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Woman Engine. ~ 女性が変わる時代×女性が変える企業~. 一橋大学 商学部 3年 加賀谷ゼミ メンバー :海野亜也子 尾野村悠矢 小村雄平 朱佳 指導教官 :加賀谷哲之 助教授 2005/1/20(木) @オープンゼミ. < INDEX>. 1.【 イントロダクション 】 2.【 定量分析 ~GFはEVAに結びつくか~ 】 3.【 定性分析 ~なぜGFがEVAに結びつくのか~ 】 4.【 Woman Engine モデル 】. (1)イントロダクション. ・日本を取り巻く環境.
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Woman Engine ~女性が変わる時代×女性が変える企業~ 一橋大学 商学部 3年 加賀谷ゼミ メンバー :海野亜也子 尾野村悠矢 小村雄平 朱佳 指導教官 :加賀谷哲之 助教授 2005/1/20(木) @オープンゼミ
<INDEX> 1.【 イントロダクション 】 2.【 定量分析 ~GFはEVAに結びつくか~ 】 3.【 定性分析 ~なぜGFがEVAに結びつくのか~ 】 4.【 Woman Engineモデル 】
・日本を取り巻く環境 2050年には3人に1人が65歳以上に。総人口も21%減が推定される。 労働人口層(15~64歳)も2050年までに20%減少する。一方で女性の社会進出はめざましく伸びている。 21世紀、日本は少子高齢化という大きな社会問題に直面する *グラフは 国立社会保障・人口問題研究所HPより
・男女雇用機会均等法 男女雇用機会均等法 1985年制定・1986年施行 女子差別撤廃条約(国連世界人権会議)への批准へ 背景 女性解放運動の中で女性の自立のための雇用平等を求める運動の高まり 女性の労働市場への進出 改正男女雇用機会均等法 1997年制定・1999年施行 ・性により差別されることなく、その能力を十分発揮できる雇用環境を整備す ること ・働く女性が安心して子供を生むことができる環境を作ること・男女がともに職業生活と家庭生活を両立できる条件を整備すること 具体的には・・・ あまり浸透せず・・・ 募集・採用・配置・昇進の差別禁止(努力事項から禁止事項へ) 均等確保のための措置(ポジティブアクション)への国の援助 禁止事項違反企業の公表 など
・ポジティブアクション ポジティブアクションとは・・・積極的是正措置 意欲と能力がある人が性別に関係なく活躍できる環境づくりのこと 雇用体制 評価制度 昇進制度 結婚・出産・育児に対応する制度・・・ 企業のポジティブアクションへの取り組み 現在取り組んでいる 45% 取り組む予定はない 30% 約7割の企業がポジティブアクションに取り組む姿勢を見せている 取り組む予定がある 25% *グラフは『ジェンダーフリーと企業の論理』より
・女性雇用のメリット・デメリット デメリット 女性の主な退職理由 女性の管理職率 (%) (%) 長期的な雇用関係を築きにくい 日本では購買意思決定者の過半数が女性!! メリット ・労働意欲、生産性の向上:評価制度の改革などによる ・多様な人材による新しい価値の創造:女性消費者の視点をカバーできる ・労働力の確保:少子高齢化に対応 ・外部評価(企業イメージ)の向上:各ステークホルダーに好印象 女性雇用は企業価値を高める *数字は株主オンブズマン 500社調査結果 より
・ジェンダーフリー(GF)が目指すべきもの 「長期的な雇用関係を築きにくい」というデメリットを克服して、「企業価値を得る」というメリットに結びつけるためには、正しいGFの取り組みが必要である。 大多数の日本企業の現状 GFの目指すべきところ 均等法クリア CSR的雇用 労働力不足の代替 積極的な女性雇用 設備・制度の改善 GF推進によって 新たな価値を創造 受動的対応 積極的対応 企業価値創造
・Woman Engine GFを企業価値に結びつけるためには何らかのメカニズムが必要なのではないだろうか? Engine(エンジン):あるエネルギーを機械的力・運動に変える装置 Woman Engine:「GFの推進」を企業価値に変換する装置 私達は、女性雇用というエネルギーを企業価値に変換するためには必要なメカニズムを「Woman Engine」と定義づけた。
