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対流圏(普通)の気象との対比をおこないながら講義をおこなう。 対流圏は水に絡んだ条件不安定<−>成層圏は安定大気 という違いか 鉛直方向に安定大気 — >地球大気に対しての壁的な役割か? ( Eady の傾圧不安定問題では剛体の壁になっている ) 地球大気ではオゾン層があること — >太陽放射が直接に影響し 対流圏とは異なる独自の風系をなしている。 キーワードを歴史的に: 成層圏(等温層があること)の発見は 1902 年 1930 年: Chapman によるオゾン層生成の理論 1952 年:突然昇温の発見
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対流圏(普通)の気象との対比をおこないながら講義をおこなう。対流圏(普通)の気象との対比をおこないながら講義をおこなう。 対流圏は水に絡んだ条件不安定<−>成層圏は安定大気 という違いか 鉛直方向に安定大気 —>地球大気に対しての壁的な役割か? ( Eadyの傾圧不安定問題では剛体の壁になっている ) 地球大気ではオゾン層があること—>太陽放射が直接に影響し 対流圏とは異なる独自の風系をなしている。キーワードを歴史的に: 成層圏(等温層があること)の発見は 1902 年 1930年:Chapmanによるオゾン層生成の理論 1952年:突然昇温の発見 力学:1961年のCharney and Drazin、対流圏から成層圏へ 重力波の中間圏での作用は1981年頃から 南極オゾンホールの発見は1984年頃 近年:圏界面あたりや中間圏の議論 新進の大学士たちは気圏のいちばんの上層 きらびやかな氷窒素のあたりから すてきな化石を発掘したり −宮沢賢治− 1章: 基礎方程式と場の形- 時間の相も含めて気象を眺めるための道具- 対流圏とおなじ流体の運動方程式をつかう(分子の平均自由行程Lが連続体の仮定が成り立つくらい短い) ー> L ∝1/nσ 分子の断面積σ=10—16 cm2 程度、n は数密度 p=nkT、1気圧≒106dyn/cm2 k=1.38x10—16 、 T=200K (mesopause付近) 、p=1 dyn/cm2 (100km程度の高度)とするとn≒4x1013程度となり、nσ=4x10—3の逆数=250cmの程度より大きいスケールなら流体としてよいであろう。 さらに熱力学の式(局所熱力学平衡の仮定)とあわせて議論される。 大気物理学IV —中層大気(成層圏・中間圏)の気象学— 2003年9月11日のオゾンホール(全オゾンの分布)
出発点として:種々の物理量の場の形をみる。 出発点として:種々の物理量の場の形をみる。 —>大気のありようを眺めること(対流圏から—> 中層大気にひろげること) —>ここでは(特に流体の)方程式による解釈という方法を用いて現象を理解したい 対流圏の対流とか低気圧 ー> 対応したものとしての波動とその非線形性 2章: 成層圏の成り立ち ー—放射について若干のはなし 放射伝達やNewton冷却について ある部分は放射的に決まること 3章: 東西平均した成層圏のありよう 南北の温度構造など—>成層圏特有の風が吹いている 大循環の整理と問題点 < —オゾンの大気加熱と赤外放射 赤道域と中高緯度の違い—>赤道はコリオリ=0、中緯度は年振動が卓越で違いの説明 —>実際は東西に非—様な場であること=重力波および惑星波動のような擾乱が重要であること 4章: 重力波 成層圏は基本的には安定成層で、対流圏からの波の鉛直伝播が大事 観測例と比較しながら波の様子をながめる 赤道波について(コリオリ=0だからスケールの大きな波も重力波として振舞える部分) 5章: 波の生成やシアーの中の重力波および臨界層(風速=波の水平位相速度) 6章: 波の平均場への作用 —>大循環への役割としての準2年振動(QBO)の話しや波のbreakingによる弱風層
7章: 中/高緯度でのRossby 波(大規模な波動)について 8章: 不安定擾乱について 成層圏中の傾圧不安定、慣性不安定、Kelvin-Helmholtz不安定 成層圏内の対流不安定 など 9章: 惑星波の作用(はたらき)や突然昇温、対流圏/成層圏結合などについて 10章: 局所的な問題をいくつか 11章: 物質循環流体粒子の運動について(ラグランジュ的な見方) オゾンにからんだものの輸送 物質分布について 12章: 成層圏オゾン化学や太陽放射の応答など
