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J. Anim. Breed. Genet. にみる 動物育種学の動向. 帯広畜産大学 家畜育種学研究室 増田 豊. J. Anim. Breed. Genet. ドイツの学術雑誌 動物の遺伝と育種に関する話題 対象は、動物全般 「理論」よりも「応用」 世界各国の地域固有種の話題が多数. 遺伝学と育種学. 量的遺伝学. 統 計 学. 育種学. 集団遺伝学. 進化論. 分子遺伝学. 動物育種学の目的と手順. 遺伝的能力の改善 品種の作出 種の保存. 評価. 選抜. 交配. 動物育種学の動向. 分子遺伝学からの情報を利用 QTL の特定
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J. Anim. Breed. Genet. にみる動物育種学の動向 帯広畜産大学 家畜育種学研究室 増田 豊
J. Anim. Breed. Genet. • ドイツの学術雑誌 • 動物の遺伝と育種に関する話題 • 対象は、動物全般 • 「理論」よりも「応用」 • 世界各国の地域固有種の話題が多数
遺伝学と育種学 量的遺伝学 統 計 学 育種学 集団遺伝学 進化論 分子遺伝学
動物育種学の目的と手順 • 遺伝的能力の改善 • 品種の作出 • 種の保存 評価 選抜 交配
動物育種学の動向 • 分子遺伝学からの情報を利用 • QTLの特定 • 遺伝構造の解明・種の保存 • 家畜の遺伝評価・交配法の検討 • 最新の統計学の応用 • 変量回帰,ベイズ統計学,ブートストラップ法
遺伝学の基礎 http://jvsc.jst.go.jp/ を参照
用語の整理 • 物質の名称 • DNA,塩基 (A, T, G, C) • 物理的構造の名称 • 塩基配列,染色体 • 概念 • 遺伝子,遺伝子座 • 遺伝子のまとまり • ゲノム,ハプロタイプ
動物育種学への応用 • 量的形質に関連する遺伝子座(QTL)特定 • 個体間の遺伝子の似通いの判定 • 品種の近さ • 遺伝的多様性
利用可能な情報 • DNA塩基配列は,すべて解読済み • DNAの特定部分を取り出すことは簡単 • 塩基配列が「遺伝子かどうか」は判断可能 • 特定の形質を発現する遺伝子が,どこにあるのかは,ほとんど不明
つまり • 目的の遺伝子は,どこにあるか分からない だから • どの辺にあるか,見当をつける必要あり
目印(マーカ)の利用 • マイクロサテライト • 遺伝子ではない「ムダ」な部分 • ゲノム中に多数存在する • 品種間では,全く異なる • 個体間でも,わずかに異なる(多型) • その他のDNA多型
マーカの利用 • Key Words: • 連鎖解析 • リファレンスファミリー
マーカ利用の例(1) • 肉用牛のLEP遺伝子における分子マーカおよび繁殖能力 • Molecular markers in the LEP gene and reproductive performance of beef cattle • ポーランドの豚系統における繁殖形質についての候補遺伝子マーカ • Candidate gene markers for reproductive traits in polish 990 pig line
マーカ利用の例(2) • イヌ,アカギツネおよびホッキョクギツネのマイクロサテライト多型および遺伝的距離 • Microsatellite polymorphism and genetic distance between the dog,red fox and arctic fox • ウシマイクロサテライトプライマを用いた中国の2系統のヤク集団における分析 • Analysis of two Chinese yak (Bos grunniens) populations using bovine microsatellite primers
マーカ利用の例(3) • イタリア中央部のSardaヒツジ集団における遺伝的多様性および近交の分析のためのマイクロサテライトの利用 • Use of microsatellites for genetic variation and inbreeding analysis in Sarda sheep flocks of central Italy • インド北部の2つのbuffalo集団におけるマイクロサテライトマーカを利用した遺伝的多様性の分析 • Genetic diversity analysis of two buffalo populations of northern India using microsatellite markers
希少種の保存 • 遺伝的構造の把握 • 血縁関係・血統構造の解明 • 交配計画の徹底 • 近交上昇の危険性 • 集団の有効な大きさの判定 • 小集団に特有な現象の抑制 • 遺伝的浮動
が1つ増えると、+10kgとなる =相加的遺伝効果 遺伝子の効果(1-1) 遺伝子座A 対立遺伝子 A a
+ 合計 + = 育種価 + 遺伝的能力を表す + 遺伝子の効果(1-2) 相加的遺伝効果 A + 10 kg B - 4 kg C + 3 kg D 0 kg ・ ・ ・ ・ ・ ・
表型値 平均 分散 育種価 平均 分散 表型値と育種価 ・・・・・
遺伝率 表型値 = 全体平均 + 育種価 + その他 P = μ + A + E = +
育種価の予測 P = μ + A + E 集団平均からの「ずれ」 A + E = P - μ A = h2(P -μ)
行列で表現 y = Xb + Za + e 計算は簡単 Hendersonの混合モデル方程式 (MME)
