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放 電 加 工 ~ Electrical discharge machining ~. 精密加工学 Web 講義. 『 「生産加工の原理」日本機械学会編 日刊工業新聞社 』 放電精密加工研究所、ソディック、岡山大学宇野研究室、東京農工大学国枝研究室 HP より. '06.12.4 矢 澤 孝 哲. 以下の資料を、教科書を参考にしつつ理解しながら読み進め、最後のレポートを提出しなさい。レポートの解説は次々回の講義にて行う。 不明な点はメールにて、 yazawa@nagasaki-u.ac.jp に質問すること. 放電加工の概要.
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放 電 加 工~Electrical discharge machining~ 精密加工学Web講義 『「生産加工の原理」日本機械学会編 日刊工業新聞社』 放電精密加工研究所、ソディック、岡山大学宇野研究室、東京農工大学国枝研究室HPより '06.12.4 矢 澤 孝 哲 以下の資料を、教科書を参考にしつつ理解しながら読み進め、最後のレポートを提出しなさい。レポートの解説は次々回の講義にて行う。 不明な点はメールにて、yazawa@nagasaki-u.ac.jpに質問すること
放電加工の概要 工具電極と工作物との間に微小な放電を何万回もの頻度で生じさせ、放電ごとの熱的作用により工作物が微小ずつ溶融・蒸発によって除去されることを利用した加工法。導電性のある材料ならば、硬さによらず非常に複雑な形状でも高精度に加工できることが特徴である。 放電加工部分の写真
放電加工の概念図 送り 加工液(絶縁体) 工具電極(+) 工作物(-) 極間距離数十mm 放電電流 アーク柱 放電加工の原理 放電加工:Electrical Discharge Machining (EDM) 工具を+電極、工作物を-電極、加工液を絶縁体とし、高電圧をパルス上に電極間に加えつつ工具と工作物の距離を数十mmまで近づけると、最も近い部分にアーク放電が生じる(図のアーク柱の部分)。これにより、アーク柱に接した両電極表面は局所的に109W/m2という大きなパワー密度を生じる。これにより、短時間のうちにその部分の工作物が溶融・蒸発されて除去される。除去された部分は、加工液により再凝固し、微小な球形をした加工くずとなって、加工液とともに極間から排出される。 加工後は、アーク放電が起こった箇所が遠くなり、別の部分が近くなるため、アーク放電の位置(放電点)がそちらに移動する。これが繰り返されて加工が進行するため、工具電極形状が工作物に転写されていくことになる。
工具の消耗 アーク放電により、工具も消耗する!! 精度よく工具電極形状を工作物に転写するには、工具電極の消耗は少ないほどよい。 消耗の少ない工具電極選択 工具を陽極(+)に、工作物を陰極(-)にする 仕上げ加工では、極性を逆にすることも多い
放電加工の種類 高周波パルス電源
形彫り放電加工 形彫り放電加工の写真 切削などで成形した銅あるいはグラファイトの工具電極の形状をそのまま工作物に転写する加工法。電極に円柱を使用し、それを移動させることにより複雑な形状を得ることもある。
ワイヤ放電加工 糸鋸盤の放電加工バージョンと思えばわかりやすい。0.03mm~0.3mmの黄銅ワイヤを電極として、複雑な形状を切り抜く加工法。上下のワイヤガイドの相対位置を制御することによってワイヤを傾け、テーパカットや上下異形状加工も行える。ワイヤのテンション(上下からの引っ張り)による振動抑制や、大電流によってワイヤが切れないようにさまざまな工夫がなされている。 ワイヤ放電加工の写真
放電加工の特徴 1.熱的加工である 強制加工でないため工具にかかる負荷(加工力)が非常に小さい。 2.加工材料の硬さに制限がない(導電性) 焼入れ鋼、ステンレス鋼、チタン、超硬合金、セラミックスなど 3.加工形状に制限が少ない 硬い材料の複雑形状加工(工具を軟らかい材料で製作) 工作物・工具に剛性がない場合の高精度加工が可能 4.研削並の加工精度が得られる 1.加工速度が小さく、材料への熱的ダメージも 2.導電性材料しか加工できない
放電加工の用途 前述の特徴から、次のような用途に使われることが多い • 複雑な形状の金型 難削材(金型が大量生産に耐えられるため)の複雑加工 難削材の高精度加工 • 機械加工では加工が困難な部品の直接加工 • 微細加工 • 角孔(□孔)加工
単発放電現象 1パルス放電中の現象 温度 104K 20V程度の放電電圧でプラズマ形成 放電持続時間終了後、プラズマ消沈(絶縁) 電極表面・加工くずの冷却 (加工の安定化) 絶縁作用 25m/sで膨張する 最終的には半径数mmに 放電時間終了後消失する 加工くずの再付着なし (加工液の冷却作用による加工くずの球形化) 放電持続時間:放電加工を行うために高電圧をかけている時間のこと。1回の放電加工(1パルス加工)では数十ms~数百msの放電持続時間となる。
除去メカニズム(除去原動力) • 沸点に達して自発的に除去(蒸発) • 融点に達して除去(溶融) (1)半径方向へ膨張するアーク柱や気泡の流れが作るせん断力による除去 (2)中心部で高く、周辺部で低い圧力分布により、溶融部の中心がへこみ周辺が盛り上がる作用 (3)高圧力下における溶融域の過熱と突沸現象 注)蒸発(沸騰域)では、加工物はすべて除去される 溶融(溶融域)では、加工物の再凝固がある →「白層(White layer)」:硬くて脆い変質層(形彫り放電)
陰極・陽極へのエネルギ配分 投入されたエネルギに対して 陽極への配分>陰極への配分 熱による加工油中の炭素の分解 陽極表面への炭素の付着 工具と工作物を同じ材料にして放電加工する場合、放電持続時間により陽極と陰極の除去量がことなる
溶融・蒸発の領域の変化 融点3,273Kの炭素鋼の場合の例 アーク柱外周部分の工作物温度 アーク柱中心付近の工作物温度 放電開始後の時間 アーク柱半径 蒸発領域 50.8mm4,500K300K 10ms 溶融領域 121mm2,800K800K 100ms 放電終了 0mm1,900K700K 120ms
放電電流 放電電流 時間 時間 放電電流 時間 放電加工の加工特性の三要因 すべてを同時に満たす放電電流はない! 状況により変化させながら加工を行う必要がある
レポート課題 • 硬い材料に小径穴加工をする場合、放電加工が切削加工に比べて得意な理由を考察せよ。 • 形彫り放電加工において仕上加工をする場合、放電持続時間は短いほうが良いか?長い方が良いか?また、工具電極は陰陽どちらの極にすべきか、考察せよ。 • Web講義について、感想、意見を述べよ。 注意:履修番号、氏名を明記すること 締切は12月20日講義終後まで 用紙はA4を使用すること 3で評価点を下げることはありません