あヽいヽな せいせいするな風が吹くし-宮沢賢治-あヽいヽな せいせいするな風が吹くし-宮沢賢治- 第1章:基礎方程式と場の形 -時間の相も含めて気象を眺めるための道具- −> 夏季の海面気圧場(hPa)を示す、高気圧や低気圧が場として表現 1−1:基礎方程式 運動にからむ基礎方程式を述べることにします。詳しくはHolton の An Introduction to Dynamic Meteorology等を参照。ここでは,式だけ書いておきます.前に述べたように中層大気も連続体近似として、流体力学の方程式によって流体の運動を議論します。 基本の式が数個と言うのは気持ちがいい? <−>水や化学成分をあつかうと個々の物質の連続の式が成分として増えていく(個々の物質が運動でも決まる). ー>大気を連続媒体と見なして場の変化の方程式を作る。そこでは,大気の運動を表す流体の速度が必要である。これは v = v ( x, y, z, t )と表され、場の関数である。さらに2つの熱力学量が必要である。例えば圧力 p = p ( x, y, z, t )と密度 ρ = ρ( x, y, z, t )が必要である。この5つの量で流体の状態は完全に決定されると書いてある。それで例えば温度 T = T ( x, y, z, t )は状態方程式から決まる。 中層大気までは空気はよくまざっていて、1つの密度(または温度)、圧力でいいであろう。 ー>オゾンなどは別にあらわす。 2002年9月25日の全オゾン分布 大気化学成分の1つであるオゾンなども場の関数として現すとわかりやすいかも? 2002年は変動パターンが普段と異なる
大気は浅い 連続の方程式は質量の保存則を述べたもの。すなわち、ある体積中(固定)の流体の質量 ρdV の単位時間あたりの変化はその体積中に流れこむ(又は流れでる)質量流速に等しい。場の量の式で表すと、 (1) 基本方程式: <ー これをつかって説明すること 運動方程式は種々の近似をして以下のようになる。 は流体粒子に: (2) (3) (4) 理想気体(大気)の状態方程式、 R = 287 J / kg / K (5) 熱力学の方程式: 気象学では種々の非断熱過程(例えば潜熱放出や放射による)が重要である (5) (6) 断熱運動では温位が保存される。cpは定圧比熱( = 1004 J / kg / K ) 変形して-> これらが流れについての基礎方程式である.非線形の方程式なので、直接解くときは数値計算をする。線形的な理解は後で。 現状の大気大循環モデルでは(4)を静力学平衡 にして、式を解いている。
水平Scaleが10km程度の対流や内部重力波については鉛直方向の加速度もきちんと考慮した方程式で議論するが、数10km程度以上では基本場といわず擾乱についても静力学平衡の式をつかう。擾乱についても静力学平衡がなりたつ時には,よく圧力座標が用いられるので,式を書いておく.圧力が高さの1価関数で、運動を議論するときに圧力を鉛直座標として議論する。むしろ等圧面で観測されるから? 水平Scaleが10km程度の対流や内部重力波については鉛直方向の加速度もきちんと考慮した方程式で議論するが、数10km程度以上では基本場といわず擾乱についても静力学平衡の式をつかう。擾乱についても静力学平衡がなりたつ時には,よく圧力座標が用いられるので,式を書いておく.圧力が高さの1価関数で、運動を議論するときに圧力を鉛直座標として議論する。むしろ等圧面で観測されるから? p−座標系における運動方程式: Log-p座標系での運動方程式:対流圏のみの議論ではp−座標系がよく用いられる。しかし成層圏まで含めて議論するときは有限の範囲に閉じ込めた p−座標系では成層圏はわかりにくい。(このことについての議論は松野・島崎の教科書参照)。圧力は高さに対して近似的に exp 的に減少するので次のような log-p座標系を導入するのが都合がよいだろう。 ここでp0は基準圧力(1000mb=100kPaにとる)、H = R T0 / g で T0は全球平均の温度である。 講義での、かなりの議論はこの式の変形に基づいておこなう
