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Fabry 病を原疾患とする慢性腎不全の兄弟例. あけぼのクリニック 田中元子、伊藤和子、松下和徳、松下和孝 熊本大学医学部代謝内科* 宮村博信*. Fabry 病について 1.伴性劣性遺伝 2. - galactosidase 欠損症(糖脂質代謝異常) 3. Ceramide Trihexide の全身臓器への蓄積 4.組織学:皮膚、心血管系、腎などに Pas 陽性物質の 蓄積がみられる。 5.小児期の主な症状:激しい四肢痛 皮膚の angiokeratoma 腎機能障害
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Fabry病を原疾患とする慢性腎不全の兄弟例 あけぼのクリニック 田中元子、伊藤和子、松下和徳、松下和孝 熊本大学医学部代謝内科* 宮村博信*
Fabry病について 1.伴性劣性遺伝 2.-galactosidase欠損症(糖脂質代謝異常) 3.Ceramide Trihexideの全身臓器への蓄積 4.組織学:皮膚、心血管系、腎などにPas陽性物質の 蓄積がみられる。 5.小児期の主な症状:激しい四肢痛 皮膚のangiokeratoma 腎機能障害 6.思春期以後の主な症状:角膜混濁 腎不全 心筋障害 高血圧 7.特徴:中枢神経症状を欠く
糖脂質の代謝 GM1 ganglioside GM1 gangliosidosis GM2 ganglioside globoside Tay-Sachs病、 Sandhoff病 GM3 ganglioside Ceramide trihexide GM3 gangliosidosis Lactosyl ceramide Fabry病 Lactosyl ceramidosis sphingomyeline Glucosyl ceramide Niemann- Pick病 Gaucher病 Ceramide + glucose
家族歴 ♂ ♀ ♀ ♂ 保因者 (幼少時から) ♂ ♂ ♂ 三男(Fabry病患 次男(Fabry病患者) 長男 (小3くらいから) (小3くらいから) ♂ ♂ ♀ ♀ 長男 小6 長男 1 8歳 次女 21歳 長女 22歳
症例(兄) 子供の頃から、しばしば両上下肢の痺れないしは疼痛を自覚して いたがテグレトール内服にて対処していた。その他には特に自覚 症状はなかった。 30歳の頃、前日からふらつき・めまいあったがそのまま放置して 仕事(コンピューター関係)をつずけていたが、気分不良のため熊 大代謝内科を受診したところ中脳出血との診断にて緊急入院し加 療をうけた。 平成9年、下肢の腫脹・発熱にて熊本大学代謝内科に入院した。 この頃から腎機能低下を指摘されていた。 平成12年3月、内シャント作成後、血液透析導入となる。 現在も四肢の疼痛に対してテグレトール内服中である。
透析導入時検査所見(兄) 血圧:130/70mmHg 検尿:蛋白(3+)、潜血(+)、糖(-) 沈査 RBC12-13/SF, WBC9-10/SF 24時間Ccr:6ml/min ヘモグラム: WBC 5390/μl RBC 332万/μl Hb 11.5 g/dl Ht 33.8 % Plat 18.0万/μl 血液生化:BUN 70.6 mg/dl Cr 7.5 mg/dl UA 10.4 mg/dl Na 144 mEq/l K 3.7 mEq/l Cl 107 mEq/l Ca 3.7 mEq/l P 5.5 mg/dl T.chol 187 mg/dl TG 63 mg/dl GOT 31 U/l GPT 30 U/l ALP 311 U/l LDH 480 U/l γ-GTP 272 U/l Amy 195 U/l BS 72 mg/dl
症例(弟) F.S. 36歳、男性。平成5年(30歳)の春頃から頭痛、下痢、嘔気がつずいていた。同年6月に入ってからは顔面浮腫が出現し、6月10日に近医を受診し、腎不全と診断された。母がFabry病の保因者で熊本大学付属病院代謝内科にて治療中であったので、よく6月11日に同科を受診しFabry病と診断され、血液透析療法導入目的にて当院に紹介となる。当院にて即日透析導入となり、入院の上、原疾患の精査および 内シャント 造設術を行った。入院時は、心肥大と慢性腎不全のほかには多臓器の障害を認めなかった。 患者は現在も当院にて血液透析療法を施行中であるが、しばしば肩、手指などの関節に石灰沈着を伴った激しい関節炎症状が出現する。頚部や足部、顔面皮下にも同様な症状を呈し、関節部にはステロイド投与が、皮下は小切開による液状石灰排出が奏効した。
入院時検査所見(弟) 血液生化:BUN 80.6mg/dl Cr 12.6mg/dl UA 7.9mg/dl Na 141mEq/l K 5.3mEq/l Cl 101mEq/l Ca 4.2mEq/l P 6.5mg/dl Fe 42μg/dl T.chol 144mg/dl TG 104mg/dl GOT 11U/l GPT 10U/l ALP 121U/l LDH 276U/l γ-GTP 66U/l ChE 3215U/l Amy 203U/l BS 110mg/dl 血圧:150/90mmHg 検尿:蛋白(4+)、潜血(+)、糖(-) 沈査 RBC12-13/SF, WBC9-10/SF 硝子円柱1/全視野、顆粒円柱0-1/SF 24時間Ccr:3ml/min ヘモグラム: WBC 4270/μl RBC 188万/μl Hb 6.0g/dl Ht 17.3% Plat 19.1万/μl 腹部エコー:両側腎にatrophy(+) 心エコー:びまん性に輝度が高く、心筋の 収縮力の低下(+) 右室、左室の拡張(+)
結果 Fabry病を原疾患とする慢性腎不全で維持透析を施行し得た兄弟例を経験した。 今後も心筋障害、高血圧などとあわせて疼痛発作も保存的治療を行いながら慎重に経過観察をする必要があると思われる。