・投資テーマ 「女性雇用は今後の少子高齢化時代を乗り越えるために必要だ」と一概に言ってもデメリットを克服してメリットに変換することは難しい。いくら良いガソリン(女性雇用)を入れても装置がなければ新たなエネルギー(企業価値)を生み出すことはできない。そこで私達は、女性雇用をGFの目指すべきところ(企業価値創造)まで結びつけることができる企業、つまり「Woman Engine」を搭載している企業に着目しようと考えた。このような企業は長期的に成長していくと考え、投資対象とすることにした。
・スクリーニング・コンセプト 第1ステージ:GFの推進具合 *使用するもの:就職四季報(女子版) 第2ステージ:企業価値(EVA) *使用するもの:日経Needs なぜEVAを使用するかというと・・・ ・会計操作による歪みの影響を受けない ・経営指標として株主と経営者の利害が一致する
仮説1:GFはEVAに結びつく GFをEVAに転換するシステムこそ「Woman Engine」 これを図で表すと・・・ GF Woman Engine EVA ・仮説1~GFはEVAに結びつくか~ まずは、GFの推進度でスクリーニングを行う・・・
・第1スクリーニング(GF推進度) ・女性離職率 ・女性勤続年数 ・会社における女性割合 ・女性の既婚率 ←の4つの項目を使い項目ごとの偏差値を算出して、それを加重平均してGF偏差値を算出する (各会社の数値-業界平均値)※/業界標準偏差×10+50 ※女性離職率のみ(業界平均値-各会社の数値) GF偏差値=(女性離職率偏差値+女性勤続年数偏差値 +女性割合偏差値×2+女性既婚率偏差値×2)/6 GF偏差値の高さで上位100社がスクリーニング通過
・検証1 その1 次に、GFの推進がEVAの増加に繋がるまでに影響を与える財務項目を検討する。 GFの推進がうまく行えている企業は、人材をうまく活用することで効率性を高めているはず!! 第1スクリーニングでGF推進度の上下各100社の指標を使って検証してみる <従業員一人当たり利益> 上位100社平均が、下位100社平均の2倍以上の数字を示した。この数字からGFの推進が人材活用の効率性を高めることが推測される。
GF Woman Engine EVA 従業員一人当たり効率性 ・検証1 その2 さらに、「従業員一人当たり利益」を「従業員一人当たり売上高」と「ROS」に分解して考察してみる。 <ROS> <従業員一人当たり売上高> 上位100社は下位100社に比べて、ROSは1.1倍なのに対して、従業員一人当たり売上高は2.1倍にもなっている。この分析からも、従業員一人当たり利益の高さは、従業員一人当たり売上高の高さに起因していることが分かる。つまり、「Woman Engine」の効果のひとつとして、従業員一人当たり効率性が高まっていることが分かる。 今までの流れを図で表すと・・・
・第2スクリーニング(従業員一人当たり効率性)・第2スクリーニング(従業員一人当たり効率性) 「従業員一人当たり売上高」と「従業員一人当たり利益」のそれぞれで偏差値を取り、偏差値がともに50を超えている企業をスクリーニングする。 従業員一人当たり売上高偏差値= (各社の従業員一人当たり売上高-業界平均)/標準偏差×10+50 *偏差値が50を超えている企業が38社 従業員一人当たり利益偏差値= (各社の従業員一人当たり利益-業界平均)/標準偏差×10+50 *偏差値が50を超えている企業が29社 両方の偏差値をクリアした29社がスクリーニング通過
・検証2 次に、従業員一人当たり効率性がちゃんとEVAに繋がっているかどうかを検証する。 第1スクリーニングを通過した企業の中で、第2スクリーニングを通過した従業員一人当たり効率性の高い29社と、効率性の低い29社で、直近3年間のEVAの平均値を比較してみる。 <EVA> 上位29社が下位29社の8倍以上の数字を示すことから、従業員一人当たり効率性は、EVAの高さに強い影響を与えることが見て取れる。
・第3スクリーニング(EVA及び今後のGF)・第3スクリーニング(EVA及び今後のGF) ① ② 直近3年間の雇用者における女性の割合が増加している 女性雇用が拡大傾向である OR NO NO YES YES ③ 男女雇用均等法改正前後でEVAが上昇している YES NO ④ 直近3年のEVAが連続減少ではない YES NO スクリーニング通過13社
・最終結果 第3スクリーニングのクリア項目に応じて配分決定!! 4つクリア →520000円 3つクリア →390000円 2つクリア →260000円
