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非同期型 CSCL 環境を用いた 「情報とコンピュータ」 における共同制作学習の展開

非同期型 CSCL 環境を用いた 「情報とコンピュータ」 における共同制作学習の展開. 市原靖士・ 森山 潤 ・松浦正史. 2004.11. はじめに. 本研究の目的は,非同期型 CSCL 環境を用いた「情報とコンピュータ」における共同制作学習を展開し,その効果を検討することである。 CSCL = Computer Supported Collaborative Learning コンピュータやネットワークに支援された共同学習をさす。CSCLでは主に,電子掲示板、メーリングリストなどの非同期型システムと,チャットやビデオ会議などの同期型システムとが用いられている。.

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非同期型 CSCL 環境を用いた 「情報とコンピュータ」 における共同制作学習の展開

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Presentation Transcript


  1. 非同期型CSCL環境を用いた 「情報とコンピュータ」における共同制作学習の展開 市原靖士・森山 潤・松浦正史 2004.11

  2. はじめに 本研究の目的は,非同期型CSCL環境を用いた「情報とコンピュータ」における共同制作学習を展開し,その効果を検討することである。 CSCL=Computer Supported CollaborativeLearning コンピュータやネットワークに支援された共同学習をさす。CSCLでは主に,電子掲示板、メーリングリストなどの非同期型システムと,チャットやビデオ会議などの同期型システムとが用いられている。

  3. 筆者らは既報において,技術科担当教員のデジタルコンテンツに対する教材としてのニーズを調査した。その結果,担当教員はデジタルコンテンツを一斉指導場面での情報提示や個別指導場面でのデータベースとして利用することを想定しているものの,共同学習場面における利用については具体的なイメージを形成していないことが明らかとなった。筆者らは既報において,技術科担当教員のデジタルコンテンツに対する教材としてのニーズを調査した。その結果,担当教員はデジタルコンテンツを一斉指導場面での情報提示や個別指導場面でのデータベースとして利用することを想定しているものの,共同学習場面における利用については具体的なイメージを形成していないことが明らかとなった。 • そこで本研究では,デジタルコンテンツの共同学習場面での利用を構想し,CSCL環境を用いた「情報とコンピュータ」における題材を開発することにした。 • 具体的には,  ①時間に左右されにくく,簡単なシステムで実現可能な非 同期型CSCL環境を構築  ②同一町内にある隣接する2中学校の生徒同士が「我が町の紹介」のwebページを共同で製作する題材を設定  ③生徒の情報活用実践力等の変化からその効果を検証

  4. 研究のアプローチ 1.CSCL環境の構築 2.被験者への事前調査 レディネス,学習目標志向,情報活用実践力 3.授業実践 4.事後調査 情報活用実践力,学習の振り返り 5.事前事後調査間の伸び,尺度間の関連性  を検討    情報活用実践力の伸び × レディネス,学習目標志向   学習の振り返り × レディネス,学習目標志向

  5. 授業実践の手続き 被験者 滋賀県内M町内の隣接するM中学校2年生15名及びS中学校2年生25名とした。被験者は選択教科「技術」の受講生として本実践に参加した。 システムの構成 PC/AT互換機に,REDHAT Linux 7.2をインストールしたサーバー機1台を中心に,被験者の所属する両中学校のコンピュータ室の端末計40台を使用した。

  6. サーバーシステムの構成 Web作成と情報発信 メインページ BBSの使い方 学習の進め方 ツリー型BBS ファイル共有 指示用BBS

  7. 非同期型CSCL環境

  8. 学習の展開 3種類のデジタルコンテンツを用いて情報発信時の視点,web作成の技法,BBSの使い方と留意点,CSCLを用いた共同学習の進め方について学習した(第1~3時)。  両校共に,クラスをA歴史(年表、史跡、歴史上の人物など)B学校(学校紹介、概況、行事、生徒会、部活紹介など)C地形(川、山、施設など)D伝統産業(かんぴょう、水口祭など)Eその他(上の内容以外のこと)の5グループに分けた。各グループはそれぞれBBSとファイル共有システムを用いて作業を分担しつつ,共同製作を展開した(第4~7時)。  製作の過程で,各グループのBBS上に,外部講師として大学教官が製作途上の作品に対する評価と修正ポイントについてコメントを行った(第6時)。また,作品の完成の後,M中学校校区のM小学校の児童に作品を閲覧させ,コメントを小学校の担当教員が収集・整理した後,各グループのBBSへ外部からの評価としてコメントした(第8時)。

