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JETRO ・日本商会「進出日系企業支援セミナー」. 中国における紛争解決の方法. 講師:趙雪巍 同方律師事務所 TONG FANG LAW OFFICES 200 7年 1 月 19 日 北京. 中国 における紛争解決の方法. 一、 紛争解決総論 二、 紛争解決方法その 1 -訴訟 三、 紛争解決方法その 2 -仲裁 四、 紛争解決方法その 3―ADR. 一、 紛争解決総論. 1 . 紛争の種類
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JETRO・日本商会「進出日系企業支援セミナー」JETRO・日本商会「進出日系企業支援セミナー」 中国における紛争解決の方法 講師:趙雪巍 同方律師事務所 TONG FANG LAW OFFICES 2007年1月19日 北京
中国における紛争解決の方法 • 一、 紛争解決総論 • 二、 紛争解決方法その1-訴訟 • 三、 紛争解決方法その2-仲裁 • 四、 紛争解決方法その3―ADR T&F LAW OFFICES
一、紛争解決総論 • 1.紛争の種類 • 債務不履行当事者間では、何らかの契約関係が存在して、契約上の約定違反から生じた紛争。 例:売買契約上の義務違反問題、合弁契約上の出資義務違反、持分譲渡と制限、労働契約上の経済補助金の支払問題など 。 • 権利侵害当事者間では、何らの直接契約関係がなく、当事者一方の民事上の権利が侵害されることから生じた紛争。例:知的財産権侵害問題 、製品品質問題、セクハラ問題など。 T&F LAW OFFICES
一、紛争解決総論 • 2.紛争発生の原因 • 債務不履行の原因 • 契約書の不備取引条件の不明確、紛争回避条項の欠如など。紛争回避条項としては、所有権保留条項、期限利益喪失条項、弁済充当条項 、契約解除条項 、損害賠償条項 、合意管轄条項 などが挙げられる。 • 権利侵害発生の原因 • 品質管理上の原因、社会的原因、政治的原因、文化的原因など。 • 3.紛争が発生しないための予防策 T&F LAW OFFICES
二、紛争解決方法その1-訴訟 • 1.裁判制度紹介 • 中国の裁判所は基層、中級、高級、最高の4級に分け、日本の簡易、地方、高等、最高の分類と同様。日本の3審制と違って、中国は2審終審制である。中国裁判所の審理期限について、渉外案件を除き、訴訟提起から6ヶ月以内に審理終結するとされる 。 • 2.管轄権 • 裁判管轄管轄権を有する裁判所が複数ある場合、原告か被告によって、意味が違う。 • 合意管轄合意管轄とは、当事者の約定に基づき管轄地が確定されることを意味する。 T&F LAW OFFICES
二、紛争解決方法その1-訴訟 以下の合意管轄条項は有効でしょうか? 例 1 本合弁契約の準拠法は現行有効な中国法とする。本契約の解釈または履行に起因して生じたすべての紛争は訴訟により解決し、合弁企業所在地の中級人民法院に提訴する。 例 2 本合弁契約の準拠法は現行有効な日本法とする。本契約の解釈または履行に起因して生じたすべての紛争は訴訟により解決するとし、管轄裁判所は東京地方裁判所とする。 T&F LAW OFFICES
二、紛争解決方法その1-訴訟 • 3. 訴訟時効中国の時効制度は消滅時効ではなく、訴訟時効である。訴訟時効期間内に債権者が権利を行使しない場合は、勝訴権が消滅する。 • 一般債権の訴訟時効国際貨物売買契約及び技術輸出入契約に係る紛争による訴訟の提起又は仲裁の申請期限 • 訴訟時効の中断事由訴訟の提起、債権者の請求、債務者の承諾など • 債権者の請求証拠を保存する必要性 実例1EMSの郵便配達証明事件(事実内容を省略) EMSの郵便配達証明という書面証拠により時効の中断が認められたケース T&F LAW OFFICES