普通の流体力学と比較して、気象の流体力学(気象力学)ではコリオリの項と重力の項が重要。普通の流体力学と比較して、気象の流体力学(気象力学)ではコリオリの項と重力の項が重要。 方程式が表している例として: ゆっくり時間変化する地衡風(高気圧、低気圧):前の式で時間微分等の部分を落とすと、 y方向の上式と図(では上の方がyが増加するとする)の対応をみてみよう。 yが増加するにつれ圧力は減少しているので、右辺は正に対応する(図の気圧傾度力)。一方 f は正で図によると東(xの正方向)に風が吹いており、つじつまがあい、風速として地衡風バランスで値が決まる。 9000m y 1971-90年平均の1月の300hPa等圧面高度(中緯度が相対的に高気圧で極域が低圧となっている)、図中の数値がΦの値である。 x 地衡風の時間的変化は次のorderの話しになるー>7章の準地衡風運動 北半球
d 方程式が表している別例として: 重力が重要な役割をはたしているものに、対流がある。 2次元の対流を表す式(線形の式): 基本の温度場と対流(運動)の様子 運動なし がある値を超えると対流(運動)が発生 右辺2項が浮力 下の方が基本温度が大きいと、 ある条件のもとで、粘性に打ち勝って運動(対流)がおこることになる。 ベナール対流の実験
Fの例:分子粘性は鉛直方向に働くとして、のような形である。Fの例:分子粘性は鉛直方向に働くとして、のような形である。 粘性について: 慣性項と粘性項の比がレイノルズ数 Rである。 粘性係数は地表付近の大気では 1.5x10(-5) m2/sなので、U=1m/s L=1kmと仮定すると、レイノルズ数は108のオーダーで、大きな値である。 ー>分子粘性は普通は議論しない。 右図は渦による粘性係数である(非線形項を粘性の形にして議論) 図の各々の言葉は卓越する運動をしめす <ー 1つの例として渦粘性係数が重力波から導かれる話は8章で 分子粘性は上層(100km以上の高度)または、スケールの小さい現象で大事になる。 雨滴のストークスの法則など
方法の整理: 大気の運動現象は流体力学の方程式にしたがう。例えば、 1。上の式を線形の方程式にすれば理解しやすいし、処理も容易である。ー>プロセス研究 2。非線形の効果は線形方程式の次のオーダーとしてやってみる。 3。直接、非線形の方程式を数値的に計算する 4。観測および観測結果を解析する方法 300hPa等圧面高度 Φ ここでは、 3の最近の数値実験の結果や4の解析結果も述べるが、 1とか2の話し(どんなふうに理解するか)が主になる、、、
式なども使いながら、大気の基本的な構造を見ておく 式なども使いながら、大気の基本的な構造を見ておく 構造 <ー それに関わる現象 大気の形態について 成層した大気 —> 成層圏 対流がある —> 対流圏 オゾン —> オゾン層 図は、圧力,密度、および温度で、地球の標準大気と呼ばれる平均的な鉛直構造を示している. 圧力p,密度ρについて高さとともに exp(-z/H)的に減少 静力学平衡と理想気体から —>密度は成層圏においては薄くなる—>擾乱の速度の振幅が大になる 鉛直伝播可能な波のときは、擾乱の振幅は のようになる。ここで、Hはスケールハイト、mはある実数で、擾乱の速度はexp的に大きくなる 波に伴う温度の振幅も同様に大—>波が壊れるようになる (8章で詳しい議論) ( dT’/dzが大きくなり、対流の条件である乾燥断熱減率をこえる ) 高度 1−2:基本場の形(まずは鉛直的構造)といくつかの式 中間圏 成層圏 対流圏
地表は約290Kになっていて,それから温度勾配は約6.5K/km程度でー様に減少 <ー 対流圏この領域ではよく対流が起こる <ー約10kmまで(全球平均で) 熱帯域では16kmくらいまで高度とともに線形的に減少している T(z)=T(0)−Γz —>この式(1次元)は、熱帯対流圏の高度を決めるときに使われる(Held, 1980) 10〜20kmはほぼ等温的な層になっている.そこらあたりからを成層圏と呼ぶ. 対流圏と成層圏の境界は対流圏界面と呼ばれる。2℃/km以下の温度減率がおこる最低のlevelが対流圏界面:極域では約9km,赤道域では約16km.緯度により高度が異なることー>それぞれのでき方の問題