  9. 測定尺度 [事前調査] 生徒のレディネス 生徒のレディネスを把握するために,コンピュータの使用経験や基本的な操作スキルを問う事前調査9項目を準備した。 学習目標志向測度 谷島ら(1994)が作成した学習に対して促進的に作用する目標志向測度(①課題志向,②自己志向③協同志向④競争志向)を準備した。 情報活用実践力尺度  高比良ら(2001)が作成した情報活用の実践力尺度(①収集力②判断力③表現力④処理力⑤創造力⑥発信・伝達力)を5件法にて準備した。

  10. [事後調査] • デジタルコンテンツに対する教材評価尺度 システムに対する生徒の主観的評価として,筆者らが作成した「デジタルコンテンツに対する教材評価尺度」(「コンテンツの構成」因子,「説明の表現」因子,「マルチメディアの表現」因子,及び「ドキュメンテーションの有効性尺度」7項目を準備した。 • 情報活用実践力尺度(事前調査と同じ) • 学習の振りかえり 田浦ら(1996)が作成した「技術科の形成的評価」8項目を準備した。

  11. 有効回答数 結果と考察 有効回答: 25名 有効回答率:62.5% 生徒のレディネス

  12. 授業の様子 分担範囲に対する各自の個別作業 • デジカメの画像 BBSを用いたグループでの共同作業

  13. 生徒のBBSの記録、感想 感想 ・人のかかわりかたが勉強になった     ・bbsでみんなとやりとりをした事が楽しかった     ・HPつくりをもう一回やりたくなった     ・やっているうちにいろんなことがわかった。家でもやってみる。     ・hpつくりでM中の人とはなせたことやftpなどを使ったことが勉強になった     ・M中の人とBBSではなせたことが楽しかった BBS どうも、山田です。ぼくは城山中の行事についてのホームページを作ろうと思います。完成したらぜひ!見てみてください。 木下くんも同じ内容なのでなかみがかぶらないように検討をしてください。やはり、同じく行事の紹介ではデジカメなどの画像があると一目瞭然です。そのあたりを工夫 してください。 僕は、水口の山について調べていきます。まずは、飯道山について調べていきたいです。 僕は身近にある山、城山を調べようと思います。 一つの山について調べるのは、とてもおもしろいと思います。 みんなが知らないことでまた、できれば水口に住んでいない人も見る可能性があるので是非、どんな山か画像でも紹介してください。

  14. トップ 生徒作品 歴史 地形

  15. 外部・教師のアドバイス • 同じ内容の人が何人かいるのでBBS以外でも相談して内容をはっきりわけてください。また、画像(デジカメの写真など)を用意するといいと思います。 • 部活をしているところなどの画像があるといいですね。 • 資料をしっかり集めてがんばってください。 • 一つの山について調べるのは、とてもおもしろいと思います。みんなが知らないことでまた、できれば水口に住んでいない人も見る可能性があるので是非、どんな山か画像でも紹介してください。 • 水口の住宅地とはどんな内容なのでしょうか?なかみがわからない分楽しみでもあります。がんばって調べてみんなが知らないようなことをWebにのせてみてください。

  16. デジタルコンテンツの教材評価尺度 システムに対する生徒の主観的評価 ドキュメンテーションの有効性尺度

  17. デジタルコンテンツの教材評価尺度上位5項目デジタルコンテンツの教材評価尺度上位5項目

  18. 情報活用の実践力の事前事後比較 事前事後の比較の結果「判断力」因子と「処理力」因子において有意な伸びが認められた

  19. 情報活用実践力と学習目標志向との関連性

  20. 学習の振りかえり 学習を振りかえりと学習目標志向との関連性

  21. 学習の振りかえりと生徒のレディネスとの関連性学習の振りかえりと生徒のレディネスとの関連性

  22. まとめと今後の課題    本研究では,非同期型CSCL環境を用いて「情報とコンピュータ」における共同制作学習を試みた。その結果, • 情報活用実践力尺度においては、全体として「処理力」と「判断力」に事前事後間の有意な伸びが認められた。 • 学習目標志向との関連では,協同志向下位群の「表現力」,競争志向上位群の「収集力」,競争志向下位群の「発信・伝達力」がそれぞれ有意に向上した。 • レディネスとの関連では,デジタルカメラ等の利用経験があり,チャット等のコミュニケーション経験のない生徒ほど,本実践に対して好意的・意欲的に取り組んだ。    今後は,同期型CSCL環境を加えた題材の開発と,地理的に離れた学校間での実践可能性についてさらに検討する必要があろう。

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