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JASMINE 計画の検討状況 (近赤外線高精度位置天文観測衛星計画) ー J apan A strometry S atellite M ission for IN frared E xploration - 郷田直輝(国立天文台) + JASMINE チーム. §1.JASMINE が狙うサイエンス:銀河系とは何か? 銀河系を知る
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JASMINE計画の検討状況 (近赤外線高精度位置天文観測衛星計画) ーJapan Astrometry Satellite Mission for INfrared Exploration- 郷田直輝(国立天文台) +JASMINEチーム
§1.JASMINEが狙うサイエンス:銀河系とは何か?§1.JASMINEが狙うサイエンス:銀河系とは何か? 銀河系を知る 力学構造 星形成史 系内構成天体 自己重力多体系 銀河系形成史 恒星進化、惑星、 の物理 変光星、超新星、 連星系、褐色矮星、 暗黒物質 距離指標 長距離力系の 宇宙初期での 宇宙の 統計力学 銀河形成・進化 構成天体 (近傍宇宙論)
★位置天文精度:1ミリ秒角(1mas) 10マイクロ秒角(10μmas)の時代へ(天文学の大革命)
§2.JASMINE計画について (I)概要 ★位置天文精度:約10万分の1秒角 天文学の大革命! (K≦12等級 or z≦15.5等級で達成) ★ターゲット:バルジ、ディスク 銀河形成史の“化石”の宝庫 近赤外線(1μm or 2μm) 可視光より遙かに多くのバルジ、ディスクの星を観測可能 (可視光に比べてダストによる吸収の影響が少ない) ★打ち上げは、約10年先を目標 ★世界で唯一。日本独自の計画。 欧米は可視光の計画: GAIA(ESA), SIM(NASA)
(III)JASMINE での観測方法と仕様概要 位置天文観測の精度 N:星の光子数 大きな Nが必要 大口径の鏡 大きな視野 多くの検出器を並べる
(IV)望遠境の仕様(K-bandとz-bandの両方を平行して検討)(IV)望遠境の仕様(K-bandとz-bandの両方を平行して検討) ○ 光学系:Korsh系が有力候補 ○主鏡のサイズ:D=2mの円形(中心に直径0.7mの穴) ○焦点距離:65.4m(K-band) or 67m(z-band) ○Astrometry用の有効な視野面積 (k-band)、 (z-band) ○検出器:~25個(k-band)、~ 160個(z-band) TDIモードを稼働 ○ビーム混合鏡の設置: 同時に大角度(約90度)離れた領域の星を測定 ○絶対的な年周視差を得るため ○衛星回転則のずれを観測データを用いて自己完結 的に測定可能 *2枚の鏡に対して、焦点面は共有する
(VII)軌道とサーベイ方法 ○軌道:Sun-EarthのL2point ○連続的にスキャン *衛星のスピン回転の周期: 約2.3時間 *歳差運動の周期: 約19日 ○銀河面付近を主に観測 サーベイ面積: *太陽方向を見ないようにする (春と秋は、銀河面方向。 夏と冬は、銀河面にほぼ 直交す る面方向を観測)
開発状況と今後の検討 ○サイエンスの検討: *サイエンスワークショップの開催: 広い分野の研究と結びついている *我々のチーム:銀河系の力学構造の構築方法等の検討 Torus Construction法による力学構造の構築と 星形成史の解明 *サイエンス班との協力 ○衛星の仕様・精度評価、データ解析法 数値シミュレーター(UML、オブジェクト指向) 例:JASMINE仕様計算プログラム ○検出器の開発 (i)TDIモード可能な新しいK-band用アレイ検出器 (ii)1μm付近に感度のピークをもつ高感度 完全空乏型CCD (Hyper Suprime-Camと協力)
○大型超軽量鏡の開発:SPICA、JTPF計画等とも 協力 ○星像中心決定のアルゴリズム開発と地上実験 (月面天測望遠鏡計画チームと共同) 現在、1画素の1/300の精度達成 *より高精度かつより現実的な設定での実験を続行中
○衛星システム(バス部)の設計: ISASとの検討会:軌道、姿勢、熱構造など NASDA(技術研究本部)との検討会開始: 衛星システム全体の問題点整理 ○技術開発、実証実験 検出器、超軽量鏡、衛星システム、地上での実験・検証、さらに、 超小型衛星(Pico-satellite)での実証 (Mini-JASMINE計画)の検討を開始 (東大工学部航空宇宙工学中須賀研との共同)