二、紛争解決方法その1-訴訟 • 4、証拠の重要性訴訟となれば、証拠が判決をすべて左右するといえそう。「客観事実」と「法律事実」が訴訟となれば根本から相違する事実でも、証拠というマジックで、いきなり「有」から「無」に変わる時もある。 実例2 引渡しサイン事件(事実内容を省略) 証拠の重要性について注意喚起するためのもので、債権者が債権を存在する書面証拠がないため、敗訴したケース T&F LAW OFFICES
二、紛争解決方法その1-訴訟 • 5、仮差押(保全) • 証拠保全民事訴訟法第74条では、「証拠が滅失するか、または後から証拠取得が困難となる恐れがある場合、訴訟関係者が裁判所に証拠保全を申し立てることができ、裁判所は自発的に証拠保全措置を講ずることもできる」とされる。しかし、実務上は訴え提起前、また訴訟中に証拠保全請求が裁判官に認められ、迅速に保全措置を講じてくれることが非常に困難である。 T&F LAW OFFICES
二、紛争解決方法その1-訴訟 • 財産保全関連財産が移転、隠蔽、毀損される恐れがあり、これによって、利害関係者の権益が損害を受けるか、または裁判所の将来の判決の執行が困難または不可能になる恐れがある場合に、当事者の申請によるか、もしくは裁判所の決定により、関連資産に保全措置をとること。 • 訴訟前の財産保全は一定の条件がある。実質的条件は、利害関係者と第三者の間の争いに法的関係にある財産が緊急状態にあり、直ちに財産保全措置をとらないと利害関係者の合法的権益は回復できない損害を蒙る現実的な危険性があるとされる。 手続き的条件は、利害関係者が財産所在地の裁判所に申し立てを提出し、且つ担保を提供しなければならない。 • 担保の金額は仮差押財産金額に相当する金額が要求される。 T&F LAW OFFICES
三、紛争解決方法その2-仲裁 • 1、仲裁制度の紹介 • 中国の主な渉外商事仲裁機関は、「国際経済貿易仲裁委員会」(英語の略称「CIETAC」) があり 、分会は、北京、上海及びシンセンにある。 • 中国の渉外商事仲裁事項は主に、「仲裁法」及び国際経済貿易仲裁委員会が制定した仲裁規則により行われる。 • 「仲裁法」の採決及び仲裁制度の整備 • 仲裁の特徴快速、柔軟、非公開、公正、権威 T&F LAW OFFICES
三、紛争解決方法その2-仲裁 • 2、仲裁合意 • 仲裁合意の達成仲裁機関が仲裁申立を受理する条件として、当事者間に有効な仲裁合意が存在することが要求されている。 • 差し違え仲裁条項の約定 契約の当事者は中国側と日本側である場合、中国側が仲裁を申立てるときは、日本商事仲裁協会に申立、日本側が申立てるときは、中国のCIETACに申立てるという条項は例の一つとして挙げられる。 • 仲裁合意条項の独立性契約の変更、解除、終了または無効及び存在するかどうかは、いずれも仲裁合意の効力に影響しない。 T&F LAW OFFICES
三、紛争解決方法その2-仲裁 • 仲裁合意の形式書面方式でなされなければならない。書面方式とは、電報、テレックス、ファクシミリ、電子データ交換及び電子メールなどが含まれる。 • 仲裁合意の内容 • 仲裁を申し立てる明確な意思表示 • 仲裁事項の範囲 • 明確に指定した仲裁機関 実例3 (事実内容を省略) 合意された仲裁委員会は存在しないとき、仲裁合意は必ず無効とされるわけでもない。 T&F LAW OFFICES
三、紛争解決方法その2-仲裁 • 3、仲裁と裁判の一般的比較 • 仲裁のメリット • 専門知識を有するものを仲裁員に選任できる • 非公開のため、秘密を保持できる • 手続きが簡単である • 仲裁判断の執行が比較的容易である • 一審終審 • 仲裁のデメリット T&F LAW OFFICES
三、紛争解決方法その2-仲裁 • 4、仲裁判断の執行問題 • 「外国の仲裁判断の承認及び執行に関する条約(ニューヨーク条約)」により、条約加盟国でなされた仲裁判断は、他の加盟国でも承認されて執行されることとなっている。外国の裁判所の判決が中国で執行することはきわめて困難であるのに比べると、外国企業にとっての最大な利点である。 • 中国の民事訴訟法では、被申立人の住所地または財産所在地の中級人民法院に執行を申立てなければならないとされる。 実例4 (事実内容を省略)裁判での法律規定の限界を挑戦するより、仲裁を活用する。 T&F LAW OFFICES