d 流体粒子の圧力変化と密度変化の関係は 浮力振動数:対流圏と成層圏の違い 基本的な運動形態の1つである対流不安定にからんで述べる。 z = 0 z パーセル法(粒子を動かしてみる方法)をつかう とかかれる。 このとき、流体粒子の圧力変化はまわりの流体の圧力となじみながら変化すると仮定する。(運動方程式を使ったきちんとした議論(変位することでまわりに流れが生じる)は別章で議論する。) 基本状態として大気は静力学平衡にあるとする。そのときの基本状態は高さだけの関数であるとしよう。 今、任意の高さにある流体粒子を考える(その高さをz=0とする)。その密度は rである。この粒子が何かの理由で僅かに鉛直方向に変位したとする。その変位を とする。 この時、変位した流体粒子の密度変化を drとする。流体粒子の変化を断熱的と仮定し、流体粒子の圧力変化をdpとすると断熱運動として、熱力学の式から そうすると流体粒子の圧力変化 dpはまわりの圧力変化になるから以下のようにかかれる。 次にまわりの大気の密度変化 を考えよう。 理想気体の状態方程式を使うとまわりの大気の密度変化は圧力と温度を用いると、 となる。
d このとき密度差による浮力は gdなので運動方程式は以下のようになる。(dが流体粒子の密度変化で重ければ下向き) z = 0 z 静力学平衡の式と理想気体の状態方程式を用いて上式を変形すると、 となる。これは鉛直変位に関しての単振動の方程式である。ここで温位の定義式を思い出すと 観測で評価された浮力振動数の値の図:対流圏と成層圏の値で、上が成層圏で下が対流圏、成層圏の方が値が大きい。Tsuda et al., JGR, 1991 又は次のようにかかれる。 水を考慮しなければ、対流圏は安定大気である N2>0のときは流体粒子は原点のまわりを振動し(大気は安定である)、まわりの大気には波がたつ。N2<0のときは変位した流体粒子は時間的にexponential的に大きくなる。このときは大気が不安定(対流不安定)であることを示している。 成層圏は安定な大気 ー>振動する ー>その振動が空間的に広がる波動が重要となる
波動 基本状態を南北にも広げてみてみる 緯度/高度を決めて,東西方向に地球を—周した平均の図:93年の1月の平均を示す。 実線が温位を、点線が温度である。 これには温位θが描いてある.緯度で異なる対流圏の高さものっている。 圏界面 図から想像できるように、 は成層圏で大きい(より安定)。 結果としての対流圏/成層圏の区分としての概念図 <–物理過程がのっている。熱帯域と中高緯度とは力学過程が異なる様相 物理的には温位の方が力学的に断熱で保存則をみたす点で重要かー> 力学を考えると 断熱運動のとき、 とすれば流体は等温位面を動くであろう。図 ー>中緯度で対流圏と成層圏がcrossしている。 一方、熱帯対流圏では が重要 Holton et al. (1995, Rev. Geophys.)から
前の式から中立の大気(N=0)ではdT/dz=−cp/g= − Γdとなる。—> 値を評価するcp=1004J/kgKを使うと =9.8K/km1kmあがると9.8K下がる大気を断熱大気という.運動は断熱的に起こるとして、乱流でよく混ざるであろう(上の変位の式で復元力=0) 例:夏のあつい時の地面付近がこのようになっている。図:東京の例を示す(甲斐他、天気、1995)
結果としての全球雨分布例: 熱帯域は対流がさかんで降雨がおおいことがみてとれる。上が観測で下は大循環モデル結果、Hack et al., 1998, J. Climate、約2.8度(〜300km)おきに計算されたもの、6月-8月で平均したものである->熱帯対流圏は潜熱放出( の1部)が大事になっている。 水対流が熱帯対流圏大気の温度構造を決めているよう 1−3:熱帯対流圏界面の高さに関して ● 対流自身はスケールが小さいこと 衛星から撮影した写真の積雲群(大気対流の科学) 気象学のある部分はこの対流を議論する.またこの対流は水を含んでいるから,普通の物理の流体力学でやる対流とは少し異なる方法でおこなう(水を含む対流) 個々の対流やメソ現象の数値実験も多く行われている。 1kmメッシュで全球GCMになるのだろう。
