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格子量子色力学 ( 格子 QCD) で探る素粒子の世界. 理化学研究所 計算科学研究機構 (AICS) 連続系場の理論研究チーム チームリーダー 藏増 嘉伸. 内容. 科学における計算機の役割とは? 素粒子物理学とは? 格子量子色力学 ( 格子 QCD) おわりに. 科学における計算機の役割とは?. 面積の計算. 公式: × (半径) 2. 半径が 0.5 の場合(単位省略). 面積 =0.785398 ・・・. 電卓 ( 計算機 ) を使うと簡単に計算できる … が、もう少し別の方法を考えてみる. この図形の面積は?.
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格子量子色力学(格子QCD)で探る素粒子の世界 理化学研究所計算科学研究機構(AICS) 連続系場の理論研究チームチームリーダー 藏増嘉伸
内容 • 科学における計算機の役割とは? • 素粒子物理学とは? • 格子量子色力学(格子QCD) • おわりに
面積の計算 公式:×(半径)2 半径が0.5の場合(単位省略) 面積=0.785398・・・ 電卓(計算機)を使うと簡単に計算できる …が、もう少し別の方法を考えてみる
この図形の面積は? 電卓(計算機)では計算できない ⇒ 計算機を使った別の方法を考えてみる
モンテカルロ法による面積計算 乱数の組(x1,x2) −0.5≤x1≤0.5 −0.5≤x2≤0.5 0.5 1000組の乱数の場合 0 円の内部:785個 円の外部:215個 面積=0.785 真の値=0.785398・・・ 0.5 -0.5 0
乱数を10倍増やすと 乱数の組(x1,x2) −0.5≤x1≤0.5 −0.5≤x2≤0.5 0.5 10000組の乱数の場合 0 円の内部:7846個 円の外部:2154個 面積=0.7846 真の値=0.785398・・・ 0.5 -0.5 0
精度の向上 真の値=0.785398・・・ 原理的に乱数の組の数を増やすほど真の値に近づく
任意の図形に適用可能 0.5 計算機を使うと 人間の手では不可能で あったことが可能になる 0 0.5 -0.5 0
疑問:乱数でなくても良いのでは? x1、x2方向を等間隔に分割 −0.5≤x1≤0.5 −0.5≤x2≤0.5 0.5 10000組の点(x1,x2) 0 円の内部:7860個 円の外部:2140個 面積=0.7860 真の値=0.785398・・・ 0.5 -0.5 0
乱数を用いた場合と比較すると 乱数 等分割 真の値=0.785398・・・ 両者の誤差は同程度
高次元球への拡張 2次元:(x1)2+(x2)2≤(0.5)2 円 3次元:(x1)2+(x2)2+(x3)2≤(0.5)2 球 4次元:(x1)2+(x2)2+(x3)2+(x4)2≤(0.5)2 10次元:(x1)2+(x2)2+・・・+(x10)2≤(0.5)2 ・・・
10次元球の場合 真の値=0.00249039・・・ 乱数 等分割 次元が上がると乱数の方が誤差は小さい
ポイント • 計算機を使うと人間の手では不可能であったことが可能になる • 計算機をうまく使いこなすための計算手法が重要 • 計算目的・計算手法に適した計算機が必要
第3の科学 実験でも理論でも出来ないことを計算機を使って調べる 計算科学 実験 理論
素粒子物理学とは人類の有史以来の問いに答えようとする学問素粒子物理学とは人類の有史以来の問いに答えようとする学問 物質の最小構成単位は何か? 最も基本的な相互作用は何か?
例えば、ダイアモンドは何から出来ているのか?例えば、ダイアモンドは何から出来ているのか? 1 cm
炭素原子12C 10−8 cm 原子核 電子
炭素原子核 陽子 電荷 +1 10−12 cm 中性子 電荷 0
陽子 中性子 d u 10−13 cm u d d u
現在までに知られている素粒子 +2/3 クォーク (赤、青、緑) 電荷 u c t −1/3 d s b e t m −1 電荷 レプトン ne 0 ヒッグス粒子(未発見)
素粒子間に働く基本的相互作用 力の種類 力の大きさ(相対) 媒介粒子 強い力 1 グルーオン 電磁気力 0.01 光子 弱い力 0.00001 弱ボソン 重力 10−40 重力子
強い相互作用とは? クォークを自由度とする階層構造 原子核 クォーク 陽子 中性子 電磁気力による化学結合 炭素原子 ダイアモンド結晶構造
強い力の不思議な性質 遠距離 強い引力 クォークの閉じ込め 近距離 相互作用弱まる 漸近自由性 バネのような力
多種多様なハドロン バリオン p(陽子)、n(中性子)、 Δ、Λ、Σ、Σ*、Ξ、Ξ*、Ω、Λc、Ξc、Λc、・・・ メソン π、K、K*、ρ、ω、η、φ、a、b、f、D、B、・・・
QCD(量子色力学)のラグランジアン クォーク グルーオン クォークとグルーオンの自由度をラグランジアンに従って モンテカルロ法により多重積分
ハドロン質量[GeV] 2〜3%の誤差の範囲内で一致
今後の目指すべきもの 素粒子の世界の階層構造 有限温度・有限密度の物理 幅広い有限温度・有限密度領域における相構造解析 実験不可能なことを調べる! 格子QCDによる原子核の直接構成とその諸性質解明 クォーク 期待されているQCDの相図 中性子 陽子 原子核
素粒子理論におけるノーベル物理学賞受賞者 湯川秀樹 朝永振一郎 南部陽一郎 益川敏英 小林誠 仁科記念財団理事長 写真引用:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
基礎科学・技術の重要性 • 量子力学(約100年前に誕生) • ⇒ 半導体技術、タンパク質構造予測 • 計算機(1940年代に誕生) • ⇒ 「京」コンピュータからゲーム機・家電まで • 直感的に「面白い」と感じるものは発展性がある