四、紛争解決方法その3―ADR • 1、日本ADR制度の紹介 • 日本ADRの分類 • 司法型裁判所内で行う 。 • 行政型独立の行政委員会や行政機関などが行う。 • 民間型弁護士会、消費者団体、業界団体などが運営する。 T&F LAW OFFICES
四、紛争解決方法その3―ADR • 「裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律」(ADR法といわれる) • 裁判外紛争解決手続として、民間事業者の行う和解の仲介(調停、あっせん)の業務を認めた。 • その和解の仲介業務の適正さを確保するための一定の要件に適合していることを法務大臣が認証する制度を設けた。 • 認証を受けた民間事業者の和解の仲介の業務については、時効の中断、訴訟手続の中止等の特別の効果が与えられた。 T&F LAW OFFICES
四、紛争解決方法その3―ADR • 2、中国のADR制度 • ① 消費者協会による調解 • 協会の性質中国消費者協会の定款によると、中国消費者協会が国家法律に定められ、国務院の批准を得て設立し、消費者権益保護を目的とする社会団体とされる。 • 協会の構成協会は理事制度を実施し、政府部門、団体、マスコミ及び省などの地方協会から推薦される理事による構成される。 T&F LAW OFFICES
四、紛争解決方法その3―ADR • 協会の権限 • 消費者に対して消費情報と相談サービスを提供する。 • 行政部門の商品とサービスに対する監督、検査に参与する。 • 消費者の合法権益問題につき、行政部門に陳情し、諮問し、助言を提出する。 • 消費者の苦情を受理し、苦情案件について調査し、調解する。 • 苦情が商品とサービスの品質問題に関する場合、鑑定部門に鑑定を委託することができる 。 • 消費者権益損害行為について、消費者の提訴を支持する。 • 消費者権益損害行為について、マスコミを通じて問題公表、批判することができる。 T&F LAW OFFICES
四、紛争解決方法その3―ADR • 協会による調解 • 協会の業務が消費者の苦情を受理し、苦情案件について調査し、調解することである。 • 本来、消費者協会による調解は、消費者が消費者協会に申し入れ、企業側が調解に同意した場合は、消費者協会は第三者として調解を行い、紛争解決に当たると理解されるが、協会の調解が最近消費者の代わりに企業と交渉するような傾向が見受けられる。 T&F LAW OFFICES
四、紛争解決方法その3―ADR • 実例6JAL事件(事実内容を省略) 中国消費者協会の立会いにより、和解が設立し、事件が落着た成功な例。 実例5 比較テストの判例 (事実内容を省略)無知な騒ぎとして一蹴されることを回避するため、中国消費者協会の法的機能を十分に理解する。 実例7 デジカメ事件 (事実内容を省略)中国消費者強化から突然に連絡がきたとき、すぐに対応体制ができることは肝心です。また、態度にも注意する必要がある。 T&F LAW OFFICES
四、紛争解決方法その3―ADR • ②労働仲裁 • 仲裁範囲 • 企業が従業員を解雇、除名、辞退、従業員が辞職、自動退職により生じた紛争 • 給料、保険、福利、訓練、労働保護規定を執行する際に生じ紛争 • 労働契約の履行により生じた紛争 • 特徴 • 労働仲裁は訴訟提起の必須条件とされる。 • 労働仲裁への申し立ては、当事者間の事前合意を必要としない。 • 行政主導 • 労働仲裁は終局的ではない。 T&F LAW OFFICES
四、紛争解決方法その3―ADR • 労働仲裁の問題点 • 時効労働紛争発生日から60日以内労働紛争発生日の起算時効の中断中止 • 仲裁の範囲が狭いレイオフ問題、事実的労働関係が受理されない。 • 期間が長い 仲裁+訴訟の法定手続きについて、最終確定判決が出るまではかなり時間がかかる。 • 反訴が認められない。 T&F LAW OFFICES