から 熱帯対流圏は水対流が重要:水蒸気の効果を簡単に 静力学平衡の式とを使い、全微分を鉛直微分に置き換えると(鉛直方向の様子をみたい) 水蒸気の凝結熱で乾燥大気のエネルギ−が変化するとき、単位質量あたりをかんがえると、熱力学の式は(左辺が非断熱加熱) moist adiabatic lapse rateとよぶ. 表:—> 地球の対流圏での平均的温度構造は乾燥断熱減率より湿潤に近いと思われる。高温多湿では 4K/km程度 は飽和水蒸気の混合比である. Lは水蒸気の凝結熱で2.5x10(6)J/kg(ゼロ℃で) まとめると ここで e は水蒸気圧 これを使うと
熱帯圏界面の高さ:<ー水蒸気凝結の非断熱加熱から熱帯圏界面の高さ:<ー水蒸気凝結の非断熱加熱から 水蒸気の入った大気で以下の式が近似的になりたつ。 は飽和湿潤静的エネルギ−とよばれる. ( は乾燥静的エネルギーと呼ばれる) ★Held(1982, J. Atmos. Sci.)による1つの話し: の式を導いた.この式をもとに熱帯域の圏界面の高さを見積もる. 保存的な量を用いた鉛直方向のみの議論 運動が陽にでてこず、平衡状態の議論である 月平均の観測されている半球水蒸気分布(質量混合比)
上の式がなりたつとして,tropopauseの高さでは水はないとすると,上の式がなりたつとして,tropopauseの高さでは水はないとすると, 下端の→ ←圏界面では Tはz=0の温度で,大気温度はの割合で減少するとしよう.高度の式として 2.5x10(6)x2x10(-2)/10(3)/3.3=15 km となる.L=2.5x106, =2x10−2=20g/1kg程度, =6.5K/kmとする z=15kmとなり,そこそこの数値にはなる。(ただし、結果を使った議論である) 大循環モデル(Thuburn and Craig, 1997, J.A.S.)では表面温度につよく依存と書いてある。(矛盾はしない) 中緯度は が半分?とすれば,8km程度の高さにはなる(右図の実線で低い)。 →ただ、中緯度では傾圧不安定のPotential Vorticity 一様の力学が重要と言われている。ー>8章の不安定問題 <-ただし、tropopuaseあたりはそうなっていないが(Thuburn and Craig, 1997) 湿潤対流による高度 傾圧不安定による高度
前節では、鉛直1次元の時間を陽に表さない議論をした。実際は運動を伴いながら、構造が決定されるであろう。前節では、鉛直1次元の時間を陽に表さない議論をした。実際は運動を伴いながら、構造が決定されるであろう。 この講義では成層圏の運動形態(水平方向にも広がる)をどんなふうに理解するかをおもに議論する。それを表す1つの方法論をここで準備しておく。 いつか巨大な配電盤は交通地図の模型と変じ --宮沢賢治 1−4:1つの方法(角運動量的にみる?)、東西平均をして物事を眺めることー>高度緯度の2次元的理解と、残ったモノの理解(大気全体をみる一番簡単な方法であろう?) を用いて東西方向の運動方程式を変形すると、 運動量フラックスの形 大循環の運動は3次元の運動であるが、成層圏の気象力学でよく使われる 東西方向の運動方程式は、 のようであった。この式で球の効果を無視すると、 となる。連続の式 この図も東西平均した温度である
物理量を f(x)を周期2Lの周期関数として、 (フーリエ分解的に見れば、直流成分+sin(kx)みたいな分離) のようにする。 over-barの東西平均量は東西に一様であり、南北、高度、時間の関数となる。 Primeはそれからのずれを示す。 これらを上の運動方程式に代入すると、 この式に、さらにover-barなる東西平均の操作をほどこす。このとき、primeとover-barの積の項を平均操作するとゼロ。結果として のような式を使って議論される。Prime量が東西に非一様な擾乱で、それが相関として東西平均量に影響をおよぼすであろうことを示している。数学的にみれば、方程式が非線形のためにこのようなことが起こる: sin2kx=(1-cos2kx)/2 を平均して直流成分がでてくる 冬(上図)と夏の東西平均した東西風の緯度高度分布図 ー> 東西平均場と東西に一様ではない擾乱 を調べることになる。