拡大傾向 第3スクリーニング EVAの増加傾向 GF推進 企業価値 第1スクリーニング 第2スクリーニング (EVA) GFの推進具合 従業員一人当たり効率性 ・スクリーニングまとめ 上図のように、第1スクリーニングで「GFの推進具合」、第2スクリーニングで「従業員一人当たり効率性」、第3スクリーニングで「EVAの増加傾向」「GFの拡大傾向」を検証した。
・仮説2~なぜGFがEVAに結びつくのか~・仮説2~なぜGFがEVAに結びつくのか~ 仮説1により、GFがEVAに結びつくことが財務的な数字を使うことで 定量的に示された。・・・ しかし、「Woman Engine」の効果が確認されただけで、実際にどのようなメカニズムで、そのような効果が生まれてくるのかはブラックボックス化されたままである。 <仮定> 「GFをEVAに結び付けている企業は優れた メカニズム(=「Woman Engine」)を持っている」 ⇒各企業の独自のGF推進策を具体的に検証。
・日本郵船のケース その1 (旧制度の問題点) ①総合・準総合・一般という職種区分が業務実態や社員意識の変化に対応できない ②職能資格制度が硬直的であり、社員モラルの維持・向上面でうまく機能していない ③上長・部下の結び付きが希薄化、人材育成上の大きな懸念材料になりつつある ①人事制度改革( 2001年4月) 女性の採用枠を広げている同社において、女性にとっても働きやすい人事制度になった。 ・総合職・一般職などの職種区分を廃して処遇体系を一本化 ・旧資格制度を廃止、23階級からなる新体系に移行 ⇒昇格の運用が年功的になっていたが、一つひとつの「階段」を 低くすることで、柔軟な処遇を目指す。
・日本郵船のケース その2 ②女性営業職の台頭 <例>自動車の国際輸送の営業を担当する、日本郵船自動車船グループの芹田典子さん(33)。93年に入社したときは一般職だったが、97年に総合職に転換。 「当初は女性営業ということで顧客に戸惑いもあったようだ。でも最近は顧客の担当者が女性社員であることも増え、女性だからといって仕事のやりにくさを感じることはない」と強調。 ・「接待漬け営業は過去のこと。男性でなければできない 営業はほとんどない」 ・「今の営業職に求められるのは顧客のニーズを正確につか み、それにきめ細かく対応できる能力。女性はこうした資質 で決して男性に劣っていないし、むしろ勝っているようにも思 える。企業にとっても女性営業職の活用はメリットがある。」 (一橋大学 守島基博教授より)
・日本郵船のケース その3 ③社内保育園「郵船チャイルドケア」 本社ビルの会議室を5千万円かけて改装、社内保育園 「郵船チャイルドケア」を開設。 都心の本社ビル内に保育園を設ける企業は数少ない。 ・ 社員が朝、満員電車で子供を連れて出勤することで疲れてしまわないように、 同社は保育園を利用する社員に時差出勤を認め、朝の混雑を避けて 通勤できるようにした。 ・ 急な残業にも対応できるように、預かる時間も夜八時までとした。 (認可保育園の場合、保育時間は遅くても午後七時前後までという施設が大半) ・ 保育園内には洗濯機を設置し、保育士がその場で洗えるようにした。 また、出退勤の際にかさばる着替えを持ち運ばなくて済むように、社員は 一週間分の衣類をまとめて宅配できるようにした。
・日本郵船のケース その4 ④日本人女性初の貨物船航海士 日本郵船は外航商船の航海士に初めて日本人女性を採用。 客船では採用例はあるが、コンテナ船など貨物船は他社でもほとんど 例がない。 日本郵船は女性の就労意識の変化が進むなか、性差をなくし優秀な 人材を登用することを目指している。 ⑤管理職への積極採用 日本全体での係長職の女性比率の平均=4.66% 日本郵船=22.9% ⑥大学生就職人気企業ランキング 大学卒業予定者を対象とした2003年度就職先人気企業のランキング において、女性(文系)の部門で77位(昨年114位)にランクイン。 *毎日コミュニケーションズ「就職企業人気ランキングBest100」 より *数字は株主オンブズマン 500社調査結果 より
・その他12社のケース その1 <ぴあ> ・職場環境向上のため、ぴあ独特の政策を実施。 ・経営理念を浸透させ、社内活性化に努めている。 ・福利厚生施設が充実。 ・文系女子に就職先として毎年人気が高い。 <任天堂> ・男女平等な人材開発に努める。 ・女性の採用比率が高い。 ・公正な評価、報酬、処遇を重視した、人事制度の改革。 <鹿島> ・女性活用方針を明確に打ち出し、女性の昇進・昇格が積極的。 ・仕事と家庭の両立支援を整備。 ・就職人気ランキングでも例年理系女子では上位に入る。 <伊藤忠商事> ・働きやすい職場作りを目指す。 ・経営者が「女性が働きやすい環境に」を信念として打ち出している。 ・女性採用に積極的で、女性勤続年数も業界内において著しく長い。 ・働きやすい企業ランキング31位で、就職先としても毎年女性に人気。
