研究者 浅川 嗣彦 ( 京大基研 ) 松浦 壮 ( 理研 ). 於東工大 2004 年 2 月 3 日. 目次. 導入と動機 弦理論とは HIKKO 型閉弦の場の理論 ソース項を持つ閉弦の場の理論 結果とまとめ 今後の展望. 1.導入と動機. 宇宙の創生
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Closed String Field Theory with Dynamical D-branes 京都大学 大学院 人間・環境学研究科 人間・環境学専攻 阪上研究室 博士課程 小林 晋平 JHEP0310 (2003) 023 共同研究者 浅川 嗣彦 (京大基研) 松浦 壮 (理研) 於東工大 2004年2月3日
目次 • 導入と動機 • 弦理論とは • HIKKO型閉弦の場の理論 • ソース項を持つ閉弦の場の理論 • 結果とまとめ • 今後の展望
1.導入と動機 • 宇宙の創生 宇宙はどうやって誕生したのか? • 構造の形成 プランクスケールで何が起きたのか? • 物質の構成 宇宙全体に存在する物質の10%しかわかっていない →超弦理論を用いて これらの問題に取り組む
超弦理論とは? • 弦という「ひも」状の1次元物体を基本構成要素とする理論cf.) 量子力学/場の理論の点粒子的描像 • 開いた弦(open string)と閉じた弦(closed string) の2種 • 弦の振動状態で各種粒子を表す
点粒子 閉弦 開弦 弦の長さのスケール (string scale Planck scale(?) ) 遠方(低エネルギー)から観測すれば、 弦も点粒子に見える
超弦理論の特徴 • 重力まで含めた統一理論の候補 • 4次元以上の高次元時空の存在を示唆 • ボゾン的弦理論では26次元 • 超弦理論では10次元 • D-braneのような高次元オブジェクトを内包 • 時空の非可換性を示唆 • 相対論的にも興味深い
開弦が励起 端点がくっつく 閉弦を放出 閉弦のソース D-brane T-dual, S-dual などの操作→ 別の摂動論のD-braneへ → 別の摂動的超弦理論へ移行
超弦理論の問題点 • 摂動論しかわかっていない • 摂動的には無数の弦理論を定式化可能それぞれいろいろな場・チャージを持つどれが「真の」理論なのかわからない • 弦同士の相互作用の仕方がわからない不安定な系・時間依存する系が扱えない • 低エネルギー部分の効果しかわからない • 今のところ何も予言していない数学的な整合性にのみ立脚
「完全な」弦理論の ポテンシャル 各種摂動論 本当の真空にいるのはどの理論か?
D-braneの発見(Polchinski, ’94) • 弦理論の非摂動的効果を表す物体 • RRチャージを持つ • 開弦の端点がくっつく領域 • その上にゲージ場が住む • 空間p次元に広がっているとき、Dp-braneという IIA型超弦理論・・・D(2p)-braneが安定に存在IIB型超弦理論・・・D(2p+1)-braneが安定に存在 • 各種摂動的超弦理論の間の双対性の発見に役立った
IIB型 超弦理論 E8E8 ヘテロ型 超弦理論 IIA型 超弦理論 M理論 ? SO(32) ヘテロ型 超弦理論 I型 超弦理論 T双対性 コンパクト化 T双対性 T双対性 S双対性 D-braneの研究を通じ、 各種摂動的超弦理論の間に双対性を発見 → 非摂動的弦理論の存在を示唆
D-braneからわかったこと • 各種摂動的超弦理論の間に双対性 • AdS/CFT対応 • D-brane上のゲージ場とD-brane周りの時空に対応関係がある これらの解析は全て BPS状態の(安定な)D-brane に限られている
D-braneと重力系 • D-brane系は重力系への応用として面白い • D3-braneは4次元時空 (空間3次元) • 我々の宇宙? • D-braneとblack p-brane • D-braneを低エネルギー近似 →ブラックホールと同じ計量 →D-braneでブラックホールが記述出来る?
不安定なD-brane系 • 重力系はほとんどが不安定で動的 • これまで理解されているのは安定なD-brane系のみしかし、不安定で動的なD-brane系も存在 →重力系へ応用出来る
不安定なD-brane系 • 不安定なD-brane系の例 (1) • 非BPS状態D-brane (チャージのないD-brane) D-braneが崩壊 真空に遷移 閉弦を放出
不安定なD-brane系 • 不安定なD-brane系の例(2) • D/D-brane系互いに逆符号のチャージをもつ2枚のD-brane ¯ 互いに引き合う 消滅
不安定なD-brane系の応用 • 相対論・宇宙論的観点 • D-brane インフレーション(Dvali et al., Alexander et al., …) cf.) Ekpyrotic 宇宙(Khoury et al., …) cf.) ブレーンワールド(S.K. & Koyama, and too many authors!) • タキオン宇宙論(Gibbons, Mukohyama, …) • (ブラックホールの蒸発)
不安定なD-brane系の応用 • 素粒子論的観点 • 時間依存性のある時空上での弦理論の定式化 • タキオン凝縮 (A.Sen, …)弦の相互作用の構造理解 非摂動的弦理論の構築
タキオン凝縮 • 不安定なD-braneの崩壊は、D-brane上のタキオン場の凝縮過程によるもの • 崩壊(または変形)後の時空にはタキオンは存在しない • タキオン凝縮後には「真の」真空が選択される
Sen の予想 • 非BPS D-brane上のタキオン場が凝縮すると、D-braneは崩壊して閉弦の真空へ移行 • タキオン場のポテンシャルの高さがもともとのD-braneの張力に一致 • タキオン場に非等方性があると、低い次元のD-braneに移行することもある
真空の遷移 不安定D-braneの ある真空 遷移 遷移 安定D-braneの ある真空 閉弦の真空 (D-braneのない真空)