例:対流圏での平均東西風に東西に非一様な擾乱が大事だという話しがある。たとえば中/高緯度の傾圧波動が大事だという話し。例:対流圏での平均東西風に東西に非一様な擾乱が大事だという話しがある。たとえば中/高緯度の傾圧波動が大事だという話し。 (角)運動量輸送の担い手(東西平均子午面循環、東西非一様な擾乱で時間変動するもの、東西非一様な擾乱で停滞性の擾乱)とそれらの輸送量 2次元軸対称モデルと3次元CCSR/NIES GCMの比較:東西に非一様な擾乱を入れないと、中緯度の西風が強くなる(Satoh et al., 1995, Tellus) —>擾乱の重要性、熱帯域もたいぶことなる。左が緯度高度2次元モデル、右が3次元モデルである。中図が地球の回転の場合、下段は自転を3倍にはやくした例 の南北依存性 :運動量 が南北流 で南北に流される 2次元大気 3次元 停滞擾乱 非定常運動 —>さらに対流圏の擾乱が成層圏に伝播するということで、ここで対流圏の擾乱をすこしみておく。
1−5:熱帯対流圏の東西非一様な擾乱 熱帯対流圏の中の擾乱<ー擾乱が結構線形波動的に見えることがある(波動論が使える) 10/6 10/2 コリオリ力が効くか効かないかは、気象力学的には決定的であろう。熱帯域ではどんな擾乱になっている? 個々に見てみる: 10/3 右図は天気 1994, No. 4 にのっている、’日々の衛星画像 1993年10月’なるひまわりの衛星画像である。どのように感ずるであろうか? 赤道近傍に雲らしきものが多く見える。赤道近傍といっても雲のあるところとない所がある。 –>組織化されているようである 赤道近傍の渦から台風らしきものが生成されているようでもある (偏東風擾乱からの台風生成というはなし) 10/7 1日ごとの衛星画像(1994)
1つの方法: 前の図は1日ごと:ー>統計的に集めてみると、どのように見えるか? ー>対流の活発な場所が見えてくる Brightness temperatureの統計 対流活動の指標Ricciardulli and Garcia, 2000, JAS上が定常成分、下が標準偏差でパタパタ度を示す、84年冬 このようなデータを時間・空間的に解析してみると変動成分が見えてくる。 解析すれば、それがどんな変動でどんな形をしているか? • データを時間と空間でフーリエ解析すれば、波動的成分が取り出せるあろう。
太平洋上の偏東風擾乱 は、太平洋の西域と中央域(スペクトルがはっきり)は異なったもののようである. スペクトル解析の例−>周期的な擾乱の図:数日周期で結構振動しているよう(右)。南北風についての解析、左が140-150E、右が165-170Eで、上から、10-7.5N、赤道、7.5—10Sの範囲 –> 周期的なものは波動として議論可能であろう 対称 反対称 夏の3.1-5.4日周期変動成分の強度水平分布(Takayabu and Nitta, 1993)、aがTbbで、b:赤道に関して対称成分を北半球に反対称成分を南半球に、 c(下図)は南北風 西の方はあまりピークが見えないー>振動的でないよう
図の右の方(180Eあたり)はRossby-gravity波のようと言われている(繰り返しが西に伝播している波動のようになっている)、filterはかかっている。図の右の方(180Eあたり)はRossby-gravity波のようと言われている(繰り返しが西に伝播している波動のようになっている)、filterはかかっている。 R-G波の水平構造:基礎方程式で赤道域だけ考え、その式を線形にして式を解いてみる波動論による(4章) 一方、西の方は渦? (あまり波のようにはみえない) −>台風? <−東とは別の話しのよう 西の方の擾乱のSchematicな図、太線は赤道を示す。 水平的渦と対流が水平と鉛直を結び付ける気象力学のテーマのようですが —>ここではその2つを波と対応させてみる。 対流圏でも、結構波の構造をもっている。<ーある部分は安定の大気だからであろう