★超小型衛星による実証実験 目的:スペースで、はじめてCCDのTDIモードを 用いたアストロメトリ観測を行う。 *ヒッパルコス衛星以降、GAIAまでサーベイ型スペースアストロメトリ計画はなし。新しい技術の実際のスペースでの技術的実証は本番までなし。 *少しでもいいから、ヒッパルコスの記録を塗り替えられれば、さらに良い。世界最高精度の達成。
★どこまでが可能か?(Mini-JASMINE計画) 例えば… ○CubeSat2クラス ○口径5cmの主鏡:屈折望遠鏡 ビーム混合鏡も設置。焦点距離1.67m。 ○1K×1K(1.5cm×1.5cm)の検出器1個 ーーー>*理想的には、z=7magで0.5masを達成。 *任意の360°×7°の幅を半年(有効観 測時間)観測。地球周回軌道。 Mission lifeは約1年。 *衛星のスピン周期:0.4時間 *スピン軸の歳差周期:2.7日
★中須賀研究室との検討を開始 Mini-JASMINEの仕様要求 衛星システムの詳細検討を開始 約2年から3年後の打ち上げを目標 *衛星設計コンテストにも参加 (東大工学部4年生7名+α) プロジェクトマネージャー:永山(東大)
◎2003年6月頃にJASMINEに関する詳細な レポート(first proposal)を提出予定 (中間報告は一部配布済み) 今後ともご支援、ご協力をよろしく お願いします。 ★JASMINEのホームページアドレス http://www.jasmine-galaxy.org/index-j.html
JASMINE計画の要旨 手段:近赤外線(1μmか2μm付近)によるアストロメトリ (位置天文)観測を衛星を用いて行う。 観測対象:銀河系内、特に銀河面、バルジなどの天体を サーベイ(ハロー方向も部分的に行う) 精度:星の位置、年周視差、1年当たりの固有運動を 数億個の星に対し、約10万分の1秒角以上の高精度 で測定 サイエンス:可視光だけでは伺い知れない銀河系構造 (特に、バルジ、遠くの銀河面)、 恒星物理、星の形成と進化、距離指標など 系外銀河観測による宇宙論への直接的リンク 惑星系探査などのサイエンス
§1.銀河系を知ることが何故重要なのか? I.銀河系形成史の解明(近傍宇宙論) 銀河全般の形成・進化の解明 *遠方銀河の直接的観測(遠方宇宙論)との 両輪 II.自己重力多体系の力学構造 *太陽系をはるかに超えるサイズの自己重力多体 系の力学構造がはじめて明らかになる 長距離力系での新しい統計力学の確立 III.銀河系内の構成天体の解明 恒星進化、星形成、連星、超新星、太陽系外惑星、 変光星、ダークマター・・・・・・
銀河系の解明のためには、 Photometry(測光), Spectroscopy(分光)による 明るさ、色、元素量、視線速度の情報に加えて 天体までの距離 年周視差 速度 横断速度 その角速度(固有運動) 高精度なAstrometric eyeが必要 (Astrometry:天球上の星の位置、固有運動、 年周視差)
アストロメトリ(位置天文)とは 星の(天球上の2次元的)位置 距離年周視差 固有運動(天球上の横断角速度) (+視線速度) 星の6次元位相空間の情報 天文学の基本情報
§2.観測の現状 今までどの程度まで分かっているか?
★今後の高精度アストロメトリ観測計画の必要性★今後の高精度アストロメトリ観測計画の必要性 ヒッパルコス “小さな革命” 1000分の1秒角(1mas) 大革命が必要 ~10万分の1秒角(10μas)の精度 10% distance error at 10kpc!! velocity error at 20kpc ~1km/s !! Breakthrough in many fields of astronomy
★他の計画の中での位置づけ 将来の高精度スペースアストロメトリ計画(欧米)とJASMINE Remark: 欧米のスペース計画はすべて可視光での観測
近赤外線で測定する意義 ○10万分の1秒以上の精度で測定される星の総個数
(II)JASMINEで拓けるサイエンス ○銀河系の力学構造 ・Galactic bulge:morphology,kinematics,… ・Galactic disk:dynamics of spiral arms, nature of stellar warp, … 大規模な自己重力多体系の物理法則の解明 ○銀河系の形成・進化の“化石”を探る ・バルジ、ディスク 銀河の形態 ・星形成史 DLAとも関連 ○距離指標 ○ディスク星等によるマイクロレンズ効果 ○恒星物理、変光星、超新星、連星 ○系外惑星 ○基礎物理○Local group of galaxies