(ヘテロ)のときに,値が増加する =優性効果 遺伝子の効果(2) 遺伝子座A 対立遺伝子 A a
+ 合計 + = 優性偏差 + (優性遺伝価) + 遺伝子の効果(2-2) 優性遺伝効果 A + 1 kg B 0 kg C + 2 kg D 0 kg ・ ・ ・ ・ ・ ・
相加的遺伝効果・優性効果 優性-優性効果 A A B B A a B b A aB b a a b b 相加的-相加的効果 A A B B a a B B A A b b a a b b 相加的-優性効果 A A B b A a B b a a B b A a b b 遺伝子の効果(3-1) 遺伝子座A, B 対立遺伝子 A B a b
相加的遺伝効果・優性効果 優性-優性効果 相加的-相加的効果 相加的-優性効果 遺伝子の効果(3-2) 遺伝子座A, B,C 相加的-相加的-相加的効果 相加的-相加的-優性効果 相加的-優性-優性効果 優性-優性-優性効果 対立遺伝子 遺伝子座間の効果 A B C =エピスタシス効果 a b c
+ 合計 + = + + 遺伝子の効果(3-3) A a-a + 1 kg B a-d 0 kg エピスタシス偏差 C d-d 0 kg (エピスタシス偏差) D a-a-a 0 kg ・ ・ ・ ・ ・ ・
表型値の構成 表型値 = 平均 + 育種価 + 優性偏差 + エピスタシス + 残差 P= μ + A+ D+ I + E = + + + 実際には「大きくない」と考えられる でも、求めたいときもある
行列で表現 y = Xb + Za + Zd + e 計算が面倒
非相加的効果の予測 • 非相加的遺伝モデルに対する計算の簡素化 • Computing simplifications for non-additive genetic models
交雑のねらい • 在来種に新しい能力を付加する • zebu(耐暑性)×Holstein(高泌乳能力) • ヘテロシスを期待する • F1は、親世代の能力を上回る • ただし、F2には現れない • 超優性・エピスタシスが関与
交雑牛の能力(1) • エチオピアにおけるBos taurus×Bos indicus交雑牛の初期成長能力: 異なる交雑モデルの評価 • Early growth performance of Bos taurus x Bos indicus cattle in Ethiopia: Evaluation of different crossbreeding models
交雑牛の能力(2) • Holstein種雄牛のUSAにおける泌乳能力評価とそのF1 zebu後代の18か月齢までの生存および体重との関連(ベネズエラ) • Relation between Holstein bull’s proofs for milk in USA and the survival and body weights up to 18 months of their F1 zebu progeny in Venezuela
遺伝的パラメータの推定 • 遺伝率 • 育種価の推定に必須 • 育種改良が可能かどうかの判断材料 • 遺伝相関 • 形質間の遺伝的関連性 各効果の分散の値(分散成分)から計算する
遺伝的パラメータの推定 • German Shepherd Dogsにおけるイヌ股関節形成不全の遺伝率のベイズ分析 • Bayesian analysis of heritability of canine hip dysplasia in German Shepherd Dogs • スウェーデンのヒツジ種における子羊の生体重と枝肉形質の直接および母性遺伝関係 • Direct and maternal genetic relationships of lamb live weight and carcass traits in Swedish sheep breeds
そのほかの話題 • 遺伝的改良量を支配するための制限付き選抜法の比較 • A comparison of restricted selection procedures to control genetic gains
変量回帰モデル • 変量回帰検定日モデルにおけるMarkov Chain Monte Carlo法の実行上の問題 • Imprementation issue for Markov Chain Monte Carlo methods in random regression test-day models • 収束を知る手段がない • 十分な結果を得るために時間がかかる • 単形質ならば比較的簡単;多形質は時間がかかる
非一様性の残差分散 • 残差分散に対する非一様性の異なる仮定下における検定日モデルのベイズ比較:the change point法とarbitrary intervals • Bayesian comparison od test-day models under different assumptions of heterogeneity for the residual variance: the change point technique versus arbitrary intervals
予測誤差分散の近似 • 多形質および変量回帰モデルにおける個体内の相加的遺伝効果間の予測誤差分散の近似 • Approximating prediction error covariances among additive genetic effects within animals in multiple-trait and random regression models