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#1815 東北地方太平洋沖地震発生域周辺における地震前すべり欠損レートの再検討 京都大学防災研究所 (福島 洋・飯尾能久) with contributions from 橋本学・ Paul Segall ・松澤暢・佐藤まりこ・千葉慶太・深畑幸俊. 要旨 本課題では、 2011 年東北地方太平洋沖地震発生前の応力蓄積過程の詳しい理解を目指し、1) すべり欠損がどのように蓄積してきたか?2)すべり欠損レートの時空間的特徴と地震時すべり分布との関係は?3)応力場や強度について何が言えるか?といった疑問に取り組んでいる。
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#1815 東北地方太平洋沖地震発生域周辺における地震前すべり欠損レートの再検討#1815 東北地方太平洋沖地震発生域周辺における地震前すべり欠損レートの再検討 京都大学防災研究所 (福島 洋・飯尾能久) with contributions from 橋本学・Paul Segall・松澤暢・佐藤まりこ・千葉慶太・深畑幸俊 要旨 本課題では、2011年東北地方太平洋沖地震発生前の応力蓄積過程の詳しい理解を目指し、1)すべり欠損がどのように蓄積してきたか?2)すべり欠損レートの時空間的特徴と地震時すべり分布との関係は?3)応力場や強度について何が言えるか?といった疑問に取り組んでいる。 テーマ1:過去100年の「日本の地殻水平歪図」と近年のGPSによる水平歪の比較 国土地理院が公表している歪データとGPSから計算される歪について、太平洋プレートと上盤側プレートの固着度合いに敏感なせん断歪成分で比較したところ、東北・北関東の水平歪レート(すなわちプレート間固着度合い)はここ120年間であまり変わっていなかったことが示唆された。 テーマ2:海底地殻変動とプレート間固着率 カップリング状況を明らかにする上で決定的に重要なデータである、海上保安庁水路部によるGPS音響結合の海底地殻変動観測データを注意深く解析したところ、宮城沖1,2付近において、ほぼ100%のすべり欠損レートが推定された。 テーマ3:東北地震のすべり域下端付近の地震前すべり欠損・地震時&余効すべり・強度の関係 余震メカニズム解の解析から、東北地震のすべり域下端付近の強度が小さく(5MPa程度以下)、より深部の余効すべり域の強度はある程度大きい(5MPa程度以上)ことが示唆される。 テーマ1:過去100年の「日本の地殻水平歪図」と近年のGPSによる水平歪の比較 γ1=ε11-ε22 ε11>>ε22なので、γ1≒ε11と考えてよい。 「100年の歪」に関しては、テンソル計算からγ1を算出し、期間中に起こった地震について補正。GPSに関しては、変位を三角点に補間し、各三角形でγ1を計算。 「100年の歪」(左)は、東西短縮より南北伸長が目立つ。GPSデータ(右) は、東西短縮を示す。方針:スケール誤差に依存しないせん断歪γ1で比較。 よく似ている∴東北地震前120年間のすべり欠損に大きな時間変化なし ※この研究は、JST J-RAPIDプロジェクトと協同で行われたものです(共同研究者:橋本学・Paul Segall)。また、国土地理院のデータを使用させていただきました。 テーマ2:海底地殻変動とプレート間固着率 Fit case1 2005年宮城県沖までの トレンドを使用 Fit case2 後半のトレンドを使用 定常的な変位速度 (cm/年 EUR) MYG2 MYG1 FUKU case2 6.6 5.7 4.1 - 4.9-6.4 - 余効変動 (cm) 2005/8/16 MYG2 MYG1 FUKU EW NS EW NS EW NS 10 -4 5 -5 4 0 余効変動 (cm) 2008/7/19 MYG2 MYG1 FUKU EW NS EW NS EW NS 3 0 0 0 13 0 定常的な変位速度 (cm/年 EUR) MYG2 MYG1 FUKU Case15.7 7.6 4.1 5.4-6.0 6.7-8.5 - 余効変動 (cm) 2005/8/16 MYG2 MYG1 FUKU EW NS EW NS EW NS 11 -5 10 -4 4 0 余効変動 (cm) 2008/7/19 MYG2 MYG1 FUKU EW NS EW NS EW NS 0 0 3 -3 13 0 MYG2 EWを除いて,case1より傾きがゆるい.より急な方が確からしいと考えられる. (海上保安庁 予知連資料) 2005/8/16の宮城沖の地震および2008/7/19の福島沖の地震について、陸域GPSと海底地殻変動のデータは整合的であり、海底地殻変動は問題なく測定されていると考えられる。陸域GPSからも見えていたように、宮城沖1,2付近が100%固着していたのは間違いなさそうである。しかし、海溝付近はより海溝に近いデータを解析しないとわからない。 ※この研究は、松澤暢氏・佐藤まりこ氏と共同で行われました。 テーマ3:東北地震のすべり域下端付近の地震前すべり欠損・地震時&余効すべり・強度の関係 宮城沖のP軸分布 3.11前 3.11後 地震前後に大きな変化 (地震時応力変化に整合的) 上:左のすべり分布モデルによる応力変化。大局的なP軸分布を説明。すべり域下端付近で変位勾配を若干変えても可。 ・最大偏差主応力…黒、・中間偏差主応力…緑(圧縮)、青(伸張)、・最小偏差主応力…赤 3.11の地震すべり域下端付近に 逆断層型(共通に現れる) 地震時すべり域の下端付近では、3.11後のP軸分布が地震時すべりによる応力変化と整合的である →地震時すべり域の強度は小さい さらに深部では、余効すべりの影響まで考えると、すべりによる応力変化とP軸のプランジ角は非整合的である。この領域は、5MPa程度以上の初期偏差応力を加えると、P軸のプランジ角をよく説明することができる →深部余効すべり域の強度は大きい(5MPa程度以上) 初期応力を深部に加えると(黒線・緑線)、P軸と 最大偏差主応力のプランジ角の整合性が向上 ※この研究は、千葉慶太氏・深畑幸俊氏と共同で行われました。