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分光結晶を用いた蛍光 XAFS システムの開発 Development of the fluorescence XAFS system by means of analyzer crystals. 丹羽 尉博 ・阿部 仁・仁谷 浩明・野村 昌治 KEK-PF. Introduction.
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分光結晶を用いた蛍光XAFSシステムの開発 Development of the fluorescence XAFS system by means of analyzer crystals 丹羽 尉博・阿部 仁・仁谷 浩明・野村 昌治 KEK-PF Introduction 蛍光XAFS測定において測定対象元素の蛍光X線と近い波長の蛍光X線を発する元素が試料中に多く共存する場合、エネルギー分解能のあるGe検出器を用いても目的元素に由来する蛍光X線のみを分離することができずS/B比が悪化し結果としてXAFSスペクトルのS/N比が悪化する。試料からの蛍光X線を検出器の前で分光すれば、目的元素からの蛍光X線のみを検出することができ、XAFSスペクトルのS/B比を向上させることができる。本研究では分光結晶に反射分光を用いたJohann型アナライザー結晶(NJ‐XRStech)および透過分光を用いたBent Crystal Laue Analyzer(BCLA;FMB Oxford Ltd)を使用し、両者の分光性能を比較した。 分光結晶 NJ-XRStech社製(USA)Johann型アナライザー結晶 結晶面 Si(531) 湾曲半径 182 mm ローランド円半径 92 mm 分解能 4-40 eV Bragg角90˚~30˚に対応する元素 黄:Kα線、緑:Kβ線 FMB OxfordLtd(GB)BCLA/8.4 実験条件 PF-ARNW2A 二結晶分光器 Si(111), θ = 11.7 degree (9.750 keV) 集光ミラー円筒湾曲 2.8 mrad (Rhコート面) 高調波除去ミラー 5.0 mrad ×2 (Rhコート面) ビームサイズ 1 mmH × 1 mmV 検出器 Ge検出器 EG&G IGLET-16160-S 素子直径 16 mm Shaping time 0.5 μs Bragg結晶使用時は検出器前に3 mm2のスリットを設置 Results and Discussions 試料からのX線の強度分布 結晶の有無によるXAFSスペクトルの違い Znpowder : NiO = 1 : 10 (molar ratio) Dwell Time Bragg 10 s BCLA 5 s no crystal 5 s Zn-Ni混合試料でのZn XANESスペクトル 蛍光X線の強度分布から得られたS/B比 S/N = Signal/(Signal + Background)1/2 Bragg結晶13 BCLA 8.2 結晶なし 0.059 Bragg結晶235 BCLA 2037 結晶なし 98.6 ○結晶によりバックグラウンドが相対的に大幅に減少した結果、S/B比が飛躍的に向上した。 ○ Bragg結晶に比べBCLAの方が高スループット(約10倍)。 ○ S/B比はBCLAよりもBragg結晶の方がやや優れている。 ×目的の蛍光X線強度はBCLA2.5%、Bragg結晶0.2%まで減少する。 ○ S/B比はBragg結晶が最も高いものの、BCLAの高スループットの効果により、BCLAを使用したXAFSスペクトルのS/N比が最も高かった。 Conclusion 蛍光XAFS測定においてBragg結晶およびBCLAを設置することでS/B比が大幅に向上し、結果としてXAFSスペクトルのS/N比が向上した。いずれの分光結晶も精密な光学系配置が要求されるがBCLAの配置はやや容易である。本実験条件下でBCLAを用いた際のS/B比はBragg結晶のそれには及ばないものの、その高いスループットによりS/N比の向上には有利であった。