波または対流群としての別例:熱帯対流圏のSuper Cluster と Cloud Cluster の絵を示しておこう。このSuper Clusterは、みてわかるように東進している。一方、Super Clusterの中にあるのは,Cloud Clusterと呼ばれるものである。Super Clusterのスケールは ~4000km程度らしい(中沢, 1988, JMSJ)。Cloud Clusterの方は1000kmくらいのスケールであろうか? 図は1980年、5-7月、0-5Nの範囲の擾乱の経度-時間断面図、図のA, B, C, Dは同じものを示す。 この例も,結構周期的な運動をしている−>赤道重力波的にも見える−>対応関係としてこれはあとで話そう −> 赤道成層圏では決定的である 線形のprimitive方程式に従って、大気に波動が存在しているようである
補足:東太平洋ITCZの力学:Raymond et al., JAS, 2006, 582-597 南からの境界層流れがITCZで終わる 流れはSSTの南北勾配で作られている Ekman balance modelで記述 強さと南北の広がりはSSTgradientに伴う自由対流圏の圧力変動に起因する。 圧力変動は偏東風波動とかが原因である Surface heat fluxは擾乱生成の不安定化(対流)に働くと書いてある 時間 経度 ITCZにそって波動的構造になっている
200mb Desbois et al., 1988, J. Climate 別例:アフリカでの擾乱の様子(動く擾乱) 東風 700mb METEOSAT IR radianceによるimage、1983年7月平均のようす、ITCZがみえる。 対応した1983年の7月の東西風分布、700mb(下)と200mbの高さ(上)、大西洋ITCZのあるところでは東風が吹いている。 ー>
時間的に細かくみると: 7月15日 7月19日 1983年7月15日、0230UTC から7月19日1430UTCの間、0-20Nの範囲、3時間ごと、上から下に時間軸、squall line が西に動いていると筆者らは言っているが、偏東風波動の伝播のようにも見える(cf. Kiladis, JAS, 2006)。スケールは1000km程度で大きい。 そのような移動のTrackingの様子(a) 12 July to 15 July 1983 (b) 15 July to 18 July (c)19July to 21July 1985 (d) 26July to 28 July 1985
低気圧に伴う雲:中・高緯度の雲は高気圧・低気圧に伴うものが多い?これは高気圧・低気圧波動が Eady, Charney の傾圧不安定論(水は—滴たりとも入っていません)で説明出来ると思っていることと矛盾はしないであろう? ー>今は雲の方(より細かいスケール)が研究の主体となっているよう? 1−6:中緯度での擾乱はどんなかんじ? このような擾乱は成層圏でどうなる? —> 対流圏で作られた各種の擾乱は条件が整うと、鉛直に伝播する。これが成層圏大循環に大きな影響をあたえる。傾圧波動は成層圏では鉛直にexponentialにdecayする。だから不安定として成長するのだろう。圏界面付近でおおきな影響
高気圧・低気圧や惑星波動による、東西平均した熱輸送(東西平均した熱力学の式、左辺の第4項参照)の効果として以下のような式を用いて議論することがある高気圧・低気圧や惑星波動による、東西平均した熱輸送(東西平均した熱力学の式、左辺の第4項参照)の効果として以下のような式を用いて議論することがある 左図:対流圏・下部成層圏における、東西に非一様な擾乱による熱輸送の南北収束による温度増加傾向(K/dayの単位、式参照)の東西平均図。上が北半球冬で、下が北半球夏の図である。 熱の水平輸送収束 冬 北半球 北半球 warmer 半球の違い 夏 cooler 結果としての東西平均した温度場
火星大気の鉛直温度構造 1−7:惑星大気の構造 <—成層圏の普遍性?みたいな事を見ておくこと、および気象力学の方法で議論できること 火星について:CO2が主成分ー>力学的には熱容量をかえる、また密度は小さい 火星の g=3.72m/s2,半径=3397 km Cp=800とすれば、断熱温度減率g/cp=4/800 = 5x10−3MKS、5K/10(3)K/m=5K/1kmということで,10kmで50K程度下がる、実際は10kmで,20K程度しか下がっていない. ずれは大気中に存在するDustの加熱といわれている 成層圏は等温的 - 火星には地球におけるオゾン層がない。ー>惑星大気の様子もそこの物質に依存か 成層圏での温度構造が鉛直に波的になっている。火星大気も波に満ち溢れているよう。例えば熱による大気潮汐 <-波の力学が重要であろう。 ー>地球では熱潮汐は中間圏あたりから振幅が大きくなる 松田、惑星気象学より、火星の砂嵐の写真、火星の対流(Dust の斑点)みたいなものが見えている。
