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自治体・地域市民が進める 地球温暖化防止 ~再生可能エネルギーを活用する まちづくりと節電の取組み~. 平成 25 年度中原市民館市民自主学級 連続講座 2013 年 11 月 24 日. 環境自治体会議環境政策研究所理事長 増原 直樹 (総合地球環境学研究所 研究員). 環境自治体会議環境政策研究所の概要. 環境政策に積極的に取組む首長のネットワーク 「 環境自治体会議 」の付属シンクタンク 所在:〒 102-0082 東京都千代田区一番町 9-7 一番町 村上ビル 6F 市民運動全国センター内 環境自治体会議 代表幹事:小林康雄(北海道 士幌 町長 )
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自治体・地域市民が進める地球温暖化防止 ~再生可能エネルギーを活用するまちづくりと節電の取組み~ 平成25年度中原市民館市民自主学級 連続講座 2013年11月24日 環境自治体会議環境政策研究所理事長 増原 直樹 (総合地球環境学研究所 研究員)
環境自治体会議環境政策研究所の概要 • 環境政策に積極的に取組む首長のネットワーク「環境自治体会議」の付属シンクタンク • 所在:〒102-0082東京都千代田区一番町9-7一番町村上ビル6F 市民運動全国センター内 • 環境自治体会議代表幹事:小林康雄(北海道士幌町長) • 事務局長:中口毅博(芝浦工業大学教授)=環境自治体会議環境政策研究所所長 • 環境政策研究所理事長:増原直樹(非常勤) =前事務局次長、環境政策研究所 前・副所長 • 環境政策研究所の常勤スタッフ=全員、環境自治体会議の事務局員を兼務
本日の構成 地球温暖化防止、再生可能エネルギー、節電の関係(おさらい) 地球温暖化防止の政策体系 再エネを活用するまちづくりの事例 節電に取組むまちづくりの事例 川崎市のエネルギーのボリューム まとめ~地域と市民の可能性~
1.地球温暖化防止、再生可能エネルギー、節電の関係(おさらい)1.地球温暖化防止、再生可能エネルギー、節電の関係(おさらい) • 一般的には、地球温暖化→気候変動 • 地球温暖化対策=緩和策+適応策、地球温暖化防止=緩和策を示している。 出典:環境省「日本の気候変動とその影響」2012年度版
(参考)エネルギー政策と温暖化対策の関係・注目点~東日本大震災前後の政策変化(参考)エネルギー政策と温暖化対策の関係・注目点~東日本大震災前後の政策変化
1.地球温暖化防止、再生可能エネルギー、節電の関係:広くとらえた環境政策の特徴1.地球温暖化防止、再生可能エネルギー、節電の関係:広くとらえた環境政策の特徴 地域環境政策の特徴 ①市民が環境負荷削減に取組むこと、②そのための自治体政策に協力してもらうこと、③自治体政策を超えて、市民が主体的に環境改善に取組むことが強く求められる。 • 理由の一つとして、現代では、環境負荷を生み出す原因の多くが市民にあり、公害のように加害者VS被害者の構造が明確でないから。 • 自治体政策には、様々な(人的、法的、財政的)制約があり、自治体が政策領域のすべてを担うことは不可能。
市民が生み出す環境負荷の例(二酸化炭素) 全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト(http://www.jccca.org/)より
1.地球温暖化防止、再生可能エネルギー、節電の関係:目標達成の観点から1.地球温暖化防止、再生可能エネルギー、節電の関係:目標達成の観点から • 温暖化対策の大部分は、エネルギー政策と重なる。 • 二酸化炭素・CO2削減は、①エネルギー消費量そのものを減らす「省エネルギー」と②太陽光発電などの自然エネルギー(再生可能エネルギー)の導入を増やす「創エネルギー」の両面から取組むと効果的。 • 比較パターンA:現状100 のエネルギーを使用しながら20%の創エネを実施→自給率20% • 比較パターンB:20%の省エネを実施し(80)、さらに20%の創エネを実施→自給率25%
1.地球温暖化防止、再生可能エネルギー、節電の関係:山形県庄内町の事例1.地球温暖化防止、再生可能エネルギー、節電の関係:山形県庄内町の事例 出典:庄内町広報より