四、紛争解決方法その3―ADR • 3、行政機関による紛争解決 実例8 行政処罰と裁判所による強制執行 (事実内容を省略)行政部門の行政処罰権が発動されたときどう対応すべきか? コメント行政紛争の解決方法は主に行政異議申し立て及び行政訴訟がある。 • 異議があれば、処罰決定書受領後60日以内に、行政異議申し立てを行うことができる。行政異議申し立て後、なお不服がある場合、行政異議申し立て決定書受領日から15日以内に人民法院に訴えを提起することができる。 • 処罰決定書受領後3ヶ月以内に直接に行政部門を相手取って行政訴訟を提起することができる。 T&F LAW OFFICES
四、紛争解決方法その3―ADR • 4、浙江省工商局の取締り嵐について 実例9 浙江省工商局の取締り(事実内容を省略)外国企業有名ブランド商品の製品品質を問題に、販売差し止めなど強権的に取り締まった事件。 事件背景 この事件の背後にはいくつかの背景が考えられる。 • 浙江省は民間企業の力が経済力だけではなく、政府や政治にも十分浸透しており、多大な影響力を保有している。 • 輸出高が多い浙江省の民間企業は WTO加盟後、さらに対外輸出が拡大される期待の中、外国のアンチダンピング、紡績品の割り当て輸出制限などで輸出が期待のように進まなかった 。 • 経済のグローバル化が図られる中、中国も製品スタンダードに言語権を確保しなければ、国益のためにならないことを目覚めた。 T&F LAW OFFICES
四、紛争解決方法その3―ADR • 5、紛争解決における留意ポイント • 紛争真相の解明なるべく相手の真意を探りだし、早く紛争発生原因を究明する。 • 社内対応体制社内がしっかりした対応チームなどを決め、交渉の全貌と進捗状況を把握して、分析する。 • 全般配慮事件そのものばかり気取られるのではなく、事件以外の要素を十分に配慮する。 • 弁護士起用早いタイミングで弁護士とタイアップして、弁護士から専門的な分析や助言をもらう。 T&F LAW OFFICES
同方律師事務所 TONG FANG LAW OFFICES 趙 雪 巍 1986年北京大学法学部卒業、中国大連中級人民法院4年間裁判官業務。1990年日本留学、1995年東京都立大学民法学修士課程修了、日本テレコム株式会社国際通信事業部3年間勤務、1998年から日本の大手渉外法律事務所に約5年間外国法アドバイザーとして弁護士業務。現在、同方律師事務所の高級パートナー、瀋陽、北京、上海及び大連事務所からなる日本企業法務グループのリーダーを務める。中日友好協会理事など。
北京 中国北京市朝陽区建国門外大街26号長富宮弁公楼2階 (〒100022) TEL: (8610)6512-2100 FAX: (8610)6512-2133 上海 中国上海市浦東新区陸家嘴環路1000号HSBC大厦18階 (〒200120) TEL: (8621)6841-1626 FAX: (8621)6841-1636 瀋陽 中国遼寧省瀋陽市和平区中山路111号亜洲商務貿易中心5階(〒110001) TEL: (8624)8270-5555 FAX: (8624)6210-1610 大連 中国遼寧省大連市中山区港湾街7号時代大厦2202室 (〒116011) TEL: (86411)8279-8919 FAX: (86411)8279-8929 同方律師事務所 TONG FANG LAW OFFICES 急速に変化する中国経済社会の中で、日本企業が直面する法律問題に取り組む。日々移り変わる情勢にすばやく対応するだけでなく、問題発生の予防対策に尽力し、的確かつ積極的な訴訟予防対策、危機管理対策等を提供する。現在企業が最も必要とする多極的な法務問題処理対策を目指し、企業の側に立ったきめ細やかな総合的法務サービスの提供を実現するために日々努力する。2005年5月に「全国優秀律師事務所」に表彰された。
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