・その他12社のケース その2 <電通テック> ・性差に関すること等倫理観への意識が高い。 ・良好な職場環境の確保に努めている。 ・女性の離職率が低い。 <サンケン電気> ・男女の差別なく公正に接することをモットーとしている。 ・業界内においても女性の離職率がかなり低い。 <松屋フーズ> ・女性を積極採用し、人材開発に努めている。 ・女性にとって参考になるような強力な女性をパイオニアとして管理職に採 用、育成を重視。 ・社内で接客・技術の大会を開き、競争による意識の向上を促している。 <しまむら> ・管理職に多くの女性を積極的に採用。 ・女性活用に先行(係長職では500社中3位、課長職では1位。店長の60% が女性)。 *数字は株主オンブズマン 500社調査結果 より
・その他12社のケース その3 <吉野家D&C> ・男女差別のない人材育成・評価制度とそれを推進する体制が充実。 ・働きやすい職場環境を吉野家文化と謳うほど、歴史的に長い風土が備わっ ている。 <ユニ・チャーム> ・男女差別のない快適な職場環境。 ・女性採用の拡大が際立ち、女性の管理職比率上昇を重視。 ・働きやすい企業ランキングの39位に位置する。 <資生堂> ・GF強化のGF推進プロジェクトを実施。 ・強力な女性管理職者の育成に努めている。 ・育児支援体制が充実。 ・社員に理念が浸透し、働きやすさでも26位と高い。 ・就職先として人気がかなり高い(理系女子では10年連続1位)。 <クラレ> ・女性の活用に積極的。 ・働きやすい企業ランキングの48位。 *数字は日経産業新聞「働きやすい企業ランキング」より
・まとめ ・新卒だけでなく、管理職へも女性の採用が積極的。 ・報酬制度も含めた人事制度の改革 ・男女差別のない職場環境・人材育成。 ・経営者側のGF推進の理念の浸透。 ・育児休業など仕事と家庭の両立を支援する体制が 整備されている。 ・女性の職域を拡大。 ・女性にとって参考になるような強力なパイオニアの育成。 ・女子から就職先としても人気がある。 <共通点>
・仮説2の検証 以上の定性分析から、下図のようなメカニズムが存在すると考え られる。 企業内部の改革(図内①)が起こり、 企業・顧客間の好循環(図内②)と、 企業・社会間の好循環(図内③)を生み出す。 ⇒このメカニズムこそ『Woman Engine』である。 Woman Engine 企業 ① 顧客 社会 ③ ②
・図に示されるメカニズムの詳細 ① 女性活用方針を整備し、従業員にGF理念を浸透させれば、女性だけでなく男性にも刺激を与えて、従業員のモチベーションが上がり、企業全体の活性化・職場環境の改善につながる。実際に管理職者の話では部署の雰囲気が変わったという話が多いので、その点からでも従業員一人あたりの効率性も上がることが伺える。 ② 一般的に女性は流行に敏感であり、感受性が豊かで発想も柔軟である。その影響でより多様な商品の創造が可能になり、顧客のニーズの多様化にも対応していくことができる。そうなれば新規の顧客を獲得することができ、売上の増大・シェアを拡大することでブランドとしてのイメージが上がり、さらなる潜在顧客を獲得できる…というような好循環を生み出せる。 ③ 企業内に男女平等の風土を根付かせれば社会からの評価が高まる。女性従業員による実績も上がれば、しっかり働ける環境があるということで意欲ある女性からも就職先・転職先として好感が持たれ、人気が高まる。そうなれば企業側としては意欲ある女性の人材が多く集まってくるようになり、優秀な人材を確保できるとともに、入社後も活躍が期待される。それにより女性社員・管理職者が増え、実績を重ねればさらに優秀な人材が確保しやすくなる…というもう一つの好循環を生むこともできる。
更なるGFの推進 より高品質・多様な商品やサービスの提供 女性雇用拡大 ギア ギア 売上向上 (購買意欲向上・新規顧客獲得) 企業イメージ向上 労働力獲得 ・Woman Engineモデル 人事制度の改革 ↓ 企業風土改善 労働意欲・生産性の向上 GF Woman Engine 社会 顧客 企業 EVA
・Woman Engineモデルの説明 企業内における企業風土の改善 *ギアが回転 企業⇔顧客、企業⇔社会との間での好循環 *エンジンが始動 GFの推進が企業価値の向上に繋がっていく *更なる改良 新たに創造された企業価値により、更なるGFの推進
ご清聴ありがとう ございました!!