本日の構成 地球温暖化防止、再生可能エネルギー、節電の関係(おさらい) 地球温暖化防止の政策体系 再エネを活用するまちづくりの事例 節電に取組むまちづくりの事例 川崎市のエネルギーのボリューム まとめ~地域と市民の可能性~
2.地球温暖化防止のための政策体系 形式的な側面に注目:条例、計画、方針・指針、事業(プロジェクト)といった分類が可能。 手法的な側面に注目:普及啓発、合意形成、社会実験、インフラ整備、経済的支援、課税 自治体政策の考え方として、 課税や市民の権利規制は条例が不可欠 経済的支援も条例が望ましい(要綱でも可能) 単発のインフラ整備・社会実験ではなく、戦略的・計画的な方針が必要 「思いつき」の普及啓発ではなく、特定の領域に関する合意形成をめざした取組みが重要
2.地球温暖化防止のための政策体系 ~自然エネルギー条例の広がり 2012
主体別にみた自治体の温暖化対策の体系 ○は関与する主体
2.地球温暖化防止のための政策体系 • 地球温暖化対策、環境政策に限らないが、国際ガバナンス(国連、条約、政策の潮流)の影響を大きく受ける点は大きな特徴(次頁)。 • 逆に、地域の先駆的取組みが国の制度を変えるまでの影響力を持つことが多々ある。 • 1964年、公害防止協定(横浜市、67年東京都) • 同時代に全国で広がった「上乗せ・横だし規定」 • 環境基本条例に基づく環境基本計画の策定 • 地球温暖化対策計画書制度等
図 自治体の取組みと国際イベントが国のエネルギー政策に与えた影響図 自治体の取組みと国際イベントが国のエネルギー政策に与えた影響 1992年 2000 ‘0212年 環境自治体会議/ 自治体の先進事例 ‘92 第1回環境自治体 会議(北海道池田町) 2000 第8回環境自治体 会議(熊本県水俣市) 第1次共通目標採択 2001年頃、環境自治体会議 エネルギー政策委員会/ 木質エネルギー部会を開催 ‘04 京都市温暖化対策 条例で事業者(フランチャイズ チェーン)単位の規制導入 2000 東京都環境確保 条例改正により、温暖化 対策計画書制度を導入 ‘92 国際環境都市会議 (ブラジル・クリチバ) ‘02 家電省エネラベリング (東京都/京都市等) ローカルアジェンダ21提起 ‘06 全国統一省エネ ラベリング 国の制度化/ 法律改正等 ‘93 省エネ法改正 (地球環境視点の追加) ‘98 省エネ法改正 (トップランナー制度導入) ‘02 省エネ法改正(ビルの エネルギー管理強化) ‘08 省エネ法/温対法改正 (フランチャイズ単位の規制) ‘98 地球温暖化対策 推進法の制定 ‘05 温対法改正(GHG 算定・報告・公表制度) 国際会議イベント ‘92 国連環境開発会議 (リオ・デ・ジャネイロ) ‘02 リオ+10(南アフリカ・ ヨハネスブルグ) ‘12 リオ+20(ブラジル・ リオ・デ・ジャネイロ) ‘97 温暖化防止京都会議 COP3 ‘05 京都議定書の発効
本日の構成 地球温暖化防止、再生可能エネルギー、節電の関係(おさらい) 地球温暖化防止の政策体系 再エネを活用するまちづくりの事例 節電に取組むまちづくりの事例 川崎市のエネルギーのボリューム まとめ~地域と市民の可能性~
3.再エネを活用するまちづくりの事例~再生可能エネルギーの定義3.再エネを活用するまちづくりの事例~再生可能エネルギーの定義 • 再生可能エネルギーとは:自然の力や資源を利用することで得られるエネルギーのこと。利用する資源が化石燃料のように枯渇性ではなく、繰返し使えたり、利用量が自然の再生力の範囲であれば半永久的に利用可能。 • 具体例:太陽光発電、太陽熱利用、風力・地熱・水力発電、バイオマス利用(発電、熱) 出典:NEDO資料
3.再エネを活用するまちづくりの事例~再生可能エネルギーの意義と必要性3.再エネを活用するまちづくりの事例~再生可能エネルギーの意義と必要性 • 気候変動対策:発電や燃料利用時点でCO2(二酸化炭素)を発生させないため、地球温暖化に与える影響が少ない。 • エネルギー・セキュリティ:資源の多くは国産で、エネルギー自給率向上に寄与。化石燃料に特有の価格変動、枯渇リスク(オイル・ピーク)が比較的少ない。 • 災害(時)対策:発電設備等に影響がなければ、停電時でも自立運転が可能な場合も。例:太陽光発電による電力の自家消費。