火星大気を全球的にみる: 観測の温度、東西風図と大気大循環モデル結果(黒田他、2005)<ー地球大気のモデルを火星の状況に変更 風の分布をみると、地球の成層圏の夏と冬の風によく似ている。火星の大気量は成層圏と同程度である。また火星の自転速度や赤道傾斜角も地球と似ていることが関係しているであろう。火星のDustがオゾンとある部分は似た役割をしているよう。 温度 東西風 10mb 夏半球->冬半球地球大気の東西風 夏半球->冬半球(下はCCSR/NIES火星大気モデル)
金星中層大気では硫酸の雲が重要な役割をしている。 金星大気についての温度の鉛直構造および物質分布について エアロゾルの雲層 Yamamoto and Tanaka, 1998, J. A. S. 金星のg=8.89(森山,大気の歴史),主成分はCO2としてCp=842 J/kg/K、g/Cp=0.01 K/m は=10kmで100Kの温度低下 金星の下層における鉛直温度分布をみると,断熱減率に近い温度低下をしている.モデル実験によると、金星の下層は対流調節が起こっている( Ikeda, 2006 ) 火星と同様、金星の成層圏らしきところは等温的になっている。また、金星成層圏でも波的な構造が見える。大気潮汐のようである(金星の一昼夜は117(地球)日) 雲層での考えられている循環:Imamura and Hashimoto, 2001, J. A. S. -> analogy:地球大気の下部成層圏にも薄いエアロゾル層がある。
金星の成層圏で速い風が吹いている。100m/s程度の風。自転周期は243地球日、自転速度は1.5m/s金星の成層圏で速い風が吹いている。100m/s程度の風。自転周期は243地球日、自転速度は1.5m/s 全球的に広げてみると(中層大気の温度構造): 最近この程度に大気大循環モデル(CCSR/NIES GCM)で高速風が再現されてきた(Yamamoto and Takahashi, 2004, G. R. L.)、地表から 95km まで 異なった現象、異なった擾乱であるが、このような風系に東西に非一様な擾乱の赤道方向への角運動量輸送が重要な役割をはたしている。
地球に似た対流圏−成層圏的な構造をしている.木星成層圏の高温は:CH4や浮遊粒子の太陽放射吸収(島崎,松野)g=9.8X2.37(安田から), cp=12428g/cp=0.0019K/m=1.9K/km 。地球に似た対流圏−成層圏的な構造をしている.木星成層圏の高温は:CH4や浮遊粒子の太陽放射吸収(島崎,松野)g=9.8X2.37(安田から), cp=12428g/cp=0.0019K/m=1.9K/km 。 木星の温度構造 木星成層圏の物質鉛直分布:ただし、大気上層10mb を z=0km とした化学計算結果。水素分子1に対して、Heは0.1, CH4 は 0.001の混合比を仮定、温度を150Kと仮定して計算した化学モデルの結果。 いろいろな物質が生成されている。 赤道と極の温度差が小さい大循環と大きく関わるであろう。
赤道域成層圏で準4年振動があるらしい—>地球の赤道域下部成層圏の長周期準2年振動とよくにている赤道域成層圏で準4年振動があるらしい—>地球の赤道域下部成層圏の長周期準2年振動とよくにている 南北方向の運動方程式に於いて、地衡風(コリオリ力と圧力勾配力のバランス)が成り立つとしてf u = ー d Φ/dy—>すると温度風fdu/dz = - d/dy (RT/H)から温度差は風のshearに対応、風の向きが代わっているようである。 緯度 最近の観測成果、準4年振動 Flasar et al., 2004, Nature、温度は観測 ー> 温度風から見積もられた。 高度 時間 Leovy et al., 1991, Nature 鉛直1次元モデル結果、Friedson, 1999, Icarus