310 likes | 531 Views
MSGC 開発史. 東工大における MSGC の開発 神戸大 越智敦彦. MPGD 研究会 Dec.3,2004. MSGC (MicroStrip Gas Chamber). MWPC のワイヤーの代わりに基板上の細線を電極としたガス検出器 1988 年、 France ILL の Anton Oed が発表 NIM A263(1988) 351-359 東工大ではこれとは全く独立に 1990 年頃から谷森氏が研究に着手 当初は 1 次元型の MSGC を作成. 期待された MSGC の特徴. MWPC に比べ狭い電極間隔
E N D
MSGC 開発史 東工大におけるMSGCの開発 神戸大 越智敦彦 MPGD研究会 Dec.3,2004
MSGC (MicroStrip Gas Chamber) • MWPC のワイヤーの代わりに基板上の細線を電極としたガス検出器 • 1988年、France ILL のAnton Oedが発表 • NIM A263(1988) 351-359 • 東工大ではこれとは全く独立に1990年頃から谷森氏が研究に着手 • 当初は1次元型のMSGCを作成
期待されたMSGCの特徴 • MWPCに比べ狭い電極間隔 • MWPC: ~2mm MSGC: ~0.2mm • 空間分解能 30μm • MWPC比1/10 • 入射粒子許容量 107/sec・mm2 • MWPC比1000倍 • 時間分解能 <10nsec • MWPC比3倍 • エネルギーの同時測定が可能 • 構造がシンプルで軽量 一時期は、ATLAS、CMS実験のTracking detector としてや、その他多くの機関で開発が進められた
東工大におけるMSGC開発 • 東工大(谷森グループ)では、二次元画像検出器としてMSGCを開発 • Backstrip 電極を用い て、2次元読出を試 みる • 1993年、2次元 MSGC 試作機が できる
5cm角二次元MSGC試作機 • LSI パッケージの上にMSGCを実装 • 読み出し面: 5cm x 5cm • 信号間隔: 200μm • Total 516 readout
開発当初の問題点 • 安定に高い増幅率が得られない • Gain 100~200 程度 • 特に Backstrip からの信号が小さいのが問題 • 電極構造(絶縁体の厚さ、陽・陰極の太さ、形状など)の最適化の必要性 • 高ゲインの多チャンネルアンプ開発の必要性 • 増幅率が時間変動する • 絶縁体表面へのチャージアップが原因 • 表面抵抗率のコントロールの必要性
二次元像撮影への道 • 高ゲインのアンプの開発 • 1V/pC 16ch/board using TRA1000 • 電場構造の最適化 • 表面電極-バックストリップ間の距離 • 8μm → 17μm へ • 放電防止策の数々 • カソードエッジ保護 • 電極を丸めた構造 • データ収集システムの構築 • CAMAC を用いた 1kcps 程度のもの
二次元像撮影の成功 • 1994年末頃、X線を用いた2次元透過像の撮影に成功
X線二次元透過像の撮影 RI (Fe55) を使い、10分照射したもの。イベント数は約 7k イベント
高輝度X線の検出器へ • 1995年には、X線発生器を導入 • 高輝度X線を用いた測定へ • X線の最大許容入射量の測定 • 高統計の画像による、位置分解能の測定
5cm MSGCで行われた測定 1995 ~ 1996 • 二次元X線透過像 • 位置分解能: 60μm • ゲインの時間安定性 • X線偏光検出 • Modulation ~12% for 8keV • エネルギー分解ラウエ法
リアルタイムX線イメージングへ 1996年~ • MSGCの高入射許容量の特性 • リアルタイムイメージングが可能 • 物質の変化を動的に観察できれば、測定技術に革命的な進歩をもたらす可能性あり • しかし、高速のデータ収集システムが必要 • これまでのCAMACを用いたデータ収集 • 1k evt/sec が限界 • リアルタイムイメージングには、さらに2~4桁上が必要 • 10cm角MSGCと、高速データ収集システムを開発 • X線入射イベントを全てハードウェアで処理
10cm角MSGCの開発 • 1997年~ • Anode, Cathode, それぞれ 512ch の読み出しがある
高速データ収集システム • 最大10Mcpsのデータ取得
MSGC+DAQシステム 1997年
MSGCに内在する問題 • 高ゲインでの安定動作が望めない • MSGC単体では、せいぜい103まで • ゲインが数百を超えてくると、放電破壊の確率が増加 • 放電が起こると、隣接する数本のアノードが同時に切断 • Xeガス中での動作では、さらにゲインが低い • 電極の距離、ガスの種類などの最適化では限界あり • そこで、さらなる工夫を考える • 背面補助電極構造によるストリップ切断対策 • キャピラリープレートを用いた補助増幅機構
補助電極機構 1998年 • これにより、アノードストリップ切断による画像の欠けは劇的に減少する
キャピラリプレートよる問題 • 少々 high rate のX線入射で、像が見えなくなってしまう。 • キャピラリ内部のチャージアップによるもの
導電性キャピラリプレート 1999年
Xeガスの使用 • Xeガスは、Arに比べX線の吸収が非常に大きく、また光電効果によるPrimary 電子の飛程も短くなる。
各種実験への応用 • 超迅速X線結晶構造解析法 • 放射光を用いたたんぱく質の小角散乱 • Micro TPC • Γ線方向検出器
超迅速結晶構造解析法へ • MSGCを用いた新しいX線結晶解析方法 • CRP法(連続回転写真法)
それでも残った問題点 • 大面積のMSGCを、一様な高ゲインで安定に動作させるのは、やはり至難の業 • MSGC、キャピラリプレート双方に問題あり。 • 結局、MSGCの安定動作が難しいため、ATLAS、CMSをはじめとする多くの研究グループは、MSGCから手を引く • 電極構造の根本的改良による解決策を考案 • 1999~2000年、試作機製作へ … MPGC (μ-PIC) と命名