3.再エネを活用するまちづくりの事例 ~エネルギー・セキュリティの観点(オイル・ピーク問題) 世界の石油産出量はすでに減少傾向に入ったとみる推計が多い。。。
3.再エネを活用するまちづくりの事例 ~エネルギー・セキュリティの観点(原油価格高騰)
3.再エネを活用するまちづくりの事例 ~災害時対策の観点(太陽光発電自立・連携運転)
3.再エネを活用するまちづくりの事例 ~家庭の自立運転→地域の「自立運転」へ(禁転載)
3.再エネを活用するまちづくりの事例 ~電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法 • 2011年3月11日(午前)閣議決定、2011年8月成立。 • 法の目的:再生可能エネルギー源を用いて発電された電気について、国が定める一定の期間・価格で電気事業者が買取ることを義務付ける。 • 電気のみについての買取り義務であり、ガスや熱利用は対象外、買取り期間や価格を国が定めることが特徴。 • 買取り価格(=調達価格)については、 • 閣議決定当初:国(経済産業省)が総合資源エネルギー調査会の意見を聞いて決定 • 衆議院修正:国会の人事同意による第三者委員会(調達価格等算定委員会)が検討。
3.再エネを活用するまちづくりの事例 ~日本のエネルギーバランス(出典:エネルギー白書) • 対象外とされたガスや熱利用も大きな問題がある。
3.再エネを活用するまちづくりの事例 ~電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法 • 買取り対象となる再生可能エネルギー:太陽光発電、風力発電、水力発電(3万kW未満)、地熱発電、バイオマス発電の5種。 • 調達価格:調達期間にわたり安定的に発電することを可能とする価格。 • 調達期間:再生可能エネルギー電気の供給開始時から、最初に行われる発電設備の重要部分の更新時までの標準的な期間を勘案して定める。 • 従来、電気事業者に対して課せられていたRPS(Renewable Portfolio Standard)を規定した新エネルギー等の利用に関する特別措置法(RPS法)は、必要な経過措置が講じられた後に廃止。
3.再エネを活用するまちづくりの事例 ~電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法 • 買取り義務については、電気事業者が「電気の円滑な供給の確保に支障が生ずるおそれがある」場合は接続(買取り)を拒んでも良いこととされている例外条項が問題とされている。 • この場合、経済産業大臣が接続拒否の理由を正当かどうか判断することとなっており、正当でない理由の場合は電気事業者に対して接続するよう勧告できることになっている。 • 実際には「接続拒否」よりも、電気事業者から再エネ事業者に請求される「負担金」が課題となっている。
3.再エネを活用するまちづくりの事例 ~電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法 出典:経済産業省・資源エネルギー庁資料
3.再エネを活用するまちづくりの事例 ~電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法 • 現時点で最も導入量が多いのは中小水力発電。 • リードタイムをみると、太陽光、中小水力発電及びバイオマス発電が比較的短くて済むことがわかる。
3.再エネを活用するまちづくりの事例 ~電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法 • 前頁の価格は法施行当初のもの。最新の価格は右の通り。 出典:経済産業省・資源エネルギー庁資料
「値上がり」するエネルギーと「値下がり」エネルギー「値上がり」するエネルギーと「値下がり」エネルギー 3.再エネを活用するまちづくりの事例 ~主要エネルギー源別の発電コスト比較 出典:政府「エネルギー環境会議」資料
3.再エネを活用するまちづくりの事例 ~太陽光発電の導入実績と目標(NEDO技術開発機構資料) • 全国各地でいわゆる「メガソーラー」の建設、計画が進んでおり、一層の価格低減と技術革新(効率向上)が期待できる。 • メガソーラー収益の帰属先には注意が必要。
3.再エネルギーを活用するまちづくりの事例3.再エネルギーを活用するまちづくりの事例 ~太陽光発電の導入実績(JPEA太陽光発電協会資料)