タキオンポテンシャルの高さがもともとのD-braneの張力に一致タキオンポテンシャルの高さがもともとのD-braneの張力に一致 Tachyon potential V(T) Tension of non-BPS D-brane T
非等方性のあるタキオン場 Non-BPS D(2p+1)-brane in type IIA string BPS D(2p)-brane in type IIA string
ここまでのまとめ • 重力系で、高エネルギー領域を解析するには弦理論が必要 • 弦理論は未完成 (摂動論のみ完成) • D-braneは弦理論の重要な構成要素 • 不安定D-brane系の研究は弦理論の非摂動的効果や相互作用の性質を明らかにすることにつながる • 不安定・動的なD-braneは重力系に応用可 不安定D-brane系の記述・解析が重要
D-braneの崩壊過程や生成などのダイナミクスを記述することでこれらの問題を解明するD-braneの崩壊過程や生成などのダイナミクスを記述することでこれらの問題を解明する 閉弦の場の理論 (Closed String Field Theory) を用いる 従来の(超)弦理論での 解析を超える目的のために・・・
なぜならば・・・ • 相互作用が本質的な役割を果たすので、弦の場の理論が必要になる(弦理論は弦の一体系、on-shellしか扱えない) • 宇宙論、BHなどとの関連を見越し、重力子を含む閉弦を考える • 超重力理論に含まれていない、弦のmassive modeの効果も取り入れたい(低エネルギーに限らない解析を試みる)
閉弦の場の理論 D-brane 古典解 EOMを解く h, B,,.. massless massless(?) 超重力理論 Black p-brane解 古典解 EOMを解く h h
戦術 • 閉弦の場の理論 • HIKKO型 (Hata,Itoh,Kugo,Kunitomo & Ogawa, ’86) • Witten型 など • 相互作用が単純なことからHIKKO型を選ぶ議論は型に依らないようにする • ソースを閉弦の場の理論に付け加える ・・・ ソースがD-braneの一般化宇宙論・相対論では馴染み深いテクニック
本研究のまとめと結果 • 動的なD-braneのような一般的なソースを、閉弦の場の理論で扱うための形式を構築 • 理論の対称性から、ソースが従うべき拘束条件を導いた • 拘束条件が低エネルギー理論における「エネルギー・運動量テンソルの共変保存則」に対応することを発見
2.弦理論とは • 作用・対称性・臨界次元・場 • Polyakov作用・共形対称性・26次元・X,b,c • BRST量子化 • BRST不変性から物理的状態が決まる • D-brane • 弦以外にも重要なオブジェクトがある
2.弦理論とは (1)~ 作用・対称性・場 ~ 1次元に広がった「ひも」状物体の古典的・量子論的運動を考えたい (背景時空は平坦)cf.) 自由な相対論的点粒子の作用ds:微小な世界線 →粒子の世界線の長さが極値をとるように 運動が決まる
X0 X0 = 0 = = 2 = 2 = 1 = 1 = 0 = 0 = -1 = -1 Xi Xi 点粒子の 世界線 開いた弦の 世界面
自由な相対論的「ひも」(弦)の作用 • D次元の平坦な時空中を運動する弦 • 点粒子との類推→弦の世界「面」が作用になる→南部・後藤作用 →これが極小をとるように運動が決まる
Polyakov作用 • 補助場として世界面の計量 abを導入→南部・後藤作用を書き直す
Polyakov 作用の特徴 • 一般座標変換不変性時空の各点で座標変換可能 • Weyl変換不変性時空の各点でスケール変換可能 上記2つを使ってゲージ固定した後も 共形変換不変性がある
エネルギー・運動量テンソル • 作用の対称性より、エネルギー・運動量テンソルが特定の条件式を満たす。
エネルギー・運動量共変保存則 • 一般座標変換不変性より、エネルギー・運動量テンソルの共変保存則が得られる
臨界次元 • Weyl不変性より、エネルギー・運動量テンソルはtracelessになる。 • 量子論でもこれが成立するために、ボゾン的弦理論なら26次元、超弦理論なら10次元が必要
ゲージ固定後の作用 • 座標をEuclideanにWick回転 • 複素座標を導入
ゲージ固定後の作用 (つづき) • ゲージ固定することで、(b,c)-ghost が入るゲージ固定後も共形対称性を持つ運動方程式を解き、解をモード展開→質量などの各スペクトルを調べる
モード展開 ここで、
共形対称性 (Conformal Symmetry) • 一般座標変換・Weyl変換を使って、計量を固定した後でも残る対称性 • w →w’ = f(w) という変換のもとで作用が不変 • Holomorphicなものをholomorphicに移す変換 • 世界面をゴム膜のように自由に変形することが出来る • 弦理論の計算に共形場の理論が使える
弦理論に現れる状態 • 第1量子化 重心の量子化 振動モードの量子化
弦の運動を表すのは南部・後藤作用もしくはPolyakov作用弦の運動を表すのは南部・後藤作用もしくはPolyakov作用 • 作用はいくつかの対称性をもつ • 運動方程式を解く→解をモード展開して量子化→弦の状態を決めていく
2.弦理論とは (2)~BRST量子化~ • ゲージ固定した後の作用には、ゲージ不変性の名残りのBRST不変性がある →BRST変換 のもとで作用が不変
BRSTカレントとチャージ • BRSTカレント • BRSTチャージ
BRSTチャージの性質 • 冪零性 (nilpotency)BRSTチャージQBは、 を満たすただし、26次元のときのみ(超弦理論では10次元) • 物理的状態条件物理的状態|はBRST不変
物理的状態 BRST不変性を満たす閉弦の物理的状態の例 • 基底状態 (tachyon state) • 第1励起状態 (massless state)