(III)達成精度とサーベイ面積 サーベイ面積: 年周視差の精度 K=10mag以下σ=4μas(理想) K=12magσ=10μas K=13magσ=16μas(銀河中心の星の距離精度が、13%) K=14magσ=26μas (銀河中心の星の距離精度が、20%) z=14mag σ=5.4μas(理想) z=15.5mag σ=10μas z=16mag σ=13μas (銀河中心の星の距離精度が、10.5%) z=17mag σ=22μas
(IV)JASMINE衛星の構成 (i)ミッション部 望遠鏡+検出器 (ii)バス部 ○構造体 ○熱制御 ○姿勢制御 ○通信 ○電力 ★打ち上げは、H-IIAのdual launchを想定
◎ミッション部 ★JASMINE での観測方法と仕様概要 位置天文観測の精度 N:星の光子数 大きな Nが必要 大口径の鏡 大きな視野 多くの検出器を並べる
(V)望遠境の仕様(K-bandとz-bandの両方を平行して検討)(V)望遠境の仕様(K-bandとz-bandの両方を平行して検討) ○ 光学系:Korsh系が有力候補(すばる観測所の高遠氏の協力による) ○主鏡のサイズ:D=2mの円形(中心に直径0.7mの穴) ○焦点距離:65.4m(K-band) or 130m(z-band) ○Astrometry用の有効な視野面積 (k-band)、 (z-band) ○検出器:25個(k-band)、450個(z-band) TDIモードを稼働 ○ビーム混合鏡の設置: 同時に大角度(約90度)離れた領域の星を測定 ○絶対的な年周視差を得るため ○衛星回転則のずれを観測データを用いて自己完結 的に測定可能 *2枚の鏡に対して、焦点面は共有する
★大角度離れたfieldの同時測定(矢野氏の講演参照)★大角度離れたfieldの同時測定(矢野氏の講演参照) ○絶対的な年周視差を得るため ○衛星回転則のずれを観測データを用いて自己完結的に測定 大角度離れたfiledを同時に観測する方法が得策 JASMINEも同じ鏡を2枚用いて、同時に大角度(約90度)離れた領域の星を測定する。 *2枚の鏡に対して、 焦点面は共有する 解析により、どちらの 鏡から来たか分離可能
図13 K1のスポット図 図15 K1の視野 スポット図(Korsh系1)と視野
(VI)検出器 K-band(2.2μm)とz-band(~0.9μm)の両方を 平行して検討中 ★検出器の開発 (I)K-bandで感度がよく、CCD機能を備えて、TDI モードが可能な検出器の開発が必要 裏面照射型薄化CCD+HgCdTe インジウムバンプ *科研費基盤研究A(2)(小林行泰代表)で開発中 (II)z-band(0.9μm)で感度のピークがあるCCDも検出器の候補として、平行して検討中(宮崎氏による開発)。 ○TDIの問題、経費の問題は少ない
Cf. TDI mode (drift scan mode)が重要 *検出器上での電子移動レートを衛星の スキャンレートと同期化させるモード ○星像を歪めずに光子数を蓄える。 読み出しノイズの影響が小さくなる ○画素ごとの感度むらが平均化される
Cf: z-band用検出器の開発 ★z-band(0.9μm)で感度のピークがある新しいタイプのCCD検出器:300μmの厚さの完全空乏型
(VII)軌道とサーベイ方法 ○軌道:Sun-EarthのL2point ○連続的にスキャン *衛星のスピン回転の周期: 約15時間 *歳差運動の周期: 約47日 ○銀河面付近を主に観測 サーベイ面積: *太陽方向を見ないようにする (春と秋は、銀河面方向。 夏と冬は、銀河面にほぼ 直交す る面方向を観測)
★衛星の軌道 Sun-EarthのL2-pointに投入予定 理由: (i)太陽、地球がほぼ同じ方向にあり、観測できる領域を 拡げられること。 (ii)熱的環境の変化が安定していること (iii)衛星の軌道制御が比較的容易であること (iv)放射冷却により冷却できる ○実質の観測年数: ○1つのtargetを1年当たりにサーベイする回数: 約21回 (連続する3回は、短時間以内)
§5. 精度の評価方法 ○衛星システム全体(観測装置、軌道、姿勢制御、 サーベイ方法など)を仮定 どれぐらいの精度が出るものなのか、 どのようなサイエンスの展開が可能か ○必要な精度を達成 衛星のデザインにどのようなことが要求されるのか
★CCDを用いた星像中心決定の実験開始 (ILOM(月面天測望遠鏡)チームと共同) ★1回の検出当たりで必要な精度: 1pixelの数百分の1で星像中心を求める必要がある。 (K-bandの場合:10μas 1/250, 4μas 1/600 ) *実験装置の概要
*星像中心を求める解析方法(重心方法を独自に改良したもの)は、 矢野氏によって開発済み 1pixelの1/250~1/300まで達成! (実験では理想的には1/300~1/350)より現実的仕様での実験かつ精度アップを目指している。