3.再エネを活用するまちづくりの事例 ~太陽光発電の導入見通し(JPEA太陽光発電協会資料) グラフは毎年の導入量で積算ではない。累積では2020年に28GW,30年に100GWの見通し
3.再エネを活用するまちづくりの事例 ①太陽光発電(長野県飯田市) • 市内162箇所の公的施設(幼稚園・保育所など)に太陽光発電設備を設置(民間企業等をあわせると253箇所、設置容量1600kW) • 幼児・児童に加え、地域住民への環境教育としても活用。 • 市民出資による設備設置(ゼロ円システム)
3.再エネを活用するまちづくりの事例 ①太陽光発電(長野県飯田市)
飯田市の 条例
再生可能エネルギーの導入による持続可能な地域づくりに関する条例再生可能エネルギーの導入による持続可能な地域づくりに関する条例 背景 ① 温室効果ガス削減のための自然エネルギー導入 ② 再生可能エネルギー電気の全量固定価格買取制度(FIT)のスタート(H24.7~) ③ 2,000時間を超える年間日照時間、豊富な水資源、森林面積85% ④ 自然エネルギー資源の活用と地域住民や行政等とのかかわりが不明確 全国初の試み 全国初の試み 再生可能エネルギー資源を地域住民共有の財産と捉え、 この資源を活用する権利はまず地域住民に存する 地域環境権の付与 25年4月 制定 地域住民によるエネルギー事業体や企業と地域との公共的連携による 再生可能エネルギーによる発電事業を公民協働事業として支援する。 支援ツール ○参入事業に対し、市民ファンドや銀行等融資などの市場資金が円滑に調達されるよう、 附属機関が公的に信用補完機能を担い、審査情報も公表。事業に対するコンサルティング も行う。 ○発電事業立ち上げ期の調査費用にのみ充てられる資金を貸し出すために基金を造成し、 無利子融資を行う。 ○行政財産(土地・建築物(屋根))の目的内利用のルール化
3.再エネを活用するまちづくりの事例 ~風力(左)・太陽熱(右)発電の導入実績と目標(NEDO技術開発機構資料)
3.再エネを活用するまちづくりの事例 ②風力発電(高知県梼原町) • 年間平均風速7.2m/sの四国カルスト台地の風を活用し、平成11(1999)年10月から2基の風力発電機が稼働(総工費4.5億円)。 • 売電の収益(年間約3300万円)を町の環境基金として積み立て、新エネルギー設備整備への補助や間伐の補助金として活用している。
3.再エネを活用するまちづくりの事例 ②風力発電(高知県梼原町)環境基金条例の制定
3.再エネを活用するまちづくりの事例 ~太陽熱冷暖房、中小水力発電の技術、課題、解決策(NEDO技術開発機構資料)
3.再エネを活用するまちづくりの事例 ③小水力発電を積極的に導入する山梨県都留市(出典:都留市WEBなど) • さまざまなタイプの水車を集中的に導入。
3.再エネを活用するまちづくりの事例 ③小水力発電を積極的に導入する山梨県都留市(出典:都留市WEBなど) 財源:NEDO+市民公募債+一般財源
3.再エネを活用するまちづくりの事例 ~地熱発電、温泉熱発電/熱利用の技術、課題、解決策(NEDO技術開発機構資料)
3.再エネを活用するまちづくりの事例 ~雪氷熱利用、海流・潮流発電の技術、課題、解決策(NEDO技術開発機構資料)
3.再エネを活用するまちづくりの事例 ④雪氷熱利用(新潟県上越市安塚区)
本日の構成 地球温暖化防止、再生可能エネルギー、節電の関係(おさらい) 地球温暖化防止の政策体系 再エネを活用するまちづくりの事例 節電に取組むまちづくりの事例 川崎市のエネルギーのボリューム まとめ~地域と市民の可能性~
4.節電に取組むまちづくりの事例 ~節電と省エネの違い、共通点 • 省エネ:電気やガス、石油類すべての使用量を減らすための取組み(省エネ法) • 節電:電気の使用量のみを減らす取組み(状況に応じて、緊急節電が必要に) • 共通点:電気の使用量を減らして、発電所の稼動を抑える点は共通。発電所の稼動を抑えれば、それだけ二酸化炭素(CO2)の排出も減らせる可能性が高い。二酸化炭素(CO2)排出の減少は、地球温暖化対策につながる。
省エネと節電を図式化すると・・・ 時間軸:短期→長期 問題の広さ・領域
原子力発電が稼動している場合の電源調整 • 節電=火力発電の調整→